199 Halloween † rose
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――書きかけの一遍の物語は、そこで打ち棄てられ。
(#0) 2014/10/20(Mon) 05時半頃
深い地下の一室。
蝋燭に照らされ、白い術式が部屋いっぱいに散りばめられている。
……否、散りばめられている最中だ。
(#1) 2014/10/20(Mon) 05時半頃
ベネットという名の魔女は、
ぬるつき淀んだ白色のインクをペンに滲ませ、
壁に、床に、不規則なようでいて規則的な、
何かを描いている。
蚯蚓の這うような文字と図形を理解できるものは、
さて、この世に他に存在するのか、否か。
(#2) 2014/10/20(Mon) 05時半頃
『ああ、つまらないつまらない。
ねえ、キミも、そう思うでしょ?
でもねえ。
面白い遊びはもうすぐ出来るよ。
もうすぐ、もうすぐの事さ。』
(#3) 2014/10/20(Mon) 05時半頃
話しかける相手は其処に存在していたか。
それさえも曖昧な、独り言であったかもしれない。
話しかけたい相手を思い浮かべさえすれば、
驚く顔は簡単に思い浮かぶ。
それだけで、魔女は構わないのだから。
(#4) 2014/10/20(Mon) 05時半頃
『くふ、ふふふ……』
魔女の暮らすその屋敷に、妖しげな笑い声が木霊する。
(#5) 2014/10/20(Mon) 05時半頃
* 31,October - Halloween - *
(#6) 2014/10/20(Mon) 05時半頃
[roşu-aprins、緋結晶公を意味する一文は、
魔物と呼ばれる者しか、視認できない。*]
”Dear Mad Sleeping beauty”
”諸々の挨拶は省くとしよう。何故ならオレとオレの利き手は、気が長くない。
もう朝だが、表の張り紙の有効期限はまだ切れていないのか?
手伝いが出来るかどうかにかけてはオレの綿密なスケジュールにご機嫌伺いをしなければ分からないが...
正直 ...正直に言って、あの張り紙をしたヤツは『面白そうだ』。
気が向いたらこの手紙を託す相手に命じてオレへ便りを運ばせろ。
速度はお墨付き、そよ風より速い。
From (heat haze)”
[蜥蜴に運ばせたのはそう曼くない文面。]
「陽炎さんへ
こんちには。
張り紙の期限は切れていません。
手伝いの簡単な内容を綴るのなら、
商品の手入れや、表への配送でしょうか。
日中の空いた時間のみで構いませんが
いかがでしょうか。
今は店に居ります
roşu-aprins.」
[どんな人物かは解らないが、使いの置いていった羊皮紙からは
陽の光に照らされていた其れとは異なる熱を感じた]
どこほっつき歩いていようと自由だがなぁ、本当に”自由”にしてやろうか?
んんー?シャルルさんよぉ……
[魔物の吐息に乗せてすれ違い様に囁いた]
ちょ……ボス!?
や、そ、それは勘弁してくれって!
いやマジマジ超マジで!
[思いっきり慌てた念派は届いたか。
何せ、悪魔に仕えていない使い魔ほど惨めなものはないのだから。
このご時世、使い魔も就職難なのだ。]
商品が毀れないマジックなら、見てみたい。
君が陽炎さん?
[表から聴こえた声を拾いあげ。
一応は確かめる為にと、声を濁らせた。]
(うるせぇ。こっちだってマジだ。
テメェがたまにオモチャにしてるオレのトカゲ達がテメェの何倍勤勉か知ってるか?)
[店に到着する寸前、悪魔じみた笑い混じりの念波を返した。
そしてあとは聞こえないふりをすることにした。
人間で言うところのガチャ切り、か*]
その通り。シーシャと名乗ってるぜ。
”マジック”見れば信用するか?
店が全焼しても文句言いっこなしだ。
や、だってトカゲは……!
[あんなものがチョロチョロしてたら、猫として、尻尾切らずにいられないじゃないですかやだー!
……との抗議虚しく]
に"ャッ!!
