人狼議事


308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】

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[ある授業の休憩時間、私は先生へ尋ねたことがある。]

  寂しくはないのですか?

[彼女はいつもひとりだった。
 周囲とソリが合わない様子も、嫌っている訳でもない。
 畑の手伝いもすれば、食事だって共にとっているようだ。
 けれど、それでも、ひとりだった。]

  “どうして? こんなにも自由なのに!”

[少女は笑いながら両手を広げ、当然のように答える。
 出会ったあの日、呼吸を躊躇った感覚を思い出した。
 論理的な理由などどこにもなくて、きっかけも曖昧だ。

 けれど、それだけで、私は。]


[数ヶ月に渡る準備を終え、本国へ帰った後も、
 毎年夏になると畑の様子を見る名目で彼女の元を訪れた。

 一年目の夏、彼女は得意げに自分の名前を書いて見せた。
 地面に枝で穿たれた文字は、最後だけ裏返っていた。

 数年目の夏、彼女は顔に大きな傷を作っていた。
 通りがかった旅人と喧嘩をしたのだと笑っていた。

 それから更に数年後、彼女のお腹は大きく膨らんでいた。
 父親はいないのだと言う。
 名前をつけてと頼まれたから、丁重に辞退した。
 翌年、シーシャと名付けられた男の子が生まれた。]


[シーシャはすくすくと育った。
 キャロルはスクールに通わせないつもりのようだったが、
 彼女の家族と共に説得すると渋々同意した。

 シーシャはすくすくと育った。
 元々身体の弱かったキャロルは床に伏せるようになり、
 生まれつき足の弱かった私も加齢と共に歩けなくなった。

 それから更に数年後。冬の迫る秋のこと。
 すっかり古ぼけたアパートにシーシャから手紙が届いた。
 キャロルが亡くなったらしい。
 眠るような、穏やかな最期だったと言う。

 私は暫し瞑目した後、手紙を丁寧に破いて捨てた。]*


[最小限の明かりが灯された、暗い家の中。
クローゼットの前にはソファーがあった。
隣の部屋まで押していくのは重労働だったが
それでも、なんとかやり遂げた。

辛かったのは、ソファーを押すことなんかよりも
兄貴がクローゼットから出たがる音を、
聞かなかったフリをすることだ。]

[壁を引っ掻く音が、断続的に聞こえる。]

[腰のポーチにはスマホの充電器とケーブル。
あとは……兄貴が、力のない僕にと見繕った
出刃包丁を布巾にくるんでつっこんだ。
長くて全部は入らなかったけど、
すぐ出せるならいいかと、
持つところだけはみ出たまんま。]


[あとは、地図の確認や明かりぐらいにしか
使えなくなったスマホをポーチに入れる。

このあたりの基地局が機能しなくなったのか、
充電をし直した後も、ネットには繋がらない。
それでも、スマホは手放す気にはなれなかった。

最後に投稿した内容はよく覚えている。
世界が今どうなっていて、
これからどうなるのだとしても
僕は、生きてやると決めたんだ。]


[ソファーの前に立って、
クローゼットの方を見る。]

 「グ……ウァ、……アー……」

[聞こえるのは呻き声。壁を引っ掻き、殴る音。
時折、クローゼットの扉が歪むけれど。
紐やらガムテープやらでぎちぎちに固めて
ソファーでバリケードを作ったお陰で、
兄貴がここから出るのは厳しそうに見えた。]

 兄貴。僕、行くよ。

 兄貴を殺すのはどうしてもできなかったけどさ
 絶対に、人を襲わないように
 そうした、つもりだよ。
 
[ずっと泣き続けてきたからか、
もう、涙が出ることは無かった。]


 僕、兄貴の分まで、生きるから。
 どれだけ長くかはわからないけど……
 やって、みるから。……安心して。

[兄貴のバイクの鍵を握りしめて。
僕は、玄関の方へと踵を返す。

それから一度も振り返ることはなく。
玄関ののぞき穴から外を見て、
扉に耳をつけて音がしないことを確かめてから
玄関の扉を、そうっと開けた。]


