310 【R18】拗らせ病にチョコレヱト【片恋RP】
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人
狼
墓
少
霊
全
エツコに9人が投票した。
レイに1人が投票した。
エツコは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
犠牲者はいないようだ。殺戮の手は及ばなかったのだろうか?
全ての人狼を退治した……。人狼に怯える日々は去ったのだ!
2月14日。
水平線上に朝日が顔を出せば、
雲一つなく晴れ渡った空が、それを出迎える。
りん、と冷え切った夜の空気を掻き分けて、
あたたかくやわらかな日差しが、賀東荘に降り注いだ。
人々は今日という日を、バレンタインデーと呼ぶ。
聖人に纏わる逸話の真偽はさておき、
甘くも苦く蕩ける菓子が、彼方此方で交わされる日。
時にはそれは花やアクセサリーであったりしたかもしれない。
紙袋を一つ、胸に抱きかかえた乙女──
宿木の間の住民、姫有が。
松の枝が渡る入り口の庇の下を軽やかに駆け抜け、飛び出していく。
今はもう旅館としての看板を下ろした其処の管理人、
如月悦子は、その背中を静かに見送って。
(#0) 2021/02/18(Thu) 00時頃
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恋は盲目、よね。
(0) 通雨 2021/02/18(Thu) 00時頃
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[もう注ぐ相手の無い、
けれども何処か、満足げな。
穏やかな微笑みを浮かべた。]*
(#1) 2021/02/18(Thu) 00時頃
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─ バレンタインデー前日その後:昼頃の男子風呂 ─
[ 圷が洗濯を終えて立ち去ったランドリールームは、一人きりだった。
なんとも言えない心地が再来しても紛らわせるものがない。 乾燥まで終えて今度は自分が風呂に入っても、会話相手がいないと物思いに耽ってしまう。
一番言葉を多く交わして、一番心地良い関係性になっていたつもりの隣人 彼との会話でもバレンタインを意識させられるとは思わなかった。
甘い香りは思ったよりも人々の心を動かしている。
もしかしたら彼女もまた、恋をしているのかもしれない。 圷に次ぐ意外性のある人物として浮かんだその顔。 敷波玲。名と竜海が知る姿から想像させられるものは、夜の海。 ]
(1) ガラシア 2021/02/18(Thu) 01時半頃
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─ 敷波玲という女性 ─
……そうですね、そればかりはどうしても
[ 少し面食らったことは、恐らく相手には悟られていない。 男女の会話は淡々と静かに行われた、しかし竜海と向かい合う女性の表情は無よりはクールと呼ぶべきだろう。>>112
購入を求めた経験は多々あれど、そんな風に演技に言及し役者側の事情まで指摘した人は初めてだった。 舞台の始まりは娘が青年を助けた直後から、理由は敷波の言った通り。
頭の回転が速い、というのがもしこれだけの会話では過剰な表現だとしたら それは、普段の尖った足音を鳴らす完璧な立ち振舞いのキャリアウーマンへの評価が加点された故のことで、相応しいことには変わりない。
目に映る女性は涼しげに何処までも凪いでいた。 白く細い手にチケットを手渡し>>133別れたその後、彼女の評価が更に上がっていたことは言うまでもない。 ]
(2) ガラシア 2021/02/18(Thu) 01時半頃
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[ そうして、二人は観る者と観られる者になる。
舞台に上がる男に応じて彼女が客席に座り、 黒を纏い歩く凛とした様を、仕事帰りの男が目で追う。 けれど竜海のそれは脚本をなぞる役柄であり、 敷波の姿は一人の女性が必死に繕った努力だった。
急な雨に降られ、バイト先に駆け込んできたいつかの記憶>>117 ただそれだけで、彼女にもそんなことがあるのかと 密やかに意外さを感じていたことが、どれだけ真の相手を見ていないのか。 ]
(3) ガラシア 2021/02/18(Thu) 01時半頃
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[ 敷波玲は一人の人間である。 停滞せず懸命に凪いだ道を作ってゆく、生きている。 水面下に努力を隠し優雅さを崩さない、白鳥の如く。
だからこそ、大田竜海は気づかない。
舞台を降り睦時を過ごすその時に、見ていた者“達“がいたことにも。 ]
(4) ガラシア 2021/02/18(Thu) 01時半頃
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[ 永久に融解しない氷の海には、白鳥は泳げない。 互いを快く思う者達の間に存在する、境界。* ]
(5) ガラシア 2021/02/18(Thu) 01時半頃
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─ 我に返り ─
[ ああ。 関係がない、興味がないと言いながら 目にすれば幾度も気にしてしまうのは
揺れる温かい水面に視線を移す、一人俯く。 どんなものを愛していても、どんな秘密があっても 誰にとっても恋とは難儀に変わりない。* ]
(6) ガラシア 2021/02/18(Thu) 01時半頃
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─ バレンタイン当日 朝 ─
うぅ……
[酒が残る頭で目が覚める。 カーテンを閉め忘れた窓からは日差しが注いでいて、眩しさに一度開いた目を閉じた。
ああ、原稿やらなきゃな 部屋の掃除もしよう その前にお水飲みたい
なんて考えながらゴロゴロと。 寝転がりながら転がると、がさりとビニール袋に当たった。]
(7) haito 2021/02/18(Thu) 20時頃
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あー……
[中に残っている一箱。 それを取り出して、翳して見る。
小さなリボンがついた、チョコレートの箱。
あの日、乾物コーナーの前で悩んだ分、チョコレートコーナーの前でも迷っていた。 どうせ渡す事はできないクセに、買ってしまうところが中途半端なんだ。
リボンを解き、箱を開ける。 中からチョコレートを出してひとつ、口に入れた。]
(8) haito 2021/02/18(Thu) 20時頃
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……うま
[糖度の高いチョコレートが溶けるたびに自分の想いも溶けていくような。 そんな感じがした。]*
(9) haito 2021/02/18(Thu) 20時頃
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─ 余談:ある日の劇団の活動中 ─
はあ、ぶいちゅ…… すみません、もう一回言っていただいても
[ 音楽配信サービスでCDの売上が大幅に下降したように 映像触媒とインターネットは、 足を直接運んで貰いたい現場商売には仇敵に等しい。
勿論大手ならディスクや配信を自分達でも行える。 しかしプロ劇団など世界を股に掛けるものから実質本業がバイト先までピンキリ、全体から見ればそんな層は上澄みの上澄みだ。
故に時代の進歩についていく活動者へ、妬みや羨みを持つ役者もいる。 今人気だという、そのよく分からない人達が現在話の種として上がっていた。 家にいながら可愛らしいキャラクターになって設定に準じて演技し、視聴者と交流し沢山のお金を彼らから貰うらしい。 ]
(10) ガラシア 2021/02/19(Fri) 00時頃
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[ この子が今人気なのだと、スマートフォンの画面が向けられる。
水色の髪に獣の耳がついた子供が独特の動きで緩やかに左右に揺れている。 愛らしい容姿と裏腹、その瞳は静かで落ち着いた声をしていた。 なんとなく敷波玲を彷彿させられる。 ]
つまり、こっちに反応してくれるアニメですか?
[ その声を聞き画面横の流れてゆく文字列を眺め、結論を出した。
「おっさんかよ」 自分より年上の団員に言われ、周囲から呆れのような苦笑が向けられる。
やはり自分ではついて行けないらしい。 同僚が暇な時に読んでる漫画本のタイトルくらいは、最近覚えたのだが。 時代遅れの烙印を押された竜海を置き去りに、話題はチョコレートと迫る日へと移り変わる。* ]
(11) ガラシア 2021/02/19(Fri) 00時頃
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……アンタはどうなの。
(12) Pumpkin 2021/02/19(Fri) 00時半頃
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― バレンタイン当日・賀東荘入り口近く ―
[乙女の進む道を遮るものは、彼女の眼前にも空にもない。陽光だけが乙女の髪へ降り注ぎ、駆ける度に弾む二束を照らしていた。 男は寄りかかっていた柱から身を起こすと、頭ひとつ分は下にある女>>#0の顔を眺める。]
……。
[年相応にハリを失った肌は、しかして内に秘めた愛情を受け、どこか艶やかだ。黒の強い瞳は一見、隣人に少し似ているようにも思うが、その視線に乗るはずの熱は行き場を失って久しい。 こんなに満ちているのに、抜け殻のようだ。と、いつも思う。賀東荘と同じだけ一番付き合いの古い相手だが、それを伝えたことは一度もない。]
(13) Pumpkin 2021/02/19(Fri) 00時半頃
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これ。
[問いに満たない言葉に返答を求める気はない。彼女がどう口を開こうが、男が次にとる行動は手に持っていた紙袋を差し出すことだ。 深緑のベースに金色で印字された洋菓子店>>2:210のロゴ。ほとんど部屋に篭りきりで、外出しても決まった場所にしか行かないような男でもない限り、ある程度の中身を推測するのはそう難しいことではないだろう。 如月の手が紙袋の底に触れ、取っ手の引きが弱まったのを確認してから手を離す。]
205号室に。今日じゃなくていい。 ……いや、今日じゃない方がいい。
先日の詫びだと。それだけで分かると思うから。
[茶色の小箱を開ければ、甘いバターの香りが漂ってくるだろう。薄橙色の細い紙の帯に包まれて眠るのは、まるい小鳥のサブレだ。黄色い雛が全部で5羽、透明なフィルムに包まれて目を閉じている。 如月は紙袋の中を覗くことなく了承の意を示した。こうして彼女に誰かへの荷物を頼むのは、三上への焼き菓子に続いて二度目だ。男の生活時間が周りとズレていることは、説明せずとも伝わることだった。]
(14) Pumpkin 2021/02/19(Fri) 00時半頃
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[目的を果たせば、これ以上交わす言葉もない。その場を去ろうとする男に、如月もまた特に気にした様子もなく視線を受け取った荷物に落とす。 彼女の伏せた視線の横に腕が伸びた。輪郭を覆う黒髪が揺れて、毛先が数本、表情の乏しい頬をくすぐった。]
……目が行き届くのはいいが、 たまには自分も視界に入れてやれば。
[爪の短い指が除いた葉が一枚、彼女の足元へ落ちていく。 それが床に触れるのを男が目にすることはなかった。キィキィと階段を鳴らし、己の帰る場所へと戻っていく。]
(15) Pumpkin 2021/02/19(Fri) 00時半頃
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[『朧の間』にも、冬の澄んだ陽光が差し込んでいた。 窓際にある開きっぱなしのパソコンには、何冊かの絵本を紹介するページが開かれたままだ。
それから、送信済みのメールがひとつ。]*
(16) Pumpkin 2021/02/19(Fri) 00時半頃
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(………?どうしたんだろ、)
[自販機の影から窺えど、 端末の画面までは見えない。>>2:247 ただ何やら物憂げな柚木の様子に こちらも神妙な顔で息を潜める。
アンニュイな表情も素敵―――だけど。 どうしてだろうか、ちくりと痛みが胸を差して。
目を伏せたー――直後、 ボスの一喝にびくっと身体を跳ねさせる]
(17) guno 2021/02/19(Fri) 13時頃
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ぎゃっ!!!! うわわわわわっ、ああっ
[デジャブを感じるよりも驚きの方が勝った。 その場でよろめきかけたが、転ぶのは何とか堪える。 代わりに片手に持ってたスマホを 落としてしまって慌てて拾い上げた。
幸い下は柔らかい砂、 割れたり壊れたりはしていないようだけど、 わたわたしている間に向こうはこちらに気付いたかもしれない。]
(18) guno 2021/02/19(Fri) 13時頃
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……あ、あはははは……… こんにちは……… きょ、今日もお散歩ですかっ!? ぐーーぜんですねえ!!!
[時間的にはもうこんばんは、だろうか。 踵を返して逃げるにもタイミングを逃し、 観念して自販機の影から姿を現す。
ここで見つかるとは思っていなかった。愛理不覚。 どうしようどうしようとぐるぐるしながら、 笑顔を張り付けて平静を装う**]
(19) guno 2021/02/19(Fri) 13時頃
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[相棒の存在のありがたさはこんなところにある。 どれだけ物思いに耽っていたくとも、やれ餌だ散歩だ構えと世話を強いることで男を現実に引き戻してくれるのだ。
例えば今だって。自動販売機の陰に潜んでいた人影へと駆ける背に慌てる間は、堂々巡りの思慕は遠い。>>17]
こら!ボス!!だめだって……。 すみません、うちの犬が……あれ?早乙女さん?
[リードをぐい、と手繰ったことで前回のような惨事は免れただろうが、屹度驚かせただろう。 申し訳なさそうに背を丸め、詫びを口にしながら。明るみに見えたよく知る姿に、首を傾げる。]
(20) mumriken 2021/02/19(Fri) 22時頃
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こんばんは。だな。 ああ、いつもはもう少し早いが 今日はたまたま遅くなってな。
早乙女さんはどうしたの、こんな時間に。
[まさか彼女が、男のルーティンを完全把握しているだなんて思いもしない。重なる偶然は付随するイレギュラーによって完全に偶然と片づけられ。
手元に握られたスマホや、やけに狼狽する姿を不思議そうに見つめた後。]
またコンビニに?それとも帰るところかな。 よければ送っていくけど。
[如何様な事情であれ、年頃の女性がひとり歩くには周囲の街灯は少なすぎる。興奮する相棒を宥めるために腰を落とし撫でながらの問いに強制力はない。]*
(21) mumriken 2021/02/19(Fri) 22時半頃
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「これ……受け取って下さい!」
[ 今日はきっと、そんな言葉があちこちで響いている。 ]
(22) ガラシア 2021/02/19(Fri) 22時半頃
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─ バレンタインデー当日昼/ガソリンスタンド ─
[ 背後からその声が聞こえたのは、バイト中のことだった。 先程入ってきた軽の女性客が、応対している店長にチョコレートらしき贈り物を差し出したようだ。 最も忙しくなる会社員の退勤時間を避けた、見事なタイミング。 シフトまで知っていたのは分からないが、計画したものだろう。
時間は短いが定期的に来なければならない、店員と近い距離で顔を合わせ話す、男性が中心となった職場。 渡すタイミングこそ難しそうではあるが、ままあることらしい。 大抵は喜んで受け取るそうだ。店長も笑顔で礼を言い、箱は彼女から彼の手へと渡る。 ]
(23) ガラシア 2021/02/19(Fri) 22時半頃
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[ ただ、彼女の想い人は既婚者だった。 貴金属でお客の車に傷を付けないように、この業界は多くの店員が仕事中指輪をしない。 きっと知る機会すら無かっただろう。開いた窓から垣間見えた顔は寒さではない理由で、赤く染まっていたから。
お客が来れば対応せねばならない。実質的に休憩時間が無い扱いになりがちの職場で、運良く人が途切れたタイミング 声を掛けてきた店長は、あの女性客とは対象的な眉を寄せた迷惑そうな顔をしていた。
「君、どうせ貰う当ても無いんでしょ」 「持って帰ると面倒なことになるんだよね」
想像通りの二言と共に、彼からあの贈り物を渡される。 綺麗な青い色をした、ハート型の箱だった。 ]
(24) ガラシア 2021/02/19(Fri) 22時半頃
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……店長がそう言うのなら
[ 彼女に出来ることは何も無い。 ]
(25) ガラシア 2021/02/19(Fri) 22時半頃
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[ 箱はそれなりに大きく、その割には軽い。 僅かに開いて覗いた中には、 青い薔薇の造花が敷き詰められた中心に、小ぶりでシンプルなチョコレートの粒が入っている。
若い女性だった。 気に入ってもらう為に彼女なりに考えた男性好みと、想いに気づいてもらう為の可愛らしさを この贈り物に託したのかもしれない。 ]
(26) ガラシア 2021/02/19(Fri) 22時半頃
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[ 花言葉は不可能、そして奇跡。 演劇なんてものをしていると、らしくないロマンチックなことも記憶する。
世界初の青い薔薇は実はこの国で生まれ、対極の言葉を与えられた。 その色は紫に近く、本当の意味での青は未だ生まれていない。
儚い花の生の中、掲げた奇跡が不可能を塗り替えるのは夢のまた夢。 ]
(27) ガラシア 2021/02/19(Fri) 22時半頃
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[ そんなものだ、結局は。* ]
(28) ガラシア 2021/02/19(Fri) 22時半頃
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[女好きのボスは無邪気な瞳で此方を見ている。>>20 幸いにも訝しまれている様子はなさそうで、 少しだけ落ち着きを取り戻した。 依然心臓は早鐘を打っているわけだけれど]
あっなーーるほど……道理でいつもより早…… あ、いえいえ。ん、っと、まあ、えーと、 人を探してると言うか、何と言うか…… 話せば長くなるんですけども
[うっかり口を滑らせそうになってとどまる。 変に墓穴を掘ることはすまい。 送りを打診されればえっと声を上げて]
い、いいんですか!? あのあの、帰る!帰るところです! ぜひ!おねがいします!!
