[ベネットは本屋に戻ってくると、またかと、盛大な舌打をした。最近はバイトの青年のせいで癖のようになってしまった。]
あのさあ…
[呆れていることを隠そうともせず、カウンタで船を漕いでいる青年に声を掛ける。]
君もう帰っていいよ、僕がそこやるから。
[虫を追い払うように手を払うと、青年もまた苛立ったような様子でお疲れさまでしたと、本屋を出て行った。溜息をついて、売上を確認する。新刊がいくつか売れていた。何度か来た、人の眼差しをハッとあつめてしまうような白髪のーーー青みを帯びた白髪のうつくしい少女は買いにきただろうか。あの子が好んでいるであろう作家の本がでているのだけれど。]
ーーーーーー…
[頬杖をつき、最近読んだ本に想いを馳せる。]
(神さま、どうかこのひとに… 幸いがたくさん訪れますように。つらいことや哀しいことは優しく訪れますようにーーー)
(143) 2014/10/01(Wed) 20時半頃