人狼議事


308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


ヤカモト4人が投票した。
みょんこ2人が投票した。

ヤカモトは村人の手により処刑された。


時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
みょんこが無残な姿で発見された。


現在の生存者は、ヘイタロウ、ワット、ハルミチ、ヨーランダの4名


天のお告げ (村建て人)


いつか救援がくるのではないか
あるいは、治療薬ができるのではないか
 

(#0) 2020/10/26(Mon) 00時頃


天のお告げ (村建て人)


明日も見えぬような景色の中でも、
そんな僅かな希望を抱き、耐え忍び、
生き延びていた人たちが世界中にいた。
 

(#1) 2020/10/26(Mon) 00時頃


天のお告げ (村建て人)


――― 4日後。
 

(#2) 2020/10/26(Mon) 00時頃


天のお告げ (村建て人)


混乱と荒廃の果てに、
あなたたちを待ち受けていたものは、果たして、 **
 

(#3) 2020/10/26(Mon) 00時頃


天のお告げ (村建て人)は、メモを貼った。

2020/10/26(Mon) 00時頃



[ そのあとしばらくして、
 ジャーディンは静かに立ち上がり、
 覚束ない足取りで部屋に帰っていった。]
 



[ あれから4日が経っていた。]
 



[ 水道が止まった。]
 



[ 少し前からいずれ止まるだろうと警戒して、
 できるだけ水を貯めてはいたけれど、
 無尽蔵に使えるわけではなくなってしまった。

 あの日以来、
 わたしたちはまたわずかな食糧で、
 糊口をしのいでいる状態だった。

 できるだけ長く生きるために。
 今あるもので、できるだけ長く。]
 



[ 平和的に過ごしている理由は、
 それだけではなかったわ。

 ジャーディンが降りてこなくなったの。
 一日中、犬たちのいる部屋で過ごしてね。

 毛布を一枚持ち込んで、
 お手洗いに立つ短い時間以外、
 部屋の壁にもたれかかるようにして、
 じいっとその場を動かなくなってしまった。

 食事の時間になるたびに、
 わたしはあの子の分を部屋まで運んだ。
 それから、時折犬にエサをやるときも。]
 



[ もうとても毎日はやれなかったけど、
 残り少ないエサをたまにやっていたのね。

 それは必ずしもわたしの役割ではなくて、
 部屋にいるあの子に任せてもよかったけど、
 たぶんわたしはあの部屋に行く理由がほしくて、
 度々エサをやりにいっていた。

 わたしがエサ皿にフードを流す間、
 ジャーディンは何一つ見逃すまいとするように、
 じいっとこちらに視線を注いでいたわ。

 そんな状態だったから、
 誰もそろそろ≠ネんて言い出せずにいた。]
 



[ けれど、もう限界だった。]
 



[ 日に日にチビちゃんたちの口数が減って、
 大人たちも塞ぎこむことが増えた。

 お隣の息子さんはしきりに、
 外へ出ようとご主人に訴えかけてたわ。
 また何か見つけられるかもしれない。
 また何か捕らえられるかもしれない。
 その可能性に縋っているようだった。

 あの手この手でそれを躱していたご主人が、
 その日、ついにわたしの元へやってきたの。]
 



  わかっているでしょう。
   もう、次の手を打たなくては
 



[ それが何を意味しているかなんて、
 火を見るよりも明らかだったわ。*]
 


【人】 頭蓋骨と骨 ヘイタロウ

――砂漠荒野の建物にて――

 生きてる……のか

[座りながらじっと掌を見つめる。
ゾンビに肩を掴まれた感触をまだ覚えている。
あの時はもうさすがにダメだと思った。]

 『ああ、お前は生きてる。俺が助けたからな』

[向いでタバコをふかす大柄の男がぶっきらぼうにそう言った。
流暢な英語と迷彩服の柄から、彼が軍人である事が見てとれた。]

 あの…ここは、アメリカ軍基地…なんですか?

 『そんな訳ねぇだろ。地元の気象観測所みたいな所だろう
  もっとも、俺たちが来た時には
  中の奴ら全員死んでたけどな』

(0) 2020/10/26(Mon) 14時半頃

【人】 頭蓋骨と骨 ヘイタロウ

[男は色々と話してくれた。
紛争準備中にゾンビ達が現れた事。
仲間の軍人が次々と感染していった事。
無事だったのは自分と彼女の2人だけだった事。
敵味方構わず襲ってくる奴らに向かってひたすら発砲し続けた事…]

 『バイクに乗ってここまで来たんだ。
  着いたときにはもう誰も生きちゃいなかった。
  それからもう何日もここにいる。』

[傍にいた彼女がこくんと頷いた。肩にライフルを背負っている。
彼女も軍人なのだろう]

 『あなたも今までよく生きてたわね
  チャイニーズの商人かしら?』

 いや、ジャパニーズのカメラマンだ

 『………そう』

(1) 2020/10/26(Mon) 14時半頃

【人】 頭蓋骨と骨 ヘイタロウ


 奴らはなんなんだ?
 一種の感染症か?あるいは生物兵器なのか?

[もしも戦争用にこんな酷いものが開発されていたのだとしたら?という疑問をぶつける。そうだとしたら一大スクープだ。
更に、開発側がワクチンか何か解決法を持っているという事も予想できる。]

 『分からない。
  少なくともアメリカ軍の生物兵器ではないと断定できる。
  我々は大きな損失を被った。』

 …たしかに。

[だとしたら、なぜこんな事に?
ニュースを見ている限り、世界人口はぐんと減っている。
もちろん正確な死者数も被害者数も分からないけれど、インフラすら止まってる地域では、復旧に長い時間がかかるだろう。]

(2) 2020/10/26(Mon) 15時頃

【人】 頭蓋骨と骨 ヘイタロウ


 『万が一奴らとまた遭遇したら、これを使いなさい』

[女軍人から手渡されたそれは、防犯ブザーのようなものだった]

 ……これは?

 『その紐を引っ張ると、大きな音がなるの。
  それを遠くに投げれば、奴らの注意を逸らせるわ。
  奴ら、目が悪いから音によく反応するのよ』

[なるほど。
思い返せば、大声を出していたおじさんに大量のゾンビが集まっていた。あれはそういう事だったのかもしれない。]

(3) 2020/10/26(Mon) 15時頃

【人】 頭蓋骨と骨 ヘイタロウ

[そして、僕もそろそろ人探しをSNSでお願いしないといけないかもしれない]

 ……明日香

[ずっと連絡を取り合っていたけれど、4日前からパタっと既読がつかなくなった。
きっとバッテリーが切れただけだ、と自分に言い聞かせていた。
充電すればまた連絡できるだろうと思っていた。
が、いつまで経っても既読はつかなかった。
右側からでてくる、自分の送信したメッセージが無駄に増えていくだけだった。
不安で心配でたまらなかった。]

(4) 2020/10/26(Mon) 15時頃

【人】 頭蓋骨と骨 ヘイタロウ

[首から下げていたロケットペンダントを開く。
彼女の笑顔の写真がそこにあった。]

