人狼議事


308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】

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視点:


【墓】 猫の集会 クシャミ

――数日後――

[俺が連れてこられたのは、
 都内にあるショッピングモールの一つだった。

 施設のありとあらゆる場所を探る。

 バリケードが崩されていないかを毎日見張る。

 思い出したように政府から救援物資が届けば
 女子供を優先して食料を渡す。

 後は――外を見回りして、
 可能な限りゾンビを潰す。
 
 日々のルーティーンはそんな感じ。]

(+0) 2020/10/25(Sun) 09時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[電気は基本的に死んでいたが
 復旧すれば皆スマホよりも他の家電を使った。
 
 もしも動画サイトに
 俺の動画が上がっているのを見たら、>>4:63
 なんだか嬉し恥ずかし、少しむずがゆい
 そんな気持ちになったんだろうが
 それを知る事もなく、俺は日々を過ごした。

 ようやく左腕の痛みを気にしないようになるには
 数日の時を必要とした。]

(+1) 2020/10/25(Sun) 09時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

 
[数人だけのコミュニティなら維持はしやすい。

 けれどもそれが数十人に膨れ上がると、
 とたんに、統制できなくなった人間を
 人間が暴力で支配しだすようになる。

 それは、どこの世界でも同じらしい。]
 

(+2) 2020/10/25(Sun) 09時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


 「申し訳ありません」

[うめき声をあげてスーツの男がうずくまっている。
 歳は30くらい。上等だったスーツも見る影もなく
 荒れた肌も乱れた髪も、
 この極限状態の在り様を雄弁に物語ってる。

 そんな男を取り囲んで叱責する人間が何人か。
 なんでも、バリケードを一人で壊して
 外に出ようとしていたらしい。

 普段俺達は外に出ることはなくて、
 出る時はすぐにバリケードをもとに戻せるよう、
 複数人で行動するものだ。
 壊したままのバリケードからはゾンビが入る。
 
 だから、目の前の男がやったことは重罪で、
 俺達にはそれを裁く権利がある。]

(+3) 2020/10/25(Sun) 09時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


[………………らしい。]
 

(+4) 2020/10/25(Sun) 09時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[誰も正しさを担保してくれない世界だから
 せめて「自分は正しい」と信じてなきゃ 
 みんな、やってられないんだろう。

 けども俺はその輪に加われないまま、
 魚の缶詰を開けながら
 傍にいた元帥に話しかけていた。]

(+5) 2020/10/25(Sun) 09時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


  あいつ、どうなっちまうんだろうな

 「さあ。
  よくてリンチ、悪くて外に放りだされるんじゃね」

  ……奥さんを探しに行きたかっただけなんだろ

 「にしたってここにはここのルールがある。
  仕方ねえよ。

  自分の妻を優先させるから
  ここの女子供を危険にさらしますってのは
  理屈として通らねえ。通らねえんだ。」
 

(+6) 2020/10/25(Sun) 09時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[なんだかまた元帥が暗い目をしている。
 二人でゲームしてた頃は冗談ばかり言う
 ちょっと面倒見がいいくらいの軽薄な奴だったのに
 この騒動が、元帥を変えてしまったらしい。

 なんでもいいけどやめろよその目。嫌いなんだよ。]

(+7) 2020/10/25(Sun) 09時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


  ………………
  …………
  缶詰、開いたわ。お食べよ。

[箸を缶詰の中にいれて、魚肉をほぐすと
 元帥の口にそのままつっこんだ。
 こいつ缶詰開けるの下手くそなんだよな。
 
 ゾンビ化する条件は体液に触れることだから
 ここでの食い物のシェアも禁止事項のひとつ。

 箸と缶詰を元帥に渡してやって
 もう一つの缶詰を開ける作業に没頭する。
 そうする間にも、「クシャミ」と、
 元帥から声がかかる。]

