[そんなこんなで、海のような色の髪の高嶺の花>>128に話し掛けた時も唐突だった。
それは去年のこと、いつからかは知らないが少なくとも既にそう呼ばれていた。自分は呼んだことはない。]
「ヘザーちゃんって、吹奏楽部では何の楽器担当?」
[ある日いつもどおり一人で席に座っている相手の机の前に屈んで、下から覗き込んだ顔は花のようになっている訳もなく、整った白い肌の少女のもの。
近寄り難いのではなく、自分の交友関係と部活動があって関わりが薄いだけ。それがこちらの認識。
もし聞き出すことが出来たのなら多分、部活の為校舎とプールを往復する際に聴こえる演奏の感想をたまに伝えに来ることもあっただろう。大して音楽の知識があるわけでもなく、漏れ出た音を聴いてるだけになるわけだが。]
「その髪色良いよね。海みたいで」
[気まぐれに近寄って、遠慮なく絡んでは去っていく。友達でもなく、宿敵でもなく。周囲の印象を変えるような関係を構築してはいない。故にヘザー・プライムは花と呼ばれ続ける。]*
(141) 2020/05/19(Tue) 22時頃