84 戀文村
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[何故、どうして、と、行き場のない憤りが籠った泣き声は、 全て包まれた腕の中へと消えて行く。
泣いて、泣いて、泣いて……。
声も枯れ果てて、啜り泣きに変わった頃。 ようやく、落ち着いたのか、女は微かに身じろぐ。]
……ごめんなさい。
[ぐすっと鼻を啜って見上げる顔は、上の方。 月明かりの下、微かに男が微笑んでいるのが、判る。 泣きはらした酷い顔を、笑われているのではないだろう。 最後、拭われていく哀しみの残骸。]
(14) 2012/03/29(Thu) 09時半頃
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ブローリンさん、ありがとう。
[ちいさくちいさく首を振られる。 その動作は、もう十分泣いただろう?と、 優しく言われている気がした。 だから、不器用に触れられた頬の筋肉を持ち上げて見せる。
エリアスに対する哀しみを、共有してくれた人。 名を呼ぶことで、まるで古くからの知り合いのように。 そうすれば、別れの時が来れば、また泣いてしまうと判っていて、 今は、哀しみの共有者を増やすことで自分を立て直す。
ただ、丸められた手で触れられるということが、 微かに彼からの隔たりのように感じられては、いたけれど。]
(15) 2012/03/29(Thu) 09時半頃
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[その手に、一度そっと自分の手を這わす。 ネコのように、頬を摺り寄せれば、 相手の手は離れていっただろうか。
それから、何か意思を疎通させる何かはあっただろうか。 クラリッサの方からは、ハンカチをまた汚してしまったから、 返すのは少し待ってほしいと伝えたかもしれない。
明日、明かりも本屋の主人に返さなければ……と、思いながら 昨日から借りっぱなしの明かりを手に、女は家路を行くのだった。]
(16) 2012/03/29(Thu) 09時半頃
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[そして迎えた朝。 昨日のように取り乱して、エリアスを送りにとは向かわない。
唯、家で祈りを捧げて、いつものように家を出る。 途中、郵便屋の彼と会うことがあれば、 相変わらずボロボロな鞄を見て]
仕事終わりにでも、預けてくれたら良いのに。 朝取りに来てくれればお仕事にも支障でないと 思うのだけれど……。
[彼に明日の仕事はないのだと、その時は知らず。 そんな言葉を向けたかもしれない。
そんなこんなで、向かう先は、本屋に。 入れ違いに、本屋で会うは珍しい陽気な軍人の姿を見かければ、 挨拶を交わし、郵便屋を見なかったか?と問われれば、 先ほど見かけた方角を示しただろう。]
(17) 2012/03/29(Thu) 09時半頃
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― 本屋 ―
[たどり着いた場所は、少し様変わりしていた。 割れたガラス。それは、応急処置をされていて……。 クラリッサは、少し眉を潜める。
何か事故でもあったのだろうか、と。 ベネットに怪我がなければいい。 この物資不足の中、ガラスはなかなか手に入らないだろう、 怪我がなくとも風邪をひくようなことがなければいい。 そんなことを思いながら、扉を引く。]
こんにちは、ベネットさん。 この間、借りた明かりを返しに来たのだけれど……。 表のガラスどうされたの?怪我はない?
[そこにあるだろう主人の表情は、どんなもので*あったか*]
(18) 2012/03/29(Thu) 10時頃
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[ベネットとの会話は、どのようなものだったか。 そう長居をすることなく、クラリッサは店を後にしようとして、 ふっと思い出したように扉に手を当てたまま振り返る。]
そうだ、ベネットさん。 ヤニクさんの件、ありがとう、後押ししてくれて。
[よくよく考えれば、彼の旅立ちをよく思わない村人もいるだろう。 そんな中、後押しをくれたことが嬉しかった。 ダーラとヤニクは、話ができただろうか……と、少し思考が飛ぶ。 よもや、その彼女の手によって、ヤニクが旅立ったとは、 女には預かり知らぬところ。]
(23) 2012/03/29(Thu) 13時半頃
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[そして、再度、灯りを返す時にも述べたが、 お礼を用意できなかったことを詫びて店を後にした。
これから向かうのは、ナタリアの家。 いつも通りの行動だけれど、昨日と同じく キッチンを借りてクッキーを焼くということが常と異なる。]