(+8) 2020/10/25(Sun) 09時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


「今度、外回りに行かないか。
 腕も治ってきたんだろ」

 ……あー。まあ。そうなるよな。

[男だし。若い衆だし。内にこもってはいられない。
 かつん、と缶詰が開く音がして、
 俺はうつむいたまま頷いた。

 本当は、もう、現実なんか見たくないけど]**

(+9) 2020/10/25(Sun) 09時頃

猫の集会 クシャミは、メモを貼った。

2020/10/25(Sun) 09時頃


【独】 猫の集会 クシャミ

/*
ワットさん動画拾ってくれてありがと〜〜〜
とても嬉しい

(-6) 2020/10/25(Sun) 09時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


[明日なんか誰にもわからないから
 せめて形に残すことにした。]
 

(+10) 2020/10/25(Sun) 10時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

 
「舞原菜々緒。17歳。××高校の二年。
 部活はダンス部で、
 今度大会に出る予定だったんだよね。
 今年は粒ぞろいの後輩たちも入ってきてて
 安心して後任せられるねって
 先輩に言ってもらったばっかりだったのに」

[せんぱい、と、少女は呟いて涙を零し始めた。
 それから、ダンス部の課題らしき歌を口ずさむ。
 哀悼のようだった。]

(+11) 2020/10/25(Sun) 10時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


「……榎本直茂。48歳。警官。
 家族は妻と子どもが2人。
 もういいだろ。見ての通り、
 私にはもうこの子しかいない。

 三人目はどうしようかって
 呑気に言ってた自分が恨めしいな」

[眠る子供を抱きしめながら男が力なく笑う。
 子供は時折、「おかあさん」と魘されている]
 

(+12) 2020/10/25(Sun) 10時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


「米田佳子。歳は言いたくない。
 職業も言いたくない。
 なに?インタビューなの?ヒマね。
 ここの連中の感想なんて総じて
 『なんで私たちがこんな目に』か
 『ゾンビが許せない』か
 『政府は何をしてるんだ』の三つじゃないの。

 あたし?
 んー。そろそろ新作試すのにも飽きたかな
 やっぱり、自己満足だけじゃ続かないわ」

[女の手元には化粧品売り場から持ってきたらしい
 いくつかの化粧品が置かれている]
 

(+13) 2020/10/25(Sun) 10時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


[ここにいる人の事をノートに書き記す。
 元帥と外回りに行く日まで、
 それで空白の時間を埋めた。
 
 この騒動が終わっても
 何か記録が残っていればいいなと思った。]
 

(+14) 2020/10/25(Sun) 10時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


「なに書いてんだよ」

 記録。元帥のことも書く?
 いやって言ってももう書いてあるけど

「何それ。俺の許可とれや」

[もそもそとノートに文字を書いていると
 元帥がひょいとのぞき込んできて
 興味があるのかないのかも分からない様子で
 口を挟んできた。]
 

(+15) 2020/10/25(Sun) 10時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


 「インタビュー集ねえ。騒動が終わったら売れるか」

  皆経験してることなら
  そう価値もねえかもだけどね
  終わるかどうかもわかんにゃーし

 「全滅エンドってやつ?」

  そーそー。
  数百年後、荒廃した地球に下り立った未来人は
  がれきの下から古びたノートを見つけ
  当時の様子をしのぶのでしたー!みたいな?

 「全滅してるなら未来人じゃなくて宇宙人だろ。
  設定ガバいな。
  てか数百年後ってノート残るのか?」

  細かいことは気にすんなマジで
 

(+16) 2020/10/25(Sun) 10時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[ふんふんと鼻歌を歌いながら猫を描いている。]

  元帥さあ。
  この騒動が終わったら、何したい?

