301 十一月うさぎのないしょ話
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[「どっちも」なんて贅沢な注文も、宇都木>>4:3の手にかかれば瞬く間に叶えられる。]
んー、いい匂い。
[ドライフルーツとナッツの香りだけでなく、小麦の甘い匂いがする。 にまにま笑い>>3:145だって、このご馳走を目の前にしては悔しさではなく、喜びだけが胸を満たした。]
……。
[異なる白い雪を乗せたシュトーレン。 まずは薄くクリームチーズの塗られた方へ手を伸ばす。 歯触りはふわふわ。味わいはややあっさり。 けれどこれはこれで良し。仄かなスパイスの風味やドライフルーツの食感をさっぱりしたクリームチーズが包んで、噛み締める度に洋酒がじわりと口の中に広がる。 温かなスパイスの香りが、鼻腔を通り抜けていく。]
(3) Pumpkin 2019/11/29(Fri) 22時頃
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[お次は冷たいお皿。砂糖の入っていないホイップクリームは、いつもよりもぽすぽすしているように見えた。薄く切られたシュトーレンを口へ運ぶ。]
ん。
[食感が少し違う。冷えて噛みごたえの増えた生地は、歯で潰す度に旨味を徐々に伝えてくる。 柔らかく広がるのが温かさなら、冷たさは味を重さとして舌に乗せてくれるような。 温度ひとつで姿を変える様は、正に欲張りにぴったりな一品だ。]
今だってこんなに美味しいのに、 また味わいが変わるんです……?
宇都木さんって本当おすすめ上手。 ……また、来ます。
[にまにま笑い>>3:145にだって悔しさより楽しさが溢れる。だから、満たされた気持ちで白旗を上げた。 12月のスケジュールにシュトーレンの文字が刻まれたのは、言うまでもないことである。*]
(4) Pumpkin 2019/11/29(Fri) 22時頃
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[二皿も空になり、一杯だけ頼んだお酒も身の内に蕩けた。 最後にもう一度手を合わせれば、乙坂>>3:149との間にあるのはカウンターとしとりとした沈黙だけだ。]
私、美味しいものが好きです。 食べることが好きです。 食べて、元気になって、また頑張って。 食べたいものも、いっぱいあります。
でも……だから、乙坂さんの料理がいいです。 乙坂さんが、いいです。
[戻った視線は彼の深い色した瞳の中。 彼が覗かせた感情に手を引かれるように口を開く。]
……待っていても、いいですか?
[次のスケジュール帳よりもっと近い、この後に。 帰り道だけの、ささやかなデートのお誘いを。*]
(5) Pumpkin 2019/11/29(Fri) 22時頃
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― 閉店後・murmur coney近く、街灯下 ―
[太陽からバトンを受けた月が顔を出せば、空気は秋の名残を払い、冬としての本性を表す。]
さむっ。
[身体をなぞる風に身を竦ませた。 ワインレッドから伸びる尾っぽの下、夜風の入り口は黒>>7で覆われている。]
……。
[顔を埋めるのは、寒いからだ。 冷えて赤くなった鼻をすんと鳴らしたのも、寒いからだ。 それだけのはずなのに、独りでに顔が熱を持った。 コートのポケットに仕舞っていた右手を取り出し、首元のマフラーへ触れる。 見慣れた黒と同じ色を、指先で絡めるように握り締めた。]
(11) Pumpkin 2019/11/29(Fri) 23時頃
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[声が聞こえて顔を上げる。 視線の先には、白い息を吐く黒い彼>>8の姿があった。]
――はい。
[黒色は、知っているけれど、知らない匂い。 だって、こんな近くにいたことがない。 確かめるように、ヒールを鳴らして距離を詰めた。 一歩分の距離を残して、音を止める。]
お疲れ様です。 乙坂さんを、お待ちしてました。
[マフラーから離した右手は下りるより前に彷徨い、彼の上着の端に触れようと伸びる。 彼を見上げて、はにかみながら白い息を吐いた。*]
(13) Pumpkin 2019/11/29(Fri) 23時頃
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[乙坂>>14の声に首を横に振る。 寒さを感じたのは一瞬で、周りの様子だって見ないまま、ただ一人のことを考えていた。 その相手が今、目の前にいる。]
……っ、
[板一枚取り払った距離は、想像よりも近かった。 熱いと思っていた自分の手が冷えていたことを、彼の熱を感じることで知る。 更に距離が近づけば、首に巻かれたの知らない匂いが彼のものなのだと知ることができた。]
えっと、ですね……。
[飢えたお腹みたいにきゅうきゅうと心臓が音を立てるようだった。 数年来見向きもしなかった感情に動揺し、言葉を探すように視線が揺れる。 こんな時、どんな風に返すんだっけ。 どうしたら、いい女になれるだろう。]
(16) Pumpkin 2019/11/29(Fri) 23時半頃
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……私、乙坂さんが好きです。 だから……ずっと、こうしててください。
[結局、上手い言葉なんて出てこなかった。 彼>>15を見上げて頷いて、指先を折り曲げる。
いつも見つめ続けていた彼の手が、手のひらの中にある。 こうしてて、と。 折り曲げた指先が、彼の手の縁にかかった。*]
(17) Pumpkin 2019/11/29(Fri) 23時半頃
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[長く溢れた乙坂>>18の息の始まりが白く染まった。 すぐに掻き消える靄を視線が捉える前に、視界いっぱいがただひとりの人>>19に埋め尽くされる。 今度はこちらが息を止める番だった。]
……、
[間近で降り注いだ薔薇三本分の言葉の威力に、はく、と動いた唇は音すら滲ませない。 閉じることを忘れた目が、間近にある瞳を見つめる。 通った鼻筋の骨の膨らみだとか、下を向く顔の落とす影の形だとか、誰もは知らない彼を焼きつけるように瞬きをした。]
(25) Pumpkin 2019/11/30(Sat) 01時頃
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それ、は……困っちゃいますね。
[繋いだ手は彼のポケットの中。 離れていく顔から鋭意努力して視線を剥がし、マフラーに口元を埋めながらもごもごと告げる。]
たぶん、心臓が保ちません。 だから少しずつでお願いします。
少しずつ……を、ずっと。 私も、そうします、し。
[誰の目にも隠された手を引いて歩き出した耳が赤いのは、寒さのせいだけではないだろう。 家は、会社までバス停3つ。ここからなら4つ分くらいか。 普段運動だと言い聞かせる道のりも、ふたりならきっとあっという間。ヒールだからと言い訳して、踏み出す歩幅をいつもより狭くした。
