194 花籠遊里
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[自分の笑みが跳ね返ったような苦笑を浮かべる相手。更に苦笑する他どうしろというのか。 生温い唇が離れたのなら、は、と息だけ吐き捨てる。]
擦れた鏡なら自分の姿を見ずに済んで助からァ。
[鏡に映る自身の姿以上に醜いものなどありはしないのだから。]
……………『物好きめ』
[放った言葉は相手へ、花に水を遣る振りをする自身へ。
近づく唇に軽く口付けを落とすと、藤の肩を抱き寄せて布団へと雪崩れ込む。上に跨り、有無を言わせず深い、深い、抉るように唇を交わして。
行為に溺れたいという気持ちだけの為に、性急に事を急ぐ手は白梅香る衣類の隙間に。 細く不健康に白い指で藤の肌を暴き始める。]
(193) 2014/09/19(Fri) 01時頃
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ー回想・そして今ー [幼い頃の自分は、とかく元気だったという 雪山の麓に生まれた自分は、他の兄弟姉妹と同じく白い肌と黒い髪をしていた。しかし冬が厳しい場所で暮らして居れば、金子も食べ物も足りなくなるのは世の常……親はいくばくかの小金と引き換えに、子の一人を売り渡した
売り渡す際に藤色の髪留めで子の髪をひとつに束ねた母親は、子供にこう告げた]
――鏡でありなさい。人の心を映す鏡 そうすれば傷つくことも何もない――
[子供はその言葉を覚えていた 花主に連れられ雪の峠を越えて花籠に来た時も。その時結んでいた髪留めの色から藤と呼ばれるようになった時にも鏡であり続けた。客の、先輩花の、花主の。望む鏡花であり続けた
そんな鏡の面が細波揺らめく様になったのはいつ頃だろうか それは初めての友ができた時からだと思い至る 月の様に美しい横顔、月光の様に柔らかく笑む姿がまこと麗しい人。どこか人づきあいが不器用そうに見えるが後輩の花にも親切で優しい人 その先輩花に懐き、心開いて。いつの間にか互いに友と呼ぶようになっていた。それが幸せだった]
(*58) 2014/09/19(Fri) 01時頃
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[いつか年期が明けたら自分の故郷を見てみないか?なんて尋ねたこともあったろうか。雪山にかかる月が、それは見事に輝いているのだと
そういえば、母はあの言葉の――鏡の様であれという言葉の後、何かを云っていた ああそれは何だったっけ
今宵の客は煙草の煙が薫る蝶。自分の花としての最後の客 明日には下町の陰間として払い下げられる身。銀蝶の揶揄には苦笑しか零せない。何せ最後の最後まで自分の心の声は、友に言えなかったのだから]
――鏡でありなさい。人の心を映す鏡 そうすれば傷つくことも何もない――でもね
[月の光が地下牢に届く 今宵朧月は見えるだろうか。無意識に虚空に手を伸ばす 月を欲しがり泣く子供ではない。そんな無邪気な季節は過ぎ去った そんな折、別れ際に聞いた母の声が蘇る]
でもね――自分の心に嘘をつけば 嘘で割れた鏡の破片は相手も自分も傷つけるのよ――
[思い出した時には、既に――遅かった*]
(*59) 2014/09/19(Fri) 01時頃
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[緩やかに尖ったこころを花に肯定、包まれたのならば>>177 その尖りも少しは落ち着いただろうか。
ごろりと横に転がる花から漂うのは、微な櫻の香。 鼻をついたその香に目蓋を休め、その蝶頭に春先の桜を辿らせながら それでも夜咲く櫻には叶わないだろうと、ちいさく吐息を洩らした。
擦り寄る躯は如何にして受け容れようか。 まるで幼子だと先の自分を棚に上げ、乾いた髪を一撫で。 その髪飾りを指で摘まんだならば、世辞のひとつでも投げただろうか。]
(194) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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琴…嗚呼、ここに初めて来た時、ちいさくその音を聴いた気がする。
[――それに乗る、まるで溶けて消えそうな歌も。
軽やかな琴の音に乗った愁いを帯びた柔らかな聲。 琴の音もまた、夕闇に生えて綺麗なものであったと。
そうしてころころと隣から鳴る鈴の音に、心地良さそうに目尻を緩めては目蓋の裏にて視線を当てる。 宴の間に響く嬌声など弾いてくれそうなその鈴の音。 ころころ。ころころ。 先の悲しい話とは変わった音に、暫し安堵さえ心持に。]
(195) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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私は鏡――その鏡面に映しだすのは貴方の心も身体も 物好きな鏡に一夜の酔いを与えて下さいませぬか? 望みは、それだけ。
[鏡に向かって、自分自身を揶揄する様な口調でそう告げる銀の蝶>>193その瞳を凪いだ瞳で覗きこめばそこに居たのは何だったろうか
布団になだれ込み、抉る様に探る様に深く何度も口角変えて口付けられればくぐもった声を出す 溺れたいと願う様な性急な手に、それは自分も同じとばかりに暴く男の背に腕を回す
