―遺体安置所―
[メアリーに手を引かれ、遺体安置所につくと独りでふらふらと歩きだす。向かう先はイアンの元、途中手に持っていた手紙、最後の言葉が滲んで読めなくなった手紙がカサリと音を立てて落ちる。
石の台座に横たえられたイアン…だったモノ。…は顔にかけられた布をそっととる。]
イ…アン…?
起きるッスよ。隊長がこんなとこで寝てたら士気なんてあったもんじゃないッス…だから早く起き……っ…!
[顔に傷はなく、少し青白く見えるだけで眠っているようにしか見えない。揺さぶり起こそうとして身体に触れ、その冷たさに驚く。
そこに自分を抱きしめてくれたときのぬくもりは…ない。]
無事に帰ってくるって…言ったじゃないッスか…
馬鹿で変でへたれで卑怯者で…この上嘘吐きにまでなるつもりなんスか?
欲張りすぎッス。
[手を取ろうとしてお守りを握りしめていることに気付く。]
やっぱ完成…させとけばよかったッスね…
[その言葉を皮切りに、もう出尽くしたと思っていた涙がこれまで以上に溢れ出た。]
(42) 2011/11/12(Sat) 03時頃