マフラーを洗って返すと次会う口実を取り付けようとするのは、もう少し後のことになる。*]
(26) Pumpkin 2019/11/30(Sat) 01時頃
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[止めさせてみたい、なんて殺し文句>>33に射抜かれた心臓は反比例するように早鐘を打ち、射手である彼から赤い顔を逸らすように手を引いた。 そうして案内し始めた足は次第に速度を落とし、今は彼の隣に収まっている。
いつもより遅い、帰り道。通りを歩く人も疎らだ。 時折通り過ぎる車のヘッドライトが、繋がる腕を歩道に焼きつけていく。]
……乙坂さん、サービスしすぎです。
[何度目かの射影。見慣れたバスが乙坂>>34の顔を照らす。 見上げた顔が眩しくて目を細めた。光が消えても目を逸らせなかったが、溝の多い地面に慌てて前を向く。 転ばないよう、慎重に。足先に力を込めた。]
(43) Pumpkin 2019/11/30(Sat) 17時半頃
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覚えてますよ。 覚えてますけど……そこかぁ。
だって、私のイメージと違うじゃないですか。 でも嬉しかったからつい……忘れてください。
……やっぱり、忘れないで。
[耳元をくすぐるのは、まだ紅葉した木々が踊っていた日のことだ。 懐かしさや恥ずかしさ、抑えきれない嬉しさも。複雑なソースみたいにない交ぜになった感情を滲ませながら相槌を打ち、最後の仕上げにわがままを一滴だけ落とした。]
(44) Pumpkin 2019/11/30(Sat) 17時半頃
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[赤信号で小休止。途絶えた言葉の最中、同じ温度に近づく手を彼の指>>35がなぞる。 ポケットの中、ぴくりと指が跳ねて、仕事柄邪魔にならないよう短く整えたワンカラーの爪が布地を掻いた。小指が彼の指の隙間に迷い込んで、骨の窪みをつつく。]
嬉しかったんですよ。 おかえり、って。
[赤が灯る間彼の口が閉じるなら、その隙に少しだけ。 立ち止まる人たちに聞こえないよう、腕が触れ合うくらいに身を寄せた。 潜めた声は、まるで内緒話だ。]
お店に行って、美味しい料理を食べる。 それって当たり前なんですけど、全部私が選ぶこと。 murmur coneyは私の願いが叶う場所で、 乙坂さんは願いを叶えてくれる人。
(45) Pumpkin 2019/11/30(Sat) 17時半頃
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でも、おかえりは待っててくれたみたいじゃないですか。 常連だからなのは理解した上で、それでも嬉しかった。
自分のイメージも、忘れちゃうくらいに。
[車道の緑が点滅し始める。]
……だから、夜働く乙坂さんに初めて会った日、 勇気を渡せていたことを知って。
貰ってばかりじゃなかったんだなって、 私も、力になれることがあったんだなって、 乙坂さんの意味になれたんだなって――
[流れるように走っていた車が止まり、黄色が赤にバトンを渡った。 一瞬、この場所にいる誰もが立ち止まる。 静寂により潜めた声が届くように、ヒールの中で更に背伸びをした。]
(46) Pumpkin 2019/11/30(Sat) 17時半頃
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――たーまんねぇなぁ、なんて。 乙坂さんにしか、思わなかったです。
[とどめは今日の笑顔だったけれど、始まりならあの時を置いて他にない。 三度目の真似もいささか照れ混じりではあったけれど、満足したように踵を下ろす。 信号が、青に変わった。*]
(47) Pumpkin 2019/11/30(Sat) 17時半頃
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[信号が青になって歩き始めても、暫くお互い口を開かなかった>>59。 沈黙に不安はない。 お互いの足音と体温だけを感じる時間に、うっとりと瞬きをした。]
……乙坂さんは私を喜ばせる天才ですか?
[白いラインを渡り終えて、また次の道へ。乙坂の声にゆっくり瞼を持ち上げる。 いつもより近い場所から聞こえる彼の言葉ひとつひとつが嬉し過ぎて、ふにゃふにゃと崩れる顔を隠すみたいにマフラーへ口元を沈めた。 布越しの篭った声は、照れてもごもごしている。]
……ふふ。 いっぱい、止めてください。
いっぱい止めて、 いっぱい、私のこと好きになって。
[絞り出すような声>>60はきっと、触れ合う距離でなければ聞こえなかっただろう。 きょとんと睫毛を上下させ、それから微笑む。 かわいい、なんて。年上の男性に思ったのは二度目だ。一度目も同じ人だった。]
(66) Pumpkin 2019/11/30(Sat) 23時半頃
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宅本くん?
[再会した同級生の名前が出て、もう一度きょとんとした表情を浮かべた。 意味を理解する前に、少しの間を置いて発された理由>>61に乙坂の顔を見上げる。 口元が、また彼の黒いマフラーに埋まった。]
……乙坂さんじゃなきゃ、 忘れないで、なんて言わないです。
乙坂さんの料理が食べたいし、 乙坂さんの笑顔に心臓が跳ねます。
私は乙坂さんが、いいの。 ……駄目?
[道をひとつ越える前>>58、嬉しかったなんて言われて、喜ばない訳がなかった。 何かを手放した訳でもなく、何かを比べた訳でもなく、この手を掴んだのはそれを自分が望んだからだ。 伝えきれなかった気持ちを補うように、ポケットの中、唯一の愛しい人の手に指を絡めた。]
(67) Pumpkin 2019/11/30(Sat) 23時半頃
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はぁ、どうしよう。 すごい恥ずかしいこと言ってる気がします。
酔ってるのかな。浮かれてるのかも。 おかしなこと言ってたら止めてくださいね。
[小声とはいえ、大胆な告白をした自覚はある。 熱くなった顔を空いた手で顔をパタパタと仰いだ。*]
(68) Pumpkin 2019/11/30(Sat) 23時半頃
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じゃあ、お互い様ですね。 そうなら、もっと嬉しい。
ドキドキするのも、気持ちも。 全部、お互い様。
[自惚れようがないくらいに、彼>>69の声から視線から、想われていることが伝わってくる。 口元を隠したって、そこから出てくる声がふわふわ弾んでいるのが分かった。鼓膜をくすぐる自分の声が普段より甘いことに気づかないフリをする。 自覚したら、頭の先までマフラーに埋れたくなってしまいそうだ。]
!