 「はあ? ……咄嗟に思いつかねえよ。お前は」

  俺はーんー。
 

(+17) 2020/10/25(Sun) 10時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


[もういちど、進に会いたい。
 謝りたいんだ。色んな事。]
 

(+18) 2020/10/25(Sun) 10時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[そう言いかけて唇を閉ざした。

 こんな滅亡一歩手前の
 棺桶に片足突っ込んだような状況で
 唇に湿っぽい話を乗せるのはやめにしたい。]

(+19) 2020/10/25(Sun) 10時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


  あんねー、
  秋葉原に知り合いの店があんだけど
  そこに行って酒が飲みたいかにゃー。

  あとあと、
  でっけーピザとコカ・コーラを宅配で頼んで
  空調の効いた部屋で元帥呼んでさあ
  終末ものの映画みんの

 「最低か?」

  最低だよ

[くく、と笑って、俺は大窓から階下を見下ろす。
 人通りのない荒れた町の中を、
 時折ゾンビらしき影が過っていった。]

(+20) 2020/10/25(Sun) 10時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


[こんなに身近にある滅亡を、
 笑い飛ばせる日が来たなら、
 それ以上の幸せなんて、あるもんか。**]

(+21) 2020/10/25(Sun) 10時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


[外回りの日は簡単にやってきた。
 
 気乗りしないお出かけ前の子供みたいに、
 俺は緩慢なしぐさで持ち物を確認をする。

 食料をいれるためのリュック。
 あと、金属バット。

 万が一にもゾンビの体液に触れないように
 口元にはマスクをして、
 長袖のパーカーにズボンを着用。
 「準備できたか」という元帥と一緒に、
 バリケードから外に出ていく。]

(+51) 2020/10/25(Sun) 18時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


  ……へ、こうなるとゲームの中の世界みたい

[数日ぶりにみた外は、荒れ果てていた。

 爆発物飛び交う戦場じゃあるまいし
 建物こそしっかり残ってはいるものの
 そこに人影は見えず
 時折見えたかと思えばゾンビだったりする。]

(+52) 2020/10/25(Sun) 18時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


 「できるだけ日陰を歩けよ。
  空からカラスが襲ってくることがあるらしい」

  うへ。ゾンビカラス?

 「わかんねえけど、
  多分、人間の死体を食って
  人の肉には慣れてるんじゃねえのかな」

  うえーー…………

[やっぱ帰りましょうよ、って元帥に言いながら、
 俺達は死んだ都内の中を歩いていく。]

(+53) 2020/10/25(Sun) 18時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[コンビニ、スーパー、デパート、
 ドラッグストア。

 そういったところを重点的に回りながら、
 未回収の缶詰や、犬猫の餌
 ――水でふやかせばまだ食べられるそうだ、を
 リュックの中に詰めていった。

 病院なら院内食とかもあるかも、と
 そう提言したが、止められた。

 今や病院はゾンビの巣窟であるらしい。]

(+54) 2020/10/25(Sun) 18時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[店舗の見回りが終わった後は、
 鍵が開いたまんまの家を物色する。
 RPGの勇者が家の棚を漁っても怒られない状況。
 体感してみて思うけど、めっちゃ気味悪いな。]
 
  元帥ー、なんか面白い話して

  「あるわけねえだろ……

   ! 誰かいる」

[さすがに咎めに来たのか、
 足音が近づいてくるのが聞こえてバットを構えた。
 ……壊れた足を引きずってくるゾンビ一匹。

 俺は、逃げよう、って言って、
 元帥がその前にゾンビにバットを振り下ろした。]

(+55) 2020/10/25(Sun) 18時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[あっけなく殺されていくゾンビを目の前に
 俺は何もいえず、そいつの姿を見ていた。
 
 埃をかぶった机の上には夫婦の写真がある。
 卓上カレンダーのとある一日が赤く花丸で囲まれていて
 「結婚記念日!」と丸っこい字で書かれている。

 倒れた女ゾンビの薬指には、指輪が光ってる。

 台所の鍋の中には
 食べられないまま腐っていったカレーが満ちていて
 冷蔵庫を開ければ、小ぶりなケーキが二つ。

 きっと、この女の人は旦那を待ち続けてたんだろう。
 ゾンビになっても。

 先日リンチにされたサラリーマンを思い出した。]

(+56) 2020/10/25(Sun) 18時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


  …………ナイスファイトォ
  しかしやんなっちゃうわね。
  こう……生活感のあるエネミーってやつですかぁ?

