……ヒュー。 イ、はいらない。です。
俺からしたら、チョウスケって名前の方が難しい。
[それは、異国の響きへの率直な感想でもある。
木乃伊という渾名にこちらが不満を述べれば、チョウスケはやたらに満足そうな色を覗かせる。
自分はいいオモチャなのだなぁ、とは、わかっていても口にはしなかった。
認めるようで、嫌だった。]
……あいつにしか、頼めないんで。
あぁ見えて器用だし、……メシいつ食ってるかは、わかんねぇけど。
[それは事実だった。
時折、頼まれて食事を図書館まで運ぶこともあったが、それも本当に稀な事。
図書館にいる彼が、普段どんな時間を過ごしているのか、実のところあまり知らなかった。]
……犬、じゃない。
[ワンコロ、という新たな渾名に呟く声は、それでもはっきりとした言葉。
そんな風に言われてしまえば、目の前のキッシュの一切れが何やら餌のようにも見えてきた。
折角の、好物なのに。]
(43) 2014/12/22(Mon) 11時頃