―大通り―
……案外普通に現れたわね。かくれんぼはもう飽きたの?
[目の前に佇むのは、首から懐中時計を提げた、自分の鏡像みたいな青年。
周囲が驚かないということは、この姿も魔女の目くらましであろうが]
もうそろそろ、ハロウィンはおしまい?
[目の前の彼は言う。「せっかくのプレゼントなのに、あまり喜んでもらえなかったようだから」と。
「でも自分で終わらせるのはつまらない」と、懐中時計を首から外して、手の中でポンポンと弄ぶ]
プレゼントって、誰宛てのよ。
[目を眇めて、胡乱げに見つめても、彼は笑うだけで答えない。
ただ「飢え死にさせたんじゃ意味がない」と、ちぐはぐな答えを返すだけ。
「それより自分の大事なものに気を付けた方がいいよ」と、通りの向こうを指差して。
指された方を見て、振り返ったら、もうその姿は消えていた]
(@3) 2014/10/30(Thu) 18時半頃