[華月斎も席を立つ。>>144]
華月斎さんも。
ありがとうございました。
また是非、パン屋にもいらしてください。今度こそお礼をしますから。
[いつもの満面の笑みとはいかないけれど、顔に笑みを浮かべて頭を下げた。華月斎の顔は、どこか、何かを思いつめているようにも見えて。
それは多分、自分は知らない、華月斎がサイラスを疑う根拠となっているものなのだろう。]
―――あの。
華月斎さんも、どうか、お気をつけて。
…それと。
[続く言葉はためらいがちに。]
せっかく遠くの国からこうやっていらしてくださったのに、こんなタイミングで、立て続けにこんな事件が起こって。
でも、この街は、いい街なんです。
この街の事、嫌いにならないでいて下さったら、嬉しいです。
[そう言って、もう一度頭を下げて、喫茶店を出て行く華月斎を見送った。]
(158) 2011/01/16(Sun) 21時頃