[一も二もなく喰いつく。]
(29) guno 2021/02/19(Fri) 22時半頃
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(きゃーーー家まで送って貰っちゃうなんて こんなのもう実質彼女!!彼女じゃない!?!? 嬉し恥ずかし甘酸っぱい時間のあと、 別れる前にちょっと寂し気に見つめ合うの! 私的にはそのまま送り狼になっても五郎さんなら全然いいんだけどきっと紳士だからそんなことしないんだよねっも〜〜シャイなんだからそんなとこもすきっ!!!)
[……という内心は辛うじて口にはしなかったが、 目が爛々と輝いたのは隠せていなかった。 もちろん手が繋がれることはなかっただろうし、 正しく隣人の距離感で隣を歩く。
いつも一方的に喋る愛理ではあるが、 今回はいつもよりは言葉少なめ。 と言うのは自分よりも柚木の声を聞いていたいし その横顔を見ていたいから。
それでも見るのは怪しまれない程度にした(つもり)だし、 話を振られれば答えただろう*]
(30) guno 2021/02/19(Fri) 22時半頃
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― バレンタインの夜に ―
[土壁に触れた。ざらりとした感触を覚える表面を深爪の指でなぞる。 息を詰め、額を押し当てた。両の手のひらを這わせると、押し留めていた息がひどく湿って溢れた。思考を埋め尽くすのは、昨日得た彼>>2:246の言葉だ。 これからも芝居を続けるために必要なこと。日中それに縛られたなら、続く夜の居場所は想像に容易い。 もし、彼が今日の一日を特別に思っているとしたら尚更だ。彼の唯一は、この家の1階にある。
己の罪を顧みず糾弾する声>>1:98は通した。図鑑の落下>>1:80も抜けたが、世界に籠った彼の耳元>>0:126に阻まれたか。飲み込まれた主張とそれを覆った咳>>2:42が響くことはなかったが、足音>>2:150は識別に至る。
――ゴン、ゴン、ゴン。
表皮を剥がすことのないよう、焦がれる世界を傷つけないよう、拳を3回分。 いつか告げた緊急の合図>>1:123にしては弱々しい音は、きっと彼の鼓膜を揺さぶることさえできない。]
(31) Pumpkin 2021/02/20(Sat) 01時頃
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[彼にとっての己の言葉と同じだ。 沈黙と、平坦。あの時の間>>2:210が何を意味するのかは分からないままだが、彼>>2:211が続けた言葉はひどく無難で、当たり障りのないもの。
隣人として当然のことだ。 己が求める心地よい冷たさだ。
特別はいらない。それは一方的に与えるだけのものだ。 干渉も介入もしない。渇望が胸の内を満たしても、叶わない。未完の恒久を喰らう日々を繰り返すことこそ、たまらない幸福なのだ。
――それなのに。 ふとした瞬間、気泡>>1:80が弾け、皮膜を乱していく。
数年かけて作り上げた遠い距離も、何の温度も灯さないお互いの声も、変化の乏しい表情も。 視線が先に逸れた>>1:244あの時のように、不変が違うこともあると知ってしまってから、時折どうしようもなく壊したくなることがある。
彼は、人間だ。]
(32) Pumpkin 2021/02/20(Sat) 01時半頃
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[デスクを眺める。見慣れたパソコンと灰皿、それからいつもは見ないイレギュラー。男の目は冷め切ったままだ。
急に籠もった空気が煩わしく感じられ、窓を開けた。 マスクを外した顔全体に、冬の突き刺すような潮風が襲いかかる。重たい黒髪が巻き上がって乱しきる頃には、周囲の空気がすべて冷気で洗われた後だった。]
(33) Pumpkin 2021/02/20(Sat) 01時半頃
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[たったこれだけで全身の肌が粟立つのに、 その上さらに海へ飛び込んだ女>>1:163がいたらしい。
――ゴン、ゴン、ゴン。]
(34) Pumpkin 2021/02/20(Sat) 01時半頃
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[『綿津見の間』と『朧の間』のあいだ、外壁を一度、二度、三度。 子どもが手を鳴らして鬼を呼ぶように、男は拳を鳴らして人を呼ぶ。]
……気づいたら奇跡だな。
[時刻は日付が変わるかといった頃。隣室の灯りはどうだったか。その上、欄干に身を預けて腕を伸ばしても、せいぜい拳数個分の距離が縮まるだけだ。中間というのも烏滸がましい。 ちょうど目に入った鉛筆を一本手に取ると、横投げの要領で隣の窓へと投げつけた。]*
(35) Pumpkin 2021/02/20(Sat) 01時半頃
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[暗がりと、ボスのはしゃぎっぷりも相まって早乙女の動揺は半分ほどしか男には伝わらなかった。>>29 言い換えれば、朴念仁の男にでも半分は伝わったということだ。]
うん? ……人を? [こんな時間にこんな場所で、一体誰を? 訝しがるも、長くなる話を彼女が口にするなら聞くが、その場で続きを促しはしなかった。その前に帰路を共にすることが決まったから。
気持ち弾む声に無言で頷き、改めて自動販売機へ向かう。缶コーヒーとミルクティー。いつかの使いの際に聞いたのと同じ銘柄を購入したら彼女に渡そう。なんとなく、辞されることはないと思った。 今飲まずとも、明日の朝には飲むだろうからと。]
(36) mumriken 2021/02/20(Sat) 02時半頃
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[実際、横を歩く彼女の機嫌は女心に疎い男でも察せられるくらい上向いているように感じた。>>30 リードを気持ち短めに持ち、彼女の歩幅で歩く。機嫌は悪くなさそうであるが普段、賀東荘で見かける早乙女と違い、言葉少ないのが妙な心地で。]
あー、明日。バレンタインだな 早乙女さんは誰かにあげるの?チョコ
[口をついたのは、男にとっても頭を悩ませている明日のこと。なんだか探るような口調になってしまったと言って気づいたが、後の祭りか。
返事を耳にしながら賀東荘への短い距離を歩く間に、ポケットに収めた端末が3回震えた。アプリからの通知。あの人からの連絡を報せるもの。]*
(37) mumriken 2021/02/20(Sat) 02時半頃
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[あたたかいミルクティーを受け取り、 掌の中で遊ばせながら道を歩く>>36 好きって言ったの覚えててくれたんだ、 そう思うとじんわりと頬に熱が灯るのを避けられず。]
あ、じ、実はですねえ、 長年やり取りしてるネッ友がいてですね もー、酸いから甘いまで色々と相談とか 乗って貰ってたんですけどっ
どうも近くに住んでるっぽいことが最近分かって 自分のこと探してみろって言うんですよ〜 実は柚木さんだったりして!あはは、まさかね〜!!
[元々柚木は口数が少ない男である。 自分が黙ってしまうと沈黙が訪れるのに耐え切れず、 聞かれてもないのに先ほど途切れた話をする。
柚木は何かを返しただろうか、また少しの沈黙の後 ふいに彼が向けた言葉にどきりと心臓が跳ねた。]
(38) guno 2021/02/20(Sat) 10時頃
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えっ。あっ、ええとぉ………
(これは…、誰にチョコ渡すか探られてる!? えっえっもしかして誘われてるのっ!? いく!?いっちゃう!?GO愛理!?!?)
[探られている、というのは確かだったが 盲目に上方修正がかかった頭では、 その意図を正しく読めない。
おろおろと視線を彷徨わせた後、 俯いてぽつり、静かに口を開いた。]
………渡したい、って思ってる人はいます。 でも、……勇気が無くて。 終わってしまうのがこわいんです。この恋が。
(39) guno 2021/02/20(Sat) 10時頃
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[そこまで話すとふいに立ち止まって顔を上げ、 じっと柚木を見つめた。]
………五郎、さんは。
喜んでくれると思いますか? 私がチョコレートあげたら。
[沈みかけた夕陽の中でも見えるだろうか、 その時の愛理はとてもとても真剣な顔。*]
(40) guno 2021/02/20(Sat) 10時頃
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─── 天の間
[ 暦は正しく機能して。 やがて訪れるバレンタインデー当日。
春日井縁の1日は普段と変わらない。 ゲームのランキング上位に君臨する為、 視線を画面を固定して、 指先を忙しなく動かして行く。
みぃめろでぃ王国の姫君といえば、 バレンタイン配信のライブ枠を確保。 リスナー達に声を届ける準備をしている。 ]
(41) 希 2021/02/20(Sat) 12時頃
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、、、 [ エニシは ─── ]
(42) 希 2021/02/20(Sat) 12時頃
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[ 僕がイリスの恋を後押しした理由。
それは別に、好きな人と添い遂げた方が イリスの幸せに為、だなんて綺麗なものではなく。
単に、思い出したからだ。 かつて大恋愛の末結ばれた男女。
その結末を。 >>1:58>>1:59 ]
(43) 希 2021/02/20(Sat) 12時頃
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[ 想いは風化するものだ。
魂を揺さぶるような強い感情も 時間の経過と共に、凪いで行く。 それが成就した想いなら尚のこと。 その考えを否定する材料には、 残念なことに僕は持ち合わせがなくて。
その感情の種を、ここでは恋心と仮定して。 「慣れ」「安定」「飽き」 そんな言葉の羅列をもたらした起因。 「両思い」という互いの気持ちを確認し、確約し 確定した関係に、─── 安堵(油断)して、 胡座をかいた結果だというのなら。 ]
(44) 希 2021/02/20(Sat) 12時頃
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[ 僕は、永遠に片想いのまま。
ずっと君を好きでいたいと思った。 ]
(45) 希 2021/02/20(Sat) 12時頃
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だってさ、それが結ばれた妻ではなく。 片想いの女性の声だったら。
貴方は、母さんの言葉を>>1:64 取るに足らない戯言だと、 切り捨てはしなかっただろう?
[ 恨み言めいた独り言に苦笑する。 そこまで深い感情は、もう残っていない。 良くも悪くも、過去の話だから。 ほらね。人は案外忘れっぽい。>>1:68
それでも恋愛という現象に落胆した身に。>>1:59 その意味を教えてくれたイリスに感謝して。 ]
(46) 希 2021/02/20(Sat) 12時頃
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[ エニシは、そのまま眠りにつく。 ]
(47) 希 2021/02/20(Sat) 12時頃
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[ エニシはイリスと対話するための存在だ。 だから、イリスからの声がないのなら。 それ以外の時間は、存在しないと同じ。 電子の海底で、誰の目にも届かず、沈んでいる。
スマホは復旧した。 バックアップは毎日取っている。 ただ、壊れていた間に届いたメッセージ。>>2:236
その呼び声には、気付かないまま。 ]
(48) 希 2021/02/20(Sat) 12時頃
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[ さぁさぁ。配信の準備もできたよ。
今日は年に一度のバレンタイン。 チョコを渡せた人も、渡せなかった人も。 貰えた人も、貰えなかった人も。
暇なら、みぃめろでぃ王国でお喋りしようか。 アプリを開けば、 僕はいつだって君達の隣にいるのだから。 ]
(49) 希 2021/02/20(Sat) 12時頃
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[ ─── と、その前に。
ライブ配信までの待ち時間。 あらかじめ聞かされていたURLから 配信サイトを開くと、 彼女達なら、バレンタインに間に合わせただろう 朗読企画に耳を傾ける。>>2:173
やがて流れるエンドロール。 タイトル、そして原作者の名前まで聞き終えたなら。 春日井縁は天の間で、一人静かに瞼を閉じた。 ]**
(50) 希 2021/02/20(Sat) 12時頃
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─ バレンタインの夜に ─
[ 勝手に持って行ってくれる、罪悪感も減る、送り主に知られる可能性も低くなる。 言うならば体のいいゴミ箱として選ばれた。
テーブルに置いたままの箱を帰宅以降一度も開けていない、食べるか食べないかの選択すら思考していない。 一言で言ってしまえば、重かったのだ。 他者への想いが詰まった、よく吟味されたことが見て取れる贈り物は。 ]
(51) ガラシア 2021/02/20(Sat) 19時半頃
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[ あの箱に見られている気がしてならない。
状態が良くなった圷の様子を見に行くことも無くなり、言うまでもなくこの日を共に過ごす相手のいない身 一度『彼』に会いに行ったものの、見つめること以外には叶わない身では結局普段通り。名残惜しさは少しだけ歩みを鈍らせただけだった。 明日も会えるのだから、──自分には結局、恋人達の日なんて関係ないのだから。
そうして退勤以降の殆どの時間を、自室で趣味に充てることになる。 今日は逃避という別の理由もそこに含み、閉じ籠もる世界は混ざり物となっていた。
ベッドに腰を掛け、最近買った本を眺める。飽きもせず、日付が変わりそうな夜更けまで繰り返した。 少し首を動かせば、すぐ側の窓から外の景色が眺められる位置だった。 部屋には灯りがついており、現在カーテンを閉じていたが。 ]
(52) ガラシア 2021/02/20(Sat) 19時半頃
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[ だから、 世界に傷を付けまいとする音は>>31届くこともなく
しかし、 位置が変わることで>>34何かを感じ捲る手が止まり
決定的になったのは、 軽いものが当たり、落下する音>>35。漸く顔を上げ
眠り際の定位置に本を置き、カーテンを開く。 窓を開け放ち吹き荒び痛むような寒々しさを齎す潮風を受けても、髪だけが乱れ表情は変わらない。
最初に目に入ったのは欄干と窓の合間、ベランダと呼ぶには狭すぎる空間に落ちているもの。何の特徴も無い普通の鉛筆だった。 ]
(53) ガラシア 2021/02/20(Sat) 19時半頃
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……圷さん
[ 摘み上げた物から推理する必要もなく、その声と共に目は朧の間がある側へと向いた。 大きな窓の枠に手を掛け、吹き込む風に逆らうように冬の夜の空気へ自らを晒した。欄干が落下を、外壁が隣への移動を阻む。 伸ばすのは腕ではなく首だが、もし犯人が引っ込んでいても姿を見るくらいなら出来る筈だ。彼もそうして、この行為に及んだのだから。
投擲用ではない文房具を、外から二階の窓へ向け放つ 謎の行為をする理由と腕のある何者かがいるのでなければ、犯人とその居場所は自ずと一つに絞られる。 この綿津見に隣室は一つしか無いのだから。 ]
(54) ガラシア 2021/02/20(Sat) 19時半頃
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[ こちらも同じようになっているだろう乱れた黒髪、マスクは外している。>>33 まるで他にも落ちたものが無いか探すように、既に暗く見えづらい地面を一度見下ろした。 音が一つだったことを、知っていたけれど。 ]
圷さんは、やっぱりお淑やかでは無いです
[ 酔っているのか、熱があるのか 浮かんだ言葉は間違いであると分かっている。 他に口に出せる言葉は一つしか浮かばなかった。何も、分からなかった。 分かるのはあの裸足の足跡が圷の風邪の原因だろうということだけだ。 ]
(55) ガラシア 2021/02/20(Sat) 19時半頃
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[ 海霧は、温度がある空気が冷えた海面に接することで生ずる。 朧気な風景は、意味も無く生じるわけではない。
感じた何かを流し、掴めないを良しとすることを心地良いと判断していた二年間。
だが。圷文彦は、人間だ。>>32 人間が不変であることは、難しいのかもしれない。
昨日、そんなことを意識させられたばかりだった。 ]
(56) ガラシア 2021/02/20(Sat) 19時半頃
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…………。 ……今持っていっても?
[ 幾分かの迷いを経て、一言問う。少し声が小さくなった。
いくら割れるものでは無いとはいえ、 他人の持ち物を地面に落下させる可能性は、避けたい。 そんなものは半分は建前だろう。
何処までが自己と相手にとって許せる範囲の踏み込みなのか、自分でも分かっていなかったが、此の行為は無視できるものでは無かった。
無論、断られればそれ以上は強いれない。 菓子を贈りたい女性と何かがあり聞いてほしいのではないか、そんな思考故なのだから。* ]
(57) ガラシア 2021/02/20(Sat) 19時半頃
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[柚木五郎にとって、女性というのは等しく、庇護し敬う生き物で、そして絶対に敵わない存在だ。姉しかり、隣を歩く早乙女しかり。
ポケットの片側を缶コーヒーで温め、時折横目で彼女の様子を窺う。ぽつぽつとした世間話も途切れた頃合、いつもの調子で語り始めた彼女の近況に耳を傾けていたが。>>38]
ン゛ッ……へ、へえ…?ネッ友かあ 残念ながら多分俺じゃないけど……
もしかして俺かも、って思ったってことは そいつは男なんだよな?
