人狼議事


223 豊葦原の花祭

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


アーサー1人が投票した。
華月斎11人が投票した。

華月斎は村人の手により処刑された。


時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
犠牲者はいないようだ。殺戮の手は及ばなかったのだろうか?


全ての人狼を退治した……。人狼に怯える日々は去ったのだ!


天のお告げ (村建て人)は、メモを貼った。

2015/04/22(Wed) 01時頃


【人】 花売り メアリー


[ 落ちないように、両手で覆う。

ぜったいに、落としたくない。
忘れたくない。

 忘れて、欲しくない。 ]

 ………おぅい。

[ それでも決して萎れぬように僅かな隙間を作れば、そこから月光を浴びた淡墨桜が見えただろうか。

 大地に触れる聲の真似をして、そっと、口にする。]

  いっしょに、桜を見て。

(0) minamiki 2015/04/22(Wed) 01時頃

【人】 旅籠 おもん

-いくばくかの時間のあと-

[空になった甘酒の鍋の残りを杯に流し込みながら、つぶやく。]

お狐様の予言、当たったにゃァ―――。

[小さな小さなお狐様を思い返して>>1:90、少しだけ口元をほころばせた。
桜の花びらが舞い散る中、あの小さなお狐様は探し人に逢えただろうか。]

『その甘酒、くれるかい?』

[誰かがおもんに声をかける。手の中の杯を少し見つめてから。]

……悪いにゃァ、これはもう予約済みだにィ。

[あの小さいお狐様がもしも戻ってきたら渡そうと―――白く灰がちになった火鉢の横、少しぬくもりの残る場所におもんは甘酒を置いた。]**

(1) sainos 2015/04/22(Wed) 01時半頃

【人】 星先案内 ポーラ

―改装・おもんの店の前からほかの屋台へ―

[どの通貨を使用するのか、周りの酔っ払い客に教わりながらもただたどしく、支払い、茶色い麺の店に向かう。
あの満開の木から少し離れているだけあって、人が少なくなっていた。]

うう、好きな格好してるからこんなこと言いたくないんだけど、歩きづらいよぅ……私も満開なの見たいい

[人が減ったのを幸いに、ザカザカと歩く。大股が品がないとか、まくるのがはしたないとか、そんなルールは知らない者勝ちだと言わんばかりに足元がはだけていく。]

よし着いた。おじさん、さっきのあるだけちょーだい!通貨はこれでいいかな?足りなかったら教えてね。

[店先に並んだまだ熱い透明パックは3つほど。食べれなくても持って帰る!と鼻息荒く買い取る。
足りないどころか多い、と釣りを返され、この通貨は大きな金額だったんだなあと知った。もらったお釣りを大事に小袋にしまい、茶色い卵付きの麺を受け取りすぐさまあの大きな木へ向かった。]

(2) mofmaame 2015/04/22(Wed) 08時半頃

【人】 星先案内 ポーラ

―淡墨桜―

[重力で体が重い。だから普通の運動量で汗をかく量が違う、とかそんなどうでもいいことを考えながら手からぶら下がっている麺の誘惑を紛らわす。]

…着いた。はー遠かった…。暑い……

[かなりの人の数。近寄れなくて、少し離れていても咲いた迫力も木自体の大きさの迫力も変わることはなかった。]

(3) mofmaame 2015/04/22(Wed) 08時半頃

【人】 星先案内 ポーラ

すごい……
こんな大きな木もこんなスノーみたいな木も知らない…ピンクじゃなかった…

[お気に入りの麺を食べることも忘れて、ただただ見上げるばかり。]**

(4) mofmaame 2015/04/22(Wed) 08時半頃

【人】 隠れん坊 アヤワスカ

[顔が寄せられ、狐面の一枚隔てて、柔く頬を包まれる。蝶が明滅する。
離した鞠はてん、てん、てんと、数度跳ねて転がって、桜樹の根に受け止められる]

 てまり… 手鞠、あなたの名前

[てんてん、てんまり、てまりうた。
元の名前は何だったのだろう。聞けば教えてくれるものだろうか、名前を、それを与えてくれたひととの記憶を。断られればそれも良し、新たな記憶を積み上げる──]
   [嗚呼]   [こんっ、こん]

 ねがいごと、口にして も
[こん]  [げほっ ごほ]
 叶わないのが苦しくなって、辛かった

[かかさまも、ととさまも、そして何より己が、一番苦しんだ。春の暁光を夢見て涙し、冬の静寂を疎んで眠った。
湧き上がる諦念に蓋をして、夢の世界に救いを求めた]

(5) innage_enzyu 2015/04/22(Wed) 10時頃

【人】 隠れん坊 アヤワスカ

 こんな、こんなもの、きらい
 狐も、病気も、いや
      [ひゅう] [げほ、げほ]
 学校へ行きたいの お外で遊びたいの
[ごほ、けほ]
 
[お狐様なんかじゃないから]
[怖いもの、苦しいもの、両の手で収まらぬ程ある。
側から見れば支離滅裂であろう、拙い言葉で切な願いを吐き出す。
頬に伝うは零れた涙、繰り返される咳と共に、口から溢れ喉伝うは何か]
[嗚呼、贅沢は言わない、せめてもうひととせ、四季が一巡りする間の命を。結びの言葉は、どうしても口に出来なかった]

(6) innage_enzyu 2015/04/22(Wed) 10時頃

【人】 釣り師 沼太郎

 [花弁がそっと寄り添った細い指。白い手の中。
温かい、温かい。]

  おぅい。

[今一度、今度は相手にだけ聞こえる声で返事を返す。

先に見た女児よりは、顔が上にある。
今の自分はただの花弁なのだから当たり前か。
指の隙間からそよぐ風にふわり、と浮く身体。
不安にもなるが、それよりも、月光を浴びた淡墨桜が美しかった。]

 覚えていてくれたのだね。

  [今年は一人では、ない。]

 願いはこれで叶ったかい。**

(7) tyu-gakusei 2015/04/22(Wed) 10時半頃

【人】 花売り メアリー


[ 花びらが喋るなんてこと、誰が想像しただろう。

 でも、耳は拾う。
 抑えられた声が言葉を。 

 驚いたけれど、でも。
 夕暮れ時に耳にした彼女の声を思い出せば、
 指先の熱を思い出せば、
 落ち着いて。あの声を繰り返せば、

 風に吹かれてしまいそうな、何とも曖昧な笑みで応える。]

  覚えていたかった、から。
  …でも。

[ 手のひらで落ちるたった三枚を見下ろした。

 眉が寄って、唇が曲がる。
 よくない傾向だ。でも、我儘であってもいいと彼が教えてくれたから。 ]

(8) minamiki 2015/04/22(Wed) 14時頃

【人】 花売り メアリー


  ……咲いて、枯れて、落ちて…


  消えてしまうの、お爺さん。

[ あの時と同じ言葉を繰り返す。 ]

  …ねえ、お爺さん。
  淡墨桜は咲いてるよ。

  だから、だから。
  お爺さんが咲いていたところにも届けてあげる…から。

[ ふわりと花の香りが漂う。
 柔らかくて何処か湿った、 ]

  置いていかないで。

[ 一枚が、指の隙間から、零れそうに、なる。 ]

(9) minamiki 2015/04/22(Wed) 14時頃

【人】 手妻師 華月斎

─淡墨桜の枝の上─

[南の櫓で鳴り響く、笛や太鼓の祭囃子。賑わいの中上を見上げる者達の目は、どれもこれもきらきらと輝いて、まるでたくさんのお月様のよう。

温い風は今は凪ぎ、ああ本当に、散るにはいい夜だ。だからこそ、終わってしまう前に行かなくちゃ。]

(10) roki2 2015/04/22(Wed) 15時半頃

【人】 手妻師 華月斎

[男は枝の上で立ち上がると、ぐるり目下を見下ろした。

客と戯れ楽しげに花と酒に酔う火車の屋台。>>2:165

姿は無くともふたりで∴齒盾ノ花を見る少女と老木。>>7>>8

木の上の猫は、いつの間にやらわたあめの少女の腕の中だ。>>2:158>>2:166

面の内で泣いたお狐さま>>6と、寄り添う幼子の着物の裾には艶やかな蝶が舞う。>>2:151

玉子の乗った焼きそばを抱えた娘が、ぽかんと口を開けて此方を見上げている。>>3>>4

雪ん子の娘は、氷をたっぷり食べただろうか。もしかしたら今頃、その小さな舌は人工的なピンク色かもしれない。>>2:125>>2:126

(11) roki2 2015/04/22(Wed) 15時半頃

【人】 手妻師 華月斎

[そうして見回した広場の中、薄桃色の桜の下で蹲る人影を見付ける。>>2:163
顔を伏せてあさっての方を向いたその姿に、男の眉根が少しばかり寄った。]

もう少し、良い子で咲いていてくれよ。

[眼前に垂れ下がる真白な手毬のような花塊に唇を寄せ、そうと囁いてから足下の枝を蹴る。
ふわり宙に消えた身体が、次に地を踏んだ時にはもう、人の輪の外れ。

光の蝶を其処彼処にばら撒きながら、踏み出した足元でさくりと草が鳴く。
そうして男は、木に凭れ目を伏せたその青年に、声を掛けた。]

よぉ、さっきぶり。
花見に来たんじゃないのかい?