(5) 2020/10/26(Mon) 15時頃

頭蓋骨と骨 ヘイタロウは、メモを貼った。

2020/10/26(Mon) 15時半頃


【人】 百姓 ワット

[それからは毎日、早朝に畑を管理して、
 10時ごろには出発し、
 道を虱潰しに調べていく日が続いた。

 下道でいけば通れる道もあったが、
 都市部にでればでるほどヤツらの数も増えていく。
 迂回したり、引き返したりすることが多く、
 捜索はなかなかままならない。

 地元のガソリンスタンドからは、
 もう燃料の補給は見込めないだろうから、
 バンの中に手動のポンプと、
 ガソリンの携行缶も積むようにした。]

(6) 2020/10/26(Mon) 18時頃

【人】 百姓 ワット

[既に廃車になったような車を見つければ
 辺りに動くものがないのを確認して、
 少しずつガソリンを頂戴した。

 あとどれぐらい、この車は走れるだろう。
 どれぐらい探せば、見つかるだろう。
 

 本当に、見つかるのだろうか?]

(7) 2020/10/26(Mon) 18時頃

【人】 百姓 ワット





[本当は、健司達は、とっくに──]


 

(8) 2020/10/26(Mon) 18時頃

【人】 百姓 ワット

[ぶるぶる首をふる。]

 俺は、諦めねぇからな……!

[『私の分も、あの子たちを見守ってね』
 美奈子がやせ細った手のひらで、
 節くれだった俺の手をぎゅっと掴んで、
 最後に託してきたんだ。
 この目で確認もしていないのに、
 死んでいるなんて思いたくない。

 そうして、今日も地図にバツ印をつけていく。**]

(9) 2020/10/26(Mon) 18時頃

【人】 墓守 ヨーランダ

― 秋葉原 ―

[ウオールオブゾンビは持ちこたえられなかった。
撤退の判断もできず。

何体倒れようと気にせずに押し寄せてくるゾンビの群れ。
持ちこたえられないのは明白だった。

ああ、或いは。
国が武装ヘリでも出してくれていたら――]

ま、たらればだわな

[ソロモン攻略戦におけるドズルの気持ちがわかるとか言ってる人も居た。
ソーラ・レイが欲しいところだな。

もしくはビグザム。]

(10) 2020/10/26(Mon) 19時頃

【人】 墓守 ヨーランダ

[なんにせよ。

壁は崩されてしまった。
ならばまたゲリラ戦に戻るだけで。
かってのコネで手にいれた武器を見やりながらも。

今日もアサルトライフル片手に街を駆け巡る。]

一休み……って訳にもいかないな。

[狂気と隣り合わせで営業していたコンカフェも。
ついには撤退してしまった。

オーナーとメイドは世界の果てを眺めに行くと。
マイクロバスに乗って出かけて行ったが。

それを止める事なんてできやしない。]

(11) 2020/10/26(Mon) 19時頃

【人】 卐黒帝會卐 ハルミチ

[高校に避難してから、早4日。
 防壁にも、限界がみえてきた。
 助かる見込みは、もう1%もないだろうということは、おそらくここにいる誰もが気付いていることだろう。]

 あー……?
 第二理科室が、どうしたって?

[大人たちが騒がしい。
 どうやら、第二理科室に、多くの避難民が立て籠もって、何か始めたらしい。

 察しはついた。]

(12) 2020/10/26(Mon) 19時頃

【人】 卐黒帝會卐 ハルミチ

 ……まぁ、そうだよな。
 食い殺されて苦しんで、下手したらゾンビになっちまうくれぇなら……って。

[ぽつりと漏らす。
 自分は、その選択をすることはできなかったが、否定する気にはなれなかった。]

 なぁフウタ、どうするよ、このあと。
 だよなー、このままやられっぱなしってのは癪だよな!

(13) 2020/10/26(Mon) 19時半頃


[ 扉を開けたわたしを、
 あの子はじいっと見つめていた。
 何も言わずに、ただわたしだけを。]
 



  ……ジャーディン、

[ 犬たちと寄り添いあうようにして、
 ジャーディンは足を投げ出していたわ。

 切れ長の目はこちらを向いていたけど、
 そこにあまり力はなかった。
 どこか気だるげにも見えたのね。

 緩慢な動作で傍らの犬の毛を梳きながら、
 それでもあの子はゆっくりと口を開いたわ。
 平坦でいて咎めるような声色が、
 はっきりわたしに向けられているのが分かった。]
 



  ……殺すの?
 



[ ああ、ジャーディン。
 あなたはこのまま死ぬほうがマシだというの?]
 



  ジャーディン、わたしは……、

[ わたしは……何と言いたかったのかしらね。
 あの子に何を伝えたかったのかしら。

 あなたに生きていてほしいってこと?
 それを伝えることに意味があるかはさておき、
 確かにそれはわたしの最大の望みだった。
 あの子が望むと望まざるとにかかわらず。

 けれどね、
 わたしがそれを口にすることは叶わなかった。

 しびれを切らしたお隣のご夫婦が、
 様子をうかがうように部屋の中に入ってきた。]
 



[ この間のように、
 わたしが犬を連れだす算段だったのね。

 けれどわたしはちっとも出てこないし、
 あの子が部屋に居ついていることは、
 当然彼らも知るところであったから、
 自分たちで直接説得しようと思ったのかも。

 とにかく、彼らは部屋に入ってきて、
 それでもあの子はわたしを見つめていた。

 視線ひとつとして揺らすことなく、
 ただ、わたしの答えを待つようにして。]
 



[ そのときだったわ。*]
 



[約15日。
 二週間と一日。
 土日がたったの二回きり。

 世界がこうなるのにかかった時間。]
 



[終わりなんてあっけないもんだ。]
 


[あれから俺は何度か元帥と外に出向いて
 無い食料を探してはゾンビを殺し続けた。

 ちょっと昔のホラーゲームに
 主人公が永遠にゾンビを殺すエンドがあったけど
 ちょうどそんな風に、どこからともなく沸き続ける連中を
 殴って殴って殴り続けた。

 都内ってこんなに人住んでたっけ。
 こじんまりしたかつての首都の中に
 滅亡とゾンビがみっしり詰まってる。]


[元帥は相変わらず
 何事にも関心がなさそうな冷たい目をしてたけど
 たまにゾンビを殺す俺を複雑そうに見るようになった。

 聞いてみたら、元帥もまた、
 ゾンビになった恋人を殺したんだそうな。

 俺にシンパシーでも感じてんの、と笑ってやったら
 そんなわけねえだろ、とそっぽを向いていた。
 へんなやつ。]


[ショッピングモールの中で
 元気に遊んでた子供たちが倒れだす。

 大人も動くことが減った。
 「このままじゃもう保たない」と叫んで
 バリケードの外に出ていこうとした男が
 ゾンビの襲撃を恐れた人間たちに撲殺された。

 限界がすぐそこに来ていた。
 崩れるのはあっという間だ。

 俺の楽しい大学生活が
 ゾンビに侵された時のように。]