[いつもと違う反応>>70に、絡めた指がピクリと跳ねた。 頬を抓る顔を見上げる。]
(81) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 01時頃
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ふふ、私はもう意識してますよ。 乙坂さん、食べる時の顔見てるでしょ? 作った人として見てるのは分かってるんですけど…… 今日、ドキドキしてましたから。
[秘密を打ち明ける声は、照れと喜びに蕩けていた。 声と同じくらいとろんとした笑みを浮かべる。]
その笑顔は初めて見ました。 さっきの言い方も、向けられるのは初めて。 どっちも、ドキドキします。
私が知っているより、乙坂さんが思うより、 私は、乙坂さんの全部が好きみたいです。
[ジャッジ>>71に甘えて、存分に浮かれることにした。 指の間までぴったりと重なった温度を愛おしむように、親指で彼の手の甲を撫でる。]
(84) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 01時頃
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? はい、なんでしょう。
[通りを曲がって、一本細い道へ。 暫く住宅街を進むとマンションが見えてくる。 あそこです、と今日の終わりを示しながら、彼のお願い>>72を聞いた。]
……それ、ずるい。
[最初に言った自分のことを棚に上げて、抗議の声ひとつ。考え込むように口を閉ざした。 名前は知っている。もっと近く、近く。 マンションの入り口が見えた。]
一馬…………さん?
[名前だけの甘い響きに体温が上がって、付け加えるように続きを添えた。浮かんだのは、人懐こい笑み。カズさんと呼んでいた声だ。 赤く染まった目元を伏せつつ、足を止める。 つま先を軸にくるりと半回転。コートの下、スカートが踊った。]
(85) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 01時頃
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今日は、ありがとうございました。 マフラーまで借りちゃって……洗って返しますね。 寒くないですか? 何か持ってきた方が……。
[この時間が終わってしまうのが惜しくて、次々と言葉を重ねてしまう。 繋いだ手を離せないまま、困ったような笑みで乙坂を見つめる。]
……おやすみなさい、一馬さん。
[もう一度、特別な名前を呼んで。 指先から力を抜いた。*]
(86) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 01時頃
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違いますねぇ。 “murmur coneyのお客さん”が知らない乙坂さんです。
でも、だから、嬉しい。 だって……恋人、ですから。
[恋、という響きのくすぐったさにはにかむ。好きと伝えるのとはまた違うくすぐったさだ。 手の甲に触れる彼の指>>91の固さも、いつもよりくだけた笑顔も、少し乱暴な話し方も、店員と客の間柄では知り得なかったもの。 餌を欲する雛鳥みたいにもっとと願う欲は、自分の心臓が保つ程度に少しずつ出していくとしよう。]
(99) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 16時半頃
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はい、もう着いちゃいます。 もっと遠かったはずなのになぁ。
[欲の代わりに零れたのは、彼>>92に続く寂しげな音だ。 疲れた日なんてどれだけ歩いても見えて来ない景色が、今日はワープしたみたいにあっという間に視界の中。 終わりから目を逸らし、ニヤニヤ顔の恋人を見上げる。]
む、意地悪。知ってるくせに。 ……大好き。
[何度目かの好きは、少し拗ねたような声。彼に求められる喜びの照れ隠しだ。 こんなに好きにさせてずるい。 近い呼び名は、お返しみたいなものだ。くらえ。]
(100) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 16時半頃
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……そ、れは、良かった……です。
[くらった。乙坂>>93の反応に、顔が真っ赤になるのが分かる。繋いだ手が燃えるように熱い。 連ねた言葉は別れを惜しむ時間稼ぎであったし、動揺を隠すためでもあった。]
できるだけ早く返しに行きますから、 風邪、引かないでくださいね。 24日に大きな仕事があるので、 暫くはバタバタしちゃうんですけど……パーティ?
絶対行きます。都合は良くします。 えっと、じゃあラザニア食べ……あっそうですね。 私名刺ありますので ――っ!
[いつもの計画性はどこへやら。 わたわたとほどいた指は、ポケットの主>>94に捕まる。 引き寄せられるがまま、よろけた足で腕の中に飛び込んだ。]
(101) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 16時半頃
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[近い。近くて、熱い。驚きに固まった身体から、徐々に力が抜けていった。 マフラーと同じ匂いに包まれながら、空いた手で彼の服をそっと掴む。 額を彼の肩に押し当て、2人分の鼓動に目を閉じた。]
……?
[頭上から聞こえてきた声>>95に意識を向けると、耳の中に囁きを残して身体が離れた。 さっきまで燃えるように熱かった身体に夜風が染みる。身を小さく震わせた。]
……。
[差し出された一枚の紙に手を伸ばす。 ワインレッドの爪は紙を通り過ぎ、差し出す手の付け根に触れようとした。]
(102) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 16時半頃
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一馬さんに、カコちゃんって呼ばれるの好きなんです。 そんな風に呼ばれることないから、新鮮で。 かわいい響きでしょう?
[輪郭を辿るように手の淵、それから指の付け根へ。]
でも、私も、一馬さんの特別が欲しい、な。
[小指の側面をなぞり、順番に指先の山を越え、最後に紙を掴んだ。]
……次、会った時。 もっと近く呼んでください。 いっぱい、傍で。
(103) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 16時半頃
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それじゃあ、おやすみなさい。 連絡しますね。
[代わりに名刺を差し出し、扉の向こうへ駆けていく。 自動ドアが閉まる直前、ふと思い出したように振り返り、自分の心臓の辺りを指で示した。]
ついてるかも。
[無防備に飛び込んでしまった箇所は、少し汚れてしまったかもしれない。 申し訳なさそうに両手を合わせてから、マフラーを引き上げ、顔の半分を隠した。 ひらりと手を振り、名残惜しさを振り切るように駆けていく。*]
(104) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 16時半頃
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― 自宅・302号室 ―
[駆けた足はそのままエレベーターへ飛び乗り、染みついた動作で3階へ。ヒールの音に気をつけながら、早足で自室の鍵を開けた。素早く身体を滑り込ませた。 ドアに背を預けたかと思えば、ずるずると滑り落ちるようにしゃがみこむ。]
……っ!
[マフラーに隠した顔の熱が冷めない。きっと耳まで赤い。 睫毛を震わせながら、小さく息を吐いた。視線を手元へ動かす。 受け取った紙は少し皺が寄ってしまっていて、両手で破らないように伸ばした。右上がりの文字を指でなぞる。]
(105) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 17時半頃
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[名刺には電話番号とメールアドレスしか載っていない。 鞄からスマホを取り出し、貰ったIDにメッセージを送る。]
『桐野江です。 今日はありがとうございました。 パーティ、楽しみにしてます。』
[あまりにシンプル過ぎる文面と数秒睨み合った。 素っ気ないと思われてしまうだろうか。しかし、自分の性格と年齢が壁となって立ちはだかる。]
『また、デートしてくださいね。]
[数分の葛藤の末、一文が追加された。]
いっ……足攣った!