(12) roki2 2015/04/22(Wed) 15時半頃

【人】 座敷守 亀吉

[草の鳴る音。>>12
心なしか、桜の匂いが強くなった気がします。

けれど、続いた聞き覚えのある声に、つい目を開けて。
其処にいらした姿に、濡れた瞳を丸くします。
それは、自分が勝手に探していた――

嗚呼、そういえば。
何故自分は、此処を目指していたのか]

 ――…桜、様。

[確かめるよう、なぞるように告げる名。
いつかの私は桜を、彼の方は迎えを。
其れ以外必要無いと仰せなら、私が身勝手に名をつけて呼んでもいいだろうと。
桜の香、それがただいやに懐かしかったから。
そんな理由で決めた名を。呼ぶと決めていた。

明るんだ視界の端、蛍の如く、月の如く、
光る蝶の名残を、見たような]

(13) mizuiro 2015/04/22(Wed) 16時半頃

【人】 座敷守 亀吉


 …あぁ、申し訳御座いません。
 お見苦しい姿を、お見せしてしまいました

[遅れて気付く、己の醜態。
乱雑に目尻と頬を甲で拭い、浮かべますはほら、
もう何時も通りの、笑顔を]

 えぇ、見ましたよ。
 真に美しき桜を。
 
 ただ、今日はもう歩き疲れてしまいまして。
 桜様こそ、祭りは楽しまれましたでしょうか。

[奇しくも、彼女と同じ言い訳を。>>2:60
祭りを楽しめと仰った貴方はどうなのかと。>>1:88
踏み込ませぬよう、何時も通りに。答えましょう]

(14) mizuiro 2015/04/22(Wed) 16時半頃

【人】 旅籠 おもん

-屋台にて-

[淡墨桜の花びらが舞う。

花びらがおもんの肩に触れると、ぢぢ、と小さな音を立てて灰になる。

――化けるのは苦手だ。
肩を少し払うふりをして、内側から顔を出そうとする鬼火を消す。

干物をあぶる香りに、飲兵衛が寄ってくる。]

……あィ、うるめ上がったにゃァ!

[売り尽くして帰り支度をしている屋台もあるが、おもんはまだ終い支度をしていなかった。
今日持ってきたものを売り切るまでは。

―――桜が散りきるまでは。]**

(15) sainos 2015/04/22(Wed) 18時頃

【人】 釣り師 沼太郎

[一息吐けば吹き飛んでしまいそうな笑顔。
ふわりと浮いた花弁の一つが地に落ちる。

 「枯れてしまうの」
           「消えてしまうの」

それらの問いに声もなく笑う術は、もはや持っていない。
寄った眉根も引き結んだ口元も見えているのに、伸ばす腕が無い。]

 そのような顔をしないでおくれ、人の子よ、それは……とても、とても哀しいのだ。

[ それに子どもでもないのだろう。

宥める声は低く掠れても、努めて優しく。]

(16) tyu-gakusei 2015/04/22(Wed) 19時頃

【人】 釣り師 沼太郎

 約束 を。

[約束をしよう。]

 ––––––一年待ってはくれまいか。

[沈黙の後、静かに。]

 約束だ、願いではない。
 必ず果たされる、約束だ。

 毎日願う必要はない。
 叶わない想像に鬱屈になることもない。

 じきに噎せ返るような夏が来る。
 その次には寂しい秋が来て、しばしの冬に包まれる。
 その季節、その一瞬に見える全てをその目に焼き付けて、雪が溶けるのを待って欲しい。

 そうして、春が来た頃にはいっとう素晴らしい桜をその手に、
 届けに行こう。

(17) tyu-gakusei 2015/04/22(Wed) 19時頃

【人】 釣り師 沼太郎


 したらば、またこの手に握り締めてはくれまいか。

[二枚目の花弁が、ひらりと落ちる。**]

(18) tyu-gakusei 2015/04/22(Wed) 19時頃

【人】 花売り メアリー


[ どうして優しく声をかけてくれるの。

 落ちる一枚。
 地面は乾いていた。

 追いかけるように、また一枚。
 はらり。ぺらり。ふわり。と
 小さな雨粒が土を濡らした。 

 ゆらり。 つま先に落ちた一滴が弾けて。
 くるり。 軽く巻かれた髪が揺れる。

 じめり。 目尻が重たくなれば。
 ふつり。 意識が疎らになって

 涙袋に溜め込んだ辛い水が海を作り出す。
 海の底から浮上するものは、
 桜の咲く前の晩。 ]

(19) minamiki 2015/04/22(Wed) 21時半頃

【人】 花売り メアリー

[ 約束なんか、いやだ。

影が影と重なる頭の中に弾けては消えていく映像。
雪に触れて鉢に閉じ込められた朱を愛でて、夕陽を見たときのこと。

どうして、わたしが此処にいるのか。知ってしまったから。
わたしは頷くことなんか出来ない。

だって、どうせ、わたしには果たせやしないから。

残り一枚を顔の近くにやる。
自然、同じ目線になれば、思い出す。初めて会った時のこと。

お爺さんは杖をついていて。踵に、あててみたりして。
でもその杖を持つ腕はどこにもない。
手当をしてくれた時の指も。

頭を撫でてくれた、手のひらも。

ほら、何処にもないじゃない。 ]

(20) minamiki 2015/04/22(Wed) 21時半頃

【人】 花売り メアリー


 “約束は、果たされないもの”だっていうよ。
 わたしは嘘つきだから、…そんなの、無理だよ。

[ だから“そんなこと”言わないで欲しいのに。

頬を濡らして、そのまま膝が震えて挫けそうになるのを何とか抑えながら、それでも右手を離すことは出来ない。

 だってわたしが本当に、欲しかったのは。
 かけたかったのは、 ]

 ………それでも、待っててもいいの?

[ 行かないで。そばにいて。わたしを忘れないで。

 仕方がなかった。 だから、忘れなくちゃ。

 そう一身に思って、生き永らえてきたというのに。
 「どこか」が、「いつか」になるよう、
 約束を、希望に変えて。 ]

(21) minamiki 2015/04/22(Wed) 22時頃

【人】 花売り メアリー



 わたしは、生きていても、いいの?

[ 指の力を抜く。

 はらりと落ちた二枚の花弁。
 濡れそぼったそれは小さな海に揺られて揺られ。

 神様の加護のない、おとなの膝は擦り傷を残していたけれど。

 確かに立っていた。 ]**

(22) minamiki 2015/04/22(Wed) 22時頃

【人】 双子 夕顔

 てまり、手毬、私の名前。

[与えられた名前を繰り返し、少女はそれを核に存在を確立させる。
一陣の風が、少女を巻き込み舞い上がる。
黒いおかっぱの髪がぞろりと伸びる、ついでに身長もすっと伸び上がり、あやと目線を同じくする。
純白の着物がぶわりと膨らみ、それらを纏めるように赤い袴が足元を覆う。
きらり、色とりどりの蝶が袖に舞った。
最後にひょこり、黄色の三角耳が頭に現れる。]

 貴女のいらないもの、私が貰い受けましょう。

[ついと伸ばした指先が、あやの胸元にとんっと触れる。
次の瞬間、黒に紫の煙が渦巻いた玉が伸ばした掌の上に転がる。]

(23) だいち 2015/04/22(Wed) 23時半頃

【人】 双子 夕顔

 代わりに貴女の欲しいもの、あげましょう。

[掌で転がした玉を左手に収め、右手の人差し指をぴんと立てる。
その先に小さな炎が灯るとその指で再度あやの胸元にとんっと触れる。
学校へ行きたい、外で遊びたい、それらを叶えるための灯火を。]

 お狐様は、穀物の神。
 力を貯めれば殺生を司ることもある。
 私は神様じゃないからそこまではできないけれど。

[姿を新たにした少女は口元に笑みを浮かべる。

友達をちょっと手助けするくらいは、できるんだよ。

そう言って小首を傾げれば、三角耳が、ぴこりと揺れた。]