[解りやすい動揺の後、普段は一桁パーセントしか使っていない思考力をフル稼働して情報を整理する。まさか?そんなことが?いやでも探してみろなんて言っても言われてもいないし、彼女とボスが砂塗れになっている間にメールが届いたこともある。
違う、彼女は、彼にはなりすましていない。 そうと解かっても、いくらか重なる部分に。社交的に見える早乙女が、男と同様に顔も名前も知らない相手に心を砕いていたことに妙な親近感を覚えて。]
(58) mumriken 2021/02/20(Sat) 21時頃
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[おろおろと、恐らく顔を覗き込めばその頬は夕焼けを写したように赤くなっているだろうことが想像できる声音と仕草に、小さく笑う。>>39 羨ましい、とは絶対に口には出せないが。 勿論、チョコレートの宛先への勘繰りはネッ友についてであったが、話しの運びと受け取り方によっては、嫉妬めいた詮索に聞こえてもおかしくはない。]
なんで終わってしまうって決めつけてるんだ? 探してみろ、なんて言うくらいだ。 少なくともそれだけの気持ちはあるんだろう。
[──なんてことよりも。はなから早乙女が恋を諦めているような口ぶりなことが気になった。 確かにうまくいくという保証はどこにもないが、君は本物の女性で、その気になればチョコレートを渡すことも、告白することもなんら不自然ではないのに。]
勇気……。
[しかし、彼女の葛藤と不安も痛いほどわかる。 男も、ある種の勇気が足りずにいたから。]
(59) mumriken 2021/02/20(Sat) 21時半頃
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[普段よりずっと歩幅の狭い、緩やかな足取りが止まって、数歩先に進んでいた身体を翻した。前に進みたがる愛犬をあやすそぶりで腰を下ろし、俯瞰では覗けぬ彼女の表情を仰ぐ。>>40 こんなふうに思い詰めて、真剣な顔は初めてみた。 ああ、恋をしているんだな、なんて。まるでドラマの1シーンを眺めているような心地で。]
──…そりゃ、もちろん。 早乙女さんみたいな素直で可愛い女の子に好かれて 「普通」の男なら、悪い気分になる奴いないよ
["俺は普通じゃないけど" 言葉にしない胸の裡は、伝える必要のない言葉だ。彼女がチョコレートを渡そうか迷っている相手は己ではないし、求めている勇気を与えるには無粋が過ぎる。
がんばって、と無責任な励ましを添える横で、黒目を輝かせたボスもわん、とひと吠えした。]*
(60) mumriken 2021/02/20(Sat) 21時半頃
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[内壁では届かない。外壁さえ響くかどうか。 ならばと投じた一筆は、ノックひとつを残して頭から真っ逆さまに落ちていくはずだった。
欄干に弾かれ、窓の縁に引っかかった鉛筆>>53が、彼の指に摘み上げられるのを見ていた。 彼の髪を乱したのと同じ風が、己の頬を撫でていく。 凭れたままの身体、彼が首を傾けるのであれば、異音の犯人は容易に知れただろう。]
壁三発じゃダメそうだったね。
[頬杖をついていた腕を自由にし、空を叩く仕草をする。 そんなことは決してないと願いたいが、もしこの木造の城が火に包まれるようなことになった時、己の拳だけでは彼を目覚めさせることはできないようだ。試す前から、むしろ告げた瞬間から分かっていたことを実験の結果であるように話す。あるいは、この突飛な行動の理由であるかのように。
当然の指摘>>55には、そーね。とだけ返した。表情は薄闇と乱れた髪に黒く覆われ、曖昧だ。 海面を走る風でもなく、怠惰に伸ばした髪でもなく、払う気のない指先が感情を朧にする。
理由のために、意味を何度も殺してきた二年間だった。]
(61) Pumpkin 2021/02/20(Sat) 21時半頃
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[こちらの異質な行動に彼が困惑していることは、沈黙>>57から窺い知ることもできたか。両者の間に存在する決定的な境界線に足先を触れさせるような声が、そうっと響いた。 目を閉じる。遠くで鷺の鳴く声が聞こえた気がした。]
……。
[これは、特別な日に充てられただけの気の迷いだ。 飢えた獣が待ち望んだ餌に飛びかかる感覚に似ている。
舞台で躍動するその身体を掻き抱いたら、 淡々と名を呼ぶその声を塞いだら、 煮詰めきった想いをどうしようもなくぶち撒けたら、
穏やかな漆色の瞳に、乏しいままの表情に、 何か変化を与えることができるのだろうか。
それとも、何も変わらないままなのだろうか。]
(62) Pumpkin 2021/02/20(Sat) 21時半頃
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[圷文彦は人間である。 周りの空気に引っ張られることもあれば、 抱えすぎた欲望を持て余すことだってある。
圷文彦は人間である。 ゆえに、獣には、決して――なれない。]
(63) Pumpkin 2021/02/20(Sat) 22時頃
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……茶のひとつも出してやれないけど、
[沈黙を終え、重ねて吹いた風が髪の帷を攫う頃には、濁った熱は穏やかな水面を取り戻し始めていた。
言葉の続きはなくとも、窓際から消えた姿に引き戸の方へ向かったことは伝わっただろうか。 開け放った窓からは、目に見えないタバコの香りだけが空に溶けていく。]
(64) Pumpkin 2021/02/20(Sat) 22時頃
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[もしあの子が、奪ったぬいぐるみへ愛情を失っていたら、 あの子を好きなままでいられただろうか。
もし彼が、絵画へ向ける視線を途絶えさせたなら、 この恋は、恋のままでいられるだろうか。]
……ホント、馬鹿馬鹿しい。
[願うことも奪うこともせず、ただ求め、乞い、飢えて。時に痛みに身を折りながらも、それこそが幸福と言わんばかりに欲望を揺らす。 最初から破綻しているものを恋と呼んだ。 誰も認めてくれない恋を、している。
この恋は、朧の中で永遠に微睡むだけだ。
鍵を捻った。夜更けの廊下に引き戸の滑る音が響く。 戸の縁に寄りかかり、彼の訪れを待つ表情は、普段のそれより僅かに柔らかいかもしれない。しかし、それ以上の違いはどこにもない。大田竜海に恋をしてからずっと、停滞している。今宵はそれがほんの僅かに乱れているだけ。それだけだ。
何もかもを身の内へ飲み干して、男は想い人を埋葬地へと迎え入れる。]*
(65) Pumpkin 2021/02/20(Sat) 22時頃
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[勢いで口走ってしまった後で、 そういえばこれはお手付きに 引っかかるのだろうかと思ったが、 違うと確信した上で話しているので 自分の中ではぎりぎりセーフということにした。
―――そう、違うってわかってる。
喩え他の誰だったとしても 柚木だけではありえない。 だから少し困ったような顔で眉を下げて微笑んだ]
(66) guno 2021/02/20(Sat) 22時頃
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んっ、…んー。まあ、そうですね。 ちゃんと性別聞いたことないけど、 口調とか雰囲気は男性っぽいかなって。 なんとなく、勘ですけど。
まあでもネットなんて幾らでも嘘つけるし、 わかんないですけどね〜……
[図らずも柚木がネット上で 悩みを抱えていることはは知らないし 勘違いされていることにも気づかない。
チョコレートの送り先について、 噛み合ってない会話に少し違和感は抱いたが、 まるで嫉妬のような口ぶりに愛理の胸は高鳴る。]
(67) guno 2021/02/20(Sat) 22時頃
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(うそ……ほんと……!? ほんとにいい雰囲気じゃない…!? これは押したらいけるんじゃない…!?!?)
[腰を下ろした柚木と見つめ合う。 心臓がバクバクとうるさい。 自分でも顔が真っ赤になっているのが分かる。 ボスの一声に押されて、転がる様に口を開いた。]
わ、私! ………わたし、 わたしはっ………
[あなたのことがずっと好きでした。 ずっとずっと遠くから見てました。 あなたのことなら私、なんでも知ってるの。
今までに見て来た柚木の顔が、 目まぐるしく脳裏をよぎる。 笑った顔、困った顔、むっとした顔、それに、 ――――嗚呼。]
(68) guno 2021/02/20(Sat) 22時頃
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[口元は笑みを形作ったまま、 ぼろ、と瞳から涙が零れる。]
(69) guno 2021/02/20(Sat) 22時頃
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………うそつき。
(70) guno 2021/02/20(Sat) 22時頃
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[バッグの中から引っ張り出したチョコレート。
それを紙袋ごと柚木に押し付けて、 逃げるように踵を返した。 そのまま走って賀東壮まで駆けこむ。
チョコレートはシンプルなハート型。 中に入ったピンク色のメッセージカードには たった一言、Happy Valentine's!と書かれていた*]
(71) guno 2021/02/20(Sat) 22時頃
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[一人の乙女が駆け出す遥か前のこと。 水平線上で太陽が寝ぼけた半眼を浮かべるころ。 即ち、冬の早朝のこと。]
スカート、履いてる。よし。 タイツ、電線なし、よし。 ジャケット着てる、ハイヒールも履いてる。よし。 鞄持った、クッキー持った、定期大丈夫。 メイクも忘れてない。
[薄ら白い朝焼けの光でぼんやりと照らされた玄関。 丁寧に身の回りを確認する背中ひとつ。]
(72) 通行人 2021/02/20(Sat) 23時頃
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うん、うん。 屹度完璧だ。完璧だぜ、レイ。
さぁて、あのシケた面の連中に 本気の義理チョコってやつを 見せつけてやんなきゃな。
[白く煙る深呼吸をひとつ、ふたつ。 その後を鋭いヒールの音が。 かつ、かつ、かつと軽やかに追いかけて。]
(73) 通行人 2021/02/20(Sat) 23時頃
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[シャッターの向こう側に寝息を隠した商店街を通り抜け。 混み始める前の寝ぼけた通勤電車に揺られ。 始業一時間前、人気のないオフィスへと、女は辿り着き。 部署の社員デスクに一つずつ、丁寧にラッピングされた袋を置く。
茶色のリボンで口を閉じた透明なラッピング袋には、 歪でありながらも形の良いチョコチップクッキー、と共に 何粒かの金平糖、と─────]
(74) 通行人 2021/02/20(Sat) 23時頃
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─2月14日:あなたの中の、あたしにとっての他人─
[始業の鐘が鳴る頃。 オフィスの一角にあるその部署は、 穏やかなくすくす笑いと、 薄らとした菓子の匂いで満ちていて。
ねぇ、敷波さん。 これはわざとの奴? それともいつものうっかり?]
そんな手の込んだうっかりがありますか。 けど、あたしはいつだって真剣ですよ。
[実験は成功です。 部長のそんな顔、初めて見ましたからね。 そんな台詞は飲み込んで、ディスプレイに向かう。 隣の後輩もクッキーの袋を開いたまま、それを見つめて子供みたいに笑って。
こうして女は、一つの境界線を超える。]*
(75) 通行人 2021/02/20(Sat) 23時頃
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こんな季節に変なことを試すより、 その時に暴れて騒いでくれたら良いと思います
[ 鉛筆の位置は非常に危うく、落ちたというよりは奇跡的に引っかかったと言うべきだろう。
異質な火災訓練、それが理由で持ち主に放られたというのだろうか。鈍感な隣人の為に本来の仕事から外れ、不憫なことだ。 落ちた一滴の黒、濡れた裸足、見たことのない柔らかい表情、今夜の行動。言われるがままを呑み込むには、最近の彼は違和が多すぎる。
空を叩くような仕草>>61は、舞台上で見る共演者の演技を思わせた。 反論を返した時だけは滑らかに語ったこちらも、似たようなものだったかもしれない。
簡潔な答えしか返らなかった指摘もそれも、本当に言いたいことでは無かった。 いつもならそうして、冷たいものが生じた異物を覆い直してくれる。
石が投げ込まれ続ければ、大きな流れもいつか堰き止められてしまう。 ]
(76) ガラシア 2021/02/20(Sat) 23時半頃
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[ 迷いを経た切り出しには、すぐに答えは返らなかったか。 沈黙が終わるまで、目を閉じたその人>>62を見つめていた。 二人の視線が合い続けることは出会った頃から無い。それだけは相変わらずだ。
何処か遠くで鳴いていた鳥の種類は、自分には分からなかった。 ]
……! はい
[ 愛想が無い、語りきらない。隣人らしい返しだった。>>64 息を吐き、こちらも短く返す。断られても圷がそれでいいなら構わなかった筈が、何処か安堵していた。
彼の姿が見えなくなれば、振り返り部屋の反対側へと向かう。 その前に窓は閉じているが、あの香りを未だ感じているのは、錯覚だろうか? 強い風が空だけではなく隣の部屋まで運んでしまったのかもしれない。 ]
(77) ガラシア 2021/02/20(Sat) 23時半頃
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─ 朧の間前 ─
[ 夜更けの廊下にその音は>>65よく響き、こちらの部屋の中まで聞こえていた。 先に待っていた圷と、改めて顔を合わせる。 薄闇と乱れた髪>>61が曖昧にしていたものは、存外柔らかい。>>65それ以外は、普段と変わりなく見える。 ]
こんばんは、お邪魔します
[ 挨拶と裏腹、すぐには動かない。 もうそうする必要は無くなったというのに、首を傾けてその顔を眺めた。
小柄な女性や子供と話す時には、顔が見づらくそうすることがある。 ただ、圷の身長差はこちらのほうが多少高く、相手の姿勢が正されればもう少し縮まりそうな程度だ。 もしその行為について問われても、答えは返さない。廊下で話をするつもりはなかった。 ]
(78) ガラシア 2021/02/20(Sat) 23時半頃
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[ 掴めない、掴まないようにしていた朧の中に 望んで踏み込んでいく。 ]
(79) ガラシア 2021/02/20(Sat) 23時半頃
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まだ二月ですよ、寒いでしょう
[ 迎え入れてもらった部屋の中を、差し入れの時のようには眺めなかった。 しかし、大人しく誘導されるのを待つこともなく。 ただデスクよりも更に奥、開かれたままの窓>>64へと視線が向き 閉じ、冷たい空気の流れを阻もうと、歩いていく。
止められても止められなくても、背を向けたまま途中で足は動かなくなる。 ]
圷さん。 本当に、試したかったんですか?
[ 何か言いたいことがあったのではないか、と。
あの時とはまた違う不躾と取られてもおかしくないが、こうしなければ踏み入ることも問うことも出来なかった。 二人の間にあった距離感を、相手も望んでくれていると思っていたからだ。
窓を叩く一石となる役をこなした鉛筆は、まだ竜海の手の中にいる。* ]
(80) ガラシア 2021/02/20(Sat) 23時半頃
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─ 喫茶NARUMIにて:とあるOLの会話断片 ─
あなたを怒らせて あなたの中の「他人」を ひきずり出してやらなきゃね
って。 性格悪い詩人もいたもんだなーなんて 昔のあたしは思ってたっけね。
(81) 通行人 2021/02/21(Sun) 00時半頃
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えっとね。 真冬に素潜りしたら、 世界の秘密が一つ明かされてしまいまして。 素潜りで獲ったナマコが SNSデビューしまして。
あたしは真剣でした。真剣でしたよ。 ……まぁその、 意表を突かれた結果の素潜りっていうか。 その因果が巡り巡って別の場所で、 別の驚きとして芽吹いたというか。
でも、なんていいますか。 驚きって人を暴く性質があるんだね。 望まないものであっても。
(82) 通行人 2021/02/21(Sun) 00時半頃
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あたしはどちらかというと暴かれたくない方で。 だから何があっても大丈夫なように 色々と頭を使うわけなんですけれども。 それでも、ああ、そっか。 これがいわゆる、惚れた弱みって奴なのかな?
暴かれたくないって張った意地が、 ひきつれて、裂けて、もう滅茶苦茶。 乱されて、よろめいて、何が何だか───
でも、 動かなくちゃ点のままだった。 引きずり出されて、暴かれて。 初めて、落っこちたインクが伸びて。 線になった気がするんだ。
『動かなくちゃ』って。 やっと思えたんだ、あたし。
(83) 通行人 2021/02/21(Sun) 00時半頃
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「何も知らない」からね。 それは自覚してる。 そこそこ知ってると思ってたあすこの人たちのことも、 なぁんにも分かってなかったって、 素潜りナマコSNSデビュー事件で分かったから。
だからこの先、 知らなかったことを知って、失望するかも。 もっと拗らせるかも。好きになるかも。 嫌いになるのかも。記憶から消し去るのかも。 あすこに住み続けることすら、無理になるかも。
被害妄想? ありとあらゆる可能性とリスクを想定しますよ。 だってあたしだもの、敷波玲だもの。 けど、動かなくちゃあ何処に行くこともできない。
恥をかくなら、かきとおさなくちゃね。
(84) 通行人 2021/02/21(Sun) 00時半頃
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[それでも尚。 女の両足は、越えられない境界線の前に。]
(85) 通行人 2021/02/21(Sun) 00時半頃
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─真夜中:共用スペースの炬燵にて─
……、 … っだ、 拙い拙い寝過ごし………
[突っ伏して眠っていた女が身を起こしたのは、深夜のことだ。 仕方ないでしょう、だって昨晩は大仕事だったんだから。 喫茶店から賀東荘に帰ってきて、疲労分の癒しを求めて 炬燵に入ったらそのまんま、なんてみっともないけれども]
…寧ろ丁度良い時間帯、だったりする?