  生前が偲べちゃうとさあ

 「考えんな。基本的にこいつらは俺達の敵だ。
  それ以上のことは邪魔になるだけだ」

[言いながら、元帥は
 おはぎみたいになったゾンビに手を合わせている。
 
 冷蔵庫傍の棚から、缶詰を見繕う。
 盗むみたいにしてリュックに詰めた。]

(+57) 2020/10/25(Sun) 18時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[仲間からこんな話を聞いたことがあるんだ。

 ゾンビ騒ぎになってから、
 「絶対に離れない」って誓いあった男女が
 翌日、女の方が感染してるってわかって
 男が激怒した話。

 ”俺も感染してるなんて冗談じゃない”
 
 そう言って男の方は女をリンチにして殺して――
 結局、女とイロイロしてた男の方も感染してた、

 そんなオチの笑えない話を
 仲間たちは笑い飛ばして、酒の肴にしていた。]

(+58) 2020/10/25(Sun) 18時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[人間は慣れてしまう生き物だ。
 なら、最終的に残酷なのは、
 ゾンビと、人間と、どっちなんだろうな。

 ゾンビを撲殺しても冷たい目をしたままの元帥に
 それを眺めながら食料を漁るのをやめない俺に、

 そんなことを思っていたよ*]

(+59) 2020/10/25(Sun) 18時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


[例えば、今日のことを予めわかってたなら
 人を好きになったりしなかったんだろうか。]
 

(+68) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[リュックサックの中を八割満たしたところで、
 次で最後にしようか、と
 元帥と言い交しながら、次の家へ向かう。
 気が付けば、なじみ深い場所に来ていた。]

  ここでさあ
  小さい頃、遊んだんだよね。
  
  子供が遊ぶにはちょっと狭いけど
  学校がそばにあって、
  帰り道の途中で公園によって……

[思い出話をしながら、
 真っ白なアパートに入っていく。
 …………見覚えのある建物だ。
 沙良とその家族が住んでいる場所だ。

 歩むごとに口数が少なくなっていく。
 それに気づいてか、元帥が「大丈夫か」と
 珍しく声をかけてきたから、首を横に振った。]

(+69) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


  でも、いかなきゃなんだろ

[ここは、やめてくれ、とか。
 そんな事言えるはずもなかった。
 どこに物資があるかわからない状態で
 えり好みなんかしてられない。

 俺は意を決してその一室に入っていく。
 ――――鍵は、開いていた。]

(+70) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


[まず鼻についたのは、異臭だった。]
 

(+71) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[玄関先に女の人が倒れている。

 沙良の母親だ。

 大昔、おばさん、と呼ばわって、
 「おばさんって呼ばないで」と
 沙良に怒られたっけ。
 優しい人だったから、俺の言葉にもころころ笑って
 それが沙良の顔によく似ていたのを覚えている。

 手を合わせながら、その死体をまたいだ。]

(+72) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[リビングに入っていく。
 つっかえるものがあったから、
 無理やりにこじ開けると、ごろりとまた何かが転がった。

 ドアノブを使って男が首を吊っている。
 眼鏡をかけた壮年の男性。
 沙良の父親だ。
 「娘さんを俺にください」って言う妄想はしてたけど
 面と向かって話したことは、あんまなかったかも。]

(+73) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


 「クシャミ」

  ……なんすか、元帥

 「大丈夫か」

[瞬く。手、と言われて、俺は改めて自分の手を見る。
 見た事もないくらいに震えていた。
 やだな、と軽薄に回る口を動かして、
 いつも通りを演じてみようとするけれど、
 やっぱり上滑りで、元帥の目はごまかせない。]

(+74) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


  なんでも、ないっすよ
  ここ誰もいないみたいっすね
  元帥は台所漁っててだにゃー

 「嘘ついてんじゃねえよ。
  とりあえず他の部屋の安全確保できるまで
  お前から離れたりしねえからな」

  なにそれ。男前かよ。惚れて良い?

