231 獣ノ國 - under the ground -
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[この問いを、“被験体”にするのは何度目だろうか。 あるいは、クラリッサには初めてだったかもしれない]
外には自由があるわ。
[棚から注射器と、遮光性の薬瓶を取り出しながら。 アマルテアは思いを巡らせる。 自分が仕事に行き詰った時。悩んだ時。困った時。 つい口から零れ落ちる、懇願にも似た問い。 自分の信念は間違っていないと、確認したいがための問い]
興味は、ない?
[もしも、“実験”が成功をして。 あなたがヒトになることができれば。あるいは、と**]
(168) 2015/07/11(Sat) 14時頃
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……そう、ヒトに。 させてあげる。私が。絶対に。
[クラリッサの口から零れ落ちた言葉>>169は。 アマルテアが最も望んでいた答え。 にっこりと満足げに微笑むと、注射器を手に取った。 彼女は気付けない。クラリッサの真意に。気付こうとしない]
外の世界を。見させてあげる。
[いつか。必ず。 注射器の中で、禍々しい色の液体が煌めいた]
(170) 2015/07/11(Sat) 15時頃
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痛くないわ。大丈夫。
[穏やかな声音の中に、微かな狂気が混じっていた。 この“薬”を投与したとき、 果たしてクラリッサはどういう反応を示すだろう。 成功するだろうか。それとも]
少し我慢してね。
[クラリッサの腕を取り、注射器を刺した。 知的好奇心と、興奮が。自身の中に渦巻いているのが分かる。 薬を投与しを得ると、じっとクラリッサの様子を伺った。 アマルテアにとって“実験”の結果を待つこのときは、 何にも代えがたい瞬間だった**]
(171) 2015/07/11(Sat) 15時頃
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……あら、大変だわ。
[アマルテアの声は、あくまで落ち着いたものだった。 突如として苦しみ始めたクラリッサ>>173を、冷静に観察する。 薬への過剰な反応だ。効果が強すぎたのかもしれない。 とはいえ、想定の範囲内の反応ではある。 “実験”にはままあることだ]
クラリッサ、大丈夫かしら。 私の声が聞こえる?
[「大丈夫です>>173」と弱々しい声が返ってくれば。 とりあえず意識レベルはしっかりしているようだ。 医者として冷静に判断を下す。 クラリッサの手を、そっと握りしめた。“患者”を安心させるように。 ヒトのものではないそれは、ひどく歪なものに思えた]
(181) 2015/07/11(Sat) 17時半頃
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どこが痛むのかしら。
[苦しげに床を這うクラリッサに、穏やかな声をかけた。 “彼ら”はなんて弱い生き物なのだろう、と思う。 自分たちに管理されなければ生きられない存在。 ヒトにも動物にもなれない、中途半端なイキモノ。 だからこそ、自分が“なおして”あげなくてはならない]
痛みが治まらないようなら、いま鎮痛薬を―――。
[独善的な考えに身を委ねながら。 あくまで、女医として優しく振る舞う。 事実、ある種の嫌悪感と同時に愛おしささえ感じているのだ。 “彼ら”の存在に。 それは兄に抱いていた感情と同じであった**]
(182) 2015/07/11(Sat) 17時半頃
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/* 中の人がM寄りだから、 いまいちドS女医を貫くことができない。 嫌な奴にしたかったけど、これが精一杯という現実。
(-76) 2015/07/11(Sat) 17時半頃
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/* クラリッサに嗜虐心をくすぐられる……。 可愛いなあもう。
(-84) 2015/07/11(Sat) 20時半頃
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少し、痛んだ……?