[炬燵から足を抜き、大きな窓から海を見つめる。 普段、眠る前には水平線に近い位置の月が 今の時間帯は遥か高い位置。 窓枠を外れたそこの輝きは見えやしない]
(86) 通行人 2021/02/21(Sun) 00時半頃
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そっか。 此処が。
[あのひとの見ている世界か、と。 船明かり一つないどころか、 水平線と空の境界すら曖昧な闇を前に、佇む。
真夜中の賀東荘。 思えばじっくり歩くのは初めてだったかもしれない。 お手洗い、トラブル、その他諸々。 夜中に起きることは全くなかった訳ではないが、 それらはあくまでも用件あってのことだ。 当てもなく歩くことはない。
廊下の剥製の硝子まなこは無感情に沈黙し、 夕方は西日を受けて輝くペナントやプレートは、 今や無彩色に沈んでシルエットばかりが強調されている。 何処かから水滴の垂れる音。その向こう側から轟く海の音。 微かに聞こえるのは犬の遠吠えか、赤子の夜泣きか、それとも誰かの啜り泣き?]
(87) 通行人 2021/02/21(Sun) 00時半頃
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…大丈夫。 渡すだけだし。
[謝罪という体裁でね。 そう自分に言い聞かせて、 窓に映り込む己の虚像へと頷いて。]
(88) 通行人 2021/02/21(Sun) 00時半頃
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[────それでも尚。 越えられない境界線の前に、女は立っている。] …、 ───大田さんだ…。
[引き戸の滑る音>>65、 廊下の板が誰かの歩み>>78で鳴る音。 こそりと物陰から覗く視線の先には、朧の間の前で向かい合う2人の男。 想い人と、今最も、話しかけづらい男である。]
流石に邪魔はできないや。 …落ち着くまで待っとこう。
[何を話しているんだろう。 あたしとニトちゃんさんみたいに部屋飲みでもするんだろうか。 (それで時間が掛かるなら扉の前にそっ置きしておくべきだろうか) 2人は案外、仲が良かったんだろうか。]
(89) 通行人 2021/02/21(Sun) 00時半頃
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[恋の揺れに怯え。傷を厭い。意地を張って。 想い人を知ろうとしなかった女は、 其の心のうちを理解することはない。
壁に背をもたれて、 膝をたたんで座り込んで。目を伏せて。 彼らが生きる夜の水底で。 静かに、静かに、呼吸している。
オフィスでは越えられた境界線を、 踏み越えられずにいる。]*
(90) 通行人 2021/02/21(Sun) 00時半頃
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― バレンタインの終わり際・『朧の間』前 ―
[戸を引いて間もなく、隣人>>78は現れた。己よりいくらか高いその顔が廊下の灯りに照らされている。のっぺりとした表情は、普段と変わりなく見えた。]
……。
[鉛筆ひとつ届けてもらっただけだ。本来なら招き入れる必要はない。それなのに己は当たり前のように半身を引き、彼も入室の挨拶を告げる。しかし足が動いたのはこちらばかりで、彼は敷居を跨ぐ手前で動きを止めた。
開きかけた口は途中で止まってしまった。何を言おうとしたのかすら思い出せない。 彼がこちらを見ていたからだ。光すら吸い込まれてしまいそうな瞳で、彼が特別に想うあの絵画ではなく、己を。 差の少ない視界も、背を丸めて目を伏せてしまえば簡単に逃れることができる。静止の理由を尋ねることも先を促すこともせず、交錯を断ち切るように踵を返した。]
(91) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 00時半頃
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[目を逸らすのはいつも己だった。 背徳を孕んだ背後で、彼>>79が踏み入る音が届く。]
(92) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 00時半頃
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― 『朧の間』 ―
[部屋の中は数日前とたいして変わらない。 キッチンの前に置かれた開けっぱなしの段ボールも、灰皿に積まれたタバコの山も、彼が唯一恒常を破った>>2:244パソコンも。空になった洗濯カゴだけが、時間の経過を示している。 背後に続いていた足音>>80が己を通りすぎ、窓際へと向かった。その動きを阻むより前に彼の言葉が続く。澄んだ夜を抱えた背中、表情は読めない。]
……暴れて騒ぐ必要があるって分かって良かっただろ。
[身を傾けて落ちる危険も、危機ひとつ知らせられない壁も。指摘>>76を受けた時と違い、両者を遮るものはない。 止まった足を追い越し、開いたままの窓に手を伸ばした。
鉛筆はまだ十分な長さを有している。原稿用紙も多くの仕事>>1:3>>2:40を割り振られる程には有り余っていた。 アナログしか許されなかった時代とは違い、作家が筆を執る機会はめっきり減ってしまっている。
たいして話題にもなっていない作品だけを手に、バイトのひとつも抱えていない。 窓枠を押し広げるのは、ささくれひとつない、甘やかされた指だった。]
(93) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 01時頃
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二月だからいいんだよ。 頭がよーく冷えるしね。
[目を合わせ続けることもできない癖に、背を晒し続けることも落ち着かず振り向いた。冬の潮風がタバコの匂いと混じって部屋を巡る。 視線は彼ではなく、デスクにあるパソコンへ向いた。]
……今度、本出すから。 暫くは芝居、観に行けなくなると思う。
[スリープモードの暗闇の下、一時停止された動画のエンドロール>>50。 作者の欄には――「あくつ文彦」と、書かれている。]
(94) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 01時頃
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[柊へのお詫びを買いに行った際、店いっぱいに並ぶチョコを眺めた。ハート型のもの、鮮やかな色のものもあれば、シックに纏められた雰囲気のあるものまで。好きの形も多岐に渡るようになり、それを贈り表す形もまた、幅を広げているようだ。 それでも、その中に己の恋は含まれていない。 チョコなんて甘ったるいもの、薬を過ぎて毒になる。
だから己が唯一与えるのは、いつかの最後>>1:101を奪う微かな理由だけだ。 あれはただの冗談で、彼が彼の唯一から離れることはきっとないだろうけれど。それでいい。 それくらいで、いい。
これまで通り、問い>>80に明確な答えを返すことはない。掌にあるのは他人事だったあの声>>2:211に過ぎった欲が残した、ただひとつの形だけだ。]*
(95) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 01時頃
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["So schenkt mir ihn, denn ich kann nicht leben, ohne Schneewittchen zu sehen, ich will es ehren und hochachten wie mein Liebstes."]
(96) すい 2021/02/21(Sun) 02時半頃
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["Ich habe dich lieber als alles auf der Welt."]
(97) すい 2021/02/21(Sun) 02時半頃
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[たとえば── 僕に地位や名誉、権力や金があったなら、 そんなふうに臆面もなく、素直に愛を伝えることが出来ただろうか?
あるいは、目を覚ました彼女が一瞬でその愛を受け入れるような、見目麗しい容姿をしていたら?
けれど残念ながら、僕にはそのどれもが無かった。 自信を持てる何ひとつが無いから、 愛を告げる勇気すらも、無かった。
ただ もし、強いて人に優るところがあるとするなら、 僕は灯が消えた彼女を、誰よりも美しくできるし、 僕は白く冷えた彼女を、誰よりも愛せる。
だから、僕は。]
(98) すい 2021/02/21(Sun) 03時頃
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─ バレンタイン・未明 ─
[夜の静寂の中、ただ掲げられた時計の秒針が時を刻む音が響く。 混じった異音は、時刻に見合わぬ戸を開く音。 そこからゆらりと現れた亡霊のように白い男は、 床板を静かに軋ませて、誰もいない廊下を歩む。
時計の長針と短針が重なって真上を指す、 2月14日が始まる、その時間に。
男は 凪の間の前に立った。]
(99) すい 2021/02/21(Sun) 03時頃
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[伸ばした手で、音も立てず扉に触れて、 その先にいるはずの彼女を想って、 少し泣きそうに目元を歪めて。
手に持った小さな白い花>>2:241に、視線を落とす。
ああ、自分でも、分かっている。 これは今日、きっと数多の人々が贈るであろう 甘いチョコレートではない。 受け取っても、決して喜ばれないもの。 生きる者ならばみな等しく、不快にさせるもの。
ゆえに、これは。 贈る、なんて大層なものではない。 ただの 願望の押し付け。 愛と呼ぶには醜すぎる、 酷い 祈りだ。]
(100) すい 2021/02/21(Sun) 03時頃
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……でも、ごめんなさい。 これが、僕の 精一杯 なんです。
最低な僕で、 ごめんなさい。
(101) すい 2021/02/21(Sun) 03時頃
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[そうして。 ひとりぼっちのスノードロップを、 扉の前に置いた。]
(102) すい 2021/02/21(Sun) 03時頃
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[ 何の重石もない、ただそこに置かれただけの小さな花だ。 朝の光が射す頃には、ゴミと思われ片付けられるかも。 誰かに踏み付けられるかも、あるいは風に飛ばされて、廊下の隅で埃を被りながら干涸らびるかも。 でもそれでもいい。 それで いい。
こんな最低な贈り物は、 最高である彼女には相応しくないから、 こんな最低な僕は、 最高である彼女には相応しくないから、
想いに気付いてもらえる資格も なかったのだと、分かるから── ]
(103) すい 2021/02/21(Sun) 03時頃
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[人影も消え、誰もいなくなった闇の夜に、 ぼんやりと白く浮かぶ小さな花。 ──その花の意味は、 ]**
(104) すい 2021/02/21(Sun) 03時頃
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─ 朧の間 ─
……。
[ 分かりたかったのはそんなことじゃない。>>93
求めた形とは違う答えと、追い越して窓に手を伸ばす背中。 浮かんだままを子供の駄々のように口に出すには、27歳は充分に年を取りすぎていた。
目を逸らす>>91よりも簡単に、圷の言葉と心は手からすり抜ける。 遮るものは何も無い筈なのに、相手が分からない。 口論など芝居の中での話、少しの反論すら珍しいことの自分では最適な続きが浮かばない、伝えられない。 ──振り絞ったものが尽きかけている。
この部屋の中も今の圷も、まるで変わりなく日常の中にいるようだった。 でも、相手がそうあることを望んだのはきっと自分が最初だ。 ]
(105) ガラシア 2021/02/21(Sun) 03時頃
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そんなことをしているから、風邪を引くんです
[ 本当の想いは押し込んでしまうのに、それ以外は簡単に口をつく。 人間とはそういうものだろうか。 灯る温度も無い声とまともではない愛情を持って、弱い部分だけは普通の者達と変わらないなどと。 更に広くなった入り口から入り込む潮風が>>94、室温を更に厳しいものに変えながら嗅ぎ慣れた香りを巡らせていた。 ]
……え、
[ 振り向いた彼はこちらではなく、画面が消灯したパソコンへと向いた。 ややあって告げられたのは、あまりにも予想外の内容。
今ここでする話題がそれであることも、自分が教えてもらえることも。
漏れた声には驚きが乗り、ほんの僅かな間、目を見開いてしまった。 自分がこの部屋の異物のように感じ、行ったことに後悔を感じ始めていたところだった。 ]
(106) ガラシア 2021/02/21(Sun) 03時頃
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そうなんですか、……おめでとうございます。 本当に驚きました。
こちらのことはどうぞ気にせず、専念して下さい
[ 冬の風より余程頭が冷える。全てそれが理由だったのだろうか。
その業界には明るくないが菓子は担当か相手先への挨拶の為か、本当に誰かに何気なくあげたのか。 悩みではなく明るい方向性だったのなら、自分も喜ばしく感じる。 一度も感想を伝えてくれていない圷が、こちらの公演を思いの外気にしてくれていることも。 ]
立ち退きの時に頼むことは、別に考えたほうがよさそうだ
[ ふといつかの冗談を思い出し、唇の両端が僅かに持ち上がる。 隣人の突然の告白内容に意識が向いている当人にも、自覚がない程度の微細な変化だった。
タイトルもペンネームも今は聞かなかった。今後聞くことや、本を手に取り知る機会があるかもしれない。 本当に困窮しても、荘から去ることは手を尽くして避けるつもりであるように。 これからも圷文彦と大田竜海は隣人であり続けるだろうから。 ]
(107) ガラシア 2021/02/21(Sun) 03時頃
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次にお知らせがある時は、 窓じゃなく扉からお願いしますね
[ 長い鉛筆を差し出す。 これを届けただけなら入る必要なんて無かった。 入室を許した相手も>>91理解していただろうこと。
返却は、此処にいる理由を手放すに等しい。 今は惜しくもなくそれが出来る。 ]
こんな時間に入れていただいて、ありがとうございました
[ 一礼する時には表情は元の鉄面皮、何も無ければそのまま辞すだろう。* ]
(108) ガラシア 2021/02/21(Sun) 03時頃
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― 朧の間 ―
[逸らした視線の先、黒く眠るモニターに押し黙る青年>>105の姿がぼんやり映る。その表情は読めないが、沈黙が望む答えを与えられなかったことくらいは分かった。 どれだけ近寄っても、朧を掴む>>79ことなどできはしない。むしろ触れる距離にいるからこそ、指の股から零れ落ちていく様をまじまじと目にしてしまうのかもしれない。
嗜めるような声>>106をあしらいつつ、もし微かでも彼の不満を感じ取ることができたなら、男の指先は震えていた。外気に冷えきった風を装い、拳を握りしめる。
己が、彼を揺らす理由になった。 それは忌避すべきことだ。 数日前、彼の視線を唯一から奪ってしまった時>>1:226と同じ。その役目は自分であってはならない。
そう思うのに、どうしようもなく歓喜に震える心がある。 恋と相反する欲が全身を巡って、治りかけの喉を張りつかせた。生唾が咽頭を過ぎ、胃の中でぐちゃぐちゃに入り混じる。 言葉>>94が口からまろび出たのはその後だ。]
(109) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 06時半頃
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[意味があるのかすら分からない。 伝わるのかどうかさえあやふやだ。 今日渡す必要だってなかった。
書店の片隅でいつか目にするかもしれない己の名は、チョコレートよりずっと捻くれた恋の欠片だ。 気づかなくていい。気づかれない方がいい。 黙せばいいことを口にしてしまうのは、どうしようもない己の欲のせい。人はそれを、執着と呼ぶのかもしれない。
歪な恋は、相手の心を求めない。 男の欲は、相手のすべてを奪おうとした。
ならば、これまでもこれからも、何度だって欲を殺そう。 己の恋は、危うい均衡の上に成り立っていた。]
(110) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 06時半頃
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[彼の心情>>106など知る由もなければ、推し量ろうとさえせずに、驚きの声を耳に留め、祝辞を適当に受け流す。
――それなのに。 無意識>>107というものは、きっと何より心を揺らす。]
……っ、
[おそらく同じ話を思い浮かべている。冗談であることも理解していた。それでも、たぶん、傷ついた顔をした。 身勝手に相手を振り回している癖に、それを楽しんでいる節さえあるのに、自分が振り回される立場になった途端、容易に崩れてしまう。]
――、
[「どこにも行くなよ」と、言おうとして]
……。
[朧気な笑みに見惚れて口を閉ざした。]
(111) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 06時半頃
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[差し出された鉛筆>>108は、真夜中の異質を終わらせる合図だった。 彼の手元に視線を落とす。その指先は、己のものよりずっと人間らしいように思えた。
手首から手の淵、小指の付け根から関節へ、指の先の山をいくつか越えて、鉛筆を掴む。辿った道に直接触れることはなかった。時間もそうかからなかったはずだ。 撫でるような仕草に深い意味はない。ゆえに何もなかったかのような顔をして、鉛筆を掴む指に力を込めた。]
そこは、もう呼び出すなって言うとこじゃないの。
[譲渡は握手に似た形で果たされた。 理由を失えば、どちらともなく出口へと向かう。]
(112) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 06時半頃
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届け物ご苦労さん。 さっさと帰って寝ろ。
[寝ろ。全部忘れてしまえ。 帰れ。欲望が永遠の恋を台無しにしてしまう前に。 何もかもを偽り、誤魔化し続けている己には、望む答えを与えることなんてできないのだから。 言葉の裏に隠れた意味は、最後まで形を成すことない。 だから、彼が鳥の名>>77を知らないことも、贈り主について思考を割いていたこと>>107も気づけないままだ。
鉄面皮>>108が日常の帰還を告げる。それに安堵と痛みを感じながら、彼の背が隣室へ消えるのを見守るつもりだ。
二度と来るな――とは、どうしても言えなかった。]*
(113) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 06時半頃
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― バレタイン当日:NARUMIにて ―
[2月14日。いわゆる聖バレンタインデー。それに肖ったキャンペーンはNARUMIではもう少し続く。 彼女達がいつ来るかわからないし。いや来たからといって、限定メニューを頼むとも限らないけれど。]
( 娘さんもお年頃だし、バレンタイン当日は流石に来ない気がするんだよな。それに先代から聞いたナルミちゃんの年齢が正しければ、たぶん今年で…。)
[いつものように珈琲、そして季節柄チョコレートの香りのする店内で、業務をこなしつつ、物思いに沈みかけていたら、 ベルが鳴り、“待ち人”が現れた。いつものように恐らく待ち合わせよりも早い時間に。]
(114) utatane 2021/02/21(Sun) 07時頃
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いらっしゃいませ。
[テーブルへと案内するのはバイトの子。俺はカウンター越しから珈琲の準備をしながら眺めるだけ。 いつものように窓際のテーブル席に座る。娘さんが来たらすぐに気がつける、ように。]
(ああ、今日も綺麗だ。)
[しばらくして娘さんが来て、キョロキョロと店内を見回した後、嬉しそうに母親の元へと向かう。探す過程で目が合って、何故だか会釈されたので、こちらも軽く頭を下げた。 先代には懐いていたからなぁ。自分は下心があるから、迂闊に近寄れないけれど。
楽しそうにメニューを見る娘さんを、珈琲を飲みながら穏やかな笑顔で眺める“彼女”。 今月も無事、見たかった風景を見ることができました。ありがとう、神様。先代様。何気ない風を装って、心の中でしっかりと手を合わせて、拝む。]
(115) utatane 2021/02/21(Sun) 07時頃
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[娘さんが頼んだのはカフェラテとガトーショコラ。おや?クリームソーダ頼まないんだ。彼女もピンクのクリームソーダの似合う可愛らしい子なのに。 …もしも、自分と同じように、あの母娘を気にする者がいれば、もうずっと前から頼まなくなっていたよ、と指摘していたかもしれない。
もしされていたとしても彼女の向かいに座る人に夢中で、気にとめなかったかもしれないけれど。]
(116) utatane 2021/02/21(Sun) 07時頃
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[自分が魔法使いなら、このまま時を止めてしまいたい。いや、他の誰かにこのまま閉じ込めてほしい、などと、この時が来る度にそう願う、けれど、果たされることはない。
それでも、自分は満たされているのだ。
母と娘の幸せなひととき、を、眺めているだけで。]
(117) utatane 2021/02/21(Sun) 07時頃
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[けれども、魔法は発動することなく、彼女達は席を立つ。 会計を終えた彼女に、また(来月)お待ちしています、と声をかけて、いつものようにそっと見送ろうとすれば、一旦は扉に向かい背を向けた彼女が、くるりと振り向いて、突進といっても差し支えない勢いで、俺の目の前に立った。]
「あの、これ、受けとってください! 今日が最後だから、その…、 受けとってくれるだけでいいから!」
[真っ赤な顔で、小さな紙袋を俺に押しつけたのは、ナルミちゃん、だった。その勢いに気圧されてつい受けとってしまえば、すぐさま逃げ出すようにそのまま店から出て行ってしまった。]
(118) utatane 2021/02/21(Sun) 07時頃
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えっ?えっ、ええ?
