[響く甘やかな鈴の音に、紙面に落としていた視線を上げる。
寝台の上、積み上がった本を支えに立ち上がれば、とん、と床に下りた。
今日、進んだページは27(0..100)x1程か。
勝手に部屋に運び込んだ本が、未だに山となっているのに溜息をついた。
運びこむ速度と読む速度とが、吊り合っていない結果だった。
こればかりは、改めることができない。
同じ姿勢で読書を続けていたせいか、凝り固まった体をゆっくりと解す。
同時、肌に貼り付いていた包帯が剥がれていく感覚に眉を寄せた。
痛みを齎さない傷。
けれど、決して塞がらずに、出血を続ける傷。
圧迫していればその出血も微々たるものなのだが、それでも完全な止血には至らない。
原因は未だ、わからない。
その傷を、いつ負ったのかすらも。]
……包帯、変えてもらわねーと。
[薄ら赤の滲む包帯を隠すように、深い藍のシャツを羽織れば部屋を出る。]
(4) 2014/12/22(Mon) 01時頃