[背後から突然声がかかった。(>>53)
思いがけないことだ。そりゃあ、心臓だって体ごと跳ねるってもんだ。]
あぇ… ああ……な。
[我ながら有耶無耶な相槌だ。驚きの余韻と人物の確認、それから解散の合図を交わしたはずの二人組の動向の確認。視線をぐるぐると泳がせたあと、再び鹿崎の表情を見るとこいつもまた、さっきの大須賀とは違った表情で男女を冷やかそうとしている。しかし、ニヤニヤしながら串焼きを頬張るのがあまりにも似合いすぎている。俺は一瞬、鹿崎に釘付けになってしまった。似合いすぎ。]
はあ、お前ら頭ン中そんなんばっかかよ。
[あ、今の言い方はちょっと、感じ悪かったかもしれない。まあいいか。
呆れと一緒に諦めも、ため息にして吐き出した。]
俺は、図書館行こうと思ってて…。
通り道だっただけ。
[こうして夏に浮かれている連中から逃げ、家から逃げ、特に用事もない図書館にただ涼みに向かうのがバカバカしくなってくる。]
(56) 2019/09/01(Sun) 18時半頃