[僕のバイクは長い間乗って居なくて
メンテナンスのへったくれもない状態だ。

それを知っていた兄貴は噛まれた後に、
自分のバイクの鍵を僕に預けてくれていた。
大分前にお隣さんを落とした方……
裏の方からは、何かの咀嚼音が聞こえてくる。
僕はできるだけ音をたてないように、
兄貴の青いバイクの方へと向かった。]

 は、……ガソリンちゃんと入ってる。
 傷もないし、いつ見ても綺麗だよな…。

[高校の時に取って、少しは運転したけれど。
大学に入ってからはめっきり乗っていなかった。

僕が、兄貴のバイクに乗っていいんだろうか。
―――そんな風に悩んでいる余裕は、
 今は全く残っていなさそうで。]


[バイクを表に引っ張ってきたときに
裏から顔を覗かせたゾンビと目が合った。
とても、人間とは思えない肌の色をしていて、
所々腐りかけ、口元は肉と血で汚れている。

今まで、あいつは何を食べていたんだろうか。
兄貴も……いずれ、ああなるんだろうか。
考えちゃいけないことを予想してしまって、
吐き気が込み上げて、動けなくなりそうだ。

よろめいた時に、バイクに腕が当たる。
よく磨かれた、透き通るような青。
兄貴が僕に託してくれた物。]

 (―――ここにいちゃ、駄目だ。)

[こっちに向かって来ようとするのを見て、
慌ててヘルメットを被り、バイクに跨った。]


 こんなとこで、食われてたまるか……って!

[一気にアクセルを捻る。
バイクは住宅街から大通りの方へ加速していく。

目指すところなんて、何も決めてないし、
不安しかないけれど、もう、やるしかない。

まずは都心から離れるんだ。
ここから一番近い高速のインターはどこだっけ。

平和な場所なんてあるかどうかはわからない。
それでも、なんとかして生き延びるために、
ゾンビがあまりいない場所を……探さないと。]*


メモを貼った。


― 夜・コーヒーショップ『abbiocco』 ―

[彼女の国へ転勤を希望したのはそれから数年後のことだ。
 養父母も既に旅立ち、長年住んだアパートにも
 物はほとんどなかった。
 身ひとつで移住し、この地で車椅子を得た。
 シーシャが就職して来たのは驚いたが、数年とはいえ、
 赤ん坊の頃から知っている子と共に仕事をするのは
 何だか不思議な気分だったのを覚えている。]

  ……。

[10フィート先で俯く顔を見る。
 機能しない瞳では、表情を窺い知ることはできない。
 色素の薄い髪が暗いのは、濁る瞳のせいではないだろう。
 どちらからとも知れぬ、酸い匂いが鼻腔をくすぐる。]


[限界だった。傷だらけの右手を床につくと力を込める。
 何日も動かずにいた関節は石のように固まっていたが、
 動かしてみると硬質な音と共に案外簡単に曲がった。
 壁を引っ掻きながらゆうら、ぐうら、立ち上がる。]

  あ゛ー……ふ。

[もう動かなかったはずのものが動くのは
 本来喜ばしいことのはずなのに、
 地面についた足を見ても何の感情も湧かなかった。
 気を抜けばあっという間に崩れてしまいそうだったから、
 息を詰めて足を動かした。

 静寂の夜に、不快な摩擦音が響く。
 10フィートの均衡はあまりにも容易く乱れた。]


[どこへいくの、と。泣きそうな子どもの声がした。
 返事をすることなく、唯一機能している裏口へと進む。

 マスタと呼ばれた。ミケーロさん、と。ミケ、と。
 呼び名が若返って行く度に、
 子どもの声は徐々に癇癪に近いものへなっていく。

 ひとりにしないで、と。掠れた声が届く。]