(24) だいち 2015/04/22(Wed) 23時半頃

【人】 星先案内 ポーラ

[どれほど、見上げていたか、もう覚えていない。
ふと意識を自分に戻したとき、口は乾ききっていたし、茶色い麺は冷え切っていてしかもちょっと油っぽくなっている。とてもじゃないが勢いこんで貪り食べたくなるような、おいしそうな匂いも発していなかった。

半月の光に照らされたこの木は「サクラ」というらしかった。名前を聞いたことある程度で、こんな大きな木があるなんて、こんなに心を奪われるなんて、知らないことばかりだ。]

…グス。遠のいちゃうね。

[もうすぐ夜が終わってしまう。地球の夜ももっと明るいんだと思っていたけど、この地域の夜は宇宙が降りてきてるみたいな空で、少しホームが近くなったようで安堵していたと空が明るくなり出して思い至った。
それに、月が半分に欠けた状態で見えていることは新鮮で、同時に不安でもあったものの、実際はサクラしか見ていなかったので情緒に浸るほどでもなかったが。]

(25) mofmaame 2015/04/22(Wed) 23時半頃

【人】 手妻師 華月斎

『桜、様』

[口内で確かめるみたいにしながら呼ばれた名前>>13に、男は隈取を引いた目をぱちりと瞬いた。
桜の根元に腰を下ろした青年が、ただ単に人の姿を借りた自分の印象に名を付けたのだとは思いも付かず。なんだ、気付いていたのかと事も無げに肩を竦めた。

なぜか詫びを口にする亀吉の、乱雑に拭われた頬には確かに残る泪の跡。
黙ってそれを見ていると、祭は楽しかったのかと質問で返される。]

祭りは勿論、楽しいさ。
今夜が楽しいから、生きていけるってもんだ。

[目を伏せ、感覚だけを身体≠ノ向けた。大丈夫、花はまだ落ちずに枝にしがみ付いている。
意識を此方に戻した。つい先程、疲れてしまった、と青年は言った。>>14
或いはそれは、心の柔い部分への立ち入りを拒む一線だったのかもしれない。作った笑顔の理由は、神であっても知る術はない。

ただ、男の眉間の皺が少しばかり深まった事だけは事実だった。]

(26) roki2 2015/04/23(Thu) 00時頃

【人】 手妻師 華月斎

見苦しい姿、ねえ。
俺にゃあ橋で会った時よりも、随分マシな面に見える。

[上体を屈めて、桜の幹に背を預けた亀吉に顔を近付けた男が言った。
伸ばした手の親指が、目尻に未だ残った涙をぐい、と拭う。]

あったかいなあ、人間の涙は。
春の雨みたいだ。

[起きてと揺さぶる幼子みたいな春先の催花雨を、好まぬ花などいはしない。
心底愛おしそうに呟いて。身を起こす男は、青年の目には一体『何』に映るのか。]

(27) roki2 2015/04/23(Thu) 00時頃

【人】 星先案内 ポーラ

―明け方―

[一斉に咲くものは一斉に散ってしまうものなんだろうか。
近くにいたら埋れてしまうような量の花びらが、散る。
散っていく。
それでもまだ木の枝にも残っているし、散っている姿が咲いているときとは別の美しさ。スノーが吹雪いているみたいだ。

散っていく花びらは私の足元にも舞ってきて、足元に目をやれば自分の今着ている服に嫌でも目に付く。はだけていたものを申し訳程度に直し、再び視線を落とせば、]

……あ、あ。

[――気付く。ここにもサクラ吹雪があったことを。]

(28) mofmaame 2015/04/23(Thu) 00時頃

【人】 星先案内 ポーラ

もうここで2、3年住んじゃおうかな…。
どうせ2年くらいスリープしようとしてたんだし…
でも一回ホームに帰らなきゃいけないよね……さすがにね。。

[誰に言うでも無く、「願い」と」「言い訳」を連ねる。]

(29) mofmaame 2015/04/23(Thu) 00時頃

【人】 座敷守 亀吉


 …本当に、お好きなのですね。

[今夜があるから、生きていける。>>26
その言葉に、さぞや今日という日が好きなのでしょうと。
真の意味にも気付く事無く、微笑ましげに返します。

けれどそのお顔、眉間の皺が一つ増え。
込められた感情は、不満か、憤りか。
決してよくはないものが滲んだ気がしても、
理由に至ることは出来ません]

(30) mizuiro 2015/04/23(Thu) 00時半頃

【人】 座敷守 亀吉

[堀の中、腕に抱かれた時と同じ程お顔が近付いて。
しなやかな指が滑れば、擽ったさに目を細め。

何の色も温度も持たない筈の、味気ない雫を]

 ……あたたかい、など…

[春の雨。
しとしとと静かな雨音が優しく意識を引き起こす朝、草木が柔らかく濡れ潤う様が好ましかった。
冬や秋の其れと違い、何処かぬくもりさえ感じる雨が。

人の涙。
彼の方は、桜様は仰りました。
愛おしむように、慈しむように告げる声は、
同じ人には紡げない、一歩引いた場所から羨むような]

 …貴方は…

[本当に、桜でいらっしゃるのですか。
そんな問いは、今更のように聞こえますでしょうか]

(31) mizuiro 2015/04/23(Thu) 00時半頃

【人】 手妻師 華月斎

だから言ったのに。久し振り、ってさ。

[ほんとうに、桜で。今更のような問い>>31には、確りとは答えない。代わりに幾分拗ねた語調で非難をひとつ。
それから、唐突に軽い調子で手を打った。]

ああ、そうだ。
あんたに会ったら見せたいモンがあったんだ。

[にんまり顔が袖を漁り、引っ張り出された扇子がぱつん、と小気味いい音で開かれる。そうして、未だ地面の上の彼に一度視線をやる。

すいと男の身体が動いて、取った構えは恐らく、亀吉には覚えのあるもの。
鼓も笛も無いけれど、それこそ彼の耳には忘れようもなく馴染んでいる筈のリズム。

遠くの祭囃子が霞む、奇妙な静寂をうすずみさま≠ニ蝶が舞う。
一小節。二小節。華奢な扇子が風を巻く。三小節。くるりと回る。着物の裾が、一拍遅れて身体に追い付く。四小節。ぴたり、と男の動きが止まった。ぱつん。再び乾いた音で閉じた扇子を、手の中で弄ぶ。]

(32) roki2 2015/04/23(Thu) 01時頃

【人】 手妻師 華月斎

ここまでしか憶えて無えや。

[はふ、と息を吐いて。]

下手くそだろ?
これでも、あんたが来なくなってから、随分練習したんだぜ ?

[座り込む青年を振り返って笑った。
それは、紛う事無く花祭の開催前に、とある一族が淡墨桜へと奉納してきた舞だった。]

(33) roki2 2015/04/23(Thu) 01時頃

【人】 座敷守 亀吉

[肯定にしては曖昧で、しかし否定もされない。>>32
あの時は戯れかと、言葉遊びかと返したものだから。

その間にも手を打つものですから、今度は何でしょうかと
取り出された扇子、そして見ていろといわんばかりの視線に、疑問符を浮かべて。
けれども次の一歩、たったそれだけの動きに
私の思考が一度、完全に停止したのです]

 ―――、

[周りの音が、消える。
俗世を離れ、ただ自身を、
舞を捧げる事だけに全てを懸ける感覚。
忘却の彼方にあった静寂が、奥底から蘇ります。

風を纏い揺蕩う扇子は木々と人を優しく揺り起こす。
流れるような動とぱきりと止まる静は時の流れを伝えて。
その後は、その後は――]

(34) mizuiro 2015/04/23(Thu) 02時頃

【人】 座敷守 亀吉

[ ぱつん。
空気を震わす音に、我に返って。

覚えてない。
あんたが来なくなってから。
そして誰でもなく、私が舞っていた、 つまり、]

 ――うすずみ、さま、

[零れた声の、なんと脆い響きでしょう。

信じられないと。
それは拒絶ではなく、紛う事なく歓喜。
見ていてくださったのだと。知ることが出来たのだ、
果たして其れを幸せと呼ばず、何と言うのでしょう]

(35) mizuiro 2015/04/23(Thu) 02時頃

【人】 座敷守 亀吉


 ――続きは、まだまだ御座いましたのに。

[不満げに、それでも笑って紡いだ声は、
酷く震えてはいませんでしょうか。

表を上げられないまま、幹に手をかけ腰を上げ。
懐に手を入れ取り出したるは、紅梅色の扇子。
皆が愛する春へ捧げる為の、色。

今の私の手に杖はなく。
眼前に構え、瞼を下ろし、一呼吸。
自分の内側、芯まで空気と調和し張り詰める感覚。

数年前から止まっていた時を。
腕を振りかぶり、袖を揺らして、]

(36) mizuiro 2015/04/23(Thu) 02時頃

【人】 座敷守 亀吉

       [扇子の広がる音を響かせ]

         [目を、開ける]

(37) mizuiro 2015/04/23(Thu) 02時頃

【人】 座敷守 亀吉

[紅梅色が描く軌跡は季節の巡り。
時が移ろう情景を、しなやかに体現する。
やがて待ちわびた蕾が膨らみ、解けて――]

 ――ッ、!