[残された“彼女”をみれば、彼女も驚いた顔で立ちすくんでいた。それでもやっぱり背筋の伸びた、綺麗な立ち姿だ。]
「すみません、娘が突然…。」
「慌てて頭を下げる“彼女”に、いえ、ありがとうございます。と裏返った声で返した。]
[私のことは気にせずに娘さんを追ってください。そう声をかけるのがベターだったかもしれない。
受け取れません、と突き返した方がいいのだろうか?
でも、自分が口にしたのは、聞き逃せなかった言葉への問いかけ。]
(119) utatane 2021/02/21(Sun) 07時頃
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あの、“最後”というのはどういう…? もう来月からはいらっしゃらない、ということですか?
[紙袋を持つ手に力が入る。持ち手なので中身をつぶしはしなかったけれど。 まさかこんな風に“彼女”と向かい合う日がくるなんて、と、動揺を隠せないまま、どことなく申しわけなさそうな彼女を見つめていると。]
「マスタぁ…」
[バイトの子の戸惑う声が聞こえて我に返った。]
あ、すまん。…お客さんをお送りするから、しばらく頼むわ。すぐ…帰ってくるから。
[お騒がせしました、と、他のお客さんに頭を下げ、それから、外でお話いいですか?と、“彼女”に話しかけた。]
(120) utatane 2021/02/21(Sun) 07時頃
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― 商店街の片隅で ―
「突然すみません。」 「私も知らなくて、いえ、娘から二代目かっこいいって聞かされてはいましたが…。」
『おじいちゃんマスターと似てるよね。親戚って言ってたから、きっとおじいちゃんマスターは若い頃あんな感じだったんだよねー。』
[先代が彼女達が来る度気さくに話しかけていたから、ナルミちゃんも、先代を気に入っていたらしい。母方の祖父母とは会いづらくなってしまったのもあったのだろう、と。]
「先代のマスターさんに可愛がられていたから、先代のことが大好きで、…あなたのことを好きと言ってたのも、その延長だと思っていたのです。」
…じゃあ、これは先代に渡した方がいいかもしれませんね。
「いえ、それならちゃんとそう言うはずなので…、 ご迷惑でなければ、受けとってください。もう来れないので、お返しも気にしないでくださって結構ですので…」
(121) utatane 2021/02/21(Sun) 07時頃
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あの、今日が最後って、もうお二人、会わないってことなんです?それとも、うちの店に何か問題があった、とか…?
「いいえ、違います。私も娘もナルミで会うのを楽しみにしてました。でも、娘が春から都会の大学に進学がすることになったので…。来月は上京の準備で忙しくなりそうだから、私の方から…。」
あ…、それは、大学合格おめでとうございます。なるほど、そういうことだったのですね。
[すとんと腑に落ちる理由。素直に良かった、と思ってしまった。 自分はもう会えなくなるかもしれないのに。]
…お二人が会えなくなるわけではなくて良かったです。
(122) utatane 2021/02/21(Sun) 07時頃
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[それでも都会に行くなら、会うのが困難になるのでは?と、つい余計な差し出口をした俺に、彼女ははにかむように笑った。
直接会うのは今より少なくなるかもしれないけれど、パソコンで通話できるようになるから、顔を見る機会は今より増えるらしい。 父親が再婚してできた家族に気を遣って、最低限の連絡しか取れなかったけれど、これからは前よりまめに連絡がとれそうだ、と。]
「でも、大学生になったら新しい出会いがいっぱい会って、母親のことなんて二の次三の次になってしまいますよね」
[言葉とは裏腹に晴れやかな笑顔を浮かべる“彼女”が眩しくて目を伏せる。]
そうかもしれません。環境が変わると慣れるまで大変ですし。自分の学生時代を思い出します。きっと新しい出会いもあるでしょうね。
(123) utatane 2021/02/21(Sun) 07時頃
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…でも、いつかまたうちの店にもきてください。ナルミちゃんにもそう伝えておいてください。
[はい、と微笑む彼女を見て、
ああ、多分もうこの人とは来ないな、と.
娘さんはいつかまた来てくれるかもしれない。 けれど、彼女はもう来ないだろう。 少なくとも一人では。]
(124) utatane 2021/02/21(Sun) 07時半頃
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あの、良かったら…名前を教えていただけますか?
[最後になるなら聞いてしまおう。今日の日を心に刻むために。]
(125) utatane 2021/02/21(Sun) 07時半頃
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[お引き留めしてすみません、と頭を下げて、店に戻りがてら、一度だけ“彼女”の方を振り向いた。 今どこにいるの?ときっと娘さんに携帯で話しかけているであろう後ろ姿。]
お幸せに、………、さん。
[ようやく知った名前も、こうして口にするのはもうないだろうな、と感傷気味に店に戻れば、マスター遅い!とバイトの子の悲鳴に出迎えられ、忙しなく一日を過ごした。]
(126) utatane 2021/02/21(Sun) 07時半頃
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[仕事の合間に、もらった紙袋から贈り物を取り出す。青い包み紙に金のリボンのそれをがさつに開ければ、スプーンの形のチョコレートが並んでいた。あ、これ、お店で出すのも良さそうだな…。
俺が喜ぶものを…って、真剣に選んでくれたんだろうなぁ。 あの人の娘、 大叔父が可愛がっていた娘。 月一で通ってくれていたお客様。 自分にとっては、それ以上でもそれ以下でもない。俺が“彼女”を見つめていたように、彼女も俺のことを見つめてくれていたのだろうか。
紙袋の奥底にはメッセージカード。シンプルだけどストレートな告白に、彼女の名前の入ったアカウントが添えられていた。
自分から連絡することはないだろう。けれど、あっさり破り捨てることはできなくて。]
(127) utatane 2021/02/21(Sun) 07時半頃
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ああ、でも、良い機会だから SNSでの宣伝に力入れてみようか。
[そう言った話は、前も出たけれど、下手に有名になって繁盛してしまったら、彼女達が来づらくなってしまうのではないか?なんて狸の皮算用をした。 お客さんが宣伝してくれるのは歓迎していたけれど、お店のアカウントやらは作るだけ作って放置したまま、のらりくらりと。]
何から手をつければいいだろう?
[賀東荘の若者に聞いてみようか。 ひとまず頭に浮かんだのは、お店にもよく来てくれる早乙女さんの顔だったが、宿木の間の彼女や天の間の彼にも、聞いてみてもいいかもしれない。
でも、それは明日にしよう。 せめて今夜は、思い出に浸って眠りたい**]
(128) utatane 2021/02/21(Sun) 07時半頃
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["ネットではいくらでも嘘がつける" 一般論として口にしたのだろうが、それでも胸にぐっさりと刺さった。>>67 彼女もまた、幾らかの嘘を交えて遣り取りしているのかもしれないが。男のような疚しいことと後ろめたさしかないものとは違うだろう、なんて、勝手な想像でしかないのだけど。]
……うん?
[満更でもない様子に、自然を頬が緩む。羨望と嫉妬は、自然と応援に変わっていた。 せめて彼女の恋心は、正しく伝わるといいと。 いつもと違う目線から腰をあげ、何か言いよどむ彼女と向き合う形を取って、言葉を待つ。>>68]
(129) mumriken 2021/02/21(Sun) 12時半頃
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[すべてが、男にとって都合のいい思い込みと思い違いであったと知るのは、その直後。]
(130) mumriken 2021/02/21(Sun) 12時半頃
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えっ、 …………。
[零れる涙に、落ちる言葉に思考が止まる。 押しつけられた紙袋はかろうじて落とさずに済んだが、急転直下の展開に暫くその場から動けなかった。
────俺は、何をした? 彼女に何を言った? 中を検めずとも解る紙袋がずっしりと重く。
それでも、追い駆けることはできなかった。 うそつき、に込められた意味を、思いを知るのが怖い。直感でそう感じたことがきっと答えで。 答え合わせをしたところで、彼女の指摘を認めるだけだろう。
男はとんでもない嘘つきであると。 早乙女を傷つけたかもしれない、誤解があるなら解きたい、けれどそれ以上に、裡に隠す秘密を知られたくない。そんな、保身に走る情けない男であることを。]
(131) mumriken 2021/02/21(Sun) 12時半頃
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[──その後のことは、男自身も記憶が曖昧だ。 普段ならとうに寝ているだろう時刻。深夜未明に送ったメールは二通。
あの人へ。明日の待ち合わせ場所と時間。 早乙女へは詫びと、少し時間をくれ、と。]*
(132) mumriken 2021/02/21(Sun) 12時半頃
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[柚木が呆けている間に走って、走って。 賀東壮の入口を潜って、 自室の扉を慌ただしく開けて閉め ずるずるとその場にへたり込んだ。
動悸が激しい。 頭の中が熱くて、その癖妙に冷静で、 スカートクリーニングに出したばっかなのに また汚れちゃったな、って考えてた。]
………あーあ。 やっちゃった。
[むりやり絞り出した声は掠れて震えて、 自分を元気づけようとしたのに、 ますます情けない気持ちになった。 流石の柚木も、ここまでやれば気付いただろう。 己の意図に。気持ちに。]
(133) guno 2021/02/21(Sun) 13時半頃
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[去り際の柚木の顔は滲んで良く見えなかったけれど、 彼が追いかけてこないことが 何より雄弁に答えを物語っている気がした。
分かってたのに。 終わってしまった。 こんなにも呆気なく。
やっぱり変なこと言わなければ良かった? チョコレートなんて買わなければ良かった? ほんのちょっとの期待なんて、するんじゃなかったなあ。
後悔と羞恥と情けなさがぐるぐる渦を巻き 大粒の涙に混じって、 すっかり冷めたミルクティーの 缶の上へと落ちていく。]
(134) guno 2021/02/21(Sun) 13時半頃
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は、あはは……… は、 ……ふ、うぇ、 うええぇぇ……… ああぁ………ぅぅぅぅ…… ふえええ……
[碌に頭が回らなくても、 体は最低限のルーチンを覚えているもので。
しゃくりあげ、ぼたぼたと涙を垂れ流しながら のろのろ立ち上がって服を着替えて、 メイクをざっと落として、 毛布を被って無理やり横になった。
ひたすら泣いているうちにいつの間にか 夜が明けて朝になっていればいい。 そうは思ってもなかなか寝付けず、 ようやくまどろんだのは、 スマホが小さく音を立てた頃だった。*]
(135) guno 2021/02/21(Sun) 13時半頃
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─ 朧の間 ─
[ 傷ついた顔をしたように見えた気がした。>>111それは表情を変えるには至らない。 思い上がりじみた錯覚に違いないとすぐに考えたからだ。
口にしたのは冗談の続きで、自分は圷にとってただの隣人。 もしかしたら他の者達よりは話す機会が多いかもしれない、その程度の存在。
対するこちらから見る彼は、言葉選びがシニカルで、人とは違う視点から物事を見ていて、こちらの伸ばす手など容易にすり抜けてしまう。相応の年の差を感じさせられる大人の男。 もし寂しさを感じてくれても、表層に現れるような傷を付けることなんて無い筈なのだから。
大切な欠片をまた自分の物差しで歪めて測り、途絶えなかった一方的な喜びが心を落ち着つかせていく。 望む距離をどれ程危うい薄氷の上で育んできたのか>>110 相手を思って行ったつもりの踏み込みが、どれだけ足元と彼に負担を掛けていたのか。 何も知らないまま、伝えられなかった言葉など分かる筈もないまま。 彼が口を閉ざすことで訪れる沈黙を、届け物を差し出すことで容易に壊してしまう。 ]
(136) ガラシア 2021/02/21(Sun) 16時頃
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[ なぞるような撫でるような、けれど触れることはない動き。>>112 煙が流れてゆく様を彷彿とさせられた。
ただその仕草を目で追った。日常に帰還した頭が意図を問うことを選ぶ程の時間は、そこには無かった。 隣人が思っていたよりも綺麗な指をしていることに、今更気づく。 ]
いいえ。 必要があれば、何度でも呼んで下さい
[ 辿り着いた指先が迷子を掴めば、あっさりと引き抜けただろう。 この異質を終わらせることに憂いはもう、無くなっていたから。
普段相手から受け取っているような、答えにならない答え。 互いの手が握手にも似た形を作る状況では、まるで重大なことを告げたようであったが ほんの少しの踏み込みで何かを知った気になり満足した男は、先程の様子を気にしていたわけではなく。 当たり前にあると思っているこれからについて、ごく自然に口にしただけだった。 ]
(137) ガラシア 2021/02/21(Sun) 16時頃
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─ 朧の間前 ─
そちらも夜更しは程々に。 風邪は治りかけが危険ですよ……お休みなさい、また明日
[ どちらともなく向かった出口。 なんともぶっきらぼうな言葉選びの見送りだろうか。>>113
隣人がらしくあることが、何より落ち着き安心させられる。 迎えられた時よりは口数多く残していくこととなる。
冷え切ったのか、拳を形作り握りしめていた手。>>109 一度視線をそこに落としてから、背を向けた。
思いもよらなかった打ち明け話は 甘くもなく、潮風で冷えて形もない、癖がある煙の香りをしていたが。 他人への誰かの想いではない、良い贈り物だった。 ]
(138) ガラシア 2021/02/21(Sun) 16時頃
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[ 真夜中の邂逅を誰かが目撃し、今尚座り込んで待っている>>90ことに気づくには 目線は高く、視界は狭く、夜は深く、帰路は短すぎる。 そして凪いだ表層の奥で、未だ完全には冷え切らない暖かなものがあった。
大田竜海は彼女が潜む方向を見ることも無く、朧のすぐ隣、最奥の201号室へと消える。* ]
(139) ガラシア 2021/02/21(Sun) 16時頃
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- バレンタイン当日 -
うわ〜〜…………これはひどい……
[とは言っても大してよくは眠れず、 中途半端な時間に目を覚ました。 重たい瞼を擦って鏡を見れば 泣き腫らしたのだと一目で分かる酷い顔。
苦笑しつつ手癖でスマホの画面を見れば 柚木からメールが来ていてドキリと心臓が跳ねた。
柚木から貰う最初のメール。 本来なら嬉しいはずだったそれを見るのが怖い。 それでもおそるおそる開けば謝罪と、 時間が欲しい旨が書かれていた>>132]
…………ふう。
[深く深く、息を吸って吐く。]
(140) guno 2021/02/21(Sun) 16時半頃
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[時間って何だろう。 何か考えるようなことがあるんだろうか。
柚木に他に誰か好きな人がいることは知ってたけど、 まだ恋人という関係までは進んでいない、筈。 (もしそうだったら絶対に突き留めていた自信がある)
だからまだ決定的に振られたわけじゃない。 もしかしたらワンチャンあるのかもしれない。 ううん、柚木は誠実な人だからただ単に ちゃんと会って返事しないと、ってことなのかも。
元々想像力は人一倍豊かな愛理だ。 ぼんやりと味気ない文字を眺めていると、 どこまでも答えの出ない 思考の泥に沈んで行ってしまう]
(141) guno 2021/02/21(Sun) 16時半頃
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っあーーーーーーーーーーー!!!!!
