― ハッピー・ノット・アンバースディ ―
[冷たい風に、枯れ葉の擦れる音よりも揺れる枝のきぃきぃという鳴き声が聞こえることが多くなった。
仕事の資料を置いて来た分、今日の鞄はいつもより二回りは小さい。
他には底の広い紙袋がひとつと、平らな黒い袋がひとつ。
「本日貸切」の札>>39の前、ヒールの音を息継ぎみたいに止めた。]
お邪魔しまーす。
[潜った穴の中は、お茶会さながらに大皿料理がテーブルに並んでいる。
店長>>39の姿を見つけ、人と料理の隙間を縫うように歩を進めた。]
芙蓉さん、おめでとうございます。
これ、良かったら。
[底の広い紙袋の中身は、片手サイズの小振りなブリザーブドフラワー。
デルフィニウムにムスカリ、ペニーブラック。見覚えのある色の中、すべてを繋ぐようにふわりと咲く白い霞草は目の前の彼女のつもり。
テーブルには主役の料理たちが所狭しと並ぶだろうと、邪魔にならない大きさを選んで良かった。
手に持つ物をひとつ減らして、周囲を見渡す。]
(133) Pumpkin 2019/12/01(Sun) 23時半頃