204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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― /居間―
[ノックスの一日は、絶望から始まった。]
………
[両腕の重みはいつにも増して。
栗色と金色を優しく撫でて、おはようと頬にキスをした。
いつも通りの朝になるはずだった。――けれど、寝坊の愛し子達は瞼を閉じたまま。
トレイルの口許の赤。 ニコラの片頬の赤。
いつまでも、眸を閉ざしたまま。**]
(2) 2014/11/24(Mon) 09時頃
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/* 力尽きてた……
あれかな。 仇討ちはOKってことかな………
トレイルとニコラの死の受け止められ方。
(-34) 2014/11/25(Tue) 07時頃
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/* 当初の予定では、ノックスはただの変態で、 ジル・ド・レみたいだなって、思ってたんですー。
愛しい少年をわざと他人に犯させて、それを見て性的興奮するとか。
超高校生級の絶望とか、そんな感じ。
でも、ただの怖がりの人になってた……。
(-35) 2014/11/25(Tue) 07時頃
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/* ニコラが、ノックスみたいになりたくない。 子供のままでよい。
ってのみたら、また新しい一番星を探して、言葉を紡いでるノックスも想像できて。ただのくずやろうです。
(-36) 2014/11/25(Tue) 07時頃
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―ミッドナイトブルー/あれからのこと―
[もうひとつ。神様が戻してくれるのなら、彼が欠陥だと思っていたものも。 人体の声帯を意識して食べたことも、死後の性器を食べたことも初めて。キタナイと、言われるのだろうかとふと思った。予想以上に軟らかで、舌とも違う味わいだった。]
………。
[長居は出来ないと、両腕に抱えあげて居間に急ぐ。直接手を下して居ないからと、フィリップの矢がニコラにむかないとは限らない。ドナルドが既にニコラに怪我を、或いはそれ以上を負わせていないとは限らない。
彼等は、何か見えない糸で繋がっているようにもみえた。]
(128) 2014/11/25(Tue) 13時半頃
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[この両手はいつだって、2人の為にある――…のに。]
――――――!!
[ニコラはソファに居た。 仰ぐ顔に突き立てられたもの。
腕から、脚から力が抜けるよう。
ニコラ、ニコラ!
幾ら叫んでも、喉から声は出なかった。ただ、ひゅうひゅうと通り過ぎる音だけ。]
(133) 2014/11/25(Tue) 14時頃
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[開かれたままの灰色には、ノックスが渡したナイフ。柄を握っているのはニコラの手。もう片方は固く握られ、何を掴んでいるのか開かずとも形から見て取れた。]
………。
[どう見ても、何度見返しても。
ニコラ自身の選択にしか、見えなかった。]
(137) 2014/11/25(Tue) 14時頃
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[ふざけるなと、腕を振り上げそうになった。2人とも逝ってしまった。悲しみ、苦しみ、怒り、嘆き、寂しさ。……募る、愛しさ。
わぁと押し寄せる感情の波に抵抗するのは止めた。だからだろう。涙は出なかった。
特別だと、君だけが一番だ――と。
2人とも、選んで欲しいと望んでいた。叶えてあげられなかったのは――…ノックス。]
(145) 2014/11/25(Tue) 15時半頃
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[―――2つの星は、墜ちた。
世界は、また、深い闇夜に戻った。]
(146) 2014/11/25(Tue) 15時半頃
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[トレイルの身をニコラの横に座らせ、ノックスはニコラの手を掴んでナイフを引き抜いた。灰色と、刃の先には眼窟の奥にあるもの。 刃を舐めて、喉奥に送る。
ニコラの表情は微笑み浮かべた安らかなもの。 ふらり遊びに行くように。きっと、行ってしまったのだろう。
彼の両頬を包む。逃げていく温度を留めておきたくて。そうして、いってらっしゃいのキスを頬に贈った。
ナイフの柄から、ニコラの指を1本ずつ外してやる。もう一方の手はそのままに。]
(147) 2014/11/25(Tue) 16時頃
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………。
[トレイルとニコラと。 事切れた2人を両腕に抱き締める。いつものように、変わりなく。
亡骸だからこそ、どちらを選ぶでもなく。
永遠に失ってしまった、幸福だった日常のように。**]
(148) 2014/11/25(Tue) 16時頃
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―ムーンライト/愛し子達との過去―
むかしむかし、あるところに――…。
[愛し子達にせがまれて、膝と背中が重くなる。昨日はトレイルだったから、今日はニコラの番ね、と差し出された本を開く。
金の竪琴を持つ男は、歌い手だった。蛇に噛まれて死んだ最愛の妻のために、毎昼毎夜、歌を捧げていた。
不憫に思った神様が、死後の世界の存在を彼に教えた。条件はひとつ。 今持っている中で、大事なものを差し出すこと。]
……彼は何を渡したんだろうね。 2人は何だと、思う?
[柔らかな癖のあるマロンと、さらりと指通りの良いプラチナブロンドを撫でて答えを待つ。]
(149) 2014/11/25(Tue) 16時半頃
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[『決して振り返ってはいけません』。その約束を守れなかった男は、再び妻を失った。
最後のページには、まぁるい月の下で、歌を歌う男の姿が描かれていた。**]
(150) 2014/11/25(Tue) 16時半頃
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―グリーンフォッグ/居間―
……。
[目を醒ましたノックスは、天井を見上げた。耳を澄ませても、聴こえてこない音に安堵した。
それは眠りの最中のこと。 ふと、意識が浮上した時、漏れ聞こえた音があった。>>96
天井の向こうから、フランシスの歌声。意識を逸らせば聴こえなくなるかも知れない。けれど。]
……トレイル。
[彼の両耳を塞ぎ、頭を抱きかかえた。聴こえない。もう聴こえない。 大丈夫。大丈夫だから。]
(151) 2014/11/25(Tue) 17時頃
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[歌うなと言ったのに。 トレイルが死んだから、もう良いと思ったのか!
呆れた笑いが口から零れる。
つまりそれは、ドナルドのした事をフランシスが認めたという事だ。
トレイルを殺そうとしたフィリップを、手伝ったドナルドを。
直接手を汚さずとも、3人がトレイルを殺したも同然だった。]
(152) 2014/11/25(Tue) 17時半頃
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[フィリップ。僕と同じになるなら、同じ悲しみをというなら――…。 大事なものは、すべて渡さなければならない。そうだろう? ホレーショーとラルフの2人。同じだとでも?
ドナルドには躾が必要だ。 保護者が出来ないなら、他の大人がすべきだろう?
ペチカに火を入れずに眠るには、愛し子達は冷たかった。**]
(153) 2014/11/25(Tue) 17時半頃
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―ローズタンドル/居間/現在―
[剥いだ背中の皮をテーブルの下に広げた。テーブルクロスで見えないから、捲られなければ大丈夫だろう。
動く必要のなくなった心臓の壁。一口大に刻んだ薔薇色を幾つか、指先で摘まんで口の中に運んだ。
2人分の遺体を抱えて山を降りるのは難しい。ならば形を変えてやれば良いだけのこと。灰にでもすれば、もっと軽くなるかもしれない。
彼等が腐ってしまう前に。 色を失ってしまう前に。
記憶が鮮明なうちに、シノワズリと灰色を再現しておきたかった。]
………?
[居間の扉を叩く音がした。 2人に毛布をかけた手を止めて、振り返る。
微笑む準備をして、手を放した。*]
(160) 2014/11/25(Tue) 18時半頃
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/* ノックスは、ラルフにも合わせて謝ったつもりになってたよ。 ……というか、ラルフに嫌われて殺してしまったのか、どうなのかが気になる……
(-60) 2014/11/25(Tue) 22時頃
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―ローズタンドル/居間―
[扉が開いた。
プリシラが来たら、水なりなんなり用件を叶えてやって、早くバーニィの所にお戻りと追い払うつもりだった。
あの3人が来たら、何事もなかったかのように笑ってやろうと思っていた。悲しませるのが目的なら、報復のつもりなら、そんなものに意味はなかったと。無駄にトレイルの命を奪ったのだと突き付けようとした。
けれど。]
………っ
[バーニィ。くしゃと顔が歪んで、込み上げるものがあったから。顔を両手で塞いで背を丸めた。]
(182) 2014/11/25(Tue) 22時頃
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[ややあって、顔をあげる。]
――トン
[返事の代わりに、テーブルを1度、叩いた。>>174
炊事場に向かうバーニィの姿を視線で追う。 ラルフと同じ場所に立つものだから、視線を落としてしまう。
彼の居た証に、確かな好意があった証に。 何か造りたいとは思ったが、きっと彼等は爪のひとつだって、髪の毛1本だって許してくれないのだろうと思うと溜息が出そうだ。]
…… …………。
[数が、多いと始めは思った。4つ。 あの時も、よそったスープは4つだった。]
(185) 2014/11/25(Tue) 22時半頃
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[手伝うつもりで立ち上がり、彼から良く見える位置に立つ。]
『ありがと。バーニィ。』
[唇だけを動かし、言葉を伝える。 喉を抑えて、あー、あー、と。
声が出ないんだよと、仕草で伝える。]
(187) 2014/11/25(Tue) 22時半頃
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/* 単なる復讐劇になってやしないか?
いや、ドナに食い千切られても良いけど。 トレイルをノックスから奪ってもまだ足りないというのなら、良いけど。
本能と理性の葛藤、どこいった?
ノックスさんの本能は、割と枯れた。 このままズルズルと生きれば良い。
(-61) 2014/11/25(Tue) 22時半頃
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…… …
[また、トンと音を返した。>>178
あまりよく眠れないけれど。頷いておいた。]
(189) 2014/11/25(Tue) 22時半頃
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……
『バーニィも、2人が死んで当然だと、思ってる……?』
[慰めないとは、そういうつもりなのだろう、と。>>=10
伝わりきれないなら、水で濡らした指先を綴る。]
(=11) 2014/11/25(Tue) 22時半頃
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[過度な悲しみに、声を失うこともある。 きっとこれは、そういう類なのだ。
バーニィの促しに昔を懐かしむ。>>190]
『はぁい』
[間延びした声を出し、器を手にした。]
『……プリシラは? ひとり?
なら、早く戻ってあげないといけない、ね……。 ねぇ、ならさ。
早く寝られるおまじない、久し振りにしてほしい、な。』
[だめかな、と。少々上目遣いで訊ねる。駄目元だ。]
(197) 2014/11/25(Tue) 23時頃
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[そう、か。ひとまずの安堵を得たが。
……踏みにじる?
ノックスの知らぬところで何をしたか、そこまでは見当がつかない。
知っているところ――…では?]
『……待って。バーニィは、トレイルとニコラが何をしたと、聞いてるんだ? 思ってるんだ?』
[確かめたくて、問いを重ねる。]
(=14) 2014/11/25(Tue) 23時頃
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っ
[バーナバスの存在は、ノックスにとって明かりだった。 今でもほんのりと灯る、明かり。
弾かれた額を抑えた。油断していたものだから、余計に痛く思える。 髪に僅かな感触。
目を閉じ、ゆっくりと深呼吸して。 目をあける。フロスティブルーにバーナバスを映し。
微笑んだ。ようやく、笑えたような気がした。]
………?
[だからだろう。ぽろと、涙が浮かんで流れ落ちた。]
(200) 2014/11/25(Tue) 23時頃
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[慌てて袖で目元を拭う。
バーナバスの言葉から、何か…… 以前とは違う様子を感じ、彼に手を伸ばした。
つい、と服を引く。]
(201) 2014/11/25(Tue) 23時頃
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『悪趣味というよりは、ロクデナシだ。
それは……。
……こうして話が出来るだけで、充分さ。』
[充分慰められているのだ。 ぐずとした思いが溶けていく、感覚。>>=13]
(=15) 2014/11/25(Tue) 23時頃
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[誰の事を言っているのか、すぐに分かった。]
『あの場にバーニィも居たじゃないか……。 あれは、あの男がニコラを誘った。
止められなかったというなら、僕も――あの男の腕を落としたって、ニコラから引き剥がしてやれば良かった、んだ。』
[忠告も、警告も、何もかも無視をして。あの男はニコラを選んだ。特別に、した。――ニコラの願いを、叶えた。]
『シメオンには、僕らが代わりに‘保護者’になれば良い。――何を思うか。けれど、シメオンはフィリップに……喰われた、から。』
(=19) 2014/11/25(Tue) 23時半頃
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