[良くない。これは良くない。 もういっそとことんどん底まで 沈んでみるのもありなのかもしれないけど、 柚木から連絡が来るまで ずっとこんな気持ちで過ごすのは身が持たない。
ぱん、と頬を軽く叩いて、 まだ涙が出そうになったのをひっこめ。 「わかりました」とだけ柚木には返した。]
(142) guno 2021/02/21(Sun) 16時半頃
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くよくよしないの、愛理! もう過ぎたことなんだからっ
[食欲はあまりなかったけれど、 買い置きのパンをミルクティーで流し込んで 無理やり口に入れる。
柚木のストーカー……もとい、 恋の奴隷としての意義を見失ってしまった今、 ただぼんやり過ごしてしまいそうなものだったが 幸いにして本日の愛理には まだやるべき宿題が残っていた。]
(143) guno 2021/02/21(Sun) 16時半頃
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[結局あれ以来エニシから返信はない。
昨日勇気の前借りをしてしまった以上 賭けに負けても実質ペナルティはないが、 それはそれとして正体を知りたい気持ちは消えていない。 まあ、何でもいいから他に考えることが欲しかったのもあるけど。
顔を洗って、軽く朝風呂に入って着替え、 スマホの写真達をもう一度見ながら考えた。 むくんだ顔は化粧でも誤魔化せなかったのでサングラスをかけて。 まさか変装グッズがここで役立つとは思わなかったが。]
(144) guno 2021/02/21(Sun) 16時半頃
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[確信はない。だけど。
背丈の問題と、なんとなく男性っぽい という勘に従って女性陣は外す。 先日の会話で違うと思ったフェルゼも外す。
残りは圷と大田と三上と春日井。 正直この中なら誰でもおかしくない、 というよりは、”違う”と言いきれるほど私生活を知らない。 だから確率は1/4―――本来なら。
ふと、思ったのだ。 今になっても返事を寄越さないスマホ。 態と返さないのではなくて、 返せない状況にあるとしたら?
たとえば失くしたとか落としたとか、 壊してしまった、だとか。>>2:242]
(145) guno 2021/02/21(Sun) 16時半頃
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[そんなわけで愛理は1人、 105号室の部屋の前に立っている。]
「私、イリス。 今あなたの部屋の前に居るの。」
[そんなメッセージを送ったが、 推測が合っていれば届かない可能性の方が高いから。
手の甲でノックを3回。 扉を叩いて、答え合わせをしよう。*]
(146) guno 2021/02/21(Sun) 17時頃
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― 『朧の間』前 ―
[自室へ戻る彼>>138を見送った。 電灯に照らされた頸は、たとえ服に覆われていたとしても、何もかもが違うのにあの日の光景>>1:210を想起させた。 目を逸らすのはいつも自分からで、背を向けるのもそうだった>>1:81>>2:226ように思う。
一方的に注ぐ感情と、身勝手に与える繋がり。近頃増えたそれに彼が不審を抱いてもおかしくなかった。自覚してもなお、抗えなかった欲がある。普通の人間に指一本しがみつくように、2月14日の終わり際に関わりを求めた。 呼び出しに見合うものは、何も渡せなかったのだけど。いつか出会うかもしれない名は、今はまだ形を成せない。
容易に引き抜けた鉛筆>>137に視線を落とす。一瞬、揺らぎを見た。しかし別れ際には、波の残滓すら見えなかった。凪いだ海より平坦な表皮の下、何か眠るものがあった>>139としても気づけない。
――恋は、盲目だ。]
(147) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 18時半頃
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……クソ、
[負った傷を丹念に隠して、宝物みたいに抱きかかえた。あの時握りしめ>>109、気づかない内に彼の視界に納められた拳で、戸の縁にしがみついた。額を押しつけ、獣のように背を丸めた。噛み締めた奥歯が、頭の中でギチギチと嫌な音を立てる。
己の言葉が彼になんの影響を及ぼさないことを幸福だと思う。己の行動が彼になんの傷もつけられないことをもどかしく思う。この矛盾した感情は、彼を想う限り永遠に心に巣食う恋だ。 歓喜と苦渋の入り混じった悲鳴が、吐息と共に溢れた。
最奥の部屋に消えた彼>>139には聞こえなかっただろうが、思うより近くで身を折る誰か>>90には届いてしまったかもしれない。 視界は狭く、夜は深くとも。帰路はなく、視界伏して。]
……なに、してんの。
[誰もが息を潜める真夜中、甘い一日の切れ端に、小波のような呼吸がひとつ重なった。]*
(148) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 19時頃
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─── 2月14日 ───
[ みぃめろでぃ王国のバレンタイン配信。 新衣装の発表も合わせた為か、 大層な盛り上がりを見せた。 黒とピンクを基調としたデザインは、 まさに今日という日を主張した装いで。
我ながらタフだなと、内心で笑う。 成就しない想いを抱えて生きていく。
そんな覚悟を固めても尚、 潤む瞳もなければ、頬も乾いたままなのだから。 ]
(149) 希 2021/02/21(Sun) 19時半頃
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注目選手ですか? そんなの、僕が最の強に決まっ ……
[ アバターの少女が少し誇らしげに唇を歪ませる。 バレンタインが名目の配信。 ならば当然、恋愛話が主だったけど。 時間が伸びれば、話題も横道に逸れていく。 みぃめろ姫がランカーである某ゲーム。 縁は、今度E-スポーツとして開かれる大会の 選手として招かれている。
それに関するコメントを拾った瞬間だったか。 復旧したスマホが、揺れたのは。>>146 ]
(150) 希 2021/02/21(Sun) 19時半頃
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─── 今日の配信は、ここまで。
(151) 希 2021/02/21(Sun) 19時半頃
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[ 意識せぬまま喉が震え、終わりを告げる。 途端、ざわつくコメント欄。 終了時間の告知こそしていないが。 唐突過ぎる宣言に、
「男か?」「バレンタインだしな」 「みぃ姫も所詮は……」 そんな、人気で売っているVとしては、 好ましくないコメントが流れ始める。
流石にこのままではまずいと。 たった一言ではあるが、フォローを添えて。 ]
…… お、
(152) 希 2021/02/21(Sun) 19時半頃
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親フラ、です …… !
(153) 希 2021/02/21(Sun) 19時半頃
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[ そんな無茶な誤魔化しと共に 半ば無理やり、配信を終える。 今晩辺り、ネットニュースに流れるかもな。
そんな予想図を脳裏に描くも、 今、自分が注視するのは、 スマホに送られたメッセージの方。
いつものように、 素早く返事を返そうとして。 、、、、、、、、、、、、 文字で打ち込む必要がないと、気付く。 ]
(154) 希 2021/02/21(Sun) 19時半頃
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[ 立ち上がると、足早に部屋の入口へ。 性別も知らないその人を迎える為。 扉の取っ手を掴んだら。
キィと蝶番の鳴る音を、 どこか遠くで聞きながら。 部屋の前に立つ人物に向かって。
数度、瞳を、瞬かせた。 ]
(155) 希 2021/02/21(Sun) 19時半頃
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…… えーと。 そのサングラス?お似合いですね。 アグレッシブなファッションセンスで。
早乙女さん。
[ その人物を双眸の奥に捕らえたら。 社交の意味を込めた、控えめな笑顔を向ける。
瞳を覆う、二つの黒い盾。 彼女は、普段このような物を掛けていただろうか? 見かけた覚えはないけど。 正直なところ断言はできない。
一つ屋根の下に住んでいると言えど。 彼女の事は、よく知らないから。 ]
(156) 希 2021/02/21(Sun) 19時半頃
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それで。 賭けは君の勝ちみたいだけど。
叶えて欲しい願い事は、 もう決めたのかな?
[ それから、ふっと笑みを深めると。 今度は、短くはない時間を、 共に過ごしたその人に向けて。
柔らかく細めた眼差しで、 正解、と。答えを告げようか。 ]**
(157) 希 2021/02/21(Sun) 19時半頃
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……、 ……………。
[静かな眠気が、冷たい空気と共に目の奥に纏わりついていた。 長い長い昼寝を越えて尚、朝日と共に目覚める女に夜の帳は布団の様に重い。
交わされる言の葉の尾が聞こえる。 風の音、潮の囁きに呑まれたその内容は分からない。 若しくは自然と理性がそれをシャットアウトしようとしていたのか。
知られるのは、怖いことだ。 己の臓器を晒すようなことだから。 ほんの一瞬で書き換えられた印象は 記憶喪失にでもならない限り、巻き戻ることはない。 知るのは、怖いことだ。 他者の人生の一欠片を受け入れることだから。 ほんの一瞬で取り憑いたこの意味の分からない感情は、 恐ろしく、そして完璧であり続けるために邪魔で。 けれど、手放すことを許しちゃあくれない。]
(158) 通行人 2021/02/21(Sun) 20時頃
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[双方とも、己の呼吸が乱されることに変わりはない。 宿木の乙女が抱えたときめきを。 この女は強く、強く、 拒絶、して、 でも、進まなきゃ永遠に、
……これは、あたしの悲鳴? いいや違う。あたしのじゃなくて、>>148]
(159) 通行人 2021/02/21(Sun) 20時頃
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……どうも。
[水面に飛沫が上がる>>2:267。 叱られる時は自分から叱られに行こう。 でないと受け入れる覚悟がし辛いからね。 相手のタイミングで叱られるのは不意打ちで、 メンタルにダメージを受けやすいから。
そう後輩に言い聞かせてたのに、またやらかした。 見下ろす視線はあの日の浜辺のように冷えているように、感じた。]
(160) 通行人 2021/02/21(Sun) 20時頃
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…あたしの意地っ張りで 風邪を引いたご様子なので。 その点に関して、詫びを入れに来ました。
[立ち上がり、軽く服を叩いてから目線を合わせる。 そういやこういう風に目線を合わせることも初めてな気がする。 あの日、窓辺に縫いとめられたのは煙草を咥えた横顔。 あの日、声を掛けられたのは潮風吹き抜ける肩越し。]
菓子折りという物です。 口に合わなきゃ、誰かに横流し頂いても結構。
[言いつつ取り出した小袋。 透明の包装、茶色のリボン、 歪でありながら形の良いチョコチップクッキー。 何粒かの金平糖、と────
───折り畳まれたまま、焼かれた生地。 フォーチュンクッキーが、ひとつ。]
(161) 通行人 2021/02/21(Sun) 20時頃
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ですが。 よもや未だ調子が悪いので?
(162) 通行人 2021/02/21(Sun) 20時頃
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[取り出したまま直ぐには差し出さず。 微かに聞こえた悲鳴の音を、尋ねる。]
何やら、非道い顔をしていますので。 菓子以外の物が入り用でしたらそちらを。 コンビニで揃う物でしたら、直ぐに。
[女の姿勢が軽やかに切り替わったのは、 悲しいかな、身についた職業病というものだ。
知らなかった。知る機会がなかった。 けれども、今回は違う。 目の前に居る。向かい合っている。 身体の悲鳴と決めつけるには、 何処か情念の籠った、それ。 いつか見た、住民に囲まれて蒼白になった フェルゼ氏の顔と似ている。 …悲鳴の根っこは、知ろうとしなくちゃいけないことだ。 これから此の人と向き合っていくために。]*
(163) 通行人 2021/02/21(Sun) 20時頃
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[メッセージとノックを送って数秒。 室内からがたがたと何やら物音は聞こえるが その内容までは分からずに。>>152
ややあって出てきた春日井は こちらをじっと見つめた後に 控えめな微笑みを見せた。 そう、愛理の知っている"春日井さん"はこんな人。 温厚でそつがない、でもどこか壁があるような。]
あは。 どーもありがとうございます。 ワイルドで素敵でしょ?
[冗談めいた軽口に、 ちょっとだけやけっぱちな気持ちで ノリを合わせて笑って見せ。]
(164) guno 2021/02/21(Sun) 20時半頃
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[ふと、彼の表情が 顔見知りの隣人に対するものから 親しみを込めたものへと 切り替わったような気がした。
こともなげに正解を告げてみせる彼に、 うはあ、と驚いたように口をあけ、息を吐く。]
っは〜〜〜〜〜〜〜 マーーージで春日井さんかあ。
てかもうちょっと驚くとか褒めるとか リアクションくれてもいいんじゃない? 急な無茶ぶりされたにしては 結構頑張ったと思うんだけどな。私。
[ざっくばらんな口調に切り替えて 拗ねたように唇を尖らせた。 砕けた言い回しや態度は 恐らく彼が長年接して来ただろう"イリス"のもの。]
(165) guno 2021/02/21(Sun) 20時半頃
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まーなんだろ。 いろいろ言いたいこととか 聞きたいこととかはあるけどね。
[私がここに住んでるって知ってたの、とか。 そもそも何であんな賭けを言い出したの、とか。
それらを一旦脇に置いておいて、 問いにはうん、と首を縦に振った。]
決めてるよ。 暇な時でいいから、君の一日を私に頂戴。 ちょっとだけ付き合ってほしいの。
[デート、と言うには、色気は皆無だし。 個人的な感傷に付き合わせるだけだから、 彼の都合を優先するつもり。*]
(166) guno 2021/02/21(Sun) 20時半頃
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[顔を上げた女>>160の睫毛は、夜も変わらず天を向いていたか。あるいは炬燵>>86の気配を匂わせていたか。 どちらにせよ、その整った顔立ちが失われることはなく、立ち上がった彼女の涼やかな目元と視線がかち合った。
背筋を伸ばし、胸を張り。 完璧であることに、一切の曇りなく。
欠片も似ていないのに、どうしようもなく眼前の女に兄の面影を見てしまう。]
……へえ。
[視線は、自然と差し出された小袋>>161へ逸らされた。透明な包装は、封を切らずとも中身を容易に知ることができる。甘さ以外共通点のない形の詰め合わせは、店に並んでいたものとは違う。 彼女の整った指が詰めたのだろう。冷えた相槌と共に視線が細い手首へ滑った。]
(167) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 21時頃
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[次に先手を取られたのはこちらだった。 何かのために開かれた口は、直進をやめた彼女の言葉>>162に動きを止める。潮風に乱れた黒髪の隙間、眉間に皺が寄った。
木に登っていた時も海に飛び込んだ時も、脱ぎ捨てていたヒールで内側を踏みつけられるようだ。本来なら迷いなく切り捨てるもの。しかし、男の動きは鈍い。
穏やかな海に突如現れた、鮮烈な飛沫>>1:163を思う。 あの瞬間、生まれた感情>>2:225を思った。
あれは、衝動だ。 理由なんてあってないような、先で後悔するとしても止められない、どうしようもない揺らぎ。 少なくとも、男にとってはそうだった。
もし、凪いだ部屋で眠る彼女もまたそうだったとしたら。 与えたのは、己だろう。 その正体を理解する気も探るつもりもないけれど。]
(168) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 21時頃
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自惚れるなよ。
[鼻で笑ったつもりが、乾燥した鼻腔では何の音も鳴らなかった。代わりに差し出されてもいない小袋に手を伸ばして、甘やかされた指先で透明なフィルムをつつこうとする。 廊下の灯りに照らされた表面を光が踊れば、まるで水面のようだった。]
ナマコ獲ったヤツがピンピンしてるのに、 それくらいで体調崩すバカはいないでしょ。
[暗に無関係だと突き放し、水面に沈む甘さを眺める。 クッキーに金平糖、鮮やかなふたつから浮いた素朴な色>>161。たとえそれが瞳に入っても、目を逸らしたままの男には意味を持たない内容物のひとつでしかない。]
(169) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 21時頃
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会社で配った残り物? 別に、それくらいなら協力するけど。
[ほら、と。つつく手を返し、受け皿のように広げた。 ――それから、一歩踏み込んで。]
……だから、見るな。
[広げた手で、彼女の目を覆ってしまおうとした。 甘い香りを塗りつぶすタバコの匂いと、耳上から振る声。
忘れろ、と囁く。]*
(170) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 21時頃
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僕はあまり顔に出ないだけで。 十分驚いているよ。
[ 心外だな、と言いたげに。>>165 早乙女に同様尖らせた唇は 自身の中のエニシに近付けたもの。
とはいえ、驚きの意味合いは、 こんな近くにいたなんて、という方向で。 イリスと早乙女愛理のイメージは 縁の中では、そこまで乖離していない。
彼女に辿り着かなかったのは、単に。 片想いを貫くと決めた時点で、 こちらから探すことをやめたから。 ]
(171) 希 2021/02/21(Sun) 21時半頃
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でも早乙女さんはすぐ気付いたよね?
