65 In Vitro Veritas
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― 二度目の鐘の後 ―
[ツイテコイといわれても、拒否する理由も無かった。 自分にとってロボット≪彼ら≫は絶対であったから。
ただ、遂に自分も、この仕事を外されてしまうのだな、と思うと。
少しだけ、 ――― ……?]
[気持ちの正体が、分からなくて。
少しだけ、眉を顰めた。]
→ ―
(54) 2011/09/26(Mon) 21時半頃
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― 旧ソリテス中央総合病院 地下2階 ― [軽い眩暈と共に、目を、少しだけ開ける。]
ここ、……は…
[薄暗い中、非常灯だけが辺りを照らしていた。 辺りからする気配や声から、一緒に連れてこられた者も、そこにいたのだろうけれど。]
……う、 ー……
[徹底的に“外”から隔離された世界。―――故に、移転装置による酔いなど、起こる筈がなく。
片方の手を傍らの壁に伸ばすと、慣れぬ感覚にくらり、傾ぐ身体を支えた。]
(58) 2011/09/26(Mon) 22時頃
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[――― 何と形容すればいいのだろう、この、感覚は。
不快でしかない、この感覚を表す語彙すら、持ち合わせていない。
入るよう、促された装置の前で。 ロボット達に告げられた最後の言葉>>#1の意味を、疑問に思う余裕も無く。]
……しごと、
[仕事について話す、ニック達の声を、どこか遠くの事の様に聞きながら。]
すみません、 あの 俺、ちょっと…… 休んでる、 です
[細い声で、周りの者に告げて。
壁に寄りかかり、軽く、瞼を伏せた。]
(60) 2011/09/26(Mon) 22時頃
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/* >>59 団体行動できない子ですいません!!!
子っていうかこいつ28歳だぞおい おい
(-14) 2011/09/26(Mon) 22時頃
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/* >>66 もっと粘ろうぜ……
(-15) 2011/09/26(Mon) 22時頃
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なんか、……えっと ちょっと、あの、 ……うごき、にくくて……?
[足りない語彙では体調不良を上手く表現する事が出来なかった。
管理された環境、“健康”を強いられる生活。 仕事や運動による疲労や、ちょっとした傷の痛みなどは表現できても、こういった、内からの不調は、殆ど、未知の経験で。]
……あ、でも すこし、大丈夫に、なってきまし、 た……?
[へらり、笑う。]
大丈夫、です。 ……俺、もう少し、こうしてますので。 みなさん、先、行っててください。
[ネクさんも、行っていいですよ、と。 こちらに寄る彼女に、告げて。]
(75) 2011/09/26(Mon) 22時頃
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まだ、少し
[頭が重いみたいな感じです、と、変わらぬ笑みを浮かべたまま、告げる。]
でも、仕事、ありますから。 ……あまり、長くこうしていると、駄目、ですよね。
[仕事場にも、運動場にも、常にあったロボット達の姿がない事には、おかしい、とは思ったけれど。
でも、仕事が与えられたのなら、それをこなさねばならない。 鐘が鳴るまで仕事をして、そうしてまた、皆で食事をとって。
それから、仕事が終われば、また、子供達と球を投げ合って――― ]
……やな、感じ?
[ネクの言葉>>82に、笑みを消し。 首を傾げ、尋ねる。]
(89) 2011/09/26(Mon) 22時半頃
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ねつ?
[ゆる、と瞬いて、尋ねる。 ずっと前、似たような事を尋ねられている者が居たような気がしたけれど、自分にはそんな経験、一度としてなく。 熱がある、という感覚がよくわからなくて。
ネクならわかるのだろうか、と、手は伸ばされるままに。]
……ざわざわ? ん、……大丈夫、ですか?
[首を傾げたまま。 彼女がそうしたように、その額に手を伸ばす。]
(104) 2011/09/26(Mon) 22時半頃
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/* こだまでしょうか
いいえ、誰でも
(-29) 2011/09/26(Mon) 23時頃
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ドナルドは、頭を撫でるニックに、ありがとうございます、とへらり、笑う。
2011/09/26(Mon) 23時頃
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はい、 大丈夫、です。 さっきより、ずっと、楽になってきました、し
ありがとうございます
[ニックさんも、と、二人に目を向け、笑う。
触れるのは、違う質の髪。 でもネクも、同じニンゲン。 彼女の額に触れながら、また、思う。]
俺が?