[足の裏に走った痛みに、慌ててヒールを脱ぎ捨てる。 背伸びから解放された足を震わせながら、親指でもう一度スマホをタップした。
画面には、ハートを持った猫が揺れている。*]
(106) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 17時半頃
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― ハッピー・ノット・アンバースディ ―
[冷たい風に、枯れ葉の擦れる音よりも揺れる枝のきぃきぃという鳴き声が聞こえることが多くなった。 仕事の資料を置いて来た分、今日の鞄はいつもより二回りは小さい。 他には底の広い紙袋がひとつと、平らな黒い袋がひとつ。 「本日貸切」の札>>39の前、ヒールの音を息継ぎみたいに止めた。]
お邪魔しまーす。
[潜った穴の中は、お茶会さながらに大皿料理がテーブルに並んでいる。 店長>>39の姿を見つけ、人と料理の隙間を縫うように歩を進めた。]
芙蓉さん、おめでとうございます。 これ、良かったら。
[底の広い紙袋の中身は、片手サイズの小振りなブリザーブドフラワー。 デルフィニウムにムスカリ、ペニーブラック。見覚えのある色の中、すべてを繋ぐようにふわりと咲く白い霞草は目の前の彼女のつもり。 テーブルには主役の料理たちが所狭しと並ぶだろうと、邪魔にならない大きさを選んで良かった。 手に持つ物をひとつ減らして、周囲を見渡す。]
(133) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 23時半頃
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[無事第一ミッションを成功させ、お花ひとつ分軽くなった身体で辺りを見渡す。 並ぶお鍋>>73>>74は冷えた身体を芯から温めてくれそうないい香り。ポトフのほくほくじゃがいもに視線を奪われる。 甘いお菓子だって出番は最後と決まった訳じゃない。宇都木の作品もすかさずチェックした。]
ん、あった。
[視線を奪われ、目を留め、花を飛び交う蝶のようにあちこち移動していた瞳も、お目当て>>129を発見すれば不動と化す。 移動する間、色とりどりの野菜>>130に目移りしたのは仕方のないことにさせて欲しい。]
美味しそう……!
[スクエア型の器に、焼き目のついたチーズがふつふつと揺蕩っている。 隙間からちらりと見える深い赤と淡い白は、いつかの煮込み料理の同じ魅惑のお誘い。 思い描いた料理が目の前にあるのが嬉しくて、自然と口元が緩む。今日は隠すためのマフラーは首元にはない。 ラザニアを存分に目で堪能した後、誰かを探すように顔を上げた。*]
(134) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 23時半頃
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[視界に飛び込んで来たのは、探していた姿>>137。]
乙坂さん。
[今はまだ呼び慣れている方の名前を呼んだ。 今日はサーブの時以外も店員さんたちは厨房の外にいる。 いつもより近い距離は、"murmur coneyのお客さん”としている時よりあの夜の帰り道に近い。 目尻のアイラインの先が淡く朱に染まった。]
無理し……てないと言い切ると嘘になっちゃいますけど。 でも、都合良くしたかったのは私なので。大丈夫です。
充電かぁ。任せてください。 ここに来て、私がいつもしていることです。
[すぐそこに迫ったイベント。 出演者との打ち合わせやホール側との調整と、当日までは休みが取れそうにない。 そうするとどうしても乙坂との時間を作ることが難しく、目下の悩みの種となっている。]
(139) Pumpkin 2019/12/02(Mon) 00時半頃
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じゃあ早速、ちょっとだけ。 ……充電。
[端的に言うなら、ちょっと寂しい。 いつもより近い距離をもう半歩詰める。彼の手の甲へ、自分の手の甲を重ね合わせるようとした。こつ、こつとノックを二回。最後におまけでもう一回。]
……さて。 今日は気合入れてお腹空かせて来たんですよ。 さっきのサラダも美味しそうだったなぁ。 麺みたいなのもありましたよね。
でもまずはラザニアです。 乙坂さん、ラザニア行きましょう。
[再び半歩離れて、声音はいつもの通り。 心を一口満たしたなら、次は身体の番だ。 一歩二歩と前へ進み、振り返って乙坂を手招きした。*]
(140) Pumpkin 2019/12/02(Mon) 00時半頃
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[初めて想いを交わしたあの日、メッセージを送った手はその後、三本の薔薇の花言葉に辿り着く。
『何度だって』 『よろしく』
攣った足をゆっくり伸ばしながら、既に繰り返し見た文面を見返し、一人にやけていたのは内緒のお話。]
順番通りに食べるご飯も美味しいですけど、 今日は好きなものから食べたい気分なんです。 ずっと楽しみにしてましたからね。 今日乗り切ったらラザニアだぞーって。
あ、あれもお野菜なんですね。 ベジヌードル、雑誌で見たことあります。 次はそれにしよう。
[近づく乙坂>>154へ弾んだ声で答える。 しかしまずは本命のラザニアだ。とすとすとトングが沈む度、チーズの隙間から滲むソースに目を輝かせた。]
(156) Pumpkin 2019/12/02(Mon) 22時半頃
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どうしよう、見た目から美味しい……。 ミートソースとホワイトソースじゃないんですね。 牛ほほ肉はずるい。食べた過ぎます。食べます。
[切り分けて貰ったお皿を受け取りうっとりと眺めた後、空いている席を探す。 いつものカウンターにしようと振り返れば、乙坂も丁度接客に区切りがついたところだったか。 提案しようと開いた口は、彼の発した爆弾に固まることになる。]
……っ、あ、 ……えと、 同じものを……お願いします。
……一馬さん、と、同じのがいいです。
[確信犯の笑み>>155に、先程の彼>>153のように息を呑む。 次、とねだったのは自分だが、完全な不意打ちだった。 薄くなった鎧では太刀打ちできず、照れて伏せた瞼の下、揺れる瞳で返事をする。 それから小さな声で反撃を試みるも、心臓の音の方が大きくてちゃんと言えたのかさえ分からない。 完敗だ。白旗を上げるみたいにはにかんで、赤い顔を隠そうとカウンター席へ向かった。*]
(157) Pumpkin 2019/12/02(Mon) 22時半頃
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[乙坂>>159にこくこくと頷くことで返事をし、少し足早に席へと移動する。 周りに気づかれない内にと、熱を持った頬を仰いだ。 黒豆茶と共に彼が戻ってくれば、自身の隣を促すように椅子を引く。 小さく咳払い。気合いを入れ直し、背筋を伸ばして微笑んだ。]
