25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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――――……。
[ばしゃり、と。水音を立てながら。 鳥にしては珍しく不機嫌そうな顔で、濡れた金糸を掻き上げる。 たっぷりと水を含んだ薄衣を絞って、陸へと上がり。 小さくぱんっと、頬を叩く]
…………ふぅ。とんだ災難。 でも少し、ふっきれた。
(442) 2010/08/04(Wed) 02時頃
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[真円を欠く月へと、水が滴る手を掲げる]
届かぬとも善いじゃないか。 僕は鳥。囀る、鳥。
雲間に隠れて、時折気まぐれにその姿をお見せ下さる、 遠い、遠い月を。 鳥は想うだけ。
それで、善いじゃないか。
[どこかすっきりした様な顔で。鳥は空に浮かぶ月を見上げる]
(448) 2010/08/04(Wed) 02時頃
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[視線を感じれば、濡れた金糸をかきあげながら]
お騒がせしてすみません。 先程の宴の熱が冷めやらなくて。 つい、池の鯉と戯れてしまいました。
[慣れた様な口上を口にしながら、 すっきりとした顔で、告げる。
水を吸って身体に張り付く衣装は、少年の華奢な身体を写して見せて]
(450) 2010/08/04(Wed) 02時頃
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[法泉より差し出された手拭きには、辞退申し揚げて]
鳥ごときに、勿体のうございます。
[ふるりと、水が滴る金糸を揺らす]
(456) 2010/08/04(Wed) 02時半頃
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水と戯れたぐらいで、鳥の喉は枯れるほど軟ではありません。 でもご心配ありがとうございます。
[笑みを浮かべてそう告げて、 何かを探す様子に、つられて池を見る]
……なにか、お探しですか?
(457) 2010/08/04(Wed) 02時半頃
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そうなのですか? 僕はまた、法泉さまのお持ち物だから。 どこぞの絹の手拭きかと……。
[謂い掛け、手で口元を覆う。 くしゅん、と子犬のなく様なくしゃみが一つ]
……やはり、お借りしてもよろしいでしょうか?
[苦笑いを浮かべて、見詰める]
(464) 2010/08/04(Wed) 02時半頃
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見つかった様ですね。善かった。
[衣を手にし、羽衣の様に靡かせる様を見せる虎鉄へと、 紅石榴を向けて緩く微笑む。
彼が先程、眸を反らした事には、鳥は気づかない]
(465) 2010/08/04(Wed) 02時半頃
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[木綿の柔らかな布地を、水が滴る頬をに充てる。 冷えた身体に、それはとても暖かく馴染んだ]
そうなのですか……? 花主の皆さまは、立派なお方ばかりだから。
[贅沢はと口にする目の前の男に、 ぱちぱちと、長い睫毛を震わせ瞬いて]
(471) 2010/08/04(Wed) 03時頃
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[もう一人の花が眼のやり場に困っていた事も、 安堵のため息をついた事にも気づかずに、
鳥は不思議そうに、金の髪を揺らして首を傾ぐ]
……ええ、お休みなさいませ。 協力と謂えるほど、僕は何もしていませんけど。
[くすくすと笑い、背を向けるその姿に。 木綿の手拭きを持つ手と反対の腕を振った]
(477) 2010/08/04(Wed) 03時頃
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花を買える方は、立派な方だと。 僕たちは学園で習ってまいりました。
[撫ぜる手に擽ったそうにしつつも、 鳥の表情は常の侭。緩く笑んだままで]
中身の問題ではないのでしょうね。
たとえ聖人君子であったとしても、 花を養えぬ者は、学園は立派と謂わないでしょうから。
(479) 2010/08/04(Wed) 03時半頃
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……勿論、立派である事と、好悪は別ですけれど。
[呟く声は届いただろうか。 嘲るように笑む花主の頬へ指先を伸ばし]
花に溺れると謂う事は、 それだけ花を愛して下さると謂う事でしょう? それは花にとって、最大の幸福です。
花が春を鬻ぐのは、花主の愛を逃さぬように。 甘い蜜で蕩かすのも、一つの芸だと教わりました。
[とは謂うものの、少年自身はそのような芸は何一つとして、 習った事はないのだけれど]
……ええ。そうですね。
[善い主に、と謂われると。 長い睫毛が震えて、閉じてしまう紅石榴]
(481) 2010/08/04(Wed) 03時半頃
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目当てなど……。 鳥はただ、その日その日を囀るのに精一杯です。
[くすりと、稚く笑って]
もう少し月と、それから鯉と戯れていようかと思います。 お休みなさいませ、法泉さま。
手拭きのお礼は、また何時か。
[背を向ける男へと恭しく礼を贈る。 その姿が見えなくなれば、鳥はまた。 月への想いを静めるために、水鳥となって歌を囀る*だろうか*]
(484) 2010/08/04(Wed) 04時頃
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[鳥が囀る声に、雲間の月がその姿を見せるならば。 鳥はとっておきの笑みを浮かべて、 差し出された指先へと紅石榴を向ける]
……丁度今、 あなたの事を考えていました。
なよたけの、君……。
[濡れた金糸と、華奢な身体を浮き彫りにする白が、 月明かりの下で、誰の手垢もついていない無垢な少年に、 色を添える]
(499) 2010/08/04(Wed) 09時頃