[どさり、と。
一歩を踏み出すことも出来ず、無様に転がります。
倒れこむ身体は支える腕は、ありましたでしょうか]

 ………ふ、 はは、

[乾いた笑みが、やけに虚しく寒々しい]

 本当、酷い有様ですよね。

[この感情の名はなんでしょう。
掻き乱されるような、胸の奥を引っかき回されるような。
奥歯を噛み締めたくなるような、この感情の名は]

(38) mizuiro 2015/04/23(Thu) 02時半頃

【人】 座敷守 亀吉

[舞を見た際、覚えたのは紛れも無く歓喜でした。
だからこそ喜びは、哀しみに。
くしゃりと、紙を潰したかのような、
軋む心が打ち出す願いは、消えてくれることはない。

うすずみさまと目を合わせる事も出来ぬ私は、
きっと上手く笑えていないのでしょう。
滲む視界が、崩れてしまいそうな心が揺れて、

息が、出来ない]

(39) mizuiro 2015/04/23(Thu) 02時半頃

村の更新日が延長されました。


【人】 釣り師 沼太郎

 おお、可笑しな事を聞くものだ。

  [生きていてもいいのか、などと。

顔が近付けば、自ずと塩辛い匂いも強くなる。
周囲を取り囲む多くの桜の香より勝る匂いが。]

 お前さんが生きていなければ、私を待つ者がいなくなる。
 待つ者がいなくなれば、私は枯れる。

[待つ人がいないことを悟りながら枯れるのは、とても、とても、]

 「生きて良いか」と尋ねる必要はないんだよ。
 手に余るくらいの物を、何でもめいっぱい掴んでしまえ。
 お前さんはまだ幼い。

(40) tyu-gakusei 2015/04/23(Thu) 15時頃

【人】 釣り師 沼太郎

[ 風が起きる。

指の力が抜けた小さな手のひらから最後の一枚が舞い上がった。

舞い上がった一枚は宙の同じところを漂う。
風にさそわれて、地面に落ちた桜の花弁が、この地に咲く桜の花弁が引き寄せられて、]

 嘘つきが約束を果たしたとしよう。
 その約束には、新たに名前を付けたらどうだ。

[女児の髪も、風が揺らそうとする。]

 奇跡 とか。

 

(41) tyu-gakusei 2015/04/23(Thu) 15時頃

【人】 小娘 ゾーイ

―薄墨桜の下で―

[その樹にどれほど目を奪われていただろう。]

あっ…

[はらり、はらり。

白い花弁が宙を舞った。]

雪だ。

[あたたかい風に煽られて、どんどん勢いを増してゆく春の雪。
美しいけれど、なぜかとてつもなく悲しかった。

そんな時、ふと気づいた洟をすする音>>25]

泣いてんの?

[この人も、同じ気持ちなのだろうか。]

(42) malco 2015/04/23(Thu) 16時半頃

【人】 隠れん坊 アヤワスカ

[目前で猛った風に首を引く。
半ば閉じつつ薄目の先、おさなごが娘に姿を変える様がうつって、眼前でいとも容易く行われた奇跡に呼吸も忘れて見入る]

 わたし、あなたに何を返せるかわからない
 …から、大事に 大事にするよ 与えてもらったもの
 もちろん、あなたのことも

[濡れた喉から、はらはらと散る花弁に混ざるように、赤色が剥がれ消えてゆく。
胸の中で炎が揺らぐたび、腕に、足に、頬に、血色が戻る]

[折角お揃いだけれど、もうこれも必要無い。
耳裏で結わえた紐を、解いて]

 ありがとう、手毬

[わたしの、初めてのお友達]
[外れた面の下、桜樹のもとにて
    つひに曝したるは、大輪の咲み]

(43) innage_enzyu 2015/04/23(Thu) 18時頃

【人】 星先案内 ポーラ

[ホームとサクラに感情を揺さぶられていたとき、見た目や雰囲気に親近感を感じるような少女から、
『泣いてんの?』
>>42と問われれば。
「うん」も「ううん」も適切な答えじゃない気がして、首を右にこてんと傾ける。]

う〜〜ん、ううん、うん、泣いてたのかな。たしかに目も鼻も潤ってるね。
いやなんか、宇宙が近くなってたのに明るくなって遠のいちゃうのが、少しさみしくて…。あと、このサクラがあんまりにもきれいなのにどうしてだかさみしく感じちゃって、ね。ホームシックじゃないと思うんだけどなあ。スノーみたいだね、サクラ。

[元々物怖じも人見知りもしないうえに、思ったことが口に出る。まとまりなんてそんなものはなかった。]

(44) mofmaame 2015/04/23(Thu) 18時半頃

【人】 小娘 ゾーイ



[肯定とも否定ともつかぬ返答>>44に、一歩遅れた鏡のように、左にこてんと首を傾げながらも]

スノー…snow?雪?
ん、そうだね。
あたいも思ってた。
雪みたい。

[彼女の言葉の後半に同意を示しつつ、前半の言葉を思い出しながら空を見上げた。
確かに明るくなるにつれて、宇宙が遠のいているように見える。]

…うん、こっちもきれいなのに淋しい。
なんでだろ?不思議だね。

[答えを求めるというより、ただつぶやくような、同意を求めるような口調で。
もう一度首をかしげながら、寂しげな笑みを向けた。]

(45) malco 2015/04/23(Thu) 19時頃

【人】 手妻師 華月斎

『――続きは、まだまだ御座いましたのに。』

[震えた声は、それでも確かに笑っていた。木に縋って立ち上がった青年が、懐から扇子を取り出す>>36。瞼を伏せて、同じ構え。ぶり返す静寂。


ぱつん。


張り詰めた音。
ゆっくりと瞼が上がる。
この瞬間が好きだった。
村にとっても、己にとっても。そして恐らく、彼にとっても、それは確かに春の予兆だった。

しなやかに動いた上体。けれど、踏み出した途端に亀吉の身体が傾ぐ。>>38
咄嗟に倒れ込んだ身体を抱き留めた。
支えながら草の上に出来るだけそっと降ろしてやる間、漏れ聞こえてくるのは嗚咽じみた笑い声で。>>38
男は俯く青年の前で、また少し目を伏せる。]

(46) roki2 2015/04/23(Thu) 21時頃

【人】 手妻師 華月斎

──…ああ、本当、酷い有様だな。

[短いような長いような沈黙。
放った言葉に、視線は此方を向いただろうか。
空を見上げる。月は、もう、天辺にはいなかった。]

神様なんて呼ばれても、あんたの脚を治してやる事も出来ない。
誰かの願いを叶える力も無えし、
あんたが倒れそうでも、支えてやれるのは今だけだ。

[千年万年生きたって。酷い有様、だろ?
錆びた声に含むのは、自嘲ではなく、只々、寂しさだ。

座り込んでいる亀吉に視線を向ける。逡巡したのは一瞬で、足は確りと一歩を踏み出した。
青年へ手を伸ばす。この手を取って、と。]

(47) roki2 2015/04/23(Thu) 21時頃

【人】 手妻師 華月斎

御大層なのは肩書きだけで、俺にはなんもしてやれねえけどさ。
あんたが言ってた『真に美しき桜』>>14とやらは、どうやら何とかなりそうだ。

[眼前にまっすぐ差し出された手を、彼が取ってくれるなら、橋の上で会った時のように抱え上げ、手のひらで瞼を塞ぐ。

散るからこそ美しいんだろ?
いつかの詩>>1:84の意味だけを繰り返し、その姿は抱えた亀吉ごと巻き上がった風に紛れて掻き消えた。

再び青年の視界が戻れば、気付くだろうか。そこが今は立ち入ることが禁じられた巨木の──まさに真下であることに。]

(48) roki2 2015/04/23(Thu) 21時頃

【赤】 手妻師 華月斎

[一分。一秒。

長く咲きたい。
それは淡墨桜の望みだった。
散ってしまうのは、終わりが来るのは、どうしたって仕方が無い。そういう風に出来ているから。

だが、散ってしまえば自分の姿は人目からは掻き消えてしまう。
理由なんて分からない。けれど、葉桜や、落ち葉や、冬枯れの桜を愛でる者などそうは居ない。

恐らくそういう事なのだ。
そういう、役割、なのだろう。と。

だからこそ、一秒、一瞬、ひと目でも。長く咲いていたかった。散ってしまうのは、終わってしまうのは、仕方が無いことだ。

仕方が無い、けれど、]

(*0) roki2 2015/04/23(Thu) 21時頃

【赤】 手妻師 華月斎


寂しい。

寂しい。

寂しい。



どうしたって。

(*1) roki2 2015/04/23(Thu) 21時頃

【人】 花売り メアリー


[ “待つ者がいなくなれば、枯れる。”

花や木の終わりに息が詰まって、
でも続いた言葉に瞬きをした。
そして口を開けようとすれば、風が花びらを持ち上げる。 ]

  ………っ!