クッキーをお返しにしても良かったけど……
[歩きながらクラリッサは独り語つ。 きっと、それはお裾分けしない方が良いのだと思う。 平和の仮初の象徴、エリアスに贈った餞。 お裾分けを食べた旅人も、だから旅立ったのかもしれぬとは、 彼の死を知らねば思わぬことではあったが。]
(24) 2012/03/29(Thu) 13時半頃
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クッキー作るの嫌いになりそう。
[昨夜、別れ際に渡されたメモを思い出す。 あの優しい無口な人が、酷いこと……ということなど、 無知な女の想像では1つしか思い当たらない。 それがあっているかは、話してみないと判らないけれど。
それでも、彼の願い通りに焼き菓子を焼こうとするのは……。]
(25) 2012/03/29(Thu) 13時半頃
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[ナタリアの家へ向かう途中。 任務中の無口な軍人の姿が見える。 もしかすれば、郵便屋と会話をしていたかもしれない。 気が付いてくれるならば、軽く手を振って通り過ぎる。
クッキーを渡すのは、任務明けの頃。 多分、昨日と同じ広場でいいのだろう。
そう思いながら、たどり着いたナタリアの家。 再びキッチンを借りたいというクラリッサに、 老女は無言ですみれの砂糖漬けを差し出してくれた。]
(26) 2012/03/29(Thu) 13時半頃
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もしかしたらね、あの無口な……ブローリンさん 戦場に行っちゃうんじゃないかしらって思うの。
[クッキーの生地を捏ねながら、女は老女に拙い推理を零す。 命令か志願かは、判らないけれど。 エアリスと同じ菓子を、と乞われたのが、その発端。]
違ったらいいと、思ってる。違うかもしれない。 でも、もし、そうでも……私は泣かずに、渡すの。
きっと、それが私の罰だから。
[罰という言葉に、ナタリアの肩が揺れる。 クラリッサが云いたいことは、皆まで言わず伝わるのだろう。 姉にナタリアが手紙を渡した時。 正確には渡さざる得ない状況を作ったのは、 クラリッサの存在も大きかった。 かしましい姉妹2人の剣幕に、あの時彼女は負けたのだ。]
(28) 2012/03/29(Thu) 14時頃
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[彼に、ずっと待っていると約束していた姉は、逝ってしまった。 未だ、彼の死亡報告は届いていないのに……。 だから、代わりのように、クラリッサは待っている。 彼だけでなく、旅立ってしまった人たちを。 きっとずっと、この命が果てるまで、果てても……。 此処でないどこで自分が死んでも、きっと自分は「おかえりなさい」 というためだけにこの地に戻って皆を待つのだろうと思う。
幼馴染が、墓場で零した『罰』という言葉を、女は知らない。 他の誰が同じ言葉を背負っていたとしても、それも判らない。 ただ、戦争というものは、こうして生きる人それぞれに、 背負わなくてもいい『罪』を背負わせるものかもしれない。]
(30) 2012/03/29(Thu) 14時頃
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ねぇ、ナタリアさん。 ブローリンさんって、少しだけお義兄(お孫)さんに 似てるって、思わない?
[クラリッサの裡をナタリアが少しだけ汲んでくれるように、 女もまた、老婆の裡を少しだけ汲み、そんな言の葉を零す。 その言葉に、どんな意味が含まれているかは、 2人の間だけの秘め事のよう。
2人の後ろで、オーブンが、甘く切ない香りを漂わせていた。 焼き上がりは、きっともうすぐ。]
(31) 2012/03/29(Thu) 14時頃
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/* 実際なに酷いことされるか判らないけど。 クラリッサが、メモもらったら、こう想像しそうだなぁと。
……酷いことってなんだろなぁ。 読めないぜ。
(-18) 2012/03/29(Thu) 14時頃
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[やがてクッキーは焼き上がり、女は包む。 それを見て、ふとナタリアがヤニクの話題を出す。 昨日、彼が摘んだのを思い出したのだろう。
クラリッサは、彼が外に行くかもしれない。 もしくは、もう行ってしまったかもしれない。 と、彼女に伝えた。 この時勢だ、別れの言葉がなくても、仕方ないことで。 ナタリアは、頷いていた。 それでも、彼女は、ヤニクが訪れる可能性があるのなら、 いつも通りに過ごすのだろう。]
(35) 2012/03/29(Thu) 14時半頃