[軽口を叩きながら、
 俺は沙良の部屋の扉に手をかける。]

(+75) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[入ったのは随分遠い昔だ。
 まだ俺達がランドセルを背負っていた頃。

 うろおぼえだけど
 ピンクと水色と白をふんだんにつかった
 女の子らしいお部屋だった記憶がある。

 入るだけで甘いミルクティーのにおいがして、
 女の子ってマジで砂糖でできてんのかなって
 錯覚できるような、そういう可愛らしい部屋だった。

 この扉を開けたら、変わらない姿の沙良がいて、
 昔と変わらない笑顔を浮かべて、
 「いらっしゃい、秋くん」って、言ってくれねえかな。

 そんなわけねえよな。ウケる。

 物音を立てないように扉を開ける。]

(+76) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[途端に襲い来たのは、
 強烈な腐臭と、蠅の羽音だった。]

(+77) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[可愛いぬいぐるみが置かれたベッドの上に
 白と赤と黒でまぜこぜになった何かが転がっている。
 それは人間と同じくらいの大きさで、
 背格好は男のものに見えた。

 もっと言えば、服装は、
 俺が殺した進のものと、おんなじだった。

 その人「だったもの」の胸で泣くように
 誰かが、ベッドの傍でうずくまっている。
 泣いているように見えないのは、
 強烈な腐臭と共に響く、粘っこい咀嚼音のせい。]

(+78) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[指通りがよさそうだった亜麻色の髪は乱れて
 蠅がまとわりついている。

 いつも清潔そうにみえた服に血が滲んでいる。

 すべすべだったはずの腕が、
 枯れ枝みたいになってる。]

[何。――これは、何。]

(+79) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


  う゛

[振り向いたそれと、目が合った。
 脳が揺さぶられる感覚。

 そいつが扉の前に辿り着く前に、
 俺はとっさに扉を閉める。

 ばん、ばん、と扉を殴る音が響く。
 元帥が太い腕で扉を固定して
 鍵を閉めるのが見えた。

 我慢できたのはそれまで。

 せりあがってきた吐き気をこらえきれずに
 マスクを外して、俺はトイレに駆け込んだ。]

(+80) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[なんで?
 沙良の部屋に進の死体がある。
 ゾンビになった沙良がそれを食べてる。
  
 なんで?
 俺さ、2人の幸せを願って身を引いた筈なんだよ。
 片思いこじらせ童貞だって、身の程を知って
 進には当たったけど、沙良に恨み言は言わなかった。

 なんで?

 明日なんかこなければいいって、
 そんな罰当たりなこと願ったから、
 二人には幸せな明日はこなかったの?

 なんで?]

(+81) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[あの日。進を殺したあの日。
 俺が保身にかられて逃げ出さなければ。
 沙良を説得していれば。

 ああいうことには、なんなかったのかもしれない。
 そう思うだけでもう俺は死んでしまいたい。
 何が英雄だ。何が。
 大事な友達だって好きな女の子だって
 誰一人守れやしないんだ。

 生きてる価値一番ないやつが
 なんで生きてるんだよ。

 なんで。]

(+82) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


 「クシャミ。……クシャミ。おい、串谷秋!」

[揺さぶられる感覚に我を取り戻す。
 珍しく焦った目をした元帥が、
 俺をのぞき込んでいた。]

  元帥。

[そういえばこいつの本名、知らないんだよな。
 って、どうでもいいことを考えた後、
 へらりと笑って、俺は声をあげて泣いた。]

(+83) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


[どうすればよかったんだよ。]*
 

(+84) 2020/10/25(Sun) 20時半頃

【独】 猫の集会 クシャミ

/*
ミケさんの人間の尊厳が奪われてく過程めっちゃ好きですね

(-18) 2020/10/25(Sun) 21時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


[どれだけ泣いていただろう。]
 

(+134) 2020/10/25(Sun) 22時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[ばん、ばん、と扉を殴る音は止んでいた。
 ただ、俺の引きつった嗚咽と
 押し殺すような元帥の呼吸音だけが聞こえた。