……そう、ですか。 ありがとう、ございます。
[それは、誰かの役に立てている、という事なのだろうか。 皆の足を引っ張ってばかりの、自分が。
――― それなら、嬉しいと、思う。]
(121) 2011/09/26(Mon) 23時頃
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何でしょう、ね? さっきの、なんか、箱みたいな、部屋みたいな。 あれに入ってから、なんか、……こうなったんですが。
[示すのは転移装置の事。 けれど、あの機械が“転移装置”と呼ばれている事なんて、知らなかったから。]
……俺、多分、また皆さんに迷惑かけますよ 掃除なんて、 ――――ッ
[したことないですし、と。 続けようとした言葉は、扉の閉まる大きな音に、途切れる。
ぱち、と瞬いて。]
……行って、みませんか?
[ニックとネクに、そっと尋ねる。 頭を占めていた“不快感”は、大分、遠くへ行っていた。]
(141) 2011/09/26(Mon) 23時半頃
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何か、危ないもの……なんですかね でも、鐘が鳴ったらまた、乗らなきゃですよね。
……嫌、だなぁ
[そんな風に、情けない笑みを浮かべながら、壁に預けていた身体を、そっと起こす。 まだ、少し、ゆらりとした感覚が身体に纏わりついたけれど、なんとか、歩けそうだった。]
掃除道具、……あぁ、そうか。 まず、道具を探さないと、なんですね。
……俺、何もやれてない、ですね
[このままでは、また迷惑をかけてしまう、と。 音のしたの方に行こうと扉の方に、ゆっくりと歩み寄ろうと。]
ざわざわ、してますね。
[ニックの言葉>>156に、同意しつつも。 どんな会話がされているのか、扉越しではよく聞こえない。]
(160) 2011/09/27(Tue) 00時頃
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居ない、ですけど。 でも、鐘が鳴ったら、食堂に―――
[言いかけて、止まる。 今まで、ロボットたちに呼ばれていった者達。 何度、食事の時刻の鐘が鳴っても。 何度、仕事の開始の鐘が鳴っても。
彼らは、帰って、来なかった。]
………
[なら、どうなるんだろう。
帰ってこなかった人たちは、どうなったんだろう ―――]
(173) 2011/09/27(Tue) 00時頃
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[考え込みそうになって、一度、二度、首を横に振る。]
……開けます、ね?
[ネクと、それからニックはついてきていただろうか。 そう、声をかけると、扉に向き合う。
扉の前、歩みを止める。この向こうから、確かに、声が聞こえている。 開いてはいけない扉には、「■けるな」と、大きく書いてあったから、これは開けても大丈夫な扉、と勝手に判断した。
扉の取っ手に手をかけ、力をこめる。 隙間が開けば、壁越しの声が此方にも、聞き取れるだろう。]
(174) 2011/09/27(Tue) 00時頃
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ドナルドは、扉が開き、中が見えれば、ライトの方に目を向けた。
2011/09/27(Tue) 00時半頃
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……赤い、髪?
[仕事場でも、運動場でも。 一度として見た事のなかった、“同じ色”が、ライトに照らされて、そこにいた。]
(183) 2011/09/27(Tue) 00時半頃
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/* そしてスカイプに生える芝という芝
(-57) 2011/09/27(Tue) 00時半頃
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……あ、
[三白眼の瞳が、丸く開いて、“同じ色”を、ぽかんと見つめる。
一度、二度と、ゆっくり、ゆっくり瞬くと。 “同じ色”から視線を外し、ぐるりと辺りを見回した。]
え、えと。
……えーと?
[へらり、と。 浮かべようとした笑顔は、若干引き攣ったようなそれで。
どん、どん、と、胸の辺りを内側から叩かれる様な感覚がして、そっと、胸元に手をあてた。]
(187) 2011/09/27(Tue) 00時半頃
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[クロの言葉>>186に、ネクは上へと向かっていった>>188。 ニックによく似た青年は、こちらと、それから“同じ色”に、交互に視線を向けて、歓声を上げた>>190。
そうして、“同じ色”は。]
え、 ……う、ぁ
[軽快な調子で階段を下り、こちらに、迫ってきた。>>191]
そッ、
[水平移動してくる掌に、思わず、一歩、二歩と、後ずさる。 出そうとした声は、なんだか間抜けにひっくり返ってしまった。]
……ソックリサンて、なに、ですか 俺は、ソックリサンって、名前じゃない、ですけど
[作業服の胸元を握りしめ。 声がまたひっくり返って仕舞わぬように、と、ゆっくり尋ねた。]
(197) 2011/09/27(Tue) 01時頃
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ドナルドは、ドナルドと名乗る相手の目、というより目を覆うそれを、じ、と見る。
2011/09/27(Tue) 01時頃
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イワセドナルド?