[――だからその日は、ほんとにあっけなくやってきた*]
 



[ それは終わりを告げるサイレンのようだった。]
 



[ 犬たちがけたたましく吠え出したの。
 はじめは一匹。呼応するように次々と。

 普段はそんなことなかったのよ。
 そりゃ来客も少ない家だったから、
 彼らを刺激するものも少なかったけど。

 それにしたって、
 思わずその場にいる誰も硬直するくらい、
 尋常じゃない勢いだったの。

 わたしたちは揃って数秒間、
 あっけにとられたように固まっていたわ。
 ジャーディンでさえ心底驚いた様子だった。]
 



[ その間も彼らは吠え続けた。
 じきにガウガウと吠えたてる声に、
 あおおおおんと遠吠えまで混ざりだした。

 そのころになってようやく、
 ご主人が慌てた様子で窓に駆け寄った。
 ジャーディンも同じように窓を振り返った。
 わたしと奥さんもあとに続いたわ。
 犬たちはまだ叫び続けている。

 どん、どん。
 鈍い音がどこからか聞こえてきたの。
 音は次第に大きくなる。どん、どん。どん。

 わたしたちの見下ろす窓の向こうには、
 門扉に群がる無数の影があったわ。
 犇めき合い、波立つように押し、押され、
 まるでひとつの大きな塊のようにも見えた。]
 



[ どん、どん、と何かのぶつかる音がする。
 音? いいえ、地響きのように、
 わたしたちの体の奥へと響くようだった。
 鳴りやむ気配などまるでなかった。

 やめさせてくれ!≠ニご主人は叫んだ。
 叫んだはずよ。わたしにはそう見えた。
 けれどその声さえも飲み込むように、
 周囲には犬たちの鳴き声がこだましていた。]

  ──裏戸が。

[ つぶやいたのはわたしだった。
 門扉が破られることは早々ないとしても、
 裏は鍵をかけているだけの木戸なの。

 きっと聞き取れなかったんでしょう。
 ご主人が怪訝そうにこちらを見たわ。]
 



[ ああ、どうしましょう。
 そう思ったときにはわたし、動き出していた。
 たったひとり、ジャーディンの腕だけを取って。]
 



[ あっけにとられているあの子の手を引いて、
 犬の声のこだまする廊下を進んだわ。

 一生懸命走っているつもりだったけど、
 ジャーディンは速足ですいすいとついてきた。

 階段を降り切ったあたりで、
 弟さんのお嫁さんが血相を変えて駆けてきた。

 上階から響く犬の声と、
 家を取り囲むような鈍い音、
 それから誰かの悲鳴と銃声。
 ありとあらゆる音が重なって、
 彼女の声はとぎれとぎれに聞こえたわ。]
 



 ね  ンビ い の かに る の 
 



[ きっとわたし、立ち止まるべきだった。
 立ち止まって彼女の声を聴くべきだったわ。

 でもね、わたしはそうはしなかった。
 立ち止まろうとするあの子の腕をぐいと引いた。
 足早に廊下を進んで、ひとつの扉を開けたわ。
 そして、中にあるデスクの引き出しから、
 迷いなくあるものを取り出したの。]
 



  ──行って、ジャーディン。
  ここはもうだめ、持ちこたえられない。
 



[ さっきまで引いていた手の中に、
 わたしが強引に握らせた小さなものを、
 ジャーディンは一瞬不思議そうに見た。
 そして次の瞬間、勢いよく顔をあげたわ。

 泣きそうな顔をしていた。
 何かに怯えているようにも見えたわ。
 本当に利口な子。その意味をきっと分かってる。

 それは車の鍵よ。おじいさんの車の。
 古臭くてぴかぴかの車を動かすための鍵。]
 



[ そして、それがわたしの答えよ。]
 



[ ジャーディン、あなたを生かすためなら、
 ほかの何を犠牲にしたって構わないわ。]
 



[ わたしはジャーディンを急かすように、
 入ってきたばかりの扉をまたくぐった。]

  早く逃げて。とにかく一度車の中へ。
  身を隠せるわ。音のほうに来るはずだから。

[ そう告げながら、廊下へ出たのね。
 ガレージのほうへと導くつもりだった。

 そのとき、おかしな音がしたわ。
 音っていうのかしら、声? 低い声よ。
 そう、家を取り囲むあいつらが出すような。

 そして、ふとおかしなことに気付いたの。
 どうしてさっき、銃声がしたの?
 木戸が壊されて窓やドアを破られて、
 家の中まで入ってこられるには早すぎる。]
 



[ わたし、声のするほうを振り返ったの。*]
 


【人】 墓守 ヨーランダ

[調達したのは軽トラ。

それにサブマシンガンやらアサルトライフルやらを載せて。
いざとなったら使うように手榴弾も裏ルートから入手していた。

世界の果てを目指して往った連中のように。
自分らもこの軽トラに乗って何処かを目指すのも悪くはない。

そう、思いながら。]

(14) 2020/10/26(Mon) 21時頃

【人】 墓守 ヨーランダ

[

何処かって。何処だろうな。

]

(15) 2020/10/26(Mon) 21時頃

【人】 墓守 ヨーランダ

[咥え煙草のままアクセルを踏み込んで。

邪魔なゾンビは打ち抜くか。
或いは轢殺してしまいながら。

それでも、数はあまりにも多く。
軽く嘆息すると。

手榴弾のピンを抜いて投げつけてから。
逆方向に車を向けるとアクセルを踏み込んでいた。

背後から爆発音が聞こえてくる。

ああ、これが。
ハリウッド映画だったら良かったのに*]

(16) 2020/10/26(Mon) 21時頃

【人】 卐黒帝會卐 ハルミチ

[一部の者は、理科室や家庭科室で、苦痛の少ない死を選び。
 一部の者は、教室に留まり身を寄せ合って、震え。
 また一部の者は、自棄を起こして騒ぎ散らしていた。


 そして少年たちは]

 おっし、獲物にできそうなのはこんなトコか!
 わりとイイ感じで集まったよな。


[少年たちは、技工室で、ゾンビに対抗できる武器になりそうなものを集め、作っていた。]

(17) 2020/10/26(Mon) 22時頃

― 隔絶された広い世界で ―

[割れた窓から入った風が頬を擽った。
 その心地よさに、乾いた目を細めた。]

  ……。

[元より賑わいと無縁だった店内には、沈黙だけが満ちる。
 コートのポケットに手を入れた。
 ドアの側に落ちていたスマートフォンは縁が欠け、
 表面にも亀裂が走っている。
 指で画面をなぞってみても反応は何もない。]


[スコップ片手に裏口を出た。
 どんよりと曇った空の下、所々荒れた畑が広がる。
 収穫を待つばかりのそれらを靴底で踏み潰して、
 既に道のように平らになった区画へ出る。]

[轍の傍ら、土の山の前に膝をついた。
 取り出したスマートフォンをその上に置く。
 薄汚れた手を胸の前で組み、首を垂れて目を閉じた。]