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はい、これ、どうぞ。
[そして、女は、今、無口な人の前に立つ。 覚悟は決めてきたから。 静かに微笑んで差し出すクッキー。 差し出される紙に、意識して笑みを深め、 見える動作に、少し瞬きをしてから頷いた。 どうぞ、食べて、と。]
(36) 2012/03/29(Thu) 14時半頃
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[エリアスのように持って行くのかと思っていた。 だから、その時点で、少し女が考えていた風向きと違っていた。
クラリッサは、何かを書きだす無口な人を見て、 隣に腰を下ろし、連なる文字を覗いた。
僅かに首を傾げる仕草は、渡せるものがないという部分で。 更に続く文字を読んで、瞬かせる眼。 紙から視線を上げて、彼を見つめるのは、 先を促すかのように見えただろうか。 それでも、その時点で、差し出されたのは、 焼き菓子を包んだ袋で。 妙な動機を抑えるように、クラリッサは1つクッキーを取る。 けれど、それは口に運ばれることはない。]
(41) 2012/03/29(Thu) 15時半頃
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[再び落とした視線の先、震える指が字を連ねていく。 そして……]
……っ
[息を呑むような音と共に、手にしていたクッキーが地面に落ちる。 まるで、銃で打たれた人のように、クラリッサの時が止まった。 ややって、見つめられる先で、顔が地面を向く。 言葉を探す間が、表情を作る間が、欲しいと言うように。
その間は、長かったのだろうか、短かったのだろうか。
そっと持ち上げた顔には、涙はない。 老婆に誓ったように、何があっても泣かないつもりで来た。 ゆるく伸ばす指は、差し出された紙を受け取る。]
(42) 2012/03/29(Thu) 15時半頃
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……ありがとう。
[ヤニクが誘ってくれた時と、同じ言葉を紡いで微笑む。]
貴方は、何も渡せないというけれど 今、この紙を私にくれたわ。
[宝物をしまうように、紙を手の中に閉じ込める。
ヤニクのように感情は曖昧で、 けれど具体的な先が見える誘いには答えが出せた。 その感情が、どこを向いていたとして、 此処を動けないという答えは変わらない。
けれど、今もらった感情は、余りにもストレートで。 そして、YES、NOと、答えが出せるものではもない。 具体的な先は、そこには無いから。
だから、ただ、その気持ちに、感謝を述べるしかできない。]
(43) 2012/03/29(Thu) 15時半頃
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クラリッサは、ブローリンの叱られた犬のような顔を見て、首を撫でる仕草に、止めるように手が伸びる。
2012/03/29(Thu) 15時半頃
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……ナタリアさんも、多分ブローリンさんのこと お孫さんに重ねていると思うけどわ。
[書かれた文字に、小さく笑む。]
少しね、似てるの……。 でも、似ていないところもいっぱいあるけど。
[伸ばした指の先で、首に触れていた手が落ちた。 だから、女も手を戻す。]
今がなかったら、くれなかった想いなら だから、よほど、ありがとうと思うの。
ありがとう、大好きよ。
(47) 2012/03/29(Thu) 16時頃
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[再び書かれる文字に、大好きと返す単語に、 細やかな感情はあえて含めない。 それは、ふっと思った、もしこれが戦火の中でなかったなら、 ヤニクに、ブローリンに、自分はどう返しただろうという想像故に。 きっと、セレストに相談しただろう。 自分の家に招いて、朝まで語ったかもしれない。 答えがでなくて、姉やヨーランダやダーラやミッシェルにも、 相談して……。
けれど、そのIFはないと判っている。 きっと、そんな世の中であったなら、 2人も自分を誘ってはくれなかっただろう。 出会ってもいないかもしれない。 だから、今の自分の感情を掘り下げることもしない。 どちらにしても、姉と幼い日語った幸せな未来はないならば、 そこに戀という感情があれば哀しいだけだから。
けれど……。]
(48) 2012/03/29(Thu) 16時頃
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謝らなくて、いいの。 でもね、私も、酷いと思ってて ブローリンさんに言いたいことがあるの。 いっても、いい?