! ……ふふ。
[言い慣れた、聞き慣れない言葉を耳にする。 いつもは境界線の向こう側、今日は隣の席。 これまでは店員と客、これからは恋人同士。 日常に紛れた特別に、彼を見上げる目元が蕩けた。]
いただきます。
[乙坂に続いて手を合わせる。一緒に食べるからこその同じ言葉は、それだけで胸を躍らせた。 笑顔がかわいいなぁなんて口にしてしまう前に、フォークを手に取る。 伝えることを惜しむつもりはないが、今言ったらそれ以上のものが返ってくるはずだから。彼はそういう人だ。照れてしまう。 少しずつ知っていく好きな人の好きなところに、ラザニアを迎え入れる唇は弧を描いていた。]
(164) Pumpkin 2019/12/02(Mon) 23時半頃
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[噛み締めた瞬間、断面から美味しさと熱が一気に溢れた。はふ、と空気を送り込む。]
……っ、あつ、
[野菜の甘味たっぷりのラグーソースは、煮込んで酸味の飛んだワインの旨味に満ちている。染み渡るような旨味の中、牛ほほ肉の旨味は脳に直接訴えかけるようなまっすぐさだ。存在感たっぷりのお肉は、しかして歯を必要としない程に柔らかい。蕩けるかと思う程に繊維がほどけて、口の中でソースと一体になっていく。
対して、ベシャメルソースはこれでもかと滑らかだ。円やかなでコクのあるクリーミーさが、舌を包み込むように広がる。香りもいい。
それらを交互に挟んだパスタはもちもちで、歯が突き抜けていく食感が楽しい。 焦げたチーズの香ばしさと匂いに、手を添えた口元が綻んだ。]
(165) Pumpkin 2019/12/02(Mon) 23時半頃
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はぁ……最高。
[はふほふと格闘すること暫く、喉が動いて吐息をひとつ。 口の端にソースが残っていないか確認しながら、熱さに潤んだ瞳を隣の彼へ向けた。]
このソース絶品ですね。何度でも食べたい。 それに、一緒に食べるの新鮮だなぁ。 ……嬉しい。美味しいですね。
[感想を伝えるだけでなく、分かち合うための言葉。 黒豆茶を口にしながら、新鮮な彼の食べる姿を見つめる目はどこか楽しそうだ。*]
(166) Pumpkin 2019/12/02(Mon) 23時半頃
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[視線を向けた時、彼>>167のフォークは真っ新だった。 自分がラザニアに夢中だった間の彼の行動が手に取るように分かってしまい、逃したはずの熱が頬へ再び集うのを感じる。]
……じっと見るの、駄目です。
[嫌じゃなくて、駄目。 彼にだけ告げる我が儘も、未来を語る言葉に溶けていく。]
いいなぁ、それ。 これまでは、乙坂さんが作って、私が食べる。 これからは、一馬さんが食べて、私も食べる。 いいなぁ。夢みたい。
[いつもは、カウンターで向かい合って。 今日は、隣同士同じものを食べて。 同じ場所だからこそ、違いだけが浮き彫りになる。 彼の口にする未来が容易く想像できて、いつかいただきますを交わすことが特別じゃなくなるのかもしれない、なんて。 浮かんだ考えに目を瞬かせ、笑みがチーズみたいに蕩けた。]
(181) Pumpkin 2019/12/03(Tue) 20時半頃
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[初めて一緒に食事をするということは、初めて彼>>177が食べるところを見るということでもある。 横を向いて、軽く首を傾けて。 こっそり眺めていようと思ったのは、彼の目を思い出したからかもしれない。
咀嚼する度に動く頬の筋肉、嚥下する際に上下する喉仏。 ほんの少しだけ、あと少しだけ、もうちょっとだけ。 行儀が悪いと頭では理解していても目を離せない。彼の口にチーズの橋がかかってようやく、ハッとしたように視線を逸らした。]
(182) Pumpkin 2019/12/03(Tue) 20時半頃
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一馬さんのパスタが懐かしくなっちゃいました。 仕事が落ち着いたら、またランチも食べに来ます。 ディナーの方はどうですか。挑戦は順調?
[甘みと香ばしさ感じる黒豆茶を傾けながら、逸らした視線は再び彼をじっと見つめている。目尻は心なしか赤い。]
……一馬さんの方が甘いです。
[視線も、言葉も、声も。彼から与えられるものはすべて甘くて、熱い。 この人は私のことが好きなんだなぁなんて、誰かに思う日が来るとは思わなかった。それくらい彼の瞳は雄弁だ。 差し出されたバタールの意図を察して周囲を見渡す前に、その瞳に目を奪われた。 深い色だと思っていたが、陽の当たる場所ではまた違った顔を見せるよう。何色、というよりは――]
綺麗……。
[――甘くて、熱くて、綺麗な。 彼の目に、私は弱い。]
(183) Pumpkin 2019/12/03(Tue) 20時半頃
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……これ、マフラーです。 ありがとうございました。
[弱いからと言って、すぐに身体が動く訳ではない。 時間稼ぎをするみたいに、鞄の片割れだった黒い袋を差し出す。中身は透明の袋に詰められた黒い毛糸のマフラー。クリーニングのおかげでピカピカだ。 それから迷うように彷徨った手が鞄の中へ。小さな塊を黒い袋の上に乗せる。]
あっ、
[零れちゃう、と。言葉になる前に身体が動いた。 咄嗟に伸ばした手がバタールを持つ彼の手に触れる。 揺れる瞳を隠すように目を伏せ、唇でオーロラソースごと攫った。]
……。
[手を添えたまま、片頬を膨らませる。バタールに提供した仮住まいは、口をもぐもぐと動かす度に小さくなった。 もちもち生地に甘みとコク、それからほのかな酸味が染み込んだバタールは、どこかしゅわしゅわとした食感。オーロラソースだけで、バタール一本は食べられそうだ。 バターの香りと小麦の甘さまで堪能した後、喉を鳴らす。]
(184) Pumpkin 2019/12/03(Tue) 20時半頃
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……ドキドキしすぎて、美味しいことしか分かりません。
[空っぽになった頬は、それでも少し膨らんで見えた。 照れて逸らした視線は、黒い袋の上に至る。そこには鍵がひとつ。]
一緒に色んなご飯食べたいし、色んな所に行きたいです。 でも、だから。 ドキドキするから……二人きりの時が、いい。 一馬だけの時が、いい。
[だって仕事で会えないこともあるし。会えたって時間がない時もあるし。疲れてる日だってあるだろうし。使わなくたっていいし。 どれだけ内心言い訳を重ねたって結局最後まで鞄に入れたままだった合鍵は、無計画そのままにその身を晒している。 困らせていないだろうか。不安そうに彼の様子を伺うのだけど。]
おうちデートもしよう、ね?