[周囲には、他にも似たような土の山がある。]

[大柄な男が、土を掘っていた。]


【人】 百姓 ワット

[町はといえば、
 町長から毎朝安否確認の電話が
 かかってくるから、その時間だけは家にいた。
 連絡が取れなくなった家があれば、
 その時に一緒に教えてくれる手はずだが、
 今のところ他に感染者はでていないらしい。

 日にちがたってくると、
 〇〇の家に野菜をわけてやってくれないか、
 なんて頼みごとをされることもあったから、
 それも快く引き受けた。

 代わりに、卵をもらったりすることもあった。
 数種類の野菜ならある。
 だが、もう野菜しかない、という状態に
 なりつつあったこっちとしても、
 願ったりかなったりだ。
 そうして、配達にいって、]

(18) 2020/10/26(Mon) 22時頃

[店の裏にある小さな家へと入った。
 動線を大きく取った室内には、元々物は多くなかった。
 ハウスキーパーのドロシーが来たばかりだったのだろう。
 床にも机にも書物が出しっぱなしだった形跡はない。
 その中で唯一物が積まれているベッドへと向かった。

 一人目の上着を取り、
 二人目のマフラーを巻いた。
 三人目のリュックには、
 四人目の水筒と六人目の懐中電灯を入れた。
 五人目は何も持っていなかった。

 出て行く前に、使い込まれた様子の机の前に立った。
 椅子はない。写真立ても、レターケースもなかった。
 掌で木の質感を確かめると、手の形に埃が退き、
 代わりに泥まじりの土と濁った色が線を引いた。]

  あいしていたよ。

[返事をする者は、どこを探しても見つからない。]


【人】 百姓 ワット


 ん? なんだありゃ。

[普段、車で走っている時には、
 あぜ道には人っ子一人いない。
 たまに誰かがいても、トラックやバイク等、
 何かの乗り物に乗っていることが多かったのだが、
 その日は遠めに雷門さんが歩いているのが見えた。]

 おいおい、1人で出歩いてて大丈夫なのか?

[せめて自宅まで乗せていってやった方が
 いいかもしれない。
 窓を開けて、おーい! と呼びかけようとして
 すんでのところでやめた。
 慌てて窓を閉め、車を停止させる。]

(19) 2020/10/26(Mon) 22時頃

[トラックの運転席へ足をかけた。
 取り替えたタイヤが凹んだ土をしゅわり、轢いていく。
 ラジオのボタンを押すも、ノイズすら聞こえなかった。]

  ――♪

[だから歌を歌おう。
 何もないこの場所で、歌詞も知らない誰かの歌を。

 トラックは、先の見えない道を進んでいく。]**


【人】 百姓 ワット

[雷門のじーさんは、
 杖がなきゃ歩けなかったはずだ。

 今朝は何の連絡もなかったのに。

 俺の目が間違ってなけりゃ、
 じーさんは何も持たぬ両の手を
 前の方へだらりとたらし、
 ふらふら歩いてる様子がみてとれる。
 こっちにはまだ気づいていない。

 ――畑のある方へ向かっている。]

(20) 2020/10/26(Mon) 22時頃

【人】 百姓 ワット



 ……歩けるように、なったのか?

[もしかしたら万が一、いや、
 億が一ぐらいの可能性で
 そういうこともあるかもしれない。
 それならいい。
 それならいいんだが。

 確か、体液に触れるとだめ、だったか。
 考えが及んでいなかったが、
 例えば、野菜に付着した体液の経口摂取でも
 あるいは、感染してしまうのかもしれない。]

(21) 2020/10/26(Mon) 22時頃

【人】 百姓 ワット




[ゾンビを殺したら ひとごろし?]


 

(22) 2020/10/26(Mon) 22時頃

【人】 百姓 ワット

[いつだったか、随分前に
 そんな投稿がされていたことを思い出した。]

 くそっ、

[ハンドルに拳を叩きつける。
 ふーっと息を深く吐き出してから、
 首に巻いていたタオルを外し、
 頭の後ろでしばるようにして、目から下を覆った。
 軍手をして、助手席においていた鎌を手に握りしめる。]

(23) 2020/10/26(Mon) 22時頃

【人】 百姓 ワット


『目が悪い』『音に反応して攻撃してくる』
『頭部殴打で死ぬ』『足は速い』

[SNSに投稿されていた情報を一つずつ思い出しながら、
 車のドアを開いた。

 それほど大きな音を立てたつもりもなかったが、
 バンとドアを閉める鈍い音が向こうまで届いたのか、
 じーさんはびくりと肩を震わせ、一瞬動きを止めた。

 ぬるぬると、滑りそうになる鎌の柄を両手で握りなおす。
 目が合った、瞬間。
 こっちに向かって走り出してきた。**]

(24) 2020/10/26(Mon) 22時頃


[ そこには何かが立っていた。]
 



[ はじめに目に入ったのは、
 ぼとりと無造作に取り落とされた、
 赤と肌色の入り混じった物体だった。

 よく見たらその先端は五つに枝分かれして、
 つまり人の手と同じ形をしていた。
 ほんの今まで齧りつかれて
 ところどころ白い骨が見えていた。

 ひいっとジャーディンが小さく叫んだわ。
 すると、ゆらゆらと揺れていた細い影が、
 首を無理やりに傾けるようにこちらを見た。
 そして、わたしたちを見つけた。

 ず、ずずと足を引きずって、
 それはゆっくりとこちらに近づいてくる。
 穴の開いた顔をこちらに向け、細い腕を伸ばして。]
 



[ ああ、ノーリーン。]
 



[ ……まるで誰かを探しているようだった。]
 



[ 足がすくんでいる様子のジャーディンを、
 わたしはぐいと逆方向へと押したわ。
 ノーリーンがやってくるのとは逆へ。

 奇しくもそれはリビングのほうだった。
 キッチンの勝手口を抜けてガレージに行ける。]

  いいわね、隙を見て車を出しなさい。
  そして逃げるの。どこか遠くまで。

[ わたしがこれだけ言うのに、
 ジャーディンはいやいやと首を横に振った。
 わたしの腕を引くの。強い力で。
 その間にもノーリーンは距離を詰めたわ。]
 



  ──行きなさい、ジャーディン!
 



[ わたしは強い口調でそう言った。
 ノーリーンははっきりとこちらを見ていた。

 いっしょに行こう≠チて、
 この期に及んであの子が駄々をこねるの。
 でももう無理よ。見つかってしまったもの。

 この廊下の先に続いているのはリビングで、
 そこにはチビちゃんたちがいるはずなのよ。
 そんなの、だめに決まってるじゃない。

 ジャーディンときたら、
 本当に一度言い出すと聞かなくてね、
 きっとこれは娘に似たのね。だって……、
 あら、この話って前にもしたかしら。]
 



[ つまり、仕方がなかったの。]
 



[ わたしはノーリーンの眼前に、
 自らの左腕を勢いよく突き出した。
 ああ、少しかっこつけちゃったわ。
 みっともなく腕は震えていたんだもの。

 ノーリーンがそれに、
 素早く崩れかけた顔を寄せるのと、
 ジャーディンが何かを叫びながら、
 千切れそうな勢いでわたしの腕を引くのと。

 たぶん、ほとんど同時だったわ。
 わたしの体はふたりで半分こできないし、
 つまり、わたしは彼女に噛まれた。]
 



[ いのちにも優劣はね、あるのよ。]
 


【人】 卐黒帝會卐 ハルミチ

「おーーーい、ペンキ持ってきたぞ!」

 よっしゃレン、ナイス!
 んじゃ頼む!