そりてす、うるぶず? ユウゲキシュ?
[前髪の隙間から、同じ色を窺い見る。 丸くなっていた瞳は、彼の言葉>>200を繰り返すうちに、だんだんと怪訝そうなそれに変わった。
似てる、と、ニックに似た青年は言ったけれど、自分はそうは思わなかった。
――― だって、自分の顔に、“あんなもの”はついていない。
気付けば、彼の左の目を覆うそれを、三白眼は真っ直ぐに捉えていて。]
……73番、です。
イワセドナルドが、あなたの、なまえ?
[ロボットに連れられたら、変わった呼び方をされるのだろうか、と。 首を傾げれば、赤銅色の髪が揺れる。―――未だ、視線は彼の左の目の方を向いたまま。]
(203) 2011/09/27(Tue) 01時半頃
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……イワセガミョージ、 ドナルドが、名前? ……3番? けが、……シュ、ジュツ?
[告げられる言葉をたどたどしく繰り返す。――― 少しも理解できないといった、そんな風に。
少し待ってと言わんばかりに右の掌を彼の方に向けた。]
えぇと、
俺、他にも、3番って名前の奴、知ってるんで。……あなたも、他の73番、知ってるんじゃないですか?
……皆、他の73番と区別がつくように、って、俺の事、赤毛の、とかで呼ぶんですけど。
[同じ色ですよね、と、彼の赤銅色に手を伸ばし、触れる。 その手触りに少しだけ、首を傾げたけれど。]
あ、―――……これ、何て名前なんですか?
[興味は直ぐに左目のそれに戻り、―――躊躇いなく、手をそちらの方へと。]
(213) 2011/09/27(Tue) 02時頃
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[待て、と言われて、指の動きを止める。 指は伸ばしかけたその形のまま、暫く待って。 何か、紐の様なそれを、彼が弄るのを、じいと見ていた。]
ガンタイ、眼帯。
[小さく呟き、何か固いもので出来ているそれに、そっと触れる。
「目を駄目にする」「目を取りかえる」 そんな言葉は、目の前のそれに対する興味に比べたら、霞んでしまって。 頭の隅に残るだけになるだろうか。
触った感じは、仕事で扱っていた、“はこ”に、似ているな、と思った。“はこ”のなかに“ぶひん”をつめる、指示書にはそう、書かれている。
眼帯から手を離すと、ありがとうございます、と小さく告げて。]
……じゃぁ、眼帯、って呼びますね、俺。
[ようやく、彼に見せるのは、へらりとした、いつもの笑顔。]
(216) 2011/09/27(Tue) 03時半頃
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[そして、差し出される、白いボール>>215。運動場で使っている球とは違う、滑らかで、きれいなまるの形をしていた。]
それ、が、目に当たったんですか?
[尋ねながら、また、伸ばしかける指。 相手が手渡そうとすれば、伸ばした手はそれを受け取ろうと、掌を上に向けるけれど。]
わ、っ
[予想よりも、ずっと重かったそれは、掌から、落ちた。 鈍い音を立てて落ちたそれは、ころ、自然と転がりいく。
まだ、ニックと、ニックに良く似た青年が傍らにいたのなら、そんな彼らの横を通り、開いたままの扉の隙間を抜けていった。]
あ、……待っ、て!
[咄嗟に、眼帯に背を向け、その白いボールを追いかける。 転がった先、ボールが止まったのは、廊下の真ん中。
――― ここに来た時には気付かなかった、何か、箱の様なものがある場所の前。*]
(218) 2011/09/27(Tue) 03時半頃
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― 地下2階・B1行き転移装置前 ―
[掌から転げ落ちたボール。 追いついた、と、足を止め、拾い上げようとすれば、昨日、作業服のポケットに入れたままだった白い布の球が、落ちる。 手作りの球と、きれいなまるの、ボールと。]
俺は、……こっちのが。 ……こっちのほうが痛くなさそう、だし……
[小さく呟きながら手を伸ばし、二つの球を拾い上げようとした。
その時だった。]
[静かだった空間に、音が溢れた。
薄暗かった廊下が、明るくなった。]
(260) 2011/09/27(Tue) 21時半頃
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これ、
[何ですか、と、映像を映し出すモニターを指差し、眼帯に問いかけようとして。
流れる映像に、釘付けになる。
たまに映像に現れる文字は、ほとんどが難しくて読めなかった。 けれど、流れてくる音声はなんとか聞き取れた。
ニンゲンから、そっくりの“くろーん”を作る。と。 映像は、言っていた。]
………
[三白眼気味の瞳。 明るい中では、僅か、蒼く見える、瞳。
真っ直ぐに、モニターを、見詰めて。]
(261) 2011/09/27(Tue) 21時半頃
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[“くろーん”と呼ばれたニンゲンが、暴れて絶命していく映像。 食事の時に使うナイフに似たそれで、身体を裂かれて。 なんだか、あかい、どろりとした、ぐちゃりとしたものを取り出して。
それがはいっていた“くろーん”は、 ―――]
とり、かえる
[思い出す、眼帯の言葉>>215を呟くと、ゆるり、瞬く。]
……あ
[嫌な、予感が、した。
映像の、まだ途中のモニター。 何だか変わった服を着た、壮年の男性が話している、映像。]
[――― 少しでもそれから離れたくて、走り出す。]
(262) 2011/09/27(Tue) 21時半頃
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あ、 あぁ え、 ぇ ?
