― ハッピー・ノット・アンバースディ ―
[行きつけの店の誕生日が近いとDMで知り。
お隣さんから郵政を経由し届いた翌日、カウンターで夕食を取る際に彼女にも聞いてみた。なんでも店を貸し切って内々で行うお祝いらしい。
まだ半年も通っていない身で、特別な日へのご招待に少し躊躇ったが、彼女が特訓の成果を見せると言うので腰が浮いた。手帳も確かめず『必ず行きます』と前のめりの姿が、他の店員らの眼にどう映ったかはまぁ、置いておいて。
――― 閑話休題。]
こんにちは、お邪魔しますね。
この度はご招待賜りまして、ありがとうございます。
[うさぎの扉を指背で鳴らす三度のノック。
開いた先でまず挨拶とお礼を述べるのは、ミステリアスな店長さん。>>39 周年記念と聞いたが、手土産で贈るのは肩肘を張らない品物、拳より少し大きなサイズのラッピングされた松ぼっくりツリー。
生花と悩んで聖夜の近さに此方を選んだ。華やかさなら負けてない。
そうして見渡す店内。
すっかりパーティー用に整えられ、少し印象が変わって心も踊る。そして、鼻孔を擽る香りもあちこちから。]
(124) momoten 2019/12/01(Sun) 22時半頃