[白いペンキを持ってきたダチ、レンの前に、皆、学ランを広げた。
 レンはその背に、大きく一文字、漢字を書いた。]


     『斃』


[無駄死にになるかもしれない。
 むしろその可能性のほうが高い。
 それならば、せめて一矢でも報いたい。]

(25) 2020/10/26(Mon) 22時半頃


[ こんな皺くちゃでまずそうなお肉で、
 なんだかちょっと悪いわねえ、ノーリーン。

 もちろんその瞬間のわたしに、
 そんな余裕なんてこれっぽっちもなくて、
 わたしは喉が張り裂けんばかりに叫んだ。

 お隣のご主人、
 よくクーパーに噛まれて堪えたわよね。

 わたしなんてもう半狂乱になっちゃって、
 ジャーディンが一瞬怯んで力を弱めたくらいよ。

 ひいひいとわたしはあえいでいたわ。
 痛くて痛くて泣いちゃいそうなくらい。
 でもね、わたしの顔を覗き込むあの子が、
 あまりに痛々しい顔をしているから、
 ほら、Nanaとしては泣いてられないでしょ。]
 



[ ノーリーンはまだわたしに夢中だった。
 わたしという肉に。今がチャンスだった。

 一向に動く気配のないジャーディンに、
 わたしは声を詰まらせながらも言ったわ。]

  ……行くのよ、ジャーディン。
  どこか、どこか遠くまで……、
  そうね……、西がいいわ。
  ずうっと西へ……どこまでも……
  それが、わたしの最後のお願いよ……

[ いつもお願いを聞いてくれたじゃない。
 とうとう涙をこぼしだしたジャーディンに、
 わたしは何と言ってやればいいのかしらね。

 ねえ、これがわたしの最後の役目だとしたら、
 わたし、本当に光栄よ。信じてくれるかしら。]
 



[ けどね、わたしも人間だから、
 最後に少し欲が出ちゃったのね。

 お別れを惜しんでいる暇はないというのに、
 最後にどうしてもこの手であの子に触れたかった。

 痛みで全身がひきつけでも起こしてるみたいに、
 無事の右手を伸ばすのも一苦労だった。

 今日はちゃんと撫でさせてくれるのね。
 少し固い髪も、丸みの減った滑らかな頬も、
 全部全部、わたしの宝物だったわ。

 わたしがいなくなっても、わたしの宝物を、
 この広い世界を漂う見知らぬ誰かが、
 守ってくれますように。愛してくれますように。]
 



  ……あなたはとても素敵な子だもの。
  きっと助けになってくれる人がいるわ。
 



  愛してるわ、ジャーディン。
  あなたのことが大好きよ。
  ……だからどうか、生きて。
 



  あなたが生きていることが、
  わたしにとっての幸せなの。
 



[ ……ようやく決心がついたように、
 ジャーディンはゆらりと立ち上がったわ。

 あんまり痛いやら悲しいやらで、
 もうこれ以上目を開けてたら、
 とめどなく涙が出てきそうだったの。

 だからわたしは目を閉じたのね。
 わたしが泣いたらやさしいあの子は、
 心配して戻ってきちゃいそうでしょう。]
 



[ 足音が遠ざかっていくのを、
 暗闇の中で懸命に聞いていたわ。

 少し離れたところで、
 あの子がウィレムとゾーイを呼んだわ。
 ずいぶん焦った声で何か言ってる。
 ああ、オッドもいたのね。よかった。
 ぱたぱたといくつかの足音が遠のいてく。

 ねえ、ノーリーン。
 安心してね、あの子やさしいの。
 一人っ子なのに面倒見がよくってね。]
 



[ ……ああ、ジャーディン。
 もうやさしくなんてなくたっていい。
 お利口になんてしなくていいのよ。
 だからお願い、生きて。どうか生き抜いて。]
 



[ ……でもね、わたし本当は、
 やさしくて利口なあなたが好きよ。]
 



[ けたたましい音が響いたわ。
 何かしらねえ。もうよくわからないの。

 人の声もするわ。
 お隣のご主人かしら。それとも息子さん?

 あんまり騒がしいから、
 ノーリーンがわたしを食べるのをやめて、
 そちらへ向かうことにしたみたい。

 ああ、床に転がっていると、
 木戸を打つ音がよく体に響くの。
 もうきっとだめねえ。
 じきにここもまた騒がしくなるわ。]
 



[ べろりと何かが頬を舐めた。
 やあねえ、くすぐったいわ。
 そこにいるのは誰かしら。

 犬たちの吠える声は、
 今はてんでばらばらに聞こえるわ。

 ごめんなさいね、こんな飼い主で。
 あなたたちのことを守ってやれなくて。
 わたしの一番にしてあげられなくって。

 もう、逃げてもいいのよ。
 こんなこと言って、
 わたしは本当にひどい人間ね。]
 



[ 雑多に音が響く世界で、
 わたしは静かに耳を澄ませて、
 そのときを待って呼吸をしていた。]
 



[ そして、そのときはやってきた。]
 


【人】 卐黒帝會卐 ハルミチ

[全員分揃ったところで、皆で学ランを羽織り、気に入った武器を持った。
 そして、最期の記念撮影。]


 なぁ、オレら最高にかっこよくね?

「ゆーて、どう見てもみんな平隊士だけどなーー!」
「それを言ってくれんなよぉ」


[笑いながら。
 オートでシャッターが切られる音を、聞いた。]

(26) 2020/10/26(Mon) 22時半頃


[ ……ああ、よかった。
 かすかに、エンジン の、音が──、**]
 


【人】 墓守 ヨーランダ

ホリー!
無事か!

[ゾンビを蹴散らして。
囲まれていた彼女を助け出したものの。

それはさらなる悲劇の幕開けだった。]

(27) 2020/10/26(Mon) 22時半頃

【人】 墓守 ヨーランダ

[無事ならばよかった。
そう伝えようとした刹那。

彼女が動き出すと。
差し出した手に鈍痛が走る。

それは――]

(28) 2020/10/26(Mon) 22時半頃

【人】 卐黒帝會卐 ハルミチ

 ─────ッしゃ行くぜェーーーーーッ!!!

 最低でも5体、いや10体はブッ潰せ!!