[ 咄嗟に腕を伸ばして、手のひらを広げて捕まえようとした。
でも小さなそれは手の内に収まる大きさである筈の数枚は、指の先すら触れることはなくて。

 名付けられた約束の名に、
 頭を撫でるような柔らかな風に、]

(49) minamiki 2015/04/23(Thu) 21時頃

【人】 花売り メアリー


  一年後も、二年後も、三年後も。
  …ぜったいに、お礼しに行くから……、ッ
  一番、綺麗に咲いていてね。

[ いつでも思い出せるように、必ず。

目尻をギュッと閉じた。
同時に落ちるは濡れた一雫。

夜は凪いでいる。
でも、この世界の何処かで
いずれ雪のように蝶のように百合のように落ちる花びらが夜を満たすのだろう。

来年も、なんて。
散って行く方に不確かなそれ。
でも、待っている方も、同じくしてただ奇跡に縋るしかないのだけど。]

(50) minamiki 2015/04/23(Thu) 21時半頃

【人】 花売り メアリー



  …わたしを、“嘘つき”にさせないで。


[指に入れていた力を抜けば、
口端をあげる。

花が綻ぶような大人しさで、
夜風に身を任せるようにして瞼を閉じた。 ]*

(51) minamiki 2015/04/23(Thu) 21時半頃

【人】 手妻師 華月斎

―散華―

この木の名前の由来を、知ってるかい?
淡墨桜は三度色が変わる。
一度は、固い芽から桃色の蕾へ。
一度は、蕾が綻び白い花弁へ。

[手品、みたいだろ?
男の周りを蝶が舞う。淡い燐光。持ち上げた手で、頭上の一番最初に開いた花に、触れる。

指を伝った蝶が、花に触れた途端、融けて消える。
はらり。白い花びらが落ちた。
はらり。もう一枚。

はらり。
はらり。

白に、ほんの微かに淡墨をのせたような。]

(52) roki2 2015/04/23(Thu) 21時半頃

【人】 手妻師 華月斎

散るときのその色は────どうぞ、その眼で、確かめて。


[はらり。]*

(53) roki2 2015/04/23(Thu) 21時半頃

【人】 機巧忍軍 ミツボシ

-巨木-

[辿りついた、巨木の根元。
背中が反るくらい見上げてもまだ高い、一つの山のような大樹。]

……ねえ、アーサー。
アタシ、幸せになるよ。

[その方法も、過程も、目標も分からないけれど。
少なくとも、自分のしてきたことを無にするようなことはしない。
善行であれ悪行であれ、それはミツボシが積み上げてきた時間の軌跡。

年輪のように、己に馴染む宿業なのだから。]

できるなら、来年もまた、来たいな…

[白く花咲く霞の虚空(そら)に、少女は星をねだるように手を伸ばす。]

[―――はらり、と。
白熱に輝く天頂の星が、僅かに弾けた気がした。**]

(54) housenka 2015/04/23(Thu) 22時頃

村の更新日が延長されました。


【人】 双子 夕顔

[初めて露わにされたあやの顔、正面から見つめて狐の娘は笑う。]

 ありがとう、あやちゃん。
 私の、友達。

[そっと手を取ればきゅ、と握りしめ。
彼女が願う分だけの幸せが、彼女の上に宿りますように、なんて、誰ともなく祈ってみたりする。]

(55) だいち 2015/04/23(Thu) 23時半頃

【人】 双子 夕顔

ー宴の終わりー

[すっかりと、散ってしまったうすずみ様を見上げ、娘は少々寂しげな様子。
しかし傍の“友達”を振り返れば、影のない笑みを浮かべて見せる。]

 行こう、あやちゃん、貴女の世界へ。
 帰ろう、貴女の未来へ。

[娘の言の葉に乗るように、風に巻き上げられた桜の花弁が竜巻を作る。
ふわり、二人の足元が浮き上がったようだった。

離さないで。

至近距離の囁きは、少女の耳に届いたろうか。
娘は最後、巨木を見やり、小さく小さく呟いた。

またね。

私、良い顔してたでしょう?]

(56) だいち 2015/04/23(Thu) 23時半頃

【人】 双子 夕顔

[私は手毬。
あやの友達。
あやの願いを叶えてあげる、お狐様。
まだまだ未熟で何でもって訳にはいかないけれど、あやの幸せを誰より願ってる。

他の誰に見えなくても、貴女が忘れない限り、いつだって貴女の前に姿を見せてあげる。
見えなくなってもずぅっとずっと、一緒だよ。
あや、貴女が最期の時を迎えるまで…]


ー手毬ENDー

(57) だいち 2015/04/23(Thu) 23時半頃

【人】 釣り師 沼太郎

[宙を漂う身体に腕を伸ばしてくれる。
嬉しい、と思う事は酷だろうか。
目尻から最後の一雫が流れるのを見ていた。

周囲の桃色の花弁を沢山巻き込んで大きく立ち上がる花弁の柱が渦を巻く。]

  次の春、一番綺麗に咲く花の名は"沼太郎"。
 池の近くに咲く、大木の、しがない染井吉野だよ。

[年を数えるのをやめた頃に、人の子が付けてくれた名前。

嘘つきにさせないで、と口の端を上げた相手が見える。
それを拭う腕は–––––]

(58) tyu-gakusei 2015/04/24(Fri) 12時頃

【人】 釣り師 沼太郎

[濃い桃色をたたえた花弁の柱は人一人分の大きさのままふわりと地から離れた。

周囲にはそよそよと柔らかな風が吹いている。
夜風に身を任せる女児に言葉を掛ける事が出来なかった。
声は、もう出なかった。

 決して寂しくは無い。

全てを失くし、一度は朽ちる身に代わりは無いのだ。
されど朽ちた先が見えたから、ただ穏やかに風を吹かせる。]

(59) tyu-gakusei 2015/04/24(Fri) 12時頃

【人】 釣り師 沼太郎

[集まった花弁で女児を包み込む。
涙に濡れた頬を拭うかのように、しばしの別れを惜しむ。
何処からともなく現れたささくれ立った手が、栗毛の頭を撫でた。

触れた手のひらは温かい。
流れた涙もきっと温かい。
触れたその子は、人の子故に。
花になど成り得ない、ひと故に。]

(60) tyu-gakusei 2015/04/24(Fri) 12時頃

【人】 釣り師 沼太郎

[ そっと手のひらを離して、花弁の柱は空へと舞った。

白光の薄墨桜が散る様>>52>>53を見下ろす。
色とりどりの鱗片のような物が落ちるのを。

"来年は、一番綺麗に"
顔があったならば少しばかり苦笑いをしたかもしれない。
今目に映っている光景があまりに美しかったから。

 それでも咲かねばなるまい。
 約束だからの。
まだ落ちていない花が散らないよう、薄墨桜の周りの花弁をそっと風に拾う。
桃色の後ろにそれらを連れて、広場の真上を、屋台の上を、ぐるりと回った。

落ちる花弁は薄墨桜の鮮やかな色ばかり。
龍のような濃い桃色の花は、月に向かって溶けて行く。]

(61) tyu-gakusei 2015/04/24(Fri) 12時頃

【人】 釣り師 沼太郎

[ 別の場所では、眩い月光が映る水面を、沢山の花弁が覆っていた。*]**

(62) tyu-gakusei 2015/04/24(Fri) 12時頃

【人】 星先案内 ポーラ

[鏡のような仕草にクスリと笑いながらも話>>45を聞く。]

スノー、ユキって言うんだね。ユキ、見たことないんだけどね。ただユキがつもってたり吹雪いてる景色に憧れはあるよ。
私の住んでるところは空気も水も貴重だから、勝手に発生するなんてまず起こりえないから。見てみたいんだ〜…

[ペラペラと返すも相手はどこかさみしそうな顔。私もこうゆう表情だったんだろうか。]

…ねえ、少しさみしそうな顔してるね。こんなにもきれいな景色見てるのに、私もだけど、なんでさみしいような気持ちになっちゃうんだろうね。
あなたは、何に今さみしさを感じたの?

(63) mofmaame 2015/04/24(Fri) 14時半頃

【人】 小娘 ゾーイ

んんー…もう見られないから、かなあ?