[どれだけぐるぐる考えたところで、この瞬間、五感すべてが彼のもの。 要するに、彼だけしか見えていないのである。*]
(185) Pumpkin 2019/12/03(Tue) 21時頃
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[最初は、美味しい料理への返礼を込めて。 次は自覚した好意を意識して、何でもない顔をするのがやっとだった。 今は、笑みの形に細められた甘い瞳に拗ねた顔を。 そんな風に笑顔で見たいなんて言われたら、もう駄目だと言えなくなってしまう。拗ねた顔はすぐに微笑みへと変わった。]
ふふ。私のことばっかりじゃないですか。 私は、夜の一馬さんもいいなぁって思いました。 メニューのない場所で戦う姿、かっこよかったです。 でもランチであのパスタが食べられないのは寂しいから、 戻ってくれるのも嬉しい。
一馬さんは知らなかったかもしれませんけど、 私、一馬さんの作る料理のファンでもあるんですよ? いつも、貴方の手を見てました。
(211) Pumpkin 2019/12/04(Wed) 21時頃
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だから、一馬さんのやりたいことを選んでくださいね。 それでもし会う時間が減ったら、私がここに来ます。 美味しい料理大好きですし……大好きな人も、いますし。
[妙に色っぽく感じてしまった食事風景を見つめながら、夢を語る彼の口から紡がれる自分の名前に目を細める。 「カコちゃん」と呼ばれる度に”頼りになる桐野江さん”の肩の力が抜けるようだったのに、意味が宿った「香子」の響きは格別だ。 知らなかったかも、なんて冗談混じりに伝えた応援も、たった二音と雄弁な瞳に甘く蕩けてしまう。 言葉が重なったなどとは知らぬまま>>194、差し出される誘惑>>195を攫った。]
(212) Pumpkin 2019/12/04(Wed) 21時頃
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[食事する姿を見られる状況は同じだが、彼>>196の手は浮いたまま、固まってしまったかのようにこちらを見ている。 口に物が入っている間は喋らないように育てられた女と、食事の邪魔をしない彼。 図らずも、時間稼ぎの続きみたいになった。]
……。
[彼の愛は大きくて、一息に飲み込むのは勿体無いから。 咀嚼して、味わって、喉を鳴らして嚥下する。 空っぽになった口でぽつぽつと零した言葉を、彼>>197は優しい相槌で受け止めてくれた。]
ん?
[優しい相槌を打った彼は、鍵を口元へ運んだ。 食むような動きに慌てるも、続く一言に動きを止める。 一言と、それよりずっと明確な、熱に。息を飲んだ喉が波打った。]
(214) Pumpkin 2019/12/04(Wed) 21時頃
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練習って……私だってそれくらいできますよ。 でもまぁ、おいおい。
[あの熱を捉えた後では、腕の中なんて言葉にさえ熱が上がる。 無事渡せた合鍵に視線を向ければ、爪の短い彼の指>>198が凹凸をなぞるのが見えた。]
え……。
[不安の滲む贈り物は、いつの間にか交換になった。 “同じ”の真実に至れば、彼の唐突な行動にも合点が行く。 彼より先に出してしまったから、なんて自惚れてもいいだろうか。 それは何だか拗ねているようにも見えて、]
ふふ、かわいい。
[つい、素直な気持ちが溢れた。 大人として適度な距離を保つ必要もなければ>>1:268、それ以上で返ってくるであろう言葉に身構える意味もない>>164。 だって言わずとも、存分に与えられることをこの身は知っている。ならば、惜しむ理由だってない。 頬を緩めて、余裕のある笑みを浮かべ――ていられたのはここまで。]
(216) Pumpkin 2019/12/04(Wed) 21時頃
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え、あ、はい。
[この後の予定と目的地>>198が告げられポカンとしている間に、とどめと言わんばかりのお誘い>>200の言葉。 意味を理解できるくらいには大人だったし、彼に抱くのは間違いなく恋だった。 だから咄嗟に今朝の身支度の様子を思い出していて、慌てて頭を振る。 返却したマフラーを片づけに行く背を見送る頃には彼の言葉が芯まで届いて、両頬を手で押さえなければならなかった。]
交換、かぁ。
[熱を持った頬を隠すつもりが、口から漏れたのは喜びを隠せないふにゃふにゃした声だ。 先走ったかと思ったことが、同じ足並みだった。 それがどんなに嬉しいことか、彼はまだ知らないのだ。 両頬に手を当てたまま、人差し指一本を彼の背に向ける。指を軽く上に弾いた。]
望むところです。
[誰にも気づかれないよう撃ち抜いて、誰にも聞こえない返事をする。 この先は彼にしか教えられない、内緒のお話。*]
(217) Pumpkin 2019/12/04(Wed) 21時頃
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[背を向けた乙坂>>208の動きが止まった。 声の方を見るとエリカ>>209と宅本の姿があった。 二三言葉を交わして離れた乙坂と入れ替わるようにやって来たエリカと向かい合う。]
こんばんは、エリカちゃん。 独り占めなんて……むしろ私の方が、かも。
[仲のいい兄妹のような二人のやり取りに浮かべる笑みは、諸事情>>217により普段よりも柔らかい。 いつものように青を探す目が、エリカの頭上で止まる。]
それ、新しいの? 綺麗ね。エリカちゃんによく似合ってる。
[ヘアピンのある場所と同じ位置の自分の頭を、指でとんとんと叩いた。*]
(218) Pumpkin 2019/12/04(Wed) 21時半頃
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[仲の良い兄妹と、いつもと変わらぬ素直で分かりやすい同級生>>222の姿に笑みが深くなった。 ラザニアの人気も自分のことのように嬉しく、これ以上緩んだら”桐野江さん”に戻れなくなりそうだ。 メイクが崩れないよう頬を隠していた手を離す。とんとんと、ヘアピンを示したのと同じリズムで顳顬を叩いた。]
?
[安心、という言葉が咄嗟に繋がらず、エリカに続いて移動する宅本を目で迎え入れて。]
なっ……!