[ちいさな声を途切れ途切れに上げながら、廊下を走り行く。 階段のあった扉も通り過ぎて。 少しでも、音から、映像から、逃れたくて、走る。
ぐちゃぐちゃと、混乱した、頭のまま。]
[モニターのない一角で、足を止める。 走る事だけは得意だった。 だから、これくらいでは、息は上がらなかった。 それでも、頭を、心を落ちつけようとして、目の前の壁に手を吐こうとして―――]
……わ、っ、
[壁だと思って手をついた、「Pamela」と書かれた四角い板。
それは勝手に、横に開いた。]
→ 手術室 Pamela ―
(263) 2011/09/27(Tue) 22時頃
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― 手術室 Pamela ―
[広い、部屋。 いろいろなものが置いてあったけれど、それが何に使われるものか、よくわからなくて。]
………
[けれど、先程見た映像の中に、似たようなものがいくつかあったような気がして、触れるのを止めた。
似たようなモニターはこの部屋にもあった。 同じように、壮年の男性が語る映像。
くろーんのぎじゅつ、いしょく、ひやくてきなしんぽ。 けんこうであんぜん。ほしょうされたみらい。]
……俺は
[何なんですか、と。
問いかけた、泣きそうなくらいに震えた声は、部屋の中に響いただけ。]
(267) 2011/09/27(Tue) 22時頃
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俺は
[“くろーん”と呼ばれていたニンゲンの労働。仕事。 それは自分の知っている仕事に良く似ていた。 自分のやっている仕事と、全く同じ仕事をしている“くろーん”もいた。
“くろーん”と呼ばれていたニンゲンは、同じような服を着ていた。 今、自分が着ているものと、良く似た服だった。]
俺は、
[映像の中の、“くろーん” 「シンゾウビョウ」「クローンイショク」 眼帯の左の目。 「駄目になった」「取り換える」
ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、頭の中を回る、声―――]
……ッ
[パンクしそうな頭で、背後からかけられた声>>284。 泣きそうな顔で、開いた扉の方を、向く。]
(296) 2011/09/27(Tue) 23時半頃
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じゅうろくばん?
[小さく、扉の向こうの姿>>298の名を呼ぶ。 けれど、その服装に、纏う雰囲気に、首を傾げる。
彼女の呟いた名。“ドナルド”と同じ髪の色。 さら、と、揺れる。]
……大丈夫、です
[笑おうとして。
いつものように笑おうとして。]
[――― できなくて、また、泣きそうになる。]
(301) 2011/09/27(Tue) 23時半頃
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違う……?
[強調された単語を、小さく繰り返す。 確かに彼女は16番とは違う。今まで見てきた彼女とは、全然違う。]
俺は……、A-13-73、っていって。 皆は、赤毛って、 呼び、ます……
[浮かびかけた涙をぐ、と無理矢理に拭う。 泣くのは、駄目だ。 泣いていたら仕事ができない。仕事ができないのは駄目な事。
だから、泣いては、いけない。]
……あなたは。
あなたは、誰。 何、なんですか。
[震える声で、尋ねる。]
(313) 2011/09/28(Wed) 00時頃
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/* 三 三 三(「・ω・)「 三 三 三(。´д`)
リーネとリンダの図
(-90) 2011/09/28(Wed) 00時頃
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……ふらんしすか。 フランシスカ、さんは。 フランシスカさん?
[聞き慣れない、難しい名前。由来も全く見当がつかなくて。 そういえば眼帯も最初は何か、言っていた気がする。――― イワセドナルド、とか、なんとか。]
あの。 ……俺は、
[何なんでしょう、と。不思議な名前を持つ彼女ならわかるかもしれないと思い、問いかけようとして。 差し出された布に、途中で言葉を切った。
いつも触れている作業服とも違う、ベッドのシーツともちがう、綺麗な色の、布。 リーネやじゅうろくばんの仕事場で、こういう、綺麗な布を見た事があった。触ろうとしたら、ロボットに怒られたけれど。]
……つかっていいんですか?