[何に寂しさを感じた>>63かと問われれば、少し曖昧にそう答えて。

ふと思いついたような顔でかき氷の容器を傍らに置くと、おもむろに袋から氷の塊を取り出した。

両手で包む形で持った氷の表面をなぜるように、ふっとひと吹き。

目の前の女性の周りには、桜の花弁と共に白い粉雪が舞っただろう。
雪を見たことがないという彼女へ、ささやかな贈り物のつもりだ。]

(64) malco 2015/04/24(Fri) 17時半頃

【人】 小娘 ゾーイ

あたい、雪ん子なんだ。
雪の精、冬を運ぶ者。

[もしも彼女が雪ん子という存在を知らないようなら、説明を加えつつ自己紹介。]

だから桜を見たのはこれがはじめて。
…そして、これで最後。
やっぱり春は暑すぎる。

(65) malco 2015/04/24(Fri) 17時半頃

【人】 小娘 ゾーイ

[ふう、と疲れたようにため息をつけば、粉雪は地に落ちて消えてゆく。
後に残るのは薄墨色の花弁ばかり。

この気温ではこれが限界。
さすがに吹雪までは起こせない。

雪ん子は汗びっしょりで、再びかき氷を食べ始めた。]

あ、お姉さんも食べる?

[自分だけが食べているのもなんだか忍びないと、ストローで作った匙を示しながら勧める。
もう半分は溶けてしまっていたけれど。]

(66) malco 2015/04/24(Fri) 17時半頃

【人】 星先案内 ポーラ

[もしかしたら困る質問をしてしまったのかもしれない。『見られないから、かなあ』>>64と、言葉の外に何か含んでいるような、さみしさを伝えてくれた。そして(たしか氷だったと思う。)氷?を取り出した。なんの関連もない行動に、きょとんと見ていれば、氷?に息を吹きかけ、あっという間にサクラよりももっと細かいパウダーのような、キレイなものが空気中に舞う。これはきっとスノーだと、地球の事をデータでしか知らない私でも分かった。]

っうっわぁあ〜〜〜!キレイだねえキレイだねえ!初めて見たよ!地球ってすごいんだねえ!!

(67) mofmaame 2015/04/24(Fri) 18時頃

【人】 星先案内 ポーラ

ユキンコ…?ユキノセイ…?フユヲハコブモノ…?

[ゆきンコ、ゆきは分かるがンコは分からない。一瞬で頭を切り替え次の言葉の理解に取りかかる。ゆき の せい ってことか。せい…生?性、姓、精……ふゆ、冬 を 運ぶ 者……]

(_______やや一瞬の間)

………運ぶ、もの、精、フェアリーか!!フェアリーなんて絵本の中だけじゃないの?!!ワンダホー!地球すごいのだね!!!!!

[合点がいった後に、雪ンコの説明をしてもらって、やっぱりフェアリーであった。そして春は暑すぎるという目の前の相手。]

そっか、ゆきとなかよしだもんね。得意不得意はあるよ。

[とよく分からないフォローを。]

(68) mofmaame 2015/04/24(Fri) 18時頃

【人】 星先案内 ポーラ

[見るからに汗だくの目の前のゆきンコさんは、この気温がつらそうで、なんだか溶けていってしまいそう。

見慣れた人工甘味料の赤さが付いた、ショリショリの透明なスムージー(おそらく氷の食べ物だと思う)で応急的に体を冷やしてるんじゃないだろうか。気遣わしげに見ていれば、食べたかったと勘違いをされたのかもしれない。食べるか聞かれた。>>66]

んーん、私はだいじょうぶだから、少しでも涼しくなってよ。あなた汗すごいかいてる。

あっ、いいこと思いついた。できればここから動かずに待ってて。すぐ帰ってくるから!!

[ぐい、と足元を広げ人の群れをするりと交わしながらトリイに大急ぎで向かう。]

(もしかしたらあれはあのフェアリーさんに有効かも。)
着いたッッ!!サクラの木からトリイって近かったんだね、よし目的物…着せてくれたのがあの辺だったから、うん、やっぱあった!

[手に取ったのは、自分がホームから着てきた服の一枚。
インナーと一番外の泥だらけの服の間に着ていた服。

それを引っ掴み再び大急ぎでさっきの場所に戻る。あれを着なくてもまあ大丈夫だろう。]

(69) mofmaame 2015/04/25(Sat) 01時半頃

【人】 星先案内 ポーラ

ユキンコさん、…おまたせ!初めての雪見せてくれたお礼?というか汗いっぱいつらそうだったから!あのね、これあげる!
汗とか着ているヒトの体温上昇とか感知して、かつ外気温との差とか感じにくくさせてくれる私の好きな服屋さんのやつなんだけど、あなたもこれで最後とか私も最後になっちゃうの嫌だなと思うし、また桜見れたらいいなって、思って、私の汚いかもだけど直接肌に触れてないからそんなに汚くないはず…あとあと、フィットするようになってるから、サイズが多少大きくてもそのうち体の大きさになじむと思う、から、良かったら着てみて…?

[走った高揚感と緊張でおしゃべりが過ぎてしまい、うっかりホームの言葉になってやしないかやや不安になる。聞き取れただろうか。]

(70) mofmaame 2015/04/25(Sat) 01時半頃

【人】 小娘 ゾーイ



[ちょっと待っててと言い置いて、どこかへ駆けて行った彼女>>69をぽかんと見送った。

戻ってきたのはちょうどかき氷を食べ終わった頃。
手に何かを抱えていた。]

タイオンジョウショウ…?ガイキオン…?

[雪ん子にとっては少々難解な言葉の羅列>>70を、今度はこちらが読み解く番である。
早口の説明に、若干理解がついていくのが遅れたが、要するにこれを着ればこの暑さが苦ではなくなるということだろうか。]

んーと、ありがと。

[着てみてと言われたので言われるがまま受け取って、ブラウスの上から見慣れぬ素材の服を被る。
やや大きすぎるのではと感じたが、袖を通したとたんキュッと締まり、小さな雪ん子にも違和感なくはまった。]

(71) malco 2015/04/25(Sat) 11時半頃

【人】 小娘 ゾーイ

うわあ。

[大きさが変わったこともそうだが、もっと驚いたのはその着心地。
これまでの暑さが嘘のようだ。]

うん、ひんやり気持ちいい。
すごいね、この服!

[汗はすっかり引いている。
嬉しそうにくるりと一回転。]

ここに来るの最後にしようって思ってたけど、これがあれば平気だね。
来年も、来ようかなあ。

ね、また会える?**

(72) malco 2015/04/25(Sat) 11時半頃

【人】 旅籠 おもん

[空の端が薄い紫から白く染まりつつあった。]

―――時間かにゃァ。

[すでに辺りに人気はまばらで、背負子の中の食べ物飲み物もおおかた出尽くした。

名残惜し気にのろのろと片づけに入る。
杯を集めて重ね、食べた後のゴミは頭陀袋に詰めて村の衆が集めているゴミ置き場へ。
一息ついて、取っておいたマタタビ酒の杯を見ると花びらが浮かんでいた。]

乙なもんだにィ。

[淡墨桜はすでに大方散りかけているように思える。それでもなお、桜を振り仰いだ。
もったいなげに、ちびりちびりと酒を飲めば、徐々にその春の魔力が薄れてきたのか、指の先、つま先にほんのりと青い鬼火が揺らめき、触れる花弁を焦がした。

すっかり消えてしまった火鉢の横、一杯だけ取っておいた甘酒はまだそこにあった。]

(73) sainos 2015/04/25(Sat) 15時頃

【人】 旅籠 おもん

あの子はどっちかにゃァ。

[生者であればおそらくは己がいるべき場所へ帰るのだろう。
だが。]

―――あっちの仕事はしたくないんだよにィ

[死者であれば、火車の自分は見過ごすわけにはいかず。
まして年端もいかないあのお狐様は、きっと賽の河原にお連れしなければならなくて。

この桜の下だから許される死者と生者の邂逅は、つまり桜が散ってしまえば許されざることで。
酒のせいでまとまらない頭を振って、杯に残った最後のマタタビ酒を飲みほした。]

(74) sainos 2015/04/25(Sat) 15時頃

【人】 花売り メアリー


[ わたしはその日、この目にした景色を忘れない。

 月夜に舞う桃色の花弁と。
 混じり合う白の蝶。


 誰かか言っていた。
 花は散り際が美しいのだと。


 溶けいるようにはらりと舞う淡墨桜。
 月にも鳥にも雪のように映る儚い様。
 熟れた赤い実を刷り込ませたような染井吉野と共に落ちていく。落ちていく。

 はらり。

    はらり。  

              はらり。  ]

(75) minamiki 2015/04/25(Sat) 22時半頃

【人】 花売り メアリー


[ それはまるで花祭のような。

  恐らくそう遠くない何処かであったおはなし。 ]