[彼が我儘を1つ請うたように、女もまた1つの我儘を請う。 それくらいは、泣く代わりに、許して、と。 ブローリンの隠れて見えない、青を伺う。]
(49) 2012/03/29(Thu) 16時頃
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ブローリンさんが、先に此処を出ることがあったら 私は『いってらっしゃい』と言うわ。 だから、私が先に此処を出ることがあったら 貴方も『いってらっしゃい』と言って欲しいの。
……『おかえり』と『ただいま』と、言えるように。
[頷きを得て、話の流れから、死ぬ気でいるだろう相手に願うこと。 それは、皆に願ったのと同じこと。 また此処(この村)で会いましょう、と。]
その時に、ブローリンさんのハンカチ、返すわ。
[この村の出でない彼に、この言葉は合っていないのかもしれない。 でも、その言葉を向けたいのだと。]
(50) 2012/03/29(Thu) 16時半頃
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クラリッサは、ね、酷いでしょう?と、微笑んだ。
2012/03/29(Thu) 16時半頃
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[じっと書かれる文字を見る。 書くという動作は、喋るという動作よりも時間がかかる。 それが、もどかしいといったような手も視界に入った。]
少なくとも、私は待ってるわ。 それこそ、どんな形になっても。 その為に、どうなっても戻ってもくるわ。
[差し出された紙を受け取り、先ほどの紙と合わせて持つ。]
この村も、貴方が愛した村ならば 貴方を拒むことは、きっとない。
[軍人を厭う気持ちが村人の中にあったとしても、 それを上回る気持ちがあったから、愛してくれたのでしょう? と、それは言葉にはしないけれど。]
(54) 2012/03/29(Thu) 17時頃
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……結局、泣いちゃったわ。 ダメね、私。もう、泣かないって決めてたのに。
[頬に伸びる手。触れるならば、伝う*雫ひとつ*]
(55) 2012/03/29(Thu) 17時頃
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/* めそめそ、ぐすん。 墓下をのぞいて、エリアスのロールにも泣いた。 自分で建てた村だけど、酷い村だよなぁ(ぐすんぐすん
(-22) 2012/03/29(Thu) 17時頃
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[昨日ほど、滂沱ではない、ほろりとした涙。 瞼を伏せたのは、目尻に貯まったそれを落とすため。 その間に、髪にかかる感覚がある。 クラリッサは、細く目を開けて、微笑んだ。]
ええ、もちろんよ。
[傍から見て、どう見えるかまで、考えは至っていなかった。 だから、また紙に書かれた文字に頷く。 涙は、束の間で止まったのは]
厭だわ。そんな大仰に言われると…… なんだかすごい人になっちゃったみたい。
[彼が紡ぐような立派な人間ではないけれど。 せめてそう、演じたいと思ったから。 それから、陽が暮れるまで、おそらくは一方的に話をする。 全ては、他愛のないもの。]
(63) 2012/03/29(Thu) 22時頃
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じゃあ、また、明日。
[そして、村人の皆にそうするように、またと次を約束して。 女は広場を離れる。 少し迷った後、開店前のダーラの店に行くのは、 結局今日一日見かけなかったヤニクを気にして。 彼女は、店にいただろうか。 短くヤニクの件を聞いて、答えがもらえたなら、 長居はしないつもり*なのだけれど*]
(64) 2012/03/29(Thu) 22時頃
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― 酒場 ―
そうですか、旅立ったのだったら、良かった。
[そっけないダーラの言葉に、少しの違和は感じるけれど。 それよりも、クラリッサには安堵が勝る。]
どうか、ヤニクさんが、生きて目的を達成できますように。
[部屋を改めるようなことはしない。 素直に女主人の言葉を信じ、その前でヤニクの無事を祈る。 その姿を見て、彼女が何を思ったかは、判らない。]
お邪魔しちゃってすみません。 今日は、家に云ってきてないので、お手伝いできませんけど 何かあったら声かけてくださいね。
[忙しそうにするダーラに礼を向けて、 ミッシェルと入れ違う形になるならば、 彼女にも礼を一つ。]
(92) 2012/03/29(Thu) 23時頃
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[忙しそうにしていたのは、 ミッシェルと誰かを迎える為もあったよう。 少しの寂しさを感じるが、彼女たちとは年齢が離れている。 自分が幼馴染たちと繋がっているように、 彼女たちも彼女たちの年代で繋がっているのだろう。 だから、あえて、ヨーランダの答えは、ダーラに尋ねていない。
彼女たちの邪魔をせぬように、潜り抜けようとしたところで、 ミッシェルから声がかかった。]
(101) 2012/03/29(Thu) 23時半頃
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えっ?指輪……
[いつかと、約束した物。 こんなに早く?と、瞬く眼。 少し眉尻が下がり困った顔をしたのは……。 ダーラのヤニクに関する言葉もあって。 けれど、思い直したように、笑みを作る。]
ありがとう。また、取りに行くわ。 私も、ミッシェルさんのドレス作らなきゃ。
[空元気に、そういう。 朝、会った陽気な軍人に、ナタリアが困ってることは? と問われて「私がぼやいてることが一番困ってるかも」 なんて、冗談でも二度と言わずに済むように。]
(102) 2012/03/29(Thu) 23時半頃
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[陽気な軍人が、陽気すぎるように。 金細工職人の仕事が、早すぎるように。 手伝いをかう女が、いつも以上に笑みを絶やさず。
他の皆も、それぞれがいつもを演じようとしてか、そうでないのか。 どちらにせよ、頑張りすぎて歯車が悲鳴を上げているよう。
それでも、時計の針は進む。 残酷にか、それとも……。
今度こそ、女はぺこりと頭を下げ、その場を*後にした*]
(105) 2012/03/29(Thu) 23時半頃
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