[何を指しているのか理解した。してしまった。 離れた手が、再び頬を守る盾となる。]
待って。何、何のこと。
[悪あがきのように尋ねる声は、宅本の満面の笑みに一時停止する。 素直な人だ。我がことのように微笑んだ。*]
(227) Pumpkin 2019/12/04(Wed) 22時半頃
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[エリカのふんわりした喋り方で聞く言葉>>233は、どこか幼子に言われているような感覚を覚える。 思わず頭を撫でようと伸びかけた手は、嬉しそうな彼女が羽根に触れたことで動きを止めた。代わりに自身の口元に手を添え、彼女の耳元へそっと話しかけようとする。]
独り占めはしないけれど、特別なの。 ……伝わる?
[声を潜めた時より身を離して、首を傾げた。 紫混じりの瑠璃色の鮮やかさが、羽のデザインで和らぐ。 彼女の印象に似ていて、けれど少し違う今日のあおが目に映った。]
いいなぁ。 とっても、いい。
[満面の笑みも触れる指先の優しさも。 眩しさに目を細めたら、自然と笑っていた。*]
(240) Pumpkin 2019/12/04(Wed) 23時半頃
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おかえりなさい。 え、っと。んー……内緒です。 ラザニアと夕日であったまっちゃったかな。
[我ながら壊滅的な誤魔化し方だったと思う。 自覚はあったのでトレイと共に戻ってきた乙坂>>232を窺うように見つめる。名残りのような日の光がカーテン越しにぼんやりと輝く。凭れ掛かる姿が絵になって、暫くぼんやりと彼を見つめていた。]
あ、ポトフ美味しそう。 宇都木さんのリクエストでエリカちゃん作なのね。 噂のベジヌードルまである……いっぱい持ってきましたねぇ。
[エリカ>>238の声に視線がトレイへ移動した。 耳にした注文はラザニアだけ。それ以上のご馳走を連れてきた乙坂にかける声は弾んでいる。 エリカが椅子を引こうとするなら、手伝うように腰を上げた。*]
(241) Pumpkin 2019/12/04(Wed) 23時半頃
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[エリカ>>239の正直さには今日もしっかり上がった睫毛が忙しなく動いたけれど、それが彼女みたいに自然で優しかったから。 照れて困ったみたいに下がった眉とは裏腹に、素直に頷いた。*]
(242) Pumpkin 2019/12/04(Wed) 23時半頃
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― 三人卓 ―
[しなやかな木のように、いつだって自分の足で立つ印象の宅本>>250が振り回されているのが新鮮で目を瞬かせた。 視界には彼と、その理由である彼女の姿。大きく動く心のままならなさに頬が緩む。 そんなところに不意打ちが来たものだから、盾の守りの間に合わないままに狼狽を晒してしまう。]
そんなに分かりやすかった……? 秘密にできてるつもりだったんだけどなぁ。
[何の境界もない隣の席、気づいていたのはどうやら自分だけではないらしい。 前髪の淵へ指を通しながら、照れを逃すように笑みを零す。]
それを言うなら私だって、かな。 お似合いね。
[視線は彼の隣にいるエリカとその瑠璃色へ。 決められた道をひとつ選んで歩くのは得意だが、今日は彼を見習って指し示す先を不明瞭にしてみよう。 違うことがあってもいい。それを教えてくれたのは、目の前の友人なのだから。 前髪を流した人差し指を立て、微笑みながら自身の鼻の頭を二度叩いた。*]
(256) Pumpkin 2019/12/05(Thu) 18時半頃
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― 四人卓 ―
[椅子に腰を下ろした乙坂>>246>>247の口からは、秘密も内緒も強火で飛ばしてしまったように濃く煮詰められた言葉たちが溢れる。 またひとつ、瞬きをして。慣れない熱さにきゅうと目を閉じた。]
……っ、
[真剣に頭を下げる乙坂>>248を邪魔しないかつ賛同するようにこくこく頷いて、二人の反応を見守った後、肘で彼のしっかりした腕をつついた。そっと、こっそりと、だ。 人前であること、アルコールが入っていないこと、照れてしまうこと。いくつもの理由が表出する言動にブレーキをかける。 それなのに彼の言葉に引っ張られて、彼への想いが大きくて>>230。いつもの自分じゃいられないくらいに浮かれている自覚はあった。 特別な人を、好きになった。目元を赤く染めたまま、じっと相手を見つめる。]
早く、食べましょ。
[どの料理も丁寧に食べたいし、宇都木の作ったデザートだって逃すつもりはない。 ただいつもより少しだけ早くお手拭きに手が伸びて、甘いままならなさを溶かしたスープを口へ運んだ。]
(257) Pumpkin 2019/12/05(Thu) 18時半頃
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[じっくり煮込まれた野菜の甘味たっぷりのポトフ>>74。 ほんのり溶けたじゃがいものまろやかさとコンソメの風味が口いっぱいに広がる。 角の丸くなった大きめのじゃがいもがほく、にんじんがほこ、玉ねぎはとろり、蕪もどちらかと言えばとろり要員。ベーコンの脂身はぷるぷるで、噛み締める度に適度な塩気が口内のスープに味付けを施す。
スプーンで掬ったソーセージは、煮込まれた証のスリットが入っている>>231。歯を立てた瞬間のパキッと感が和らいだ代わりに、溝を出口として旨味が飛び出してきた。叶うなら、この魅惑の溝を暫く味わっていたい。しかし辛うじて残った理性が口を動かす。
主役と言ってもいいセロリが、贅沢に二種類投じられたお肉の油を洗い流してくれる。しゃくしゃことした食感も爽やかな香りも、大人になって大好きになったものだ。 たっぷり詰まった美味しさに、顔まで蕩けてしまう。]
(258) Pumpkin 2019/12/05(Thu) 18時半頃
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[ピタパンは、ちらりと中を覗いてカンニング。見えた赤と白のソースに目を輝かせた。 指先に軽く力を入れ、むちむちとしたピタパンの感触を楽しみながらちょっとだけ小さく畳んで口に押し込む。]
んー……。
[ねっちりとしたピタパンともちもちのパスタ。全く異なる小麦の姿だが、ラグーソースとシャンピニオンソースと相性抜群な点は、同じ生まれだからこそだろう。お互いを邪魔しないのもさすが兄弟といったところ。 新たに加入した細長いオレンジはほんのり甘い。ほくに満たない、はこといったところの食感は、生だからこその美味しさだ。]
これ、カボチャですよね?
