235 夏の終わりのプロローグ
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―祭りのあとと、―
[明かりの消した裏庭を包んでいく、夜の帳。
消えゆく火薬のにおいに混じった、名残惜しげなヒナコと先輩の声>>3:65>>3:76。 もしもじゃないもしもの話に、首を傾げたマドカの声>>3:84。 花火と共に落ちた、エリアスの疑問の声>>3:93。 チアキはどんな顔をしていたっけ。
夢うつつな思考の中で、 寮生たちの顔が、声が、言葉が、
まわる、まわる。めぐる。]
(*0) 2015/08/13(Thu) 17時半頃
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―それから、祭りのまえ。―
[鳴ったアラームを止めて、寝ぼけ眼を滑らせれば、携帯の画面には8月8日の表示。 気象情報を開いたなら、明日の予報は2/1.雨 2.晴れ 3.曇り。]
……今日も、バーベキュー、?
[ぎしり、ぎしり。 軋むベッドの上で、寝返りを二度。 今日もまた、"きょう"が始まる確信。]
楽しみ――…だよね?
[楽しみだったはず。楽しみ、なのだけれど。 躍る心は何処へやら。何かが足りない気がして、じとりと滲んだ汗を拭った。]
(*1) 2015/08/13(Thu) 17時半頃
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[めぐる、まわる、顔と声と言葉。 ところどころに違和はあれど。
明確に認識しているのが自分だけだってことは、わかってる。 何をどうすればいいのかは、まだ。わかってない。]
(*2) 2015/08/13(Thu) 21時頃
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[楽しみなことが、なかったわけじゃない。
今が楽しいのは、確かで。 明日も同じかどうかなんて、理解らなかっただけ。]
(*3) 2015/08/13(Thu) 23時半頃
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[留まっていたかったのは、懐古して憧れた"きょう"。
毎日少しずつ塗り重ねられていく絵のように。 毎日少しずつ姿を変えていく、終わらない"きょう"。]
(*4) 2015/08/13(Thu) 23時半頃
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[なんとなく。 なんとなくだけれど、予感はあった。
明日があるから。 そんな気持ちで臨んだバーベキューは、それはもちろん楽しくて、充実した時間だったけれど。
明日があるから。 そんな甘えが、安心が、まるで当たり前の物のように、受け入れてしまっていたから。]
(*5) 2015/08/14(Fri) 00時半頃
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―祭りのあと―
[ ほたり、 と。
黒い地面に落ちて、一瞬だけ火花と共に、最後にはじけて。 そうして消えてしまった線香花火の光に、細めていた瞳を、ゆるり、細めた。]
(*6) 2015/08/14(Fri) 02時頃
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[夏休みなんてすぐ終わるんだから。 そんな自分の言葉>>0:67は、だんだんと遠くに離れていったけれど。
取り壊されてしまうらしい貯水槽の下に住み着いた、裏庭の子猫の居場所が無くなってしまうのも。 賑やかな時間が終わってしまうのも。 それがしばらく、訪れなくなるのも。 打って変わったように、ひとりの時間が始まるのも。]
寂しかった、……けど。
(*7) 2015/08/14(Fri) 02時頃
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["明日"からしばらく寂しくなるからこそ、最後の一日が楽しみで。 次がないからこそ、一度だけのバーベキューは、とてもとても楽しかった。
同じ日を重ねたからこそ、最後の一日がこんなにも楽しかったのか。 それとも何も知らず"明日"を迎えていたなら、その思い出を噛み締めていられたのか。
それは、わからないけれど。]
(*8) 2015/08/14(Fri) 02時頃
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――たのしかった。
(*9) 2015/08/14(Fri) 02時頃
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[満足げに呟いた言葉と、消えてゆく花火の光。 遠く聞こえる虫の音と混じり合いながら、湿った夏の夜の空気に溶けた声と、熱。]
(*10) 2015/08/14(Fri) 02時頃
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[ ――にゃあ、 と。
聞き覚えのある柔らかな声が、まるで応えるように。 祭りの名残を包んでそっと冷えてゆく裏庭のどこかから、聞こえた気が、した。**]
(*11) 2015/08/14(Fri) 02時頃
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