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…っ、すみません。
出来ればどこかに通報とか捜索とか、何か………
[空いた左手を額に当てて、ぐるりと辺りを見回す。
目印になりそうなものも、見覚えのあるものもない。
ただここが、何かの駅であることは間違いがないように思う。
焦りと苛立ちが相半ばした表情で、手掛かりを探す。
何度見渡しても、そのようなものは何もないけど。]
何か、お願い出来ませんか。
ここは新宿のどこかかとは思うんですけど。
駅からどこか、おかしなところに来ちゃったみたいで。
ほんと全然、電話とかも繋がらなくて。
[実際、こんな話をされても相手は困惑するばかりだろう。そう理性は告げるものの、他にどういえばいいというのだ。状況と、道を失った自分自身への焦り、苛立ち、不可思議な状況への戸惑い、恐怖。そうした雑多な感情が言葉の端に滲む。]
お願いします、みよ子さん。
今までで連絡が付いたのは、みよ子さんだけなんです。
いきなりこんなの、信じられないかも知れないんですけど…っ!
[垣間見えた一筋の救いを手放すまい。そんな必死さで、漸く繋がった一本の電話の向こうに*訴えかけた*]
[そうだ、ここは新宿の街、だ。
私さっきまで家にいたよね?
テラスに出て、それから、手を引っ張られて、どうなったんだっけ?]
あの、すみません、今何時ですか?
[道行く人に尋ねようとする。
答えてくれないそのサラリーマンは、忙しそうに雑踏の中へ消えていった。
はたと自分の格好を確かめると、家に帰ったままの姿で、まだ制服のまま。
肩に背負ったバッグからスマホを取り出すと、画面は黒いままだった]
私、ひょっとして……寝ぼけてるのかな。
[一瞬、死んだ、なんて言葉を出そうになったけれど、意識的に言葉をすり替えた]
[新宿の街を歩く。
行き交う人の流れは、誰も私に気づかない。
誰も私を知らない。
私は、本当にここにいるのかな?]
「ごめんね」
[不意に声が聞こえた。同時に、右手を取る誰かの小さな手。
その手の感覚を知ってる。
『怖くない』方の手だ]
「ただ遊びたかっただけなのに」
[右側を見下ろす。
そこには、小さな影があった。違う、女の子? 私よりも幼い、小学生くらいの]
あなたが、冷蔵庫開けてた子?
ねえ、私どうなったの? さっき家にいたよね。
どうして私の振りをしてたの?
私を、落とそうとしたのはだれ?
[聞いても、答えなんて返ってくるとは限らないのに、少しほっとしたせいでつい口から出てしまった。
こんな、小さな子に]
「うん」
「遊びたかったの」
「こわいひと」
「ここは、シンジュク」
[たどたどしいような言葉で答えてくれる。
でもそれだけで、少し安心できた。
動けなかった私を、その子が手を引いて歩き出す。
素直について行くのは、「そちら側」には連れて行かないとわかっているからかも知れない]
【人】 硯友社 みょんこ─ 四ツ谷マンション、硯友社支部 ─ (247) 2016/10/02(Sun) 17時頃 |
【人】 硯友社 みょんこ
(248) 2016/10/02(Sun) 17時頃 |
【人】 硯友社 みょんこ[風邪とか?と尋ねかえしに、うーん。と鈴里は首を傾げた。] (249) 2016/10/02(Sun) 17時頃 |
【人】 硯友社 みょんこ[「東蓮寺くん宛に、木露さんからメールが来てるんだけどなあ」と困ったように同僚がぼやく。「まあいいや、鈴里さんは来れるのね?」と、話が進まないことを悟ったらしい相手が会話を切り替えた。] (252) 2016/10/02(Sun) 17時頃 |
【人】 硯友社 みょんこ* (254) 2016/10/02(Sun) 17時頃 |
【人】 硯友社 みょんこ*** (258) 2016/10/02(Sun) 18時頃 |
【人】 硯友社 みょんこ─ 新宿不動産 オフィス ─ (259) 2016/10/02(Sun) 18時頃 |
【人】 硯友社 みょんこ[丁寧な下地の説明とその細やかな状況設定の矛盾のなさは、よく下調べをしていることが伝わってくる。違和感を持たずに現実と地続きにある奇妙さに足を踏み込めるのは、作者の観察眼が偏らずに冷静だからだろう。] (260) 2016/10/02(Sun) 18時頃 |
【人】 硯友社 みょんこ[ほんのりと淡く苦笑する。文字で人を別世界に引き込む、 (261) 2016/10/02(Sun) 18時半頃 |
【人】 硯友社 みょんこ[一言一句なぞれるコメントを反芻すると、ため息が漏れてしまった。 (262) 2016/10/02(Sun) 18時半頃 |
─ 出られない駅 ─
[ほっとした。人の声がこんなにも心強いものだとは思わなかった。聞き慣れた同僚の声が、こんなにも日常を思わせてくれるものだとは。
東蓮寺は命綱のように、小さな端末を握りしめた。鈴里は、戸惑ったようだ。当然だろう、自分とて従妹の連絡を受けた時には戸惑ったものだ。
それでも悪戯と一蹴せず、話を聞いてくれる鈴里がありがたかった。出社、朝早く…彼女の言葉で、ようやく認識が”朝”に追いつく。]
目立つもの、は───
柱とか、普通の駅なんです。
でも標識だとか場所を示してくれるものは何もなくて。
階段……あっ、右側に階段があります。
昨日降りてきた階段かな…、…ちょっと良く分からないです。
俺、動かない方がいいとかあると思いますか?