(76) minamiki 2015/04/25(Sat) 22時半頃

【人】 花売り メアリー


[  パチリ。

   緩やかに。穏やかに。
  幕開けと共に夢は––––––––––終わる。]


  ………おはよう。世界。
  

(77) minamiki 2015/04/25(Sat) 22時半頃

【人】 花売り メアリー

  –––20XX/4/16––


[ 小石を蹴る。

こつん、と硬い感触。

スニーカーにあたり転げた一つは近くの川に吸い込まれていった。]

  ………ねぇ。
  …わたし、あの人と上手く行くかなぁ。

[ 重苦しいため息を吐きながら振り向いて。

 栗色の髪を二つ括りにしたお下げを垂らしながら問いかけながら思う。

 お母さんに聞いたおばあちゃんの話を。 ]

(78) minamiki 2015/04/25(Sat) 22時半頃

【人】 花売り メアリー


[ おばあちゃんとおじいちゃんが出会ったのは、この染井吉野の元。

 毎年桜の咲く季節になれば、一冊の本を膝に置いて、桜の花弁を拾う姿に一目惚れしたらしい。

 それをおばあちゃんは「 縁結びの神様なのよ。 」
 なんて言いふらしたせいで、ここはそういう目的の女の子が多く訪れるようになった。

 わたしもそのうちの一人。
 「 ああ、そう言えば。 」
 そんな切り口と共にお母さんが七つの頃、おばあちゃんとおじいちゃんに連れられてお礼を言いに行ったことを思い出して、教えてくれたのだった。 ]

  ……まぁ、ちょっと立地はどうかと思うけど。

[ 木の近くに通る鉄の塊。
 お願いごとをするには少し姦しい。

 でも蕾を膨らませて落ちる花びらは、頭のてっぺんに落ちて来て。
 まるで宥められているような気分になるから、悪くない。 ]

(79) minamiki 2015/04/25(Sat) 22時半頃

【人】 花売り メアリー



  おぅーーい。


[ だから少しばかり木に近寄れば、根元へと腰掛けて体重をかける。
 凭れるような姿勢で木々の間を見上げては、腕を伸ばして。 ]

  また来るから、うまくいくように力を貸してよ。


[ 約束をひとつ。

 一番綺麗な“沼太郎”へと。 ]*

(80) minamiki 2015/04/25(Sat) 22時半頃

【人】 旅籠 おもん

[かしゃり、かしゃり。

背負子の中身が歩くたび音を立てる。
大股で歩くたび見える白い足は、ほのかに青い燐光を帯びていた。]

―――着物が焦げちゃうにィ。

[ねぐらに戻る前に脱いでしまおうか。そうも思ったが、名残が惜しくて。

かしゃり、かしゃり。


朝焼けの道を青い鬼火の跡がふわりと通る。]

(81) sainos 2015/04/25(Sat) 23時頃

【人】 旅籠 おもん

[ねぐらについたのは、朝日が昇り切る前だったか。
慌てて帯を外し、着物を脱いだ。

薄暗い穴倉の中が、鬼火の光で照らされ、黒い闇のような毛皮が現れる。

ああ、今年も。]

楽しかったにゃァ―――。


[あの恋い焦がれた膝の持ち主には今年もやっぱり会えなかったけれど。]

(82) sainos 2015/04/25(Sat) 23時頃

【人】 旅籠 おもん

[前脚に力を入れぐっと体を伸ばし、大きくくぁあと欠伸をした。

一晩中商売していたのだ。
心地よい酔いも手伝って、毛布のような眠気が体を包んでいた。

くるりと丸まり、来年は何を作ろうかなどと考えているうちに、意識はするすると夢の中へ溶けていった。]

-了-

(83) sainos 2015/04/25(Sat) 23時頃

【人】 双子 夕顔

ー???ー

[薄桃に沈む紅は、確かに人の形をしているようだった。
それは年の頃二十歳になるかというような、娘の姿をしている。
柔らかい花びらに静かに埋もれる娘は、生きているのか死んでいるのかわからない。

…と、娘の瞼がぴくりと揺れた。
ひらり、舞い落ちる薄桃が一片、娘の鼻先に宿る。
それがこそばゆく感じられたのだろうか、娘の細い眉がきゅうと寄せられると、ゆっくりと眼を開く。]

 …ここ…?

[目に飛び込んできた色に、娘は戸惑いの声を漏らす。
娘は確かに、あの家の縁側で眠ったはずだった。
彼の永眠ったあの場所の…

恐る恐るといった調子で体を起こした娘が、困惑したようにあたりを見回す。

と、少し離れた場所にそびえる、一本の巨木に気がついた。]

(84) だいち 2015/04/25(Sat) 23時半頃

【人】 双子 夕顔

また一片、舞い落ちた薄桃が幼い娘の髪を彩るが、娘自身はそれには気づかず、ただただ無言で目の前の巨木を見つめる。
花びらの舞い落ちる音さえ聞こえそうな、静寂。
しばらくして、ようやく少女は唇を開く。]

 …あぁ。

[酷く懐かしい景色だった。
それは幾度繰り返した生の前だったろう。
きっと私は、ここに来たことがある。
立ち上がると、ころりと紅が転がった。
拾い上げたそれは、薄汚れた紅い手毬。]

…てんてんてん。
 淡墨様のお祭りで
  てんてん手毬貰いました。
 てんてん手毬は何処でつく
  桜のお花の下でつく
   下でつく………

(85) だいち 2015/04/25(Sat) 23時半頃

【人】 双子 夕顔

[ぽんと放り投げた手毬を追いかけるようにして、舞い上がる袖。
袖に縫いこまれた色とりどりの蝶が、きらきらと舞い踊る。
娘は唐突に、手毬を取り落とした。]

 あぁ、あぁ。

[袖を抱きしめるようにして、喘ぐ。
転がった手毬は、娘を誘うように巨木へと向かう。
ふらり揺れた足元が、無意識にそれを追いかけた。]

 淡墨様、淡墨様!

[思い出した名前を口にして。
花開くのを待つばかりの枝を見上げ、娘は木肌にそっと触れる。]

(86) だいち 2015/04/25(Sat) 23時半頃

【人】 双子 夕顔

[娘の頬が興奮に赤く染まる。
きっと、きっと、この記憶は間違っていない。
私の、私だけの、大切な…]

 来ました、私、約束を、果たしに。
 貴方が下さった蝶々、袖に添えて。
 だから、言ってください、あの言葉。
 今の私の名前は…ーー

ー?END?ー

(87) だいち 2015/04/25(Sat) 23時半頃

【人】 機巧忍軍 ミツボシ

[一度弾けた星たちは、天空が崩れ落ちるように散逸してゆく。
それはこの宴の幕を意味する。
それはこの時の終わりを意味する。]

……あれ?

[花弁がミツボシの肌に触れるたび、その個所が熱を帯びて発光してゆく。
手首が、膝が、耳が、ポツポツと花時雨によって白く染まってゆく。]

……なるほど、アタシがここに居れるののタイムリミットってことね。

[斑に光る手のひらを見つめ、大樹の桜を見上げる。
おそらくそれは『うすずみさま』とやらの思し召し。
シアワセになるための第一歩。]

どうせなら、桜が見れる世界に飛ばしておくれ…ってね。

[瞼の上に、また一つ花弁が着地した。
塗りつぶされる視界。白く。白く。
暗く冷える黒い虚無とは違う、白く明るい温もりの光。]

(88) housenka 2015/04/25(Sat) 23時半頃

【人】 機巧忍軍 ミツボシ

[たとえこの光の向こうが、また敗残者の夢の果てだとしても。
もう少女の目は諦めの眼光はない。]

……ありがとう。

[甘酒の残り香が消える前に、光に向かって礼を―――]

(89) housenka 2015/04/26(Sun) 00時頃

【人】 機巧忍軍 ミツボシ

―西暦198X年・東国―

キシシ、まったくローテクな世の中だこと。
写真一枚撮るのにもフィルムから現像しなきゃいけないだなんて。

[店外へ足を一歩踏み出したあと、ミツボシはヒラヒラと写真の紙を振りながら小さく笑う。
巨大な機械兵器も、光学兵器も、宇宙戦争もない時代。
まだ人類がようやっと月に手を伸ばしたくらいの、大地の時代。

だからこそ、映える桜がそこにあった。]

よし、行こう?ランスロット。

[足元にすり寄る小さな黒猫の頭を撫でて、少女は桜並木を今日も往く―――。]