  きみは……自由、なん だ。

[嗚呼、やはり私はキャロルにはなれない。
 隣人の協力の下、使い道のなかった金で店を出しても、
 彼女を真似て望むままに生きようとしても。

 ねえ、キャロル。
 ――ひとりは、私には少し寂しかったよ。]


 
  わたしが望む、のは、
  君にわたしを殺させること、でもなく、
  わたしがきみを外へ、追い出すこと、でもなく、
  ましてや、わたしがきみを、がいすることでも、なく、

  きみが、いきること だ。

[限界だった。
 打開策を模索する思考は日に日に薄れていくのに、
 身体は少しずつ楽になっていく。
 すべてが己が手から離れていくのが分かった。
 だからせめて、最期に、彼だけは助けたい。]

  あいしている よ、 しーシャ。
  きみ が、うまれて きて、うれしかっ た。

[後ろであたたかいものが動く気配がして、
 “俺は、母さんのことあまり好きじゃなかったんだ。”
 と何を言って音がわからな、あたたかいの。だめそと、]


[ちょうど目の前にある板を叩いた。
 ぐしゃりと皮膚が潰れる音がして、冷たい風が吹く。
 さむい。やだな。でも。そと。ひろい。]

  ……あ゛、 あ゛ー 。

[さむいから、あたたかいもの。
 ここ? ちがう。そとで、さがす。
 広大な大地に、二本の足を踏み出した。]*



[ ……そう、餌をやろうと思ったの。]
 



[ そうしたら部屋の前にジャーディンがいて、]
 



[ 開け放した扉の先に何かを確かめるように、
 ひたすらにせわしなく視線を動かしていて、]
 



[ わたしの存在に気付いて、目を見開いた。]
 



[ わたしはそのとき、どんな顔をしていたのかしらね。]
 



[ 何かにとりつかれたみたいに、
 ジャーディンはよたよたと歩いてきた。

 そして、わたしの腕を強くつかんだ。
 いたっと思わず小さく叫んでしまったの。
 あの子はわたしの上着の袖をめくったわ。

 そこにガーゼや包帯があるのを見とめて、
 恐る恐るといったふうに口を開いた。]
 



  クーパーは?
 



[ 声はか細く震えていたわ。

 何も言えずにいるわたしを、
 あの子は縋るか祈るかするような目で見つめた。
 根気よく、じいっと。わたしが口を開くまで。

 その目を見た瞬間に悟ったわ。
 もうごまかすことなんてできないって。]

  ……いないわ。

[ そう言ったとたんにあの子は、
 崩れるようにその場にしゃがみこんだ。
 痙攣するように薄い肩が数度震えた。
 わたしは慌ててその傍らに膝をついたの。]
 



[ 嘔吐していた。]
 



[ その背中があまりに小さくて、
 せめて少しでも楽にしてやりたくて、
 背中をさすってやろうと思ったわ。

 伸ばした手は強く振り払われた。
 顔を上げたあの子はわたしを睨んだ。
 汚れた口元をシャツの袖で拭いながら、
 怒りに満ちた目でわたしを見ていたわ。

 けれど、ほんの数秒後には、
 すうっと力が抜けてしまったような目で、
 小さな子のようにおいおいと泣き出したの。

 まるで小さな子がするみたいに、
 痛いくらいの力でわたしにしがみついて。]
 



[ ……かわいそうな子。
 利口でやさしい、かわいそうなわたしの孫。

 きっとあなたは理解してしまう。
 わたしが何を選んでそうしたのか。
 何と何を天秤にかけたのか。

 わたしを憎み切ることもできずに、
 こうして涙を流すことしかできない。

 こうなることくらい、
 ちゃんと考えればわかったはずなのにね。
 だってわたしはあなたのNanaだもの。]
 



[ もう少し、広い世界と繋がっていられたら、
 もう少し、違う今を迎えられたのでしょうか。]
 



[ それとももうどこにも、
 正常な世界など残ってはいないのでしょうか。]
 



[ ……なんて、考えたって仕方がないわねえ。]
 


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