中を傷つけぬための香油すら要らぬとばかりに蝶の耳元で囁くは迅く、と 告げる声音は色を帯び、言葉の後にそっと耳朶を食んだ]
(196) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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おぼろサン、っていうのは分からないなァ… お茶、美味しいんだ? ならその琴の人と共にすれば、良いひと時を過ごせるんだろうね。
部屋に飾る花はキミが生けてさ。
[空気に乗せる言葉はただ夢言葉。ふよふよと甘泥な蜜に脚を付け、微温湯にこころをふやけさせる。 ――そこまで花を揃えるのは、大変そうではあるけど。 蝶方の聲を思い出すと、咽を鳴らす。
軈て続けられた唄には釣られるようにはにかみ笑い。 蝶はその翅を花頭に当てて、またもや手を滑らせた。]
チョコレート…?
[そうして手に入らなかったと悔やまれた庭花の事を、なにとか頭に埋まる知識で探しては見るけれど。花のことに疎い自分は到底分かるはずもなく。 「お腹が減りそうだね」――なんて。 そんな浪漫の欠片も無い事を、花へと告げ。
長閑な夜は、緩に過ぎて行く。*]
(197) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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[煙草の香りはいつも彼から薫る刻み煙草のモノとは違うが一時溺れ忘れ去るには十分な刹那の香り
黒衣の背越しに見上げる月 せめて雲に隠れぬ様にと、懇願するように見つめるも――やがてそれは雲に隠れて見えなくなって
一筋、涙が零れ落ちた]
(*60) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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何処が? 翅があって、花を買い、朝と共に消える。
―――…何処が違うってんだ、同じだろう。 お前の身体を過ぎていった、万人と皆同じよ。
[反芻する言葉は刃で返した。>>191 彼が苦悶に声を震わせるたび、男の笑みは深くなる。 見知らぬ男の方が体温高いという事実、肌に迫るという現実。 革越しの掌より、余程近いと言う、悲運。
彼の肌を愛でる度、心ごと抉るような言葉を吐く暴挙。 何一つ己と誰かが重ならずとも、素直な彼はきっと思い出す。 夜の向こうに揺らめく、夜蛾でない蝶の影を。
その様に、ちりりと蟀谷が焦げ付き、男は酷く興奮した。]
(198) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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[熟れた身体を有するのに、彼の心は気高く真情を護ろうとする。 己の甘言から、たった一つ、庇おうとするのは、 花の勤めではなく、月の気紛れでなく、人の心なのだろう。
乾いた唇を舐めて濡らすと、ささやかな抵抗を封じるように、 手首に手を掛け、艶に誘われる侭、牀榻へと押し倒した。>>192 ギシ、と鳴る木製の悲鳴が、静かな牢に零れ落ちる。]
何が違う。お前さんは花よ、花。 好きよう買われ、夜を明かせば放られる花よ。
[笑う口元は彼から伺えまい。 彼の頭上に纏めて捕まえた両手に加圧を掛け、 拒絶を―――、耳を塞ぐ事すら許さない。]
(199) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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[視界を奪い、自由を奪い、金子で購った月。 偽りの優しさと持ち前の毒で彼の心を暴いた後は、 まるで強姦染みた所作に切り替える。]
勘違いするんじゃねぇぞ、
[怯懦めいた色は、己の鼓膜を喜ばせ、また一時に慰撫を覚る。 泣きそうな声を撒き散らす彼に、熱くなる身体を自覚し、 とうとう、裾を払い、白い足を覗かせると開脚を強い。]
―――――お前さんじゃあ、花籠は壊せない。
[視界閉ざす帯ひとつ解けぬ無力を詰り、 男は密やかに咲いた淡月色を、灼けた楔で貫いた。*]
(200) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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[転びて身を寄せ、髪を撫でる手に擽ったそうに笑いました>>195 摘まれる髪飾りの色は白。 何色にも染まり、しかして何色をも染めてしまう色でございます。 櫻の香は少しなりとも、彼を癒すことが出来たでしょうか。 見えた尖りも形を潜め、瞼も休まれているようです。
僕はそっと、ペティンガーの背中へと手を回しました。 細い指先は、水面揺らす金の魚と戯れる手ではございませんが
とん、とん、とん。
緩やかに、その背を撫でていたのでございます。]