ずっとあちこち歩いてみてるんですけど、全然出口が見当たらなくて。
[音がやや遠くなる。
切れそうになってしまっているのかも知れない>>*13
やはり電波が遠いのか。いつまた、この細い糸が切れてしまうかと思うと心配で仕方がなかった。自然特徴は忙しく早口になる。]
あっ、みよ子さん!!
もし出来たら、俺の従妹に連絡しておいて貰えませんか。
新宿駅ではぐれてしまったんです。
彼女、今大変みたいで心配していると思うので…!
名前は入間澪音。連絡先は───…
[果たして願いは聞き入れられたか、そもそも連絡先も聞き取れたか。ともあれ、願いを込めて伝言を託す。頼る先は他にないのだ。]
ごめん、って。
必ず帰るからって…おじさんとおばさんも探すからって。
みよ子さんにお願いすることじゃないかも知れないけど、すみません。
[早口でまくし立てる。いつこの通話が切れてしまうかも知れないのだ。ただ、ふ…っと、間を置くようにして投げられた問い>>*15
それに短く、音は途切れた。]
え………、みよ子さん。何言って、
〜〜〜、出たいですよ!!そりゃあ!
こんなところに長居したい人間がいると思いますか!
[八つ当たりめいた感情が爆発した。
大声で叫んでしまってから、あっと口を閉ざす。]
……すみません。でも、出られないです。
出たくないんじゃありません。
だって、そりゃそうでしょう!?
こんなところで、どこにも行けないなんて、
誰が望むと思いますか!??
[やはり口調は荒くなる。
それが誰の”望み”だったかなんて。どんな希望だったかなんて、その時思いすらしなかった。とにかく、ここから出たい。出なくてはいけない。そんな焦りにも似た気持ちが声を自然と大きくする。]
俺、出口探してみます……
だからお願いします、みよ子さん。
[自然と顔が俯いた。
しまいに出てきた声は、自分でも驚くほど*弱々しかった*]
メモを貼った。
【人】 硯友社 みょんこ─ 新宿不動産 オフィス ─ (300) 2016/10/02(Sun) 22時半頃 |
【人】 硯友社 みょんこ[理由は明白だった。上野中下アパートに続いて、新宿不動産所有のマンションでも、事件──あるいは事故が起きたせいだ。そのうえ、急な東蓮寺の欠勤まで相俟って、だいぶ胃に来ているようだった。今日は、しきりに腹のあたりをさすっている。] (302) 2016/10/02(Sun) 22時半頃 |
[新宿の街を歩いていると、働いている人も働いていない人も眠っている人も、色んな人がいて、でも、その誰も私には気づかない]
何で私、ここにいるんだろう……。
あ、れ?
[駅の改札口から出てきた姿には見覚えがあった。
パパ、だ。私がいなくなっても、普通にお仕事には行くんだ、なんて少し思ったけど、違う。
パパは時間を気にしてるみたいだった]
そういえば昨日は早かったんだっけ……。
[パパの後をついて行くと、少し大きなビルへと入っていく。
知らないビルで、パパの働いているビルじゃない。
営業回りではなかったはずだけど、不思議に思ってそのままついて行った。
もちろん誰も、私が見えないみたいだった]
[受付で話すパパの声は、焦っているような、緊張しているような声。
受付の人が示した場所を聞いてパパはエレベーターへと消えていく。
その後はもうついていけなかったけれど、受付のお姉さんが話していた言葉から察するに、「面接」に来たらしい。
なんとなく合点がいって、右手の方を見る。
女の子は、――顔は見えないけれど――どこか嬉しそうに笑った気がして]
「パパさん昨日話してたの。「おしごと」のこと」
「行ったフリ」「ゴメン」「明日メンセツ」
「ふふ」
[嬉しそうな声に、私も少し嬉しくなった。
でも、あなたは誰なの? って聞きたかったけど、聞かなくても良い気がしてきた]
【人】 硯友社 みょんこ─ 新宿 ─ (316) 2016/10/02(Sun) 23時半頃 |
【人】 硯友社 みょんこ[呼びかけた山岸は、どことなくほっとした表情を見せた。それに少し不思議げに首をかしぐ。視線は、手にある傷を見てとってから、顔に戻った>>329。] (332) 2016/10/03(Mon) 00時頃 |
【人】 硯友社 みょんこ
(342) 2016/10/03(Mon) 00時半頃 |
【人】 硯友社 みょんこ[言葉上の心配に軽い感謝を述べて、簡単な経緯の説明に、きょとん。と眼鏡の奥で目を瞬いた。] (343) 2016/10/03(Mon) 00時半頃 |
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