 「素手で目を擦るな」って言って、
 元帥が差し出してきたタオルを容赦なく使って
 漸く、俺は人間らしい思考を取り戻す。]

 「恋人か?」

  ……片思いの相手。振られたけど。

 「ここは、やめとくか?
  あのゾンビを俺が倒してきてもいい」

  何それ。やさしいな。
  ありがと。でも。

[首を横に振った。]

(+135) 2020/10/25(Sun) 22時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


  俺が終わりにしてやらなきゃ。

[そう言い放った俺の目を、
 元帥は、ひどく複雑そうに見ていた。]

(+136) 2020/10/25(Sun) 22時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[咀嚼音の響く部屋に耳を澄ます。
 たぶん、食べるものがないから
 沙良は仕方なく進の遺体を貪っているのだろう。
 最初どんなきっかけでそうなったのかは、
 わからないけれど。

 大丈夫か、って元帥が俺を見てる。
 大丈夫だって、と俺はただ頷いた。

 頭の中がすっかり冷え切ってしまって
 自分が自分じゃないみたいだ。
 
 金属バットの柄を強く握る。
 鍵を静かに開けて、
 沙良の部屋の扉を、開けた。]

(+137) 2020/10/25(Sun) 22時頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

 
  ――沙良。

[名前を呼ぶ。
 死体を貪るゾンビが振り返る。
 名前を呼ばれたのがわかったから?

 ……ちがう。物音に反応しているだけだ。]

  ごめんな。

[こっちに走ってこようとする沙良に笑う。
 バットをまっすぐに突きだした。
 沙良のみぞおちがべこりとへこむ。
 ゾンビといえど元は人間だから、
 俺の一撃でよろめかないはずもない。

 そのまま怯んだ彼女の頭に、バットを振り上げた。]

(+138) 2020/10/25(Sun) 22時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


  ごめんな

[嫌な音がする。
 進を殺した時よりも明確に
 俺は人の頭蓋を砕いている。]

  ごめん。

[沙良の喉から聞いたこともないような
 きたない声が出てる。

 痛い、助けて、おなかすいた、
 そんな風に言っているようにも聞こえたけれど
 ゾンビは喋れないんだから、全部俺の幻聴だ。

 そのまま、大好きだった小さな顔にバットを叩き込む。
 こうしないと何度だって蘇ってくる。]

(+139) 2020/10/25(Sun) 22時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


  ……ほんとに、ごめん

[誰に謝ってるんだろうな。

 うめき声さえも聞こえなくなって、
 ばたばたと虫みたいに暴れていた手足が
 かよわく床を掻くだけになっても、
 俺はバットを振り下ろした。

 これしか、俺が沙良にしてやれることはない。
 抱きしめてやることも、キスすることも
 なんにもできないんだ。
 ――ゾンビになってしまうから。]

(+140) 2020/10/25(Sun) 22時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ

[クシャミ、と元帥の声が後ろからする。
 なに、と投げやりに問い返す。

 もう死んでる、と言われて、
 ようやく、俺は、沙良の顔を見下ろした。
 
 鳥の巣みたいに散らばる亜麻色の髪。
 枯れ枝のようにやせ細った手足に、血濡れた手。
 潰れてしまった顔面。

 もうぴくりとも動かなかった。]

(+141) 2020/10/25(Sun) 22時半頃

【墓】 猫の集会 クシャミ


  沙良。大好きだったよ。
  天国で進と仲良くして。

  ……俺は結婚式に呼ばなくていいから。

[ほとんど掠れた声でその亡骸に手を合わせた。

 この世に天国と地獄があるなら、
 俺は必ず地獄に行くだろう。

 その日まで、俺は、2人の死を背負い続けるんだ。**]

(+142) 2020/10/25(Sun) 22時半頃

【独】 猫の集会 クシャミ

/*
ずっと「人間みたいね」を流している
あなたまるでにんげんみたいね、けだもののくせにさ

(-23) 2020/10/25(Sun) 22時半頃

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