[一斉に、駆けて出る。
 静止の声が聞こえたような気もするが、もはや止まるつもりなどない。
 自分たち以外にも、最期の抵抗に出ている人々の姿があった。

 今、ここにいる奴らは、幸運だ。
 最期をどう迎えるか、自分たちで決められるのだから**]

(29) 2020/10/26(Mon) 22時半頃

[遠くで何かが崩れる音がした。

 ショッピングモールの元噴水広場で
 子供たちとサッカーをしていた俺は
 びくりと背を震わせて騒音の方を見る。
 
 何してんの、とか、
 もう耐えられない、とか、
 
 そんな声が聞こえた気がして、
 すっかり得物になってしまった金属バットを構えた。]


[ 最後に見渡した電子の世界は、
 それでも綺麗事に満ちていた。
 もう一度私は、私の中の毒を投稿しようとして。]

あれ───

[ 投稿画面ボタンを押したまま画面が止まる。
 ローディング中のまま、何秒経っただろう。

 「投稿に失敗しました」

 無機質なメッセージが画面に表示されて気づいた。
 携帯が圏外になっていた。]

ああ───もう。

[ 私の怒りは届かない。
 恐らく近くの基地局がやられたのか、
 そもそもインフラが死んだのか。
 いずれにせよもう私の怒りは世界に届かない。]


―― とある非人間の日常 ――


[ヴゥン、ヴヴゥン。

 鄙びた雑居ビルの一室で、
 空調が低い唸り声を上げている。

 ――いいや、違った。

 ボロボロのスーツ姿の男が喉を鳴らして
 奇妙な呻き声を漏らしているのだ。

 壁の配管に手錠で繋がれた男は
 ギョロ、ギョロと作り物の人形のように
 充血した眼球を時折動かしている]
 


[ひとだったものを殺すことにすっかり慣れてしまった。
 それでも、虫の知らせというか
 嫌な予感には背筋が震えた。
 
 駆け込んできたダンス部のJK――菜々緒が叫ぶ。]

 「榎本さんが外に出て……
  だめ、バリケード、崩されちゃった。
  ゾンビたちが来るよ!」

  ――、
  ……ああ。とうとうかぁ……

[悲痛な叫び声だった。
 子供たちは悲鳴をあげて各々、
 母親や父親と思いつく限りの隠れ場所へと向かう。

 元帥、と、俺は噴水の傍で
 うたたねしていたそいつを揺さぶって
 寝ぼけ眼に悪い知らせを叩きつけてやった。]




  ま、ま……まるとく じょうほ……
  れれれれれれいばんの
  さんぐぐぐらす
 
  げ、げ……ていにじゅううよ、よじかん
  とっ……………か、ににににせんよんひゃ……
  えん おとく で

  くくくくくくりっく


[けたけた。けたけた。

 かつて人間だったものは愉快に繰り返す。
 人間の声音とはかけ離れたそれは、
 まるで壊れたレコードのようだった]
 



[偽物のサングラスの入った
 段ボールに囲まれて
 男は仮初の命を享受する。

 時折、血に飢えたかのように
 自らの腕を齧る。
 白い骨が、めくれた皮膚の合間から
 見え隠れしていた]
 



[痛みもない。苦しみもない。
 ただただ、楽しくて。

 仲間を増やさなきゃ。
 なんだかおなかが空いたし。

 この手錠、邪魔だな。外れない。
 腕を捥いじゃおうかな。
 今はやめとこう。

 ああ、おもしろい。しあわせ]
 



 「食料が尽きるかバリケードが崩れるか
  どっちが先に来るかって話だったな」

  ねーえ、元帥。その通りだけどさ、
  おまえさん達観しすぎでない?
  
 「政府からの物資も届かなくなったし
  おまえだってわかってたんだろ? ジリ貧だってよ
  ……さて」

[元帥はあたりを一瞥する。

 逃げ惑う子供たち。

 ひとまず歳の小さいものの命を
 優先しようとする女たち。

 我関せずとありったけの食糧を持っていこうとする
 だらしのない男たち。]




  ……あは


[心底幸せそうに、それは笑った]**
 



 「今俺達の目の前には選択肢が二つあるわけだ。
  逃げるか、戦って死ぬか」
 


[どうする? と元帥が死んだ目を向けてくる。
 すっかり血の滲んだバットを肩にかけて
 俺は力なくにっと笑って、
 栄養不足気味の痩せた体で胸を張って
 格好をつけてみせた。]

  サイコーにカッコいい三択目。
  戦って生き残る、に決まってんでしょ。

[男子よ、最期まで英雄たれ。

 そう格好つけて言い放った直後。

 ショッピングモールの入り口付近のバリケードが
 大きな音を立てて崩落するのが聞こえた。]*


[ 頭をぐしゃぐしゃとかきむしり、
 血に濡れた布団をベッドから蹴り飛ばす。

 ──アーサーがそうしていたように、
 私はベッドの上に横たわり、そのまま丸まった。

 "あいつら"が来たらどうしよう。
 ちらりとよぎった思考は、すぐに溶けていった。]


メモを貼った。


[ そのまま何度か、目覚めては非常食を食べて。
 食べたらまた寝て。
 マンションの貯水槽はまだ無事らしく、
 トイレは普通に使えた。
 水の色は濁った赤錆色で、とてもじゃないけど
 飲む気は起きなかったけれども。]


[ 眠っているときに夢を見た。]


メモを貼った。


百姓 ワットは、メモを貼った。

2020/10/26(Mon) 22時半頃


「あんたは可愛げのない子ね」

[ 夢の中で顔の見えない女性が言う。]

「譲ってあげなさい。あんたはいらないでしょ」
「こんなものいらないでしょ。捨てといたわよ」
「いつまで泣いてるの、面倒な子ね」

[ その女性も悪い人ではない。
 ただ───私がうまくやれなかっただけ。

 単に、合わないだけ。

 だから。

 いつの間にか女性の足元には、
 私が我慢した物がうずたかく積もっていく。
 その山が高くなるほど、女性と私の距離は広がる。]


[「わたし」はもう戻ってこなくなっちゃった。

身も心もゾンビになってしまったら
もう思考も、言葉も、
わたしが人間である証は
なんにもなくなってしまって。

血だまりのなか転がってた母は
しばらく経つと立ち上がって
ふらふらと外へ歩いてった。

そういえば
母の肉を口にした瞬間だけ。

身体中の痛みと、心の空虚が
癒える気がした。

だから母も、きっと、探しに行ったのだ。]


メモを貼った。


メモを貼った。


[―――運転を始めた最初は酷いものだった。
運転技術なんてないに等しいってのに、
ゾンビがそこらじゅうを徘徊し、
窓ガラスは割れ、ごうごうと煙をあげるビルの横を
見ないフリをして、走らなきゃいけなかった。

郊外とはいえ、ここは東京のはしくれだ。
>>2:*4東京はこの感染騒ぎの筆頭だっていうのに
自分の住んでいるところはまだ大丈夫だろうと
きっと、生き残りが集まっている場所があると、
そんな風に思っていた。

数日分の食糧の用意だけはしておいて、
この期に及んで、僕は、
すぐに頼れる人が見つかると期待していたんだ。]


