151 雪に沈む村
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─10年前・教会─
[どれくらいそうしていただろう。>>6:+7>>6:+8 握ってくれる手に力が篭る。温もりが愛おしい。──このまま、なんて、叶う事のない時間を望んでしまいそうになる。 許されない。もうそれは、許されてはいけないことなのだ。
伏せていた目を開けて、エリサを見る。祈るように俯いていた彼女と目は合っただろうか。少し気恥ずかしくて、誤魔化すようにわらうと、チャールズはゆっくりとした動作で立ち上がった。]
……懺悔ついでに、君に受け取って欲しいものがある。
[言いながら、繋いだままのエリサの手を引いて立たせると、徐にきっちりと着こなしたキャソックの襟元を緩める。 首元から手を入れ服の中から引き出したのは、細い鎖に繋がれた金の十字架。 首から外した華奢な造りのそれを、そっと彼女の手のひらに落として。その上から、自分の手を重ねる。]
……そこに刻まれているのは、私が生まれた時に、母から貰った名前です。
[人間であった頃の、自分の。
懐かしむ声音でそう、言った。]
(14) roki 2013/12/01(Sun) 02時頃
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[チャールズの祖国では、騎士の家系に生まれれば産後すぐに女神の洗礼を受ける。 龍との契約は騎士の最高位。それは確かに誉れではあるけれど。 年端も行かず戦地へ赴き、やがては人の身ですら無くなる我が子を、母親達はどんな気持ちで送り出したのか。
その想いが風習として根付いたのが、母が子供だけに伝える本当の名。洗礼で与えられるものとは別の、無垢な魂に付けられた名前。
向かい合う二人の手の中にある、小さな重み。しかしそれは、チャールズにとっては、生まれてから一度も手放した事の無い重みだ。]
これを、エリサ。君に、持っていって欲しい。 騎士でも神父でも無い、一人の人間として……君を、想った私の名を。
[彼女はなんと答えただろう。目線の少し下に居る彼女に、少し身を屈めて顔を寄せる。 綺麗なカーブを描く白い額に、自分の額を寄せて、くっつける。鼻先が触れるか触れないかの距離。目を伏せて、彼女にしか聞こえない程小さな声で何かを呟いた。]
(15) roki 2013/12/01(Sun) 02時頃
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[それが、手の中の十字架に刻まれた彼の名前だと言う事を知っているのは、彼と彼女のふたりきり。
世界の何処かで彼の心臓を持つもう一人の『彼』にも、ベビーカーの中の『彼女』にも。
ついぞ明かされる事の無かった、秘密だった。]**
(16) roki 2013/12/01(Sun) 02時頃
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ええ、人間ですよ。ちょっと長生きな、普通の。ふふ。
[>>20深く追求してくるでもなく思った事を口にしただけのピエールの言い方は、いっそ清々しくていつも好ましい。 彼は獣人のハーフではあるけれど、立ち振る舞いは人間のそれとなんら変わらないし、他の者に対してもその率直で大らかな態度は変わらない。 彼の店に客が集うのは、なんだかとても自然な事な気がする。居心地がいいのだ、この男の素直さは。]
(──トニーは兎も角。カルヴィンが懐くのは、そういう事なのでしょうね。)
一人納得して、鞄の中を見せてくるピエールに目を細めて答えた。]
良いのですか?御相伴に預かっても。一人だとどうにも食事も手を抜いてしまって…助かります。
(35) roki 2013/12/02(Mon) 23時半頃
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ジイさ…、…ははっ、まあ、本当その通りです。年寄りですので、防寒はしっかりしてますよ、御心配なく。
[ざっくりした物言いに思わず声を立て笑う。若造りなのが自慢でして。くつくつと楽しげに言いながら促されるままピエールの隣に腰掛けた。 そうして傍に居るだけで、鞄の中から漂う香ばしいパンの香りが空腹を刺激する。
誰かと共にいて食欲が沸く、と言うのはとてもいい事だ。少なくともそれは、生きる気力と同じ意味でもある。
手荷物の中から紅茶の入った水筒を取り出す。なんとはなしに、急に年寄りになった気分で(年寄りなのは違いないのだが)チャールズはピエールに茶を勧めるのだった。]
(39) roki 2013/12/03(Tue) 01時頃
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─時計塔─
[ギィ、と。下の階にある扉の軋む音。 少し遅れて聞き慣れた声が聞こえた気がして、チャールズは手を止めた。ちょうど、何時ものココアよりもちょっと豪華なホット・チョコレートが出来上がったタイミング。矢張り、彼の勘は外れない。
しかし、常よりも此方に向かう足音が重い。 ちらりと窓へ視線をやった。薄い硝子の上に氷の結晶が模様みたいに張り付いて、ちょっとしたステンドグラスのよう。 外気の冷えは相当なものだろう。立ち上がって、彼を迎えに行ことにした。
きょろきょろと何か捜しているらしい背中を見付ける。未だ時計塔に移って日が浅い、部屋が分からなかったのだろうか。近付いて、少し覚束ない足取りの肩を、軽く支えた。]
────おかえりなさい、クシャミ君。寒かったでしょう。
(42) roki 2013/12/03(Tue) 02時頃
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[足の心配をしてくるクシャミに>>43、チャールズは内心後悔する。本来メンテナンスさえきちんとしていれば、走るのにだって不自由は無い義足なのだ。億劫がって要らぬ心配を掛けさせてしまった。 申し訳無い気持ちでクシャミの髪を撫でる。 一緒に居る時、この子が自分を気遣って常よりもゆっくり歩いてくれているのに気付いていた筈なのに。]
ありがとう。どこも痛くないから大丈夫です。 ピクニックですか、それは素敵だな。 じゃあそれまでにはきちんと、義足の手入れもしておきます。そうしたら、一緒に木にだって登れますよ。
[雪が溶け始めて隣村へ行った厩舎の夫婦が戻ってきたら、馬を借りよう。そうすれば、街道沿いの街まで半日。着いてから義足の手直しを頼んでも、花が咲く頃にはきっと充分間に合う筈。 教会を空けるのは少し心配だけれど。
そんな話をしながら、クシャミと二人で上の階の書斎までゆっくり歩いて。部屋に入ると暖炉の前のソファに、おいで、と彼を手招きした。]
ホット・チョコレートを作ったから、飲んで温まりませんか。…ああ、それから。ちょっと君に御願いがあります。**
(47) roki 2013/12/03(Tue) 15時頃
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…はい、…はい、はい。命に感謝を。あ、