─夕・→食堂─
[己の知る世界へと意識を戻したのは陽も暮れてからのことだろうか。
薄暗い部屋の中、転寝と言うには長い眠りに些か腫れた瞼を持ち上げたなら、視線を左右へと。
夕餉の時間が近いと気付いたのは、やはり柔らかく甘い香りに混じった食事の匂いのせい。
もしかしたら1日や2日程意識を飛ばしてしまったかも知れないとも思ったが、主がそれを許す訳がない事を直ぐに思い出してふかふかと羽毛を包んだ柔らかな枕に顔を擦り付けた。
そのまま暫し身を固めた後、ゆったりとした動作で起き出したなら再び菫色の上下を身に付けて、食堂へ。
やはり人がいたならスーツの裾を摘み笑みを湛えて挨拶をし、そこに主人の姿を見付けたなら一層弧を大きく描いて。]
御機嫌よう、お館様。
今晩も麗しい月の元、お会いできて嬉しゅうございますわ。
[そうして振舞われた料理と薬を嗜んだなら、再び自室へと。*]
(151) 2014/12/23(Tue) 02時半頃