-END-

(90) housenka 2015/04/26(Sun) 00時頃

【人】 釣り師 沼太郎

[雲一つない青空の下、無骨な石油の煙が登る音。
傍にある池の畔では人一人の腕では届かない程の大木が佇んでいる。

春。
桜が咲く季節。

花は咲かない、ただの大木。
苔むした幹に虫や鳥獣を匿うだけの大きな枯れ木。]

(91) tyu-gakusei 2015/04/26(Sun) 00時半頃

【人】 釣り師 沼太郎

[ ひらり。

池の水面に花弁が一つ。二つ。
枯れ木から別たれた、若木の桜から。

大きな枯れ木に寄り添う様は、まるで何かを守っているかのように。
びゅう、と風が吹けば散った薄桃色は栗毛の髪>>79に。]

  おぅい。

[耳を掠める風の音は、誰かの呼び声にも聞こえるだろう。
それはただの錯覚だ。

けれど、]

 (また一年後に)

[そう願うのは、枯れ木に胡座を組んだ若木の桜だけ。

 枝を揺らしては、ひらり、ひらり。*]

(92) tyu-gakusei 2015/04/26(Sun) 00時半頃

【人】 町娘 小鈴

─伊那の淡墨桜─

[昔むかし。
淡墨桜が、まだただの桜の若木だった頃。すぐに散る桜よりも、花も長く香りのある梅が好まれた時代。

少しばかり色味の珍しいその桜を、大層愛した歌人がいた。
葉桜の夏も、葉も落ちる秋も、木枯らしの冬も、元気か、枯れてはいまいか、また綺麗に咲いてくれるかと。
お節介なほど世話を焼き、飽く迄話し掛け、そうしてよく、詩を詠んでいた。

季節が何周か巡り、桜の幹も太く育ち枝ぶりも大きく、随分立派になった頃。
時節に流され立場も変わり、その地を去ることになった歌人は、桜の若木に『必ず帰る』と身勝手な約束を置いて、そうして二度と帰らなかった。

桜の若木が、歌人が死んだことを知ったのは、彼がその地を去ってから、半世紀も経ってからだった。]

(93) roki 2015/04/26(Sun) 00時半頃

【赤】 手妻師 華月斎

[死というものがなんなのか、木である己には分からない。
だから、葉桜の夏も、落ち葉の秋も、木枯らしの冬も。待ち続けた。
途中、違う場所に植え替えられる事になったのは、とても困ったけれど。どうすることも出来ないから、せめて人目につくよう、大きく育ては良いと思った。

慎重に枝葉と根を伸ばし、光を沢山浴びて、色を幹の内に溜め込み、春には精一杯、美しく。
一番きれいに咲いたなら、己を見間違えずにきっと見付けてくれる。

だってあのひとは帰ってくると言ったのだ。
それは、己がこの世に生じて一番最初の約束だったのだ。

そうやって帰りを待つ間に、気が付けばたくさんの人との約束が積み上がっていた。
また来年。
また来年。
きっと見に来よう。

果たされる約束と、果たされない約束。幾重にも積み重なって、そうしてとうとう古木と呼ばれるほど年輪が重なった頃。

自分が『何』なのか、ようやく気が付いた。]

(*2) roki2 2015/04/26(Sun) 01時頃

【赤】 手妻師 華月斎

神様になれば、何時までだって待ってられる。
此処から動くことは出来ないけど、いつか、が果たされなくても。待って、られるだろ?

[立ち枯れて逝く事よりも、永遠を、不変を選んだ。
高く高く積み重なった小さな約束が、己をそこまで押し上げたのだ。

伏せた目の奥で、揺れる面影。
もうその誰かのことなんて、ほとんど、顔も思い出せないのだけれど。

それでも、小さな約束で、無意識に、そんな意図も無く、己をを支えてくれた全ての人や、けものや、あやかしたちに、ずっと寄り添い咲いていたい。
その気持ちを、役目を、与えてくれた一番最初の約束を、いつか果たすことが出来るのなら────]

やっぱり、『おかえり』ってさ。
言いたいなあ。

(*3) roki2 2015/04/26(Sun) 01時頃

【人】 町娘 小鈴

[ぽたぽたと、花が落ちる。

段々と白み始めた空に、もう夜明けが近いことを知った。
ほんと少しだけ墨を乗せたような、白い桜の花弁。
目の前にひらりと落ちたそれを、小鈴は手のひらでそうと掴まえた。]

……きれい。

[うすずみさま≠フ世話役を仰せつかって、三年。
いつも、この時だけは傍に寄ることを許して貰えない。
木の上に招かれていた者たちも今はそれぞれ地面に降ろされて、見上げた淡墨桜の、下から数えて四番目。一際太い枝に、見慣れた姿が手を広げて立っていた。]

(94) roki 2015/04/26(Sun) 01時頃

【人】 町娘 小鈴

[温い風が容赦なく花を浚って。
枝はもう、深夜の満開が嘘のよう。
その光景は、何度見ても胸の奥が騒ぐ。
いつだって、祭りの終わりはどこか、さみしい。

桜の花さえ咲かなければ、こんな気持ちにはならないんだろうか。
ふと思う。
すぐにそれを打ち消した。だって、この光景を見ないで終わる春なんて、信じたくない。

そうしている間にも、空は白々と明けて。
花祭りの夜が──終わりを、告げる。]

(95) roki 2015/04/26(Sun) 01時頃

【人】 手妻師 華月斎

[ぽたぽたと、花が落ちる。

枝の上の男は、両腕を広げて全身で風を受ける。
散っていく花弁は、雪のように降り積もって、一面半紙に淡墨を撒いたよう。

涙みたいだ。

唇だけが動いて、天を仰ぐ。温い風が浚った花弁に、雫が混じったのはきっと気のせいだろう。

眼下の景色をぐるりと見渡す。
祭りの喧騒は薄れて、もうみんな帰り支度をしている頃。
葉桜や冬枯れの桜を愛でるものはそうは居ない。それでも、もうほとんど花の残らないこの樹を見つめる目はあったろうか。]

(96) roki2 2015/04/26(Sun) 01時頃

【人】 手妻師 華月斎

[ふと、幾らか疎らになった人々の中に、並んで立つ二人の少女の姿。
古めかしいセーラー服を着た外神の娘。痩せてはいるけれど、日に焼けていない肌はつやつやと血色が良い。
隣に並ぶ少女は、初めて見る顔だ。けれど、その着物の裾に舞う蝶を見付ければ、淡墨桜の口の端が、優しいやさしい弧を描く。]

約束、だもんな。

[呼んだ名前は、もう失われたものなんだろう。
次会う時には、きっと新しい名を呼ばせてくれる。また会いに来ると、脳裏の幼子はそう言ったのだから。

目元を緩め、にんまりと。
美味いものを食べて、誰かと話して。祭りの最後は、楽しい気分で──]

(97) roki2 2015/04/26(Sun) 01時頃

【人】 手妻師 華月斎

じゃあ、またな。

(98) roki2 2015/04/26(Sun) 01時頃

【人】 手妻師 華月斎

[ひらり、最後のひとひらが落ちて。光の蝶が群れを成す。淡い光は白んだ空に溶け。

そうして、うすずみさま≠ニ呼ばれた男の姿は、朝日の中に解けて、消えた。]

(99) roki2 2015/04/26(Sun) 01時頃

【人】 町娘 小鈴

昔むかし。

とある領主の城の庭に、一本の桜の木が献上された。
大変色味の珍しいそれは、傷まぬように人手を多く雇って慎重に移植が行われたという。

さて、その雇われた者の中に、口を利かぬ庭師の男がいた。
彼は出自こそ不明だが、植物の扱いにとても長けていたため、桜を掘り返す際にも大層重宝されていた。

明日にはいよいよ植え替え、というある晩のこと。
件の庭師が、人目を忍んで桜を植える為に掘られた穴へと近付くと、こっそりとその底を一尺ほど掘り進めた。
そうして、柔らかくなった穴の底に抱えてきた箱を埋めると、土を被せて均し、そ知らぬふりで朝を待った。

植樹は無事に終わり、その腕を買われた庭師は仕事を与えられ、ついにはその地に住まうようになる。やがて時が経ち、世代が代わり、庭師の家系はいつしか樹医へと家業を変えていった。

(100) roki 2015/04/26(Sun) 01時頃

【人】 町娘 小鈴

庭師の男は、家庭を持ってもたいそう無口でほとんど口を利かなかったため、桜の木の下に埋められた箱がなんだったのか、知る者はいない。

彼がかつて、世相に流され、ついには故郷に帰れず逝ったとある歌人の付き人であったことも。かつての主が死の間際に、遺骨をある場所に埋めて欲しいと頼んだことも。
箱の上に植えられた桜が、のちに伊那の淡墨桜と呼ばれることも。


誰ひとり、神様ですら知ることの無い、*真実である。*

(101) roki 2015/04/26(Sun) 01時頃

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