エニシって、縁(ヨスガ)の 読みを変えただけだし。
[ 当然、と言いたげな言葉を置いて 楽しげに彼女の様子を伺った。 肯定されてもいいし、 面白い反応が返れば儲けもの。
まあ、僕の名前を知らなかったかもしれないけど。 ]
(172) 希 2021/02/21(Sun) 21時半頃
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[ 賭けの褒賞。>>166 早乙女が提示するそれは いとも容易い申し出だったけれど。 答えを口にする前に。
自分より少し低い、早乙女の目線。 僅かに膝を折ると、 同じ高さになるように合わせた後。
…… そうっと。 自身の両指を、彼女のサングラスに這わせて。 くいと傾け、少し腫れた彼女の瞳と 縁のそれを重ねた。 ]
…… 見つけた。
(173) 希 2021/02/21(Sun) 21時半頃
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[ そう言って、子供のように、笑ってから。 ]
探せたけど、残念。 僕は、チョコレートを持っていなかったな。
[ 笑みを崩さないまま告げた言の葉。 その意味を理解できるかは、 いつかの会話を、覚えているか次第だけど。>>1:149
追求される前に、いいよ、と。 事もなげに頷いた。 ]
(174) 希 2021/02/21(Sun) 21時半頃
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僕は365日空いてるから。
僕の暇な日は、君が自由に決めてよ。
(175) 希 2021/02/21(Sun) 21時半頃
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[ …… その365日は。 なんの努力もなしに得たものではない。 君に応えられるように 君の元へ駆けつけられるように。 君の為に作り上げた、365日。
そのくらい。
僕は君に、───恋を、している。 ]
(176) 希 2021/02/21(Sun) 21時半頃
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[ それでも、選んだ想いは一方通行。 重ならないまま。 ただ咲きも散りもしない恋の花を、 胸の奥に変わらぬ姿で咲かせ続ける、 その姿が永遠であるように祈りながら。
落ち着いてて、ちょっと不器用で そう言うところが可愛い人。 ]
(177) 希 2021/02/21(Sun) 21時半頃
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[ ─── ではない、ごく普通の青年は、 何とも拗らせた想いを抱えたまま。
世界で一番大好きな君に、 屈託のない微笑みを向けるのだった。 ]**
(178) 希 2021/02/21(Sun) 21時半頃
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[
自惚れるなよ。
ああ成る程、生来か。 このひねた口ぶり>>169は。
敷波玲は一つ、理解した。 此の何も知らない想い人について。 彼が紛れもなく病人だった事実は、 NARUMIで>>120、エツコとの雑談で、 そして返却も文句も無かったフルーツゼリーで、 認知と裏付けが済んでいる…以前に。]
(179) 通行人 2021/02/21(Sun) 22時頃
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その返答は。 その顔の理由として、成立しません。
[突き出したのはファンデーションケース…の、鏡。 完璧な女であるための、OLとしての必需品。
普段は触れない、触れようとしない、 そんな人間の内側へと、指を添わせるように。 女は男の引いた線を小さく踏み越えて、]
愚痴なら聞く、と言いたいところですが。 今宵の用件は此方が先ですね。
[それから、立ち止まった。 今はそれが精一杯だ。
伸ばされた手が袋に触れた>>170 その瞬間、その刹那に。 予想外に心臓が跳ねたのだ。]
(180) 通行人 2021/02/21(Sun) 22時頃
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[小さく飲んだ息、微かに震え上がった背中は 夜闇が上手いこと誤魔化してくれりゃあいいのだけど。 これだから恋という奴は得体が知れない。 何も知らなかったのに。寧ろ今も殆ど知らないのに。 あの横顔に射抜かれただけなのに。 どうして、こうなるのやら。
ため息ひとつ。 これは彼に向けてではなく、自分に向けて。]
余り物じゃあないですよ。 お詫びです…が。 風邪など引いてないと仰るのでしたら。
(181) 通行人 2021/02/21(Sun) 22時頃
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宣戦布告、として切り替えましょう。
(182) 通行人 2021/02/21(Sun) 22時頃
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[表情を変えぬまま、彼の眉間を指差した。]
あたしとしては、 あなたの様ないきものが、 …そういうのが、忘れられないし。 放って、おけないので。
[デリカシーゼロ。 どっかで見た様な強がり。 そんな面倒なあなたも。 正面の顔も、強い煙草の匂いも。 どうやら、 すき、なままなので。
ド正面から見つめながら、 続く言葉は踏み潰す。 嘘はついちゃあいない。 単なるお節介焼きとして。 規律正しく生きたがる優等生の言葉として、取って貰おうじゃあないか。]
(183) 通行人 2021/02/21(Sun) 22時頃
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[今はこれでいい。 今はここまでだ。 落っこちたインクの雫を、指先でなぞって、伸ばして。]
一先ずはコレ。 では、改めて。 今後諸々、覚悟しておくといいです。
[敷波玲は。 その整った顔立ちを月光に晒しながら。 遮られることがもしあろうとも、 それでも尚、真っ直ぐな瞳で彼を見つめながら。
袋を押し付けてから、踵を返し───一度すっ転んで。 されど持ち前のカバー力もとい流れる様な受け身を以って、 素早く、身を転がして立ち上がり。 闇の中へと、消えていこうとするだろう。]
(184) 通行人 2021/02/21(Sun) 22時頃
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[さて。 フォーチュンクッキーの中身だが── ちょっとした点取占いが書かれている。 オフィスの隣人達には、ちょっとした社内ジョークやら 無害な程度の暴露だとか、そういうのをプレゼントして。 アクツに押し付けたフォーチュンクッキーの中身は、確か…
『喉飴どうも。 花粉の飛ぶ時期までとっときますね。●10点』 ]*
(185) 通行人 2021/02/21(Sun) 22時頃
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─ 2月15日 ─
[ カーテンまでは閉じ忘れていた窓から、色の変わり始めた空が見える。 未だ世界は薄暗く、布団から露出した首と片腕が上がりきらない温度を感じている。
五指を折り、緩く握り込むと 指先の冷えが掌に伝わった。
規則正しい出社する会社員すらも、眠っているだろう時間帯。 バレンタインデーは終局し、新たな日が訪れた。 ]
(186) ガラシア 2021/02/21(Sun) 22時半頃
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[ 不必要な早起きだというのに、妙にすっきりと目覚めている。
忌避し恐れていたあの箱は、一晩眠った後で開いてみるとただのチョコレートと造花が入っているだけだった。
一粒を口に放り込み、無言で咀嚼する。 見た目にも味にも飾り気のない、素朴な甘さ。
女性と比べると、男はあまり甘い物が得意ではないことが多い。 きっとそこまで考えたのだろう。 巡る思考はもう既に、何処までも他人事だった。
そして──── ]
(187) ガラシア 2021/02/21(Sun) 22時半頃
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[ 時を止めたように数字の代わりに名を掲げる部屋の前を、通り過ぎてゆく。 足取りは時間を考え静かで、しかし重みは無かった。
全てが解決し、隣人からは吉報を受け、互いが許せる範囲で距離を少し縮めたと思っているのだから。
引き戸が受け止めた重さも、彼の悲鳴も>>148 その後のことも何もかも、認識出来ない境界の向こう側の出来事。
獣にはなれない誰かが己にばかり傷を抱えることで、大田竜海は多少の変化を経ても保たれ続けている。 盲目に、偏執的に、ただ唯一への想いを宿して。
木の板を軋ませ降りてくる妄人を、揺らぎなき美が冷ややかに迎える。 眠れない時、時間を持て余した時、密やかに会いに行くことは今までもあった。 ]
(188) ガラシア 2021/02/21(Sun) 22時半頃
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[ 常の眺める距離より近く、触れるには至らない場所で 片膝をつき、絵の中の冬に佇む青年を見上げた。
いつかの舞台でもこんなことをした。 真の恩人の想いも知らず、他の女性を愛する役だった。 男は物語の終盤に彼女に跪き、愛を伝えるのだ。あの娘が見ていることも、知らないままに。
差し出すのは言葉ではなく、青。 人造の奇跡は彼にとてもよく似合っている。
そう、会いに来る次いでに思いつきを己の視界で試してみたかっただけだ。
指の先が摘む海色の花の生首は、 想い人を振り向かせることも彼の世界へとその色を届かせることも無いまま、虚しく床に落ちる。 ]
(189) ガラシア 2021/02/21(Sun) 22時半頃
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[ そんな風にあっさりと手放せたのなら、楽になるだろうか。 いや、常人にとっては拗れて歪み理解の外にあるのだろうそれが、今更まともになる筈もない。
陰る想いと相反し、笑みも苦渋もこの顔には浮かばない。 当然だろう、完全を前にすれば全てが停滞する。
大田竜海は人間である。それでも──── いつか同胞と命なき作品を比べより美しいほうを選び取ったように、その目が映す世界では美が何よりも優先される。
揺らがせるものがあるとすれば、それは不定で未完結の何かだ。 自分が愛することはない、何かだ。 ]
(190) ガラシア 2021/02/21(Sun) 22時半頃
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[ 陽が登り、数多の足音が外へと通り抜けて行っても 風も光も、その場所には当たらない。 誰の目にもゴミとしか見えず、やがて片付けられるだけ。
きっとそうなるだろう。 拾い上げた指は、想像の未来を否定する。
誰にも気づかれたくなどない、糾弾を受けたくなければ認められる筋合いも無い。
これは自分だけの、恋なのだから。 ]
(191) ガラシア 2021/02/21(Sun) 22時半頃
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[ Werd ich zum Augenblicke sagen: Verweile doch! du bist so schön!
]
[ 声として捧げることはない、恋の賛美。 ]
(192) ガラシア 2021/02/21(Sun) 22時半頃
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|
[ 此処にはただ一人の男と一つの作品があるばかりで、 悪魔の声も祈りも、聴こえない。いつまでも幕は降りない。
完成を良しとしながら、何処かで愛されたい想いを抱えた矛盾に気づいていながらも 悲恋の結末すら、不変の海に呑み込まれる。 ]
(193) ガラシア 2021/02/21(Sun) 22時半頃
|
|
[ その日以降も大田竜海は、何気ない毎日を過ごしている。
バイトに追われる合間に少しづつ、次回の公演に向けて仲間と進んでいく。 たまに商店街の片隅の店に足を運び、隣人と世間話をする。
どこまでも無表情で、平坦に。殆どの住民が思う自分の姿で 温度の無い視線を最愛に注ぐ。
変化と言えるものは、美術本の新刊が入らなくても定期的に本屋に通うようになった、それくらいだ。 ]
(194) ガラシア 2021/02/21(Sun) 22時半頃
|
|
あっ……
[ 小さく声を上げ、一冊を手に取るのは
取り上げられた終わりの代わりにそれを抱えて帰るのは、未だ遠い未来。* ]
(195) ガラシア 2021/02/21(Sun) 22時半頃
|
|
── バレンタイン当日
[目の下に特大の隈を飼いながらも、愛犬との日課は欠かさない。散歩を経て、少しだけ仮眠を取って、約束の場所に向かう。 先方は『MARUMI』を希望してきたが、それは避けた。あの店には賀東荘の住人もよく訪れる。男にとっても、大事な場所だ。だから、別の。普段利用することのない、半径5キロの外側にある駅近くの、人の少ないカフェを指定した。]
…………。
[予め聞いていた特徴の男を見つけると、のそ、と歩く。視線が合う。ああ、こんな顔をしていたんだな、思ったより普通で、清潔そうな感じがいい。 そんな第一印象を頭の隅に追いやって。何用かと怪訝な顔をする彼へ、90度頭を下げる。]
こめんなさい。俺が、…………。
(196) mumriken 2021/02/21(Sun) 22時半頃
|
|
[やっぱりドタキャンするかと考えた。 すべてを姉の仕業として、弟として詫びることも。
けれど、昨日の早乙女の姿を見て。改めて己の所業を振り返ったらもう、だめだった。どれだけその場凌ぎをして逃げて誤魔化したとしても、以前のようなほの甘いやりとりはできない。
早乙女からチョコレートを受け取った瞬間に。 否、あの人に素性の一端を知られた時点で。 この恋はとっくに終わっていた。終わらせるべきだったのだ。]
(197) mumriken 2021/02/21(Sun) 22時半頃
|
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[────気が付けば、夕方。 男はまた、いつもの浜辺にいた。傍らには愛犬が砂を蹴って遊んでいる。いつもと変わらない日常。
ただ、ポケットの端末が定時となっても震えなくなっただけ。明日も、明後日も屹度。それだけのことが、どうしようもなく哀しかったが、自業自得過ぎて涙すら浮かばない。
想像以上に誠実だったかの人は、笑って許してくれた。いくらか違和感を感じたことがあったらしいこと、送った写真に観きれていた、如何にも男性の姿が気になって逢瀬を提案したこと。
いっそ、殴って詰ってくれたなら。 土下座して、膝に縋って赦しを請う姿を蹴り飛ばしてくれたなら。この思いは、今夜で躯となって海の底に沈められたのに。]
(198) mumriken 2021/02/21(Sun) 22時半頃
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…………。参ったなあ、ボス。 振られたってのに、まだこんなに好きだよ。
[傍らに置いてある紙袋からチョコレートを取り出す。 早乙女はあれからどうしただろう、気にはなったが、とても合わせる顔がない。 ハートの、丸いカーブ部分を齧る。噛み締めながら思い出すのは、賀東荘や浜辺、商店街で彼女を見かけた時のこと。
いつから、どれだけ、なんて。想像もつかない。 一方通行で重ならない視線を思いながら食べるチョコレートは、喉が灼け然うに甘かった。]**
(199) mumriken 2021/02/21(Sun) 23時頃
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[朝早くに目覚めた彼女は、 悲しいかな、一種の決意に満ちていた。 つまりは前だけを見つめていて、 足元のそれ>>102が、目に入っていなかったのだ。]
(200) 通行人 2021/02/21(Sun) 23時頃
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─ 深夜:2月14日の終わる頃 ─
[逃げる様に朧の間の前を去った後だっただろうか。 それともお手洗いに出てきたのかも知れない。 女が通りすがったのは、廊下の曲がり角。 ふと、視界に入ったのは 壁際で闇の中に薄らと浮かび上がる、白。]
…、 これ。何だっけ。えっと。 スノー……あー、スノードロップ。
何でこんなところに?
