―5回目のハロウィン―
[さて、店に居たのは己のみか。それとも誰か、別の者もいただろうか。
外の騒ぎはそれなりに聞こえていたが、ジェレミーが最後の仕上げにかかったのだろうと特に気には止めぬまま。
彼と自分では境遇も種も違うのだが、民衆の前に姿を現した馬鹿な奴と、僅か自分に重ねて笑う。
続くハロウィンを名残惜しく感じるものの、永遠に続く訳じゃない。
気付いている者が居るならいずれ終わりは来るし、少しだが自分もその手伝いをした。
今日の祭は狼騒動で休みらしい。
静かなのはいいが、少し寂しく感じる。
終わってほしいのか続いて欲しいのか。
肩入れの陣営は未だ分からぬまま。
倉庫の奥から引っ張り出して来たのは、古い古いトランクケース。
乱雑に店中の、山のような荷物を詰め込んでもまだ余るそれは、随分長い間使い続け、逃亡の友としてきた物。**]
(@23) 2014/10/29(Wed) 01時頃