[町中に無事な人は、居ないに等しかった。]


[もしかしたら、かつての僕のように、
建物内に籠っている人はいたかもしれないが。
そんな人を探す余裕がないぐらい、
町はゾンビで溢れかえってしまっていた。

東京の郊外は、都心で働く人の住む家が多い。
それを考えると……今、この地区の有様は、
当たり前の結果のように思えた。]


「いらないでしょ、全部」

[ 女性の手元には小さな猫がいる。

 取り戻そうとする私の手足が粘った物に掴まれる。
 それは腐った肉。
 それは、"それ"だ。

 いやだ。返して。私は叫んで、
 思い切り"それ"にモップの柄を振り下ろし。

 その瞬間、私は目を開いた。]


[馴染みのスーパーを通り過ぎるとき、
まだ"人間"である人がゾンビに喰われながら
僕の方へ手を伸ばしたのが見えたけど。

そうなってしまったら……もう、助からない。
僕は、それを身をもって知っている。]

 ……ごめんなさい。

[喰われていく人々から遠ざかるために、
アクセルを強く捻り、バイクが加速する。

出来る限り生き延びてやる。
そう、決めた決意は今も揺らがない。
でも……町の惨状は想像以上に残酷で。
何もできない無力感か。辛いのか、苦しいのか。
自分でも訳の分からないまま涙を流しながら――

車同士がぶつかり横転した横をすり抜け
ひたすら、道路を走っていって。]*


[それから、何日が経ったっけ。]


[―――風を切りながら、少し上を見上げれば
夜空の星々が眩しいぐらいに輝いている。
道を照らす証明灯はたまについていたけれど
消えている区間の方が多いような。

僕は、そんなどこまでも続くような高速を、
ひたすら真っすぐ、走っていた。]


[ 目覚めた私はスマホの日付を確認する。
 電波が途絶え、ただの時計になったスマホは
 あれから5日ほど経ったことを示していた。

 怒りはまだ、消えていない。
 くそったれ、私は絶対"お前ら"にならない。

 絶対に。 **]


卐黒帝會卐 ハルミチは、メモを貼った。

2020/10/26(Mon) 23時頃


メモを貼った。


[世界各地で起きている、混乱と絶望。

ゾンビ増え続ける。
そらに死傷者も増え続ける。]


メモを貼った。


[ 「取る時のコツは、そっと、さっと、よ。」 ]


[果たして、どれだけの人々が悲しみと苦悩に囚われてしまったのだろう。

また、この少女も。
もう少女としては、存在していない、それ。

それは、空腹を満たすためだけの、存在。]


[ 「やだっ!こわいよぉ!つっつかれる!」 ]


[たくさんの生の形を成してきて、今は死の形と言うべきか。

少女の魂は、何処。

死んでしまった人々の魂は、一体何処へ。]


[ 「きちんと扱えば、火は大きくもできるし、小さくもできる。」 ]


[再び、生を得られるのだろうか。それは、]


[ 「ほわ〜。あったかーい。キレーだねぇ。」 ]


[誰にも分からない。]


[何処からか。

在りし日の声が、風に乗って聞こえてきたかもしれない**]


メモを貼った。


【人】 百姓 ワット

[健司が小さい頃には、
 よく一緒にキャッチボールをしていた。
 子ども会のソフトボールをやりだしたころには、
 教えてほしいと乞われて、
 素振りの練習に付き合ってたっけ。

 父さんな、野球なんて本当は、
 やったことなかったんだ。
 だからこっそり図書館で本を借りて、
 バッティングのフォームだとか、
 投げ方だとかを一生懸命勉強していたけど、
 お前は知ってたけど知らないふりして
 教わってくれてたらしいな。

 今になって、そんなことを思い出すのはどうしてだろう。]

(30) 2020/10/26(Mon) 23時半頃

【人】 百姓 ワット

[俺へと目掛け思いっきり走ってくるソイツに対して、
 体をひねり、バットを振るのと同じような要領で
 鎌を斜めに振りおろした。

 肉へと食いこむ嫌な感触が、
 柄を通して手のひらへと響く。
 ゾンビにも痛覚があるのだろうか、
 ぐぁぁ、と鈍い呻くような声をあげた。]

 くっ……ぬけねぇ!

[反動で雷門は後ろへとよろめいたが、
 鎌は頭頂部に深くつきささったままだ。]

(31) 2020/10/26(Mon) 23時半頃

【人】 百姓 ワット


 ……はは、は、
 鎌じゃつぶすのは無理だな。

[何も面白いことなどないというのに、
 恐怖からか、笑いのような声がもれた。

 慌ててもう一つ、持っていた武器
 ――本来は武器ではないが――
 スコップを手に持ち、再び雷門目掛けて振り下ろした。
 金属の先端が腹へと突き刺さる。
 引き抜けば、体液があたりにまき散らされた。
 今度はあっさり抜けたスコップをもう一度振りかぶり
 怯むことなく横から殴りつけ、体が傾いたところへ、
 勢いをつけて首元へスコップを突き刺した。

 ゴスッという鈍い音と共に、雷門は動かなくなった。**]

(32) 2020/10/26(Mon) 23時半頃

メモを貼った。


【人】 墓守 ヨーランダ

[車に乗り込んで。

助手席には頭を打ち抜かれて事切れたホリーを乗せて。
このまま、意識が無くなってしまえば。

自分は自分ではなくなり。
やがて人を襲うようになるのだろう。

で、あれば。
出来ることをするだけだった。]

ああ、そうだ。

(33) 2020/10/26(Mon) 23時半頃

――回想――

 「英雄になるための条件?
  はは、なんだよ、それー」

[昼下がりの教室の中。
 学ランを着崩した中学生一年生の進が、
 クリームパンをほおばりながらけらけらと笑っている。

 対する俺は大真面目だ。
 焼きそばパンをもぐつきながら
 大学ノート(黒歴史)に
 下手くそな字を書き綴っている。]



  いやさ。俺、気づいたんだよね
  このままマンゼンと日々を生きていただけじゃ
  ぜーーったいに英雄になんかなれやしないって。

  紛争地帯に行くとか
  あとは地球の危機的状況に
  ガイアの力に目覚めるとかしないと

 「ウル●ラマンの見過ぎだろ。古いぞ? 
  せめて仮●ライダーにしとけ?」

  とーもーかーくーもー、俺は大真面目なんだってぇ!

 「そんな風に気張らなくても、
  秋は十分かっこいいだろ。
  沙良が迷子になったらすぐ探しにいくしさ」
 


[あはは、と進は笑って、
 残ったクリームパンを口に放り込む。

 そうだな、と、俺より少し大人びた様子で首を傾げて
 俺がくっだらない書き物をしていたノート(元数学用)に
 さらさらりと、綺麗な字で何事かを書いた。]


  ん? なんだ?

  『弱い人は率先して助ける』
  『怖い時でも笑っていられる』
  『挫けても何度でも立ち上がる』

  ……なんか、地味くない?