[見慣れたカボチャの固さからは想像できない食べやすさに、思わず質問してみたり。 「おかわり」なんて関係ないと言わんばかりに、次々と身体の内へと招き入れた。*]
(259) Pumpkin 2019/12/05(Thu) 18時半頃
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― 4人のテーブル ―
[ふんわり優しい笑みを浮かべたエリカ>>268の声に、ゆうるりと紅を引いた唇が弧を描く。]
えぇ、分かるわ。
[教えてもらった羽根>>269を瞳に映した。 それから、彼女の目をまっすぐ見つめる。]
エリカちゃん、すごく綺麗ね。
[いつもよりも、もっと。伝えて、微笑む。 “特別”を知った私たちは、きっと”おんなじ”顔をしている。*]
(286) Pumpkin 2019/12/05(Thu) 22時半頃
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― 待望の5人目 ―
[乙坂>>260の説明を聞きながら食べるという贅沢を満喫する。 これまで乏しかった知識も、彼と共に過ごしていく内に自然と身についていくのだろう。 美味しいです、と伝える口元は、彼の料理と幸福でいっぱいだった。]
はい、お願いします。
[当然みたいに問われた声>>261には、当然だと頷く。 藤色の尻尾>>266が視界の端で揺れて振り向けば、思い描いた姿があった。]
宇都木さん!
[新人さん、なんて思った日が遠い昔のようだ。 そう思えるのは彼の人柄ゆえであるし、彼の作るデザート一品一品に思い出があるからだろう。 偶然の出会いを果たせた固めプリンも、幸運の女神が微笑んでくれたアップルパイも、美味しかったし、嬉しかった。 そして今日もまた、そんなデザートに出会えるのだ。]
(287) Pumpkin 2019/12/05(Thu) 22時半頃
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[5色のマカロンは優しい色に違わない口溶けだ。 サクと歯が感じたかと思えば、あっという間にほろり。 同級生が熱く語ったマカロンが思い起こされた。 しっとりガナッシュが生地によく馴染んで、それぞれのフレーバーの味を引き立てている。
秋らしい栗を使ったモンブランは冬支度。 ラム酒香るマロンクリームも絶品だし、この固めの生クリームがいい仕事をしている。 たっぷりのクリームを邪魔しない土台は、もっと食べたいと感じる絶妙な大きさ。 折角のツリーを倒さないように、息を詰めてフォークを下ろした。]
(288) Pumpkin 2019/12/05(Thu) 22時半頃
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ごちそうさまでした。
[固めプリンもキャラメルりんごタルトも「ちょっとずつ全部」味わい尽くし、満たされた吐息を漏らす。 手を合わせて、いつもの挨拶。立ち上がる。]
それじゃあ、私はそろそろ。 エリカちゃん、宅本くん、またね。
[いつどこで、なんて約束はないけれど、ここに来れば。 美味しい料理と大切な友人たちに出会える場所。 元気の源であるうさぎ穴は、いつだって優しい明かりを灯していた。]
ごちそうさま。 今日も美味しかった!
[カウンターに見つけた藤色>>267へバイバイと手を振る。 いつもより幼い仕草や笑みと一緒に気持ちを贈ろう。 今日も、次も、その次も。彼のデザートは元気をくれるはず。 確信めいた予感は、きっと外れることはない。*]
(289) Pumpkin 2019/12/05(Thu) 22時半頃
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― 1人の帰り道 ―
[夢の世界から一足先に抜け出し、一路自宅へ。 彼>>262の言葉と共に、帰り際、寂しさを隠せずじっと見つめてしまった自分を思い出してしまい、鞄に荷物を勢いよく突っ込んでしまう。]
はぁぁ……。
[ままならなさに、深く息を吐く。 彼と一緒にいると、踵だけでなく爪先まで宙に浮いてしまいそうだ。 食事を終えたらデート。それを知った上で「早く」、なんて>>247。これまでの自分なら口にしなかった言葉だ。 好き過ぎて自制できないという悩みと、自分の年齢を見比べた。]
……。
[お泊りセットを詰め終えた鞄を見下ろす。 今から迎えば、時間もぴったりだろう。忘れ物もない。
持ち出した鞄は、パジャマひとつ分軽かった。*]
(296) Pumpkin 2019/12/05(Thu) 23時半頃
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― 2人の時間 ―
[「交換」した鍵は薬指と繋がった>>263。 これまでより7cm離れた目線も、座ってしまえばいつもと変わらない。 むしろ甘えるみたいに、アルバムを眺める距離を詰めた。]
……うん。
[カウンター越しに見つめていた手を握り返す。隙間がなくなるくらい、ぎゅう、と。 鍵のリングはなくさないようにと、ついさっき外した。 空っぽの薬指に違和感を覚えることに、思わず笑みが浮かぶ。]
私、ね。 一馬さんの隣にいる私が、結構好きなの。
["特別"な彼の隣にいる"特別"な自分は、きっとこれから普通になっていくのだろう。 皺のない手を親指が確かめるように撫でる。皺のある手もいいなぁ、なんて、蕩けた声で呟いた。]
(297) Pumpkin 2019/12/05(Thu) 23時半頃
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一馬……――かず ま、
[遠い未来に思いを馳せる前に、今は。 愛しい人の名を呼ぶ、練習をしよう。*]
(298) Pumpkin 2019/12/05(Thu) 23時半頃
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― 約束、ひとつ ―
[エリカ>>302の声に、家路へ踏み出したヒールを止める。 唇を濡らしたお酒に夢心地だった彼女を心配そうに見つめた。]
ゆっくりで大丈夫。 どうしたの?
[食べて、と周りに自分のデザートを勧める姿はとても可愛らしかった。 自身もプリンを一口貰ったりしつつ、宅本へ視線でエールを贈ったりしたのだったか。 そんな姿を見ていたものだから、幼い子へ話しかけるみたいに発言を促す。]
(308) Pumpkin 2019/12/06(Fri) 00時半頃
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[返ってきたのは幼子の言葉ではなく、おんなじ彼女からの誘いの声>>303。 カールをキープした睫毛が上下する。]
ふふ、もちろん。すごく嬉しい。 早速計画しましょうね。芙蓉さんにも伝えてくれる? 宇都木さんのお姉さんははじめましてだけど、 きっと仲良くなれる気がする。
[名刺にIDを手書きで記して差し出した。 彼女の連絡先も聞けたなら、手帳にペンを走らせる。]
その……相談なんだけど、
[ペンをしまいながら、友人へおずおずを声をかけた。]
……鍵型のチョコって、作れる?
[幾度目かの女子会は、胸焼けしそうなくらいに甘い匂いの中で。 新しい内緒話を持ち掛け、悪戯っぽく笑った*]
(309) Pumpkin 2019/12/06(Fri) 00時半頃
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