[触れていいのか、と。 尋ね、首を傾げれば、一粒だけ、涙が零れ落ちた。]
(328) 2011/09/28(Wed) 00時半頃
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ありがとう、ございま、……
[手を伸ばして、受け取った。 綺麗な色。触れた感触もやわらかくて、気持ち良かった。 一粒落ちた涙。 後を追って落ちようと、目頭に溢れる涙の雫を、其れで押さえた。]
……すみ、ませ
[ハンカチで遮られる、視界。
―――だから、気付けない。 扉が開いた事も、そこにネクが立っていた事も>>321。
流れる涙を止める事に、頭が一杯になっていた。]
(340) 2011/09/28(Wed) 00時半頃
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[泣いては駄目だ、駄目だと思っていても、無理だった。
一度だけ、先のとがった“ぶひん”で指先を少しだけ切ってしまった事があった。 ぴりぴりと、痛くて。そこから一筋、赤い滴が滴り落ちて。 それは、映像の中の“くろーん”が溢れさせていた色と、同じ色。 自分の髪の毛よりも赤い、赤い、とてもとても鮮やかな赤色。]
……ッ…
[とりかえる。 だめになったから。
だめになった“ぶひん”は、ロボットに言えば“ちゃんとしたもの”を持ってきてくれる。 だめになった眼帯の左目は、誰かに言ったから、ちゃんとしたものが用意される。]
……ちゃんとした、目
[この予想が、あっているのであれば、その目は、]
[――― 怖くて、涙が、止まらなくて。]
(366) 2011/09/28(Wed) 01時半頃
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[ハンカチに押し当てていた顔を、少しだけ上げる。 ぐず、と鼻を啜った。
情けない位に、赤くなった瞳が、フランシスカを見て、それから、]
……ネクさん?
[細い声、小さく名前を呼ぶ。 じゅうろくばんみたいに、彼女はもしかしたら別のネクなのかもしれなかったけれど。
彼女の着ていた服は、見慣れたネクのそれだったから、そう、呼んだ。]
(375) 2011/09/28(Wed) 02時頃
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ネク、さん
[此方に伸びてくる腕。大丈夫と告げる声。 どうすることもできなくて、ただ、されるがままで。
はさり、手から、フランシスカのハンカチが滑り落ちる。]
……俺
俺、は
[フランシスカにした問いかけを、彼女にもしようと思ったけれど。 喉が詰まって、言葉が出なくて。]
[また、溢れた涙を隠すように、片方の手で顔を覆った。]
(380) 2011/09/28(Wed) 02時頃
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……おれ、は、 [息苦しい、言葉が上手く出てこない。 ぎゅ、と、空いた手で、自らの作業服の胸元を握りしめる。
流れる涙を止めたくて、何らかの答えが欲しくて。
震える声を、絞り出す。]
くろーん、なんですか、俺は、…… くろーんって、 何、なんでしょう、か
おれ、どう、なるんでしょう
[ただ、ただ、怖かったから。]
(385) 2011/09/28(Wed) 02時半頃
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[ひっ、と喉の奥、幾度かしゃくり上げる。 自分の身を抱きしめるようにしながら、暫く、落ち着くまで涙を流し続ける。
ネクの言葉、くろーんらしい、という、その答え。]
っ……
[左の目。眼帯。赤銅色の、髪。――― 同じ色に出会えて、少しだけ、嬉しかった。
――― 多分、自分がうまれたのは、彼の為、に。]
……俺、ちょっと、 いってきて、いいですか?
[涙の流れた跡を拭い、そう尋ねる。 それから、ネクの肩を掴み、その身体を離そうと。]
(393) 2011/09/28(Wed) 03時頃
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|
ありがとうございます
[へら、と、泣きはらした顔では、いつもよりもずっとずっと、情けない笑顔になってしまい。]
……はい、俺も。 ネクさんと、お話、もっとできたらって思います、ね。
俺、ほら、いつもあんな仕事場、いたんで。 ……年、近い人達の事、全然知らない、から。
[だから、帰ったらゆっくりお話ししましょう。 そう付け加えて、手術室の外へ通じる、四角い扉に足を向ける。
――― 途中、床に落ちたままのフランシスカのハンカチを、拾い上げた。*]
(396) 2011/09/28(Wed) 03時半頃
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