[クラリッサの苦悶の表情からは。 とても“少し”の痛みとは思えなかった。 震える声で「ありがとうございます」という彼女を、 アマルテアはじっと見つめた]
大丈夫だったら、いいのだけれど。
[ふらふらと立ち上がるクラリッサの姿は。 健気で。必死で。ひどく愚かだ。 まるで飼い主に嫌われまいとする愛玩動物のようだ、とすら思う。 アマルテアは、やはり“彼ら”をヒトとしては見ていない]
(199) 2015/07/11(Sat) 21時頃
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よく我慢したわ、クラリッサ。
[まるでペットを可愛がるような手つきで、 クラリッサの頭をそっと撫でた。 先程のジリヤのように、“飼い主”の手を噛むような輩もいるが。 クラリッサのように従順な者には、アマルテアは優しく振る舞う]
落ち着くまで、ベッドに休んでいてもいいのよ。 無理にとは言わないけれど。
[その口調は、あくまで穏やかで。 爪の様子を観察して、薬が確かに効いていることを確認する。 カルテにその結果を細かに書き込むと、万年筆を机に置いた**]
(200) 2015/07/11(Sat) 21時頃
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……クラリッサ。
[漏れ聞こえた苦痛の声>>208に、ベッドを覗き込む。 小さく震えるその背中を、そっとさすってやろうとするだろう]
無理をするのは、良くないわ。
[可愛い子。そして、とても哀れな子。 ここで生きることしか知らないから、 自分みたいな人間にも縋ってしまうのだろう。 ヒトとして扱われないことに不満を抱かず、 歪んだ優しさを、何の抵抗もなく愛情として受け入れてくれる] 私が、しばらく傍にいるから。大丈夫。
[クラリッサという“被験体”は、アマルテアにとって。 これ以上ないほどに都合がよく、 それ故に可愛らしい存在であった**]
(216) 2015/07/11(Sat) 22時半頃
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……どうして、って。
[突然のクラリッサの問い>>223に、言葉を詰まらせた。 言うなれば、今まで忠実に言う事を聞いていた飼い犬が、 急に唸り声を上げてこちらを威嚇したときのような。 そんな、不意打ちの問いであった]
私、は。
[聡明なアマルテアにしては珍しく。 上手く言葉が出てこない]
(228) 2015/07/12(Sun) 00時頃
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……ヒトに戻りたい、って言われたの。 こんなのは、いやだ。 俺はバケモノなんだろって。だから。
[気付いた時には、とんでもないことを口走っていた。 すぐに、しまったと口を塞いだけれど。もう遅い。 少なくとも、“被験体”に話していい事柄ではなかった。 言うに事を欠いて、“バケモノ”だなんて]
気を悪くしないでちょうだいね。
[取り繕うように言ってから、じっとクラリッサを見つめた]
ただ、私は。あなた達をここから出してあげたいだけなの。
[なんて偽善的で。なんて身勝手な言葉だろうか*]
(229) 2015/07/12(Sun) 00時頃
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……“バケモノの巣”って。あなた。
[アマルテアはクラリッサの言葉>>240に絶句してしまう。 自分の生まれ育った場所を、“バケモノの巣”と表現することを厭わない少女。彼女をそうさせてしまった一端は、間違いなく自分にあるのだ]
クラリッサ。
[彼女の頬に、そっと手を当てた。 上手く言葉が見つからない。 ただ、なんて憐れな子なのだろうと思う]
あなたは、本当に良い子ね。
[結局、口から飛び出したのはそんな言葉で。 穏やかに微笑む女医は、間違いなくどこかが狂っていた。 ふたりの関係は、ひどく歪だった]
(254) 2015/07/12(Sun) 01時半頃
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次は、もっと良い薬を作るわ。
[もっと強い薬を。 クラリッサの身体にある“ヒトではない証”をすべて消し去ってしまえるくらいに、強い薬を。 彼女は「私に出来ることなら何でも」>>240と言ってくれたのだ。 だったら、この“実験”への協力も。彼女の望みなのでしょう?]
また、ここへ来てくれるわね?
[その結果、クラリッサがどれだけ苦しむことになろうと。 例え運悪く×××しまったとしても。 それが彼女の望みならば。 自分は、それを利用するだけだ。 アマルテアは自身の倫理観と罪悪感に、そっと蓋をした]
(256) 2015/07/12(Sun) 01時半頃
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[それからクラリッサと何かを話しただろうか。 いつの間にか医療室の時計は、夜の時間を示していた]
まだ顔色が悪く見えるけれど。 今日は自室に戻れるかしら。 それとも、無理をせずこのまま医療室で休んでいく?
[クラリッサに優しげに問いかけて]
私は、まだここで。 しばらく、仕事をしていくから。
[今回の“実験結果”を、まとめなければならない**]
(258) 2015/07/12(Sun) 01時半頃
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