[そういえばこの騒ぎ、父親に連絡は行っているのだろうか。
いや、行っていないはずはないのだが、当の父親からは何の音沙汰も無いところから推測すると、きっと妻の死をひとり部屋で嘆いているのだろう。下手したら人払いをしているかもしれない。
父はそういう人だった。
母のことは愛していたが、自分は男だから愛してもらえなかった。
死んだ妹のことは可愛がっていたが、新しい妹は受け入れていないようだった。
父親らしいことをしてもらった記憶は無い。
だから、……こんな時にすら父親に会いに行こうという気が湧かないのも仕方ないと、自分で自分に言い訳をしていた]
――……? 何のお話かしら。
[考え事をしていたせいで、ラルフの言葉をうっかり聞き逃してしまう。
それを受けて慌てるベネディクトの様子。
再び彼に近づきこそしなかったものの、何か不審なことがあったのかと目を眇める]
(199) 2012/01/13(Fri) 23時頃