…っ…ふ……、…
[彼の言葉は耳に届くも、もはや何を言っているか分からなかった。
視界はやがて、目隠しにあったように闇に包まれる。体温は奪われ、凍りつく寒さが全身を覆った。
”死ぬとは、こういう事なのか”
”ローズマリーもあの時はこんな風に、死を迎え入れたのだろうか”
だとしたら、…───あの子がとても、可哀想だ…]
は、…早く…
[最後の力を振り絞って、起き上がろうとする。胸から手を離すと、器に穴が空いた時のように鮮血が流れ落ちた。
肺が傷ついたのか、呼吸に血が混ざって激しく咳き込む。口から鮮血が飛び、揺さぶられた衝動で、さらに傷口が広がる]
……あの子の…元へ…行き、…たい…、…かせ…て…
[死後がこんなにも寒くて暗い、すべてから完全に打ち捨てられたような世界なら、彼女は今もそこで一人ぼっちで泣いているかもしれない。
地面に四つん這いになりながら、救いを求めるようにヤニクに震える手を差し伸べる。
今すぐにあの子を探して見つけて、抱きしめてあげたかった]
(81) 2011/11/25(Fri) 23時頃