[気付かれぬままに、打ち捨てられたように。 風が運び去ってしまったそれは、 一日という時間を掛けて、水気を失い。 萎れ、枯れ果て、干涸らびる筈だった。 筈、だった。]
(201) 通行人 2021/02/21(Sun) 23時頃
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[だのに、ああ、屹度。 屋根の下の同居人が、電子の海の友であったように。 誰かにとっての愛すべき偶像であったように。 世の中には奇妙な因果というものが、ある。]
わ。 綺麗に凍ってる。
[それは、リノベーションは済んでも古い旅館には変わりのなかった、 賀東荘の、配管のヒビから漏れ出した一匙分の水。
小さな硬質の水たまりの中で、 ステンドグラスの模様のように。 それは、静かに凍りついていた。]
(202) 通行人 2021/02/21(Sun) 23時頃
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[ 『あなたの死を望みます』
贈り物として手折られた時に宿す意味。 もし女がバレンタインの憂鬱に俯いたまま、 扉の先にその白を見つけたのであれば、 流石の敷波玲であっても、寒気を覚えたかもしれない。
けれども、彼女はこの「賀東荘」という筐の隅で、 それを『見つけた』のだ。
縁に爪をひっかけ、軽く持ち上げれば 埃混じりの、されど美しい氷はぱきりと音を立てて床を離れた。]
…なんか、いいな。
[窓から星明かりに透かしてそれを見つめる。 こうやって見ると、なんか星座に召し上げられたみたいじゃない。]
(203) 通行人 2021/02/21(Sun) 23時頃
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[偶然が作り出した、透き通った宝物。 女はそれで指先を冷やしながら、部屋の中へと持ち帰る。
凍りついた春は、 雪解けの時が訪れても息を吹き返すことはない。 白き想いは、祈り>>100は、届かずとも。 その骸だけは、ささやかに召し上げられる。
それをもし彼が知ったならば、 『慰め』に────いや、そんな都合の良い話は、ないか]*
(204) 通行人 2021/02/21(Sun) 23時頃
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はは。まじで。 結構なポーカーフェイスなんだ。 今までおとなしい人だなって思ってたけど、 実はそうでもなかったり?
[一時ではあるが恋敵の暗殺だなんて 物騒な企てをされていたことは当然知らないから。 あくまで冗談の範疇でそう言って、 続く言葉にはぽかんと口を開けた。]
えっ????? あっそーか、そーいえば…… じゃなくてととととーーぜんだし!! このイリスちゃんにかかればそのくらい余裕ですとも!
[春日井の下の名前は(敷波が呼んでいたので) 一応知っていたが漢字まではうろ覚えだったのもあり、 そこには全然気付いてなかっただなんて言えない。 ドヤ顔で取り繕ってはみたがだいぶ今更感がある――― ので、彼には笑われてしまったかも。]
(205) guno 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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……え?
[そんな話をしているうち、 ふいにサングラスが取り除かれて目を瞬かせた。 泣き腫らして赤い目、人様に見せるには 随分とみっともない顔だったけれど。
こちらを見つめる春日井の瞳と声と、 無邪気な笑みが、何だか酷く柔らかかったから。 ついそのまま、言葉を失って呆けてしまった]
あ、えっと………?
[言葉の意味をちゃんと理解する前に 話はさえぎられてしまったから それは有耶無耶になったまま。 いつでもいいと春日井が言うのならば]
(206) guno 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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じゃあ、今。 …からは流石に急だから、明日。
学校あるし午後からでいい? 色々準備とかしておくからさ。
[なるべく早い方がいい。 決意が鈍ってしまわないうちに。 だからそんな約束を取りつけて、 同意が取れればその日は別れただろう。]
(207) guno 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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[永遠の欠落を抱えた己には、完璧であるための道具など必要なかった。だから差し出された小さな鏡>>180で己を捉えるまでに少しの時間を要する。 生気の薄い顔を乗せた男がこちらを見ていた。これまでで一番の拒絶を眉間に示し、視線を奥の持ち主へ向ける。]
成立しなかったら、なんなの。
[叱られた子どものような抵抗は、繰り返しお互いの無関係を紡いだ。 たとえ、飛沫舞う揺らぎを与えたことがあったとしても、それだけだ。たった一度きり。それ以外、何もない。彼女の瞳に何が映ったか>>1:-42なんて、可能性すら思い至らない。 形のいい唇から漏れるため息>>181に、皮肉でもおまけしてやろうかと開いた口は、]
――は?
[たぶん、あの時>>1:169と同じ音を放った。]
(208) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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[適当な言葉で逃れようとしても認可されず、 遮ろうとした手さえ貫くような眼光>>184。 眉間を示す指先>>183は一部の隙もない。
兄に重ねた完璧な表層は冷水に揉まれ、既に跡形もなくなってしまったのに、彼女は未だ抗おうとする。 敷波玲は敷波玲のまま、真正面から己の前に立ち塞がっている。
開き直りとは違う。 それよりもっとまっすぐな、己には真似できないものだ。
――目を、逸らした。]
ふは、
[瞳孔の降下と共に、力のない笑みを口の端から漏らす。 袋>>184を押しつけられても抵抗せず、一回転を挟んで帰っていく背を見送ることもなく、のっそりと『朧の間』へ身を潜り込ませた。
引き戸が閉まる。 鍵の落ちる音がした。]
(209) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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― 『朧の間』 ―
[時間を示すものを見失った部屋は、ただ夜であることしか教えてくれない。窓の外を覗いても、男性と共に犬が駆けるのはもう暫く先のことだろう。 今日と明日の境目も分からぬまま、開けっ放しだった窓を閉じ、電気を消した。タバコの匂いは随分薄れていたが、ようやく通るようになった鼻でも残滓を辿ることができる。
彼の匂いはどこにもない。ほんの僅かでも残っていたとして、既に潮風に乗って消えてしまっただろう。手元に視線を落とすと、たったひとつの袋が月光に影を落としていた。]
……。
[寿命の近いデスクチェアは、腰掛けるだけで悲鳴に似た音を立てる。 茶色のリボン>>161を引いて、惜しむことなく手を離した。手触りのいい一筋は、暗い足元に落ちて見えなくなる。]
(210) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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[さて、そこから部屋に戻ってからは一仕事。
クローゼットの中に入った 沢山の写真と10冊分の日記帳。 それにハンカチとか、ストローとか、 先日のミルクティーのパックも。 そういうゴミとも呼べる小物たち。
小物は燃えるものと燃えないものに仕分けし、 ゴミ袋に詰めて一先ず部屋に置いておく。
写真は只管シュレッダーにかけて段ボール箱に詰めた。 如月に頼んで家庭用の焼却炉を借り、入口に置いて。
次の日約束通り春日井の部屋を尋ね、 それらを何回かに分けて 海辺へと運ぶ手伝いをして貰った。]
(211) guno 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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……あま。
[クッキーを歯先で折った。金平糖を奥歯で噛み砕いた。 粉々になるまで、これを与えた女のことを考えている。
兄と勝手に重ねたことへの詫びだった。 彼女には何の非もなかったから。
カレーの料金代わりだった。 彼女には何の貸しもなかったから。
こちらからすれば、これでイーブンだったのだ。 体調を崩したことだって、別に強がりを言っていたつもりもない。己の不摂生が招いた結果であり、あの日の出来事はきっかけに過ぎない。
心から、関係ないと思っている。 凪いだ海は元通り。何も残らないはずだった。
それなのに、忘れられないのだという。]
(212) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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[ご愁傷さま。]
(213) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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[解体された愛理の宝箱。
ひとつずつ、ひとつずつ、 順番に火をつけて燃やしていく。
それが何か、ということを 別段春日井に説明はしなかった。 まあ泣き腫らした目と、 どこかとなく物憂げな表情に ある程度察せられたかもしれないが。
その間にするのは他愛ない話。 いつからここに住んでるのかとか、 いつも普段は何してるのかとか、 ヒントの中にNARUMIの写真あったけどよく行くの?とか。
時間をかけて、最後に掌に残った夢のかけら。 あの日柚木に貰ったチョコレート色のリップクリーム。 封を開けて一度だけ、唇にそれをつける。]
(214) guno 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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[肩が震えていた。空いた手で前髪を掻き上げる。 眼鏡がズレて視界がぼやけた。]
……ホント、趣味悪。
[笑いの間に漏れた声は、嫌悪に濡れていた。
表層を剥いでなお、正しくまっすぐあるのなら、 それこそ敷波玲の本質なのだろう。 踏み込むつもりはなくとも、見えてしまう。 まっすぐであるがゆえに、望まぬ奥まで。
正しいものを、己は何も持っていなかったから。 正しいものは、嫌いだった。]
(215) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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[たったひとつの素朴な色に手をつける。 持ち上げた感触は軽く、振れば微かに音もした。 滓を払い開いた先の文字>>185を目に留める。]
――。
[折り畳んだ紙を小麦色の籠ごと口に含んだ。 嚥下した言葉は男の内側で形を失い、溶けていく。]*
(216) Pumpkin 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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ずっとずっと、好きでした。
…さよなら。
[結局本人に言うことは叶わなかった言葉と共に 大きく振りかぶって、海の中へと放り投げる。
――――ぱしゃん。 どこか遠くで小さく水音がした。]
(217) guno 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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はいっ、これで全部おしまい。 お疲れ様でした。
[くるりと春日井に振り返った顔は、 上手く笑えていただろうか。 昨日よりは目もましになったけれど、 まだまだ傷がいえるまでには時間がかかりそう。]
幸せな夢だったんだよね。
[彼が何かを聞いたか、 それともそっとしておいてくれたか、 どちらにせよはっきりしたことは言わずに――― 鞄の中から物を取り出して春日井に渡す]
(218) guno 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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はいこれ。 一日遅れだけど、 付き合ってくれたお礼にあげる。
[今朝コンビニに寄って買った 飾り気のないパッケージ剥き出しのそれ。
2/15、"バレンタインではない日"だから 何の含みもなくあげられる 1箱300円のチョコレート。]
甘いもの、すき?
[彼と想いが重ならないこと、 それすら愛理は知らないけれど。 ここに君が居てくれて良かった。 そんな気持ちを込めて、目を細めた。**]
(219) guno 2021/02/21(Sun) 23時半頃
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─ いつかの日、いつかの夜 ─
関わるのも嫌でしたら、 あたしを上手く失望させてください。 腕の見せ所では?
元はあなたのせいなので、 あなたの都合辺り、 知ったこっちゃないので。
[翌日だったか、数日後だったか、さてはて何時か。 そう吐き捨てて、女はビニル袋を置き去りに踵を返す。 中身はレトルトの米、敢えて足の速い刺身、ふりかけの類。 良いから飯をきちんと食えと言いたげな品揃え。 彼が厭う>>215正しさを騙って。 何せ、盲目たる恋の終わらせ方を知らない。
完全たる拒絶へのカウントダウンが始まっていたとしても、 それはきっと彼女にとってはこの世の終わりや、絶望ではないだろう。]
(220) 通行人 2021/02/22(Mon) 00時頃
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[ そうやって終わって、やっと。 ああ、あれはやっぱり、 『恋』という奴だったのだと。
普通の女でいられなかった女は、 己を振り回したそいつのことを 爪先から尾っぽまで 理解することが出来るのだろうさ。
屹度、きっと、 ね。 ]*
(221) 通行人 2021/02/22(Mon) 00時頃
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― それから ―
[とある1日が終わったところで、男に変化はない。
少しだけ、彼と顔を合わせる機会が減ったり、 少しだけ、彼女と関わることが増えたり。
あったとしてもそれくらいで、もし住人たちに何かあったとしても、男が気づくことはないだろう。相変わらずひとりきりの部屋で、夜な夜な文字を連ねるだけだ。]
(222) Pumpkin 2021/02/22(Mon) 00時頃
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[書籍化に関して作家ができることなどたかが知れているが、それでも仕事の量は増えた。今日もまた引き戸の外に飛び出して、新しい革靴を鳴らす。
一度、絵画の前に立ってみたことがあった。 真正面から眺める景色は、窓下に広がる海とはまた違った色合いを見せてくれる。
それは確かに特別だった。 けれど、恋ではなかった。
玄関の片隅に佇む額縁を視線でなぞり、賀東荘を出る。]
(223) Pumpkin 2021/02/22(Mon) 00時頃
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[己の名が書店の片隅に並ぶのは、もう少し先のことだ。 顔を上げる。庭の松と並ぶように、街道に淡い桃色が花開いていた。]
……もうそろそろかね。
[色のない手のひらで、胃の辺りを撫でた。
――恋を、している。 拗らせた想いを、手放せぬままに抱えたまま。
そんな歪で、捻くれた男の下にも平等に、
春は訪れる。]*
(224) Pumpkin 2021/02/22(Mon) 00時頃
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─ バレンタイン翌日 ─
[その日はノックの音で目が覚めた。 一日ぶりの布団からのそのそと這い出て、はぁいと返事をしながら身なりを最低限整える。 時間は昼より少し前。 宅配だろうか、何かが届くと連絡は特にもらっていないのだけどな、と思い当たる節が無く、ジャージのチャックをじっと上げて扉へ。]
……あ、悦子さんか。 どうしました?
[二言三言、挨拶ついでに会話を交わし、そうして差し出された紙袋。 私とは普段縁がないような洋菓子店>>14のロゴが入っている袋に、ええ、と戸惑った。]
(225) haito 2021/02/22(Mon) 00時頃
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これは……? ……圷さんから、です?
[差出人にさらにびっくり。 同フロアに住む彼とは、生活リズムの違いからか会う機会はほとんど無く、何をしている人なのかもしらないくらい。 先日の詫びだと告げられると、二秒くらい間が空いただろうか。その後にようやく思い出せた。]
あー…… 律儀な人だなぁ
(226) haito 2021/02/22(Mon) 00時頃
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[悦子さんもありがとうございます。と受け渡しをしてくれたことに礼を言って、部屋の中に戻る。 ちゃぶ台に紙袋を置き、その中身を取り出してみる。 中の茶色の小箱は後で小物入れに使えそうだな、なんて思いながら開けて、サブレが入っているのを見る。]
わ、かわい……
[ひとつ取り出して袋を剥くと、中のバターの香りが漂ってくる。 サクッ、と軽い音を立ててサブレを食べ、その甘さにすぐに上機嫌になる。 昨日の憂鬱も忘れ、また新しい一日が始まるのだ。]*
(227) haito 2021/02/22(Mon) 00時頃
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大人しいと思うよ。 喧嘩とか、した事無いし。
[ 暗殺を目論んだことがある、は 実行に移していないのでノーカウント。 素知らぬ顔で嘯いて。
わかりやすいドヤ顔に。>>205 プハッと小さく息を吐いた。 ]
(228) 希 2021/02/22(Mon) 00時頃
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[ ─── 今。>>207 急なのは、確かだが。 バレンタイン当日だ。 チョコは渡せたのだろうか?
愚問だなと、その考えを詰る。 そんなの、赤く腫れた涙の痕を見れば明白だ。
落ち着いてて、ちょっと不器用で そう言うところが可愛い人、は。 彼女の想いを受け取る事をしなかった。 ]
(229) 希 2021/02/22(Mon) 00時頃
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…… あの、この荷物を運ぶのも。 賭けの報酬に入ってるの?
[ 何で親フラが受け入れられてるんだ。 ネットニュースに頭を抱えた、その翌日。
積み重ねられた段ボール。>>211 見上げながら、大量だね、と。 圧倒されながら呟いて。
それでも、拒む事はせず。 砂浜に足を取られぬよう、気をつけながら。 目的地へと辿り着けば。 彼女の瞳の光るもの。 煙のせいではないのだろうと、察して。]
(230) 希 2021/02/22(Mon) 00時頃
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[ 賀東荘に住み始めたのは。 確か、母親が死んだ頃だった。 普段は王国の姫君をやってるよ。 NARUMI? いい感じのお店だよね。 行ったこと?ないよー。
悪びれもせず、笑って。 彼女の唇を纏うショコラの香り。>>0:214 購入者である僕は、 当然、その匂いを知っていて。 誰が彼女にそのリップを渡したのか、も。 ]
(231) 希 2021/02/22(Mon) 00時頃
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落ち着いてて、ちょっと不器用で そう言うところが可愛い人 ─── か。
[ 小さく跳ねる、水の音を聞きながら。 伏せた睫毛で影を作り、静かに独りごちた。 ]
(232) 希 2021/02/22(Mon) 00時頃
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そっか。 次の夢は、叶うといいね。
[ 薄情とも言える台詞。 さらりと口にして。 鞄の中身。
本命では決してあり得ない、 15日のチョコレートを受け取った。 ]
(233) 希 2021/02/22(Mon) 00時頃
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うん。大好きだよ。
(234) 希 2021/02/22(Mon) 00時頃
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[ 甘いものが好きだ。 質問には、真っ直ぐに君を見つめて、微笑んで。 こちらからのお返しも、 3/15のホワイトデーになるのだろう。
来年も、再来年も。 君が僕に義理チョコをくれる限り。 それでも、この想いを告げなければ。 僕はずっと君を想っていられる。 一区切り終えたのだと、 泣き腫らして、スッキリしたと。 そんな風に。 君を思うことを、やめずに済む。 僕は、ずっと幸せなまま、夢を見続けられる。 ]
(235) 希 2021/02/22(Mon) 00時頃
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[ すん、と小さく鼻を鳴らす。 浜風で流れていったのだろう。
ショコラの香りは、 もう何処に残っていなかった。 ]**
(236) 希 2021/02/22(Mon) 00時頃
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