―― 第1図書室→ ――
[ ひたり、と。しみ込んでくるそれはなんだったか。
『たべたらダメ』 『ヒトになりたいなら』
『ここは――じゃないから』
――どうして、ダメなんだっけ? ほかのにおいと、おとと。微かなざわめきにすら頭が揺れる 。
乾いた服の下でぐうぐうと腹が鳴る。……こんなに、おいしそうなのに。ああ、でも傷つけるのも、傷つくのも。――1度でしんでしまうから。そらが、うたって?自由が、
まざる声はだれの、――“なん”のものだった?]
、
[ 機能の薄れた吸収缶、硬く覆う膜。からを割るように、手袋を外しては、かちりとマスクを取り外す。すうと咽喉奥に入る乾いたそれが、いきぐるしかった。
ただ「かり」にはこんなものいらないだろうと。ここで“いきる”のには必要だった気も、するが。俺はそもそも ここで、”いきて”いるんだろうか。
男の問いが聞こえる。――はなはすきか。におわないそれ。
ああそう、やっぱりここは。*]
(232) 2015/07/14(Tue) 00時頃