(201) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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[僕の唄は、愁いを帯びることもなく。 今ここにあるのは、宴に響く艶やかな音ばかりでしょうが。 それでも僕は唄いましょう。 翅を休めた蝶が、癒し、満たされ眠るまで。]
我侭な御方ですね? お茶にお琴にお花だなんて。
[いいのです、眸を背けて。 いいのです、何も聞かなくて。 撫でてくださる手に、僕は緩やかに微笑みました。]
ええ、ちょこれーと。 甘いものの中でも一番好きで。
[他愛もなく、記憶にも残らないような、そんな『夢物語』を唄いましょう。 微温湯のような、甘くて柔らかな声と温度で。 「食べちゃいけませんよ」───なんて。 話す頃には眠っていてくれたらと背を撫で続けたのでございます*]
(202) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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[見せる事の出来ない自身の背中が映っていただろう。それは、酷く、醜く。
深く接した所からくぐもった声>>196が漏れれば、もっと出せと舌を相手の舌に塗り込めて催促する。
呼応して背中に回る腕。眉を顰めて瞳に熱を灯す。 下半身へと伸びた手は、前戯も労わりも忘れてまだ慣らしてもいない小さな窄まりへと伸びる。疾くと、耳朶を刺激する感触が伝われば、その通りにズブズブと指を埋め込んだ。 中で二本指をバラバラに動かす。 血が出ても、泣いても、止まる事は無いだろう。 恐らくそれは、鏡に映った自身を見ながらの行為。]
痛かったら、泣いてもいい。
[唇から離れたくちから耳元で囁く声は、相反して優しく響いただろう。]
(203) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/19(Fri) 02時頃
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―牢を出た後―
[行為を済ませた後の倦怠感を引き摺りながら時計を見る。もうすぐ夜の盛りだ。 これを過ぎれば、後は。
考えるよりも先に向かっていたのは自力で見つけた花と蝶>>188>>190の元。
蝶であろう端麗な青年を組敷く様子はまるで]
よォ、邪魔するぜ。"蝶"。
[行為の最中であっただろうか。それとも事後のことであろうか。
どちらにせよ、返事を聞く前に蝶を組み敷く丁に歩み寄り、痛い程の力で顔だけ此方に向かせただろう。]
四日後に答えを聞くと言ったな。 –––––––やめだ。
今、嘘でもいい。 あの金で、いつか男を買うと……言え。
(204) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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[それは、花という立場で多くの男を相手にする丁への揶揄であり、同時に、これから地に落ちる己に対しての…ほんの少しの救いであり。
言葉を聞いたのなら、何とも言えない笑みを浮かべて何事も言わぬまま檻を後にするだろう。
組み敷かれた蝶には、心にも思っていない軽い謝罪と数枚の金を放り投げて。*]
(205) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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[どれ程自分を偽ろうと真似事したところで脳裏にこびり付いた月の気配は失せることはない。
虚飾は劔にて散り払われ、呆気なく地に伏していく。 思い描けと名を囀れと望む癖に暴く指は唇は声は似てもにつかない他人のもの。>>198
他人にその影を重ねる虚しさ。 名を呼び請うたところで姿を見られぬ現実。
叩きつけられた言葉はゆっくりと左胸に暗雲を移し、澱ませた。
心は氷水をかぶったように冷ややかなものだというのに。与えられる甘いまやかしに呼吸は熱を帯び始める。>>199
廊の時と同じくして、捉えられた腕と背に走る痛みに咽喉を突っ返させれば、加わる手の圧。そこに優しさなど感じず、己の身に起きるであろう遠くない未来に。]
──…た、…け
ピィン、と。 いつか聞いた雅楽の音と共に張り詰められた琴線が、ぷつりと。 途切れた音を揺すられるまま、聞いた*]
(206) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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可愛い、可愛い吾が子達。 今宵も大層疲れただろう。
部屋でゆっくりと休むがいい。
[男は今日も地下牢へとやって来ては、吹雪を降らせて花々を見下ろす。 優しげな面持ちで、或いは非道な笑みで。 一輪、一輪、狂気を含んだ声が撫で付けた。]
(*61) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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丁よ。 お前は屈折していて可愛らしい。
吾が子に相応しき、素直な焔花。