[切られた。
コレはヤバイ、背中に冷や汗が伝った。]
私は焼かれても死ぬことは無い、が――
屋根が焼け落ちると、天敵からは逃れられまいね。
[消えるその一瞬、現世の炎ではない火に触れ。
残り火を指先に引っ掛けてから、己の指先を灼く。
肉の焦げる匂いはそう長引かず、滲む血液。
ぽろり、と緋色の小さな結晶体が球体となり、カウンタに落ちて
割れることなく、ころころと台の上を転がった]
[――視界の端、転がる緋色の結晶をトカゲが尾で巻き込んで運んできた]
ハハッ!!
万が一にも事故ったら仕方ねぇから日除けにくらいはなってやるよ。
[メッセンジャーの蜥蜴が尻尾をうねらせ
ビィ玉サイズの緋結晶をキャッチすれば、薄く微笑み。]
ふふ、完全に熔けなければ、死なずに済むかも知れないね。
――地獄の業火と戯れる所を見る限りでは、
妖精よりは悪魔の類かな。
……だが、猫に似た匂いがする
ヘルハウンドになら会ったことはあるのだが――
[恐らくは、彼の体臭では無かろうと検討をつけて]
――あー、やめろやめろ。
オレは毛の生えたヤツは好きじゃねぇ。
オレの眷属は基本的にコイツらとか、ツルッとしててクールな奴らなんだよ。
[思わず自分の袖を嗅いでみた。分からない。
つ、と背中を汗が伝う 幻覚を感じた。]
そうか。
ならば私の気のせいかな
[クールかどうかは、屑に注視を寄せる様から
やや遠いものに思えるが。
パイの欠片が残る口端へ指を伸ばし、取り攫う]
この手の類も初めて見る。
眷属に名前はつけないのか?
[パイ屑を舌で攫い、物珍しげに従僕の挙動を見詰め。]
さぁ、どうかな。
[猫についてははぐらかしておくことに。
蜥蜴も蛇もその他の爬虫類的な眷属はいつ触れてもひんやりとして”クール”ではあるが]
名前つけてそれが真名になっちまって気分サイアクの時にうっかり
『くたばれ』とか言って、その都度消滅させてたら手が足りなくなるだろ。
[過去に実際やらかしている。
苦々しい眼差しは子どもにでも接するかのような吸血鬼の動向のせいでもあり]
[名付けない理由は、短気かつ直情型らしき言い分。
その片鱗は、パイの屑と共に拾い上げたまま。
苦い眼差しを前にしても肯定や否定は告げず、
笑気に包まれた緋色の眸を細めて受け止め]
誰か、夜になったら、起こしてくれ。
[声響くものに、寝言にように]
[露蝶の店に着く頃、何か、寝言のような声が聞こえた気がした。]
あ、ジェレミーかな?
ジェレミーだな。
[覚えていたら行ってやるかと思いつつ、返事は保留しておいた。]
[飲食店側へと手を振る者の姿は
昼間の視力でははっきり捉えられないが]
あれも魔物の類かな
[シーシャに従ずる者とまでは推し量れず。
遠目に眺め、想像を口にし。
ミケに入るかと尋ねかけたその時、
異形の音階を鼓膜は拾う。]
こんにちは。
ジェレミーと…、もう一人は叫び声の子か。
魔女殿は目覚まし役は嫌なのか?
[肝心の魔女が行方知れずとは知る訳もない]
ああ、ニコラか。
魔女は昨日から見てないな。
どこに行ったのかしらない。
[そういうことは珍しくもないから、そう答えた。]
[ハロウィンだというのに、賑わう街を
根城にする魔女はいないらしい。
毎年過ごしていれば混ざりたくもなくなるか。
街に初めて訪れた男は魔女の人柄を知らないし
想像でしか物を言えないが。]
ふむ…………、そうか。
酒場には来るのかい、君は。
案外、パーティーの支度でもしているのでは?
[衣裳選びに張り切っている、とか。
魔女が容姿性格共に婆さんだったら
色んな意味で溜息も出そう。]
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