 「ただの人間が突然へんな力に目覚めるわけないだろ。
  地道なところからコツコツとだよ」

[進は、くっだらねー考え事に付き合いながら
 俺を見て、に、と目を細めた。]


 
 「――――秋なら、できるよ。

  俺が保証する。」

*


――現在/ショッピングモール薬品売り場――

  まっすぐ走って非常口から一階に逃げろぉおお!

  「は、はい!」

[若い女の首に噛みつこうとしたゾンビの
 その顔面にバットを叩き込みながら、
 俺はめいいっぱい叫んでいた。

 人間しかいなかったはずのショッピングモールには
 いつのまにかわらわらと
 死神のようにゾンビがたむろしている。

 ……どいつもこいつも楽し気にニタニタ笑ってんのは
 生理現象なのかなんなのか、わかんねえな。
 ゾンビって楽しいのかな。]


[……この数日で、何度死んだと思っただろう。

ある時は、もうそろそろガス欠というところで
やっとゾンビの居ないガソリンスタンドを見つけ。
ギリギリ1台分残ってたガソリンを給油してたら
休憩室の中に潜んでいた奴が突然駆けてきた。

腕は半分鎖落ちていて、服もどろどろ。
酷い腐臭を纏いながら近寄ってくるそいつへ
近くにあったバケツをなげつけたのに、
全く怯みもせず向かってくるゾンビに悲鳴を上げて
僕は半べそで、バイクの後ろを掴まれたまま発進した。
(後ろのフレームは手の形に少し凹んだままだ)]


[人が居なくなって荒れ果てた大型家具屋に入り込み
あまり汚れていないベッドを見つけたから。
疲れたし小休止……と思って横になり。
少しのつもりが目覚めた時には既に朝。
ゾンビに襲われなかったのはよかったが、
自分の不用心さに肝を冷やした。

その後安心しきって店を出た時に
バイクの近くにゾンビが居た時は終わったと思った。

家具屋にあった目覚まし時計を鳴らして
遠くに投げたらそっちにいったからよかったけど。
慣らした瞬間に、ゾンビがこっちを向いて
白く濁った目と目が合ったときには
ほんともう駄目だと思った。
あいつらの目が悪いことを、それで初めて知った。]


[真っ直ぐ走ってきたゾンビの拳が
 思いっきり俺の肩口を打った。
 つっかえるような悲鳴をあげて壁に叩きつけられる。]

 「ああ゛あぁああ゛ぁぁあ゛あぁぁ゛ぁ゛!」

  ――うるっせぇ、近所迷惑で訴えんぞ!!

[痛みをこらえながらゾンビの頭蓋を叩き割る。
 とうとう愛用のバットが
 使い物にならないくらい折れ曲がった。

 それを好機ととらえたもう一匹が
 俺めがけて爪を振るおうとしてくる。

 ――直後、その頭が綺麗に天井まで飛んでいった。

 ネコ元帥が鉈でゾンビの頭を跳ね飛ばしていた。]


[雨が降った時や夜に冷え込んだ時なんかは、
防水素材の厚手の上着を着てて本当によかった。
それでも夜は寒かったけれど、
無いよりはマシ、というやつだ。]



 「クシャミ、そっちの避難状況どうだァ?!」

 ああ元帥。順調だよ。おかげさまでなあ……っと!

[元帥から投げ渡された得物に瞬いてから
 そんな状況でもないのにげらげらと笑い出した。

 ちょっと昔のホラーゲームで
 医者のキャラクターが武器にしてたものと同じものが
 俺の手の中にある。]


[―――そして、忘れもしない。
ある日の夜、無人の公園でのことだ。
人一人が入るのに丁度良さそうな土管を見つけた。
今日はここに入って夜を凌ごうと
そう思って覗きこんだ時。]

 ひ、ゃ……っ!!

[僕は驚いて、その場に尻もちをついてしまう。
"先客"が僕の方をじーーっと見ていて、
そのまま土管から這い出して、腕を伸ばしてくる。

僕はもう、駄目だと思った。
走馬灯のように今までのことが頭を駆け巡り。
(……兄貴。ごめん。)]

[ぎゅ、と目を瞑ったんだ。]


【人】 墓守 ヨーランダ

さあ。

逝くか……なあ、ホリー。
それと、世話になったな。
みんな。

[場所はどこにするか。
末広町のあたりが一番ゾンビの数が多いだろうと辺りをつけて。

ある程度引き付けるように銃撃をしたりしながら。
交差点へと向かい。]

(34) 2020/10/26(Mon) 23時半頃


  ねえ、ネイルハンマーなんだけど!
  白衣もってきて! 
  てか射程短すぎでしょ! 信じらんねえ
  これでゾンビと戦えって?!

 「それしかなかったんだよばーか!
  お前今すぐ全国のファンに謝るか
  ジャガー燃やされてこい」

  都内住みの大学生だぞ!
  車持ってるわけねーだろバーカバーカ!
 


[ぎゃあぎゃあ喚きながら
 襲い来るゾンビたちに得物を振り下ろす。

 気づけば、俺の体にも元帥の体にも
 ゾンビの歯型が赤々とついている。

 あんなに体液に気を付けてきたってのにな。
 あっけないもんだ。]



[それでも俺達は、ただ、笑っていた。**]


【人】 墓守 ヨーランダ

[ゾンビが集まってきたあたりで。
手に持っていた手榴弾のピンを引き抜いて。

そのまま、後部座席に積んである大量の手榴弾のあたりへと放り投げる。]

(35) 2020/10/26(Mon) 23時半頃

【人】 墓守 ヨーランダ

――――――――――――カッ―――――――――――――

(36) 2020/10/26(Mon) 23時半頃

【人】 墓守 ヨーランダ

[火柱が上がり。

その場にいたゾンビたちを巻き込んで炎上していく。
それが、四浦の最後だった**]

(37) 2020/10/26(Mon) 23時半頃

― 高速を北へ向かって ―

[風を切る音に交じって、聞こえるものがある。

高速の脇にある林から聞こえてくる呻き声は
もう泣くこともなく聞き流せるようになった。
たまに通り過ぎる車を見れば、
彼らの行く先に平和がありますようにと祈った。

……でも。それよりも。今耳を澄ませるべきは。]

 「えーちゃん、次止まるの、どこー?」

[背後から聞こえるのは、幼い少年の声。]
[僕の代わりにリュックを背負って。
僕の背中にしがみつき、必死に声を張り上げる。]


[残りのおにぎりはこの子にあげてしまった。
無人になって荒れ果てたコンビニから
持ち出してきた飲食物ももう残り少ない。

この子は、僕と同じように思えた。
逃げる間に両親とも兄弟ともはぐれて、
一人で公園の土管で震えていたそうだった。
食料やバイクの燃費のことを考えれば、
助けるべきではないのだろうけれど。]

 パーキングエリアがもうすぐだって!
 ゾンビ、居ないといいな!!
 
[僕は、後ろの声に負けないぐらい
普段あまり出さないような大声を返した。]


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