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[差し出されたに、細い指を乗せ。そっと絡めて。 雲間から覗く、淡い光の14夜に紅石榴を細めて]
中天に浮かぶ月へと焦がれる想いが、 僕を鳥から花――人へと変えてしまうのです。
(501) 2010/08/04(Wed) 09時半頃
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[寄り添う二人を見たときに、 胸に抱いたは嫉妬の炎。
月へと触れる事の叶う男への。 そして他の者へと照る月自身に対しての。
鳥の時には感じ得なかった初めての感情が、 紅石榴を雨で濡らした事を、少年は多分に理解していた]
(502) 2010/08/04(Wed) 09時半頃
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――――…お慕いしております、なよたけの君。
[絡めた指先へと、口接けを贈る。 告げる言葉はただ一つ。後はただ。 濡れる紅石榴が、眩しげに。月下の佳人を見詰めるのみ――**]
(504) 2010/08/04(Wed) 09時半頃
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[抱きしめられた胸に、頬を寄せる。 夜着が濡れるのも構わずに、 抱きしめて下さる優しい月の囲いに。
鳥は、嗚呼……と。震える唇が音を洩らす]
判っております。 それでも何時か、鳥は巣立つのです。 気ままに歌うだけでよかった親鳥の巣から、その外へと。
[紅石榴へ寄せられる唇に、 ぴくりと身体を震わせたは、怖さか。 それとも望んだ温もりを得た歓喜にか]
(515) 2010/08/04(Wed) 12時頃
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僕は……あなたのためだけに囀る鳥になりたい――
[濡れた髪の奥から、見上げる紅石榴。 そこに燈るは、恋情――――]
僕の羽根を落として下さい。 あなたの手で……。
(517) 2010/08/04(Wed) 12時半頃
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[月の檻に囚われて――否、自ら飛び込んだのだ―― 落とされる、風切羽。
歌えよ、囀れと、果てるまで。 鳥はただただ、甘く声を上げ続けるのだろう。
痺れにも似た甘い気だるさの中で、 再び眸を開けば、間近に見える月下の佳人]
……夢では、なかったのですね。
[夜通し歌っても尚、透き通る声で呟き、 その白い肌へと頬を寄せた]
(518) 2010/08/04(Wed) 12時半頃
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[用意された湯を浴び、着物を纏う。 仄かに香るなよたけの君の香りは、 まるでそのかいなにいつまでも包まれている様な、 そんな錯覚を鳥に誘った]
……法泉、さま?
[ふと廊下から見降ろした池の傍に見えるは、 昨夜言葉を交わした僧の姿。
こつこつ、と小さく窓を鳴らして。 鳥はにっこりと、微笑みを浮かべた]
(524) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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[擽る様に身体に残る花弁を辿る指>>525 その度に、鳥から花へと変わってしまった身体は、 なよたけの君の耳元に零す、甘い泣き声]
壊れてなど……。 いえ、いっそ壊れてしまっても構わぬ、のです。 あなたの手に齎されるものなら、どんなものでも僕は……。
[縋るように華奢な腕を巻き付けて、 うっとりと微笑む、花のかんばせ]
(529) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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[湯殿から戻れば、くたりと寝台に沈む主の姿。 鳥はその隣へと侍ると、 朝の訪れを告げる歌を調べに乗せる]
夏の夜の 臥すかとすれば ほととぎす 鳴く一声に 明くるしののめ
[同じく窓の外を眺めて。 夢の余韻に、暫しそのまま――**]
(541) 2010/08/04(Wed) 14時頃
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[労わる言葉が>>656が嬉しくて、 こくり、小さな頭が縦に頷く。
髪を梳き、身なりを整え、帯を締めるその音までも、 焦がれる様に紅石榴はその眸に映しながら]
身体の疲れなど、胸がこんなにも満ち足りておりますれば、 気にもなりません。
[夕べの熱情を想い、微かに頬を染めた]
(688) 2010/08/05(Thu) 00時半頃
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[琵琶の手入れをする様を、邪魔しないように見やりながら。 旧友――昨晩合わせた舞手だったか――と仰る方のお話を聞いて]
お二方が宜しいのでしたら、ぜひ。
楽に携わる者の端くれとして、 なよたけの君の琵琶も、あの方の舞も。 もう一度この目、この耳にする事が出来れば、と。 思っておりましたから。
[宜しいでしょうか?と、その端正な顔を見上げた]
(691) 2010/08/05(Thu) 00時半頃
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…………。
[なよたけの君の唇から、愛い奴とお言葉を頂ければ。 月に焦がれる鳥は、恥ずかしそうに紅石榴を伏せて。
はにかむような笑みを浮かべ、 誤魔化す様に椀に残る朝餉へと箸を動かした]
(701) 2010/08/05(Thu) 01時頃
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有難うございます。 あの……それから此れは、鳥の厚かましいお願いなのですが……。 お二方の演目の後で構いませぬので、 僕もお二方へと、歌を合わせても宜しいでしょうか?
[胸に過ぎる、昨晩の舞台。 朝餉を終え、手筈が整う頃には琵琶の包みを抱いて。 主へとおねだりを]
(704) 2010/08/05(Thu) 01時頃
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