[>>-1314 目元へと唇寄せられ、そこに涙の存在を知る。悪魔の手による愛撫は思いのほか丁寧で。ひとつひとつパーツを確かめるように、色を変えられ、染められていく]
(――…食われそう。)
[どこか愉しげな彼の眼差しに、そんなことをぽつりと思う。
ただ貪るだけでなく、一番美味しくなるように積みあげて積み重ねて、舌の上で弄ばれる。骨の髄まで、彼のための甘いデザート]
……っ、ばかぁ、
[悪魔の問いに、快楽に身を捩じらせながら声を上げる。
触れられぬ影を想って己を慰めた時の快楽と喪失感。ここにないことを確かめるような作業。それでも縋らずにいられない、自分の心の浅ましさ]
もっと、
[手を伸ばして、彼の頭を掻き抱く。いつもの口癖ではなく、そのままで紡がれる想い]
もっと、ちょうだい。 あなたを。
本物のあなたを。……シレークス、
[ねだって、自ら唇をついばむ。舌を絡めて啜る唾液は、甘く酔わすチョコレートリキュール]
(-1389) heinrich 2014/11/04(Tue) 00時半頃