241 線路上の雪燕
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––––弾丸>>3:139は、その影の脚首を正確に貫いた。
影は絶叫する。
今迄どれほど声を堪えて来たか。
それが今声帯から漏れ、それどころか、
その下の車両に居た者の鼓膜を貫く程に響かせてしまったのは
1つの皮肉とも言えただろう。
ごろり、と悶えた様に転がる。
それでも匍匐は止めない––––止まっては、ならない。
屋根上に糸の様な血痕を引き摺りながら、影は最後の連結部を跳ねた。
(#0) 2015/12/02(Wed) 00時頃
最後尾車両、そこは緩急車だ。
普段は車掌助手が乗り込む様なそこは、深夜は無人だ。
それは、その上に震えながらしがみつく。
ガラクタを握りしめる左手はじっとりと湿り。
それは、人の子の形をしていた。
人の子の顔が月光の中、ゆっくりと
自分を貫いた者を確認すべく、後ろを向いた。
目は見開き、歯をガチガチと鳴らし。
眉間一杯に硬直を持つ。
「…ッシェル…レーショー…レオ……
……しにたく、ない……」
微かな子供の声も、スピードに置き去りにされ、
誰かの耳に届く事は無かっただろう。
(#1) 2015/12/02(Wed) 00時頃
上げた顔を線路に戻す。河よりも速く、それは流れていく。
三等車両で罵り合う声が聞こえる。
権威嫌いの労働者達と、切羽詰まる鉄道警察達なのは火を見るよりも明かだ。
それは、鼓膜を破らんばかりの、ブレーキの音に掻き消えた。
緊急停止ブレーキ。引いたのは子の姿のそれ自身だった。
車輪がバチバチと火花を上げ、線路が高い音を上げる。
不完全燃焼を起こした雪燕はびるるるる、と絶叫すると
今迄に噴いた事もない、真っ黒な煙を吐き出す。
静止し切る前にそれは勢い良く屋根を蹴り上がり、夜闇に躍る。
枯れ果てた麦畑。その中に転がり落ちた影はグンニャリと、
人間の骨格では有り得ぬ度合いに曲げていた首をもたげ、
(#2) 2015/12/02(Wed) 00時頃
赤子の声と獣の声の混じった、咆哮を上げる。
不意に吹いた風、外套が翻った瞬間そこに人の形は無い。
麦畑を一直線に駆け、逃げていく狼の姿が車窓から見えたかもしれない。
次に響いたのは鉄道警察の叫びだった。
追え、惑わされるな、
奴はかの村を喰らい尽くした化け物だ、野放しにするなと。
彼等も麦畑に飛び降り、獣の後を追跡する。
落ちつつある満月の下、線路上の雪燕はその様子を見守るだけだ。
(#3) 2015/12/02(Wed) 00時頃
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