……そんなの、見えないうちに入らないよ。
[眼鏡が入用な程じゃない。その言葉に、肩の力が抜けた。
眼鏡も要らない。そんなのは、本当に見えないうちに入らない。眼鏡が要るという人だって、私からしてみれば見えないうちに入らない。
私の知っている見えない人というのは、杖と、盲導犬が必要な人だ]
デメテル、だってば。
[私の名前を噛みまくっているのを見れば、ああやっぱり神童は大人になればただの人だという確信を強くする。
ちなみに私は神童じゃない。私の成績がいいのは、単なる努力だ]
別に原点ってほどの何かがあったわけじゃないよ。
ここでだけ、一休みできただけ。
[一休み。そう、それはほんの一休みだった。それすら、ここでしか許されなかった気がしてたんだ。
体の、というより、心の。
夜の駅前広場は、いつもほどよくざわついていて、まぎれてチョコレートを食べる私のことを放っておいてくれる空気が心地よかった。
今は、うそみたいにしんとしてて、なんだか空気がよそよそしい気がする。
せっかく私、自由なのにな]
(52) 2014/01/16(Thu) 23時半頃