―― ? ――
[ 「満腹」をただ、もとめていた。――ぐうぐう、と鳴く腹の虫、奥底は。
たとえば>>201彼の錆びたような瞳に一間、映ったそれと、似通っていたのかもしれない。みずからのレンズに、記憶をもとめて伸ばされた手は拒まず、黙って受け入れながら。
きみにも、と。その先はおそらく、己の「これから」をのぞんでくれるものだったか。
それだけ彼が“こがれる”ものなら、きっと綺麗なんだろうと。もう1度だけその手に、さみしさを一間でも埋めるよう、腕を伸ばし。――「さよなら」も済んでいれば、触れる手前下ろした。
“うみがみたいか”と問われたのには、
――先ほどの、息の詰まった声色を思えば、ただ眉を顰め、沈黙を返すままだったろう。みたい、ほしい、空腹をどうにかしてほしい。
――かれのいうけしきがみたい。そんなこと、 ]
……うみ、って
[ 『処分』 された先にも、あるんだろうか。と、しみこむあまいにおいが、“ ”のそれが。じわじわのぼる“しんかい”のそれに混ざり合う。
やがては訪れるだろう「錯乱」の予感に1つ、誰にも知れず息を零した。]
(226) 2015/07/13(Mon) 23時半頃