(*62) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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亀よ。 お前は夢見がちで悩ましい。
銀月映す、儚き水面花。
(*63) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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―夜明け近く・館前―
[残り数本になった煙草に火を灯しながら、夢の終わりを告げる鐘の下を潜る。 ふぅ、と吐き出した煙の向こう側にいたのは豪奢で四角い、人を運ぶ箱。その傍らには厳つい背格好をした男がチラホラ。
此れで夢は終いらしい。 蝶は最後まで蝶らしく飛ぶ事は出来ないまま地に落ちる。]
お迎えご苦労さァん。
[あっけらかんとして述べた言葉はまぁるい煙と共に宙に消えた。
車に乗る少し前。 館を見上げる。
蝶は土に還って花になるが、花が蝶になるには如何するか。浮かんだのはそんな疑問。 しかし、彼奴は蒲公英である。綿毛を飛ばしてふわふわと、其処彼処に根差して手当たり次第に種を飛ばす。 –––––願わくば、その黄色の花が此処まで届くよう。*]
(207) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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櫻よ。 お前は頑なでいて微笑ましい。
散るを知らぬ、咲かない櫻花。
(*64) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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――いいえ。泣きはしませぬよ。
[耳元で優しく響く貴方の声にこそ、泣きそうにはなるけれどと彼の囁く声にそう応える>>203 むしろ壊れる位に溺れさせてほしいと背に回した腕に力を込めた ふわりと薫る煙草の香り。それがつかの間、何もかも忘れさせて与えられる熱に揺蕩わせてくれるとばかりに
前戯など要らないと、はやくその熱さをと藤の花が花房震わせ冀う 鏡が映すは銀の蝶。その悲哀も奥に隠された優しさも何もかもと]
泣きたいのなら、貴方様こそ泣いて宜しいのですよ。シーシャ様。
[彼にそう告げれば口付け1つ やがて分け入ってきた灼熱に嬌声洩らし、煙の香りとその熱さに溺れたろう 夜は、更けてゆく――*]
(208) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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朧よ。 お前は動じぬ姿が誇らしい。
陰る貌こそ、艶かしい月花。
(*65) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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藤よ。 お前は磨かれた心が、美しい。
割れれば綺羅綺羅、光はなつ鏡花。
(*66) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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[パタン。 閉まった黒い扉からは、煙すらも燻らない。*]
(209) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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明日も甘い毒抱きて、蝶を誘い惑わせるがいい。
愛しい“罅割れぬ”花たちよ。
[口許に三日月を浮かべて嗤い、男は消え行く。 一輪切り捨てることを、暗にして。]
(*67) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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また今日も、男の狂気孕む声が落ちる。
暁訪れ夜は白み、夢の冷める時刻。
宵闇色の鬱蒼とした髪を垂らしたままに。
蝶の鱗粉ぞろりと舐めては飛び立つ背を見送るのだ。
(#1) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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どうぞ、またイラッシャイ。
(210) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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―早朝― [裏口から下町の花屋に引き渡される割れた鏡の花一輪 花籠に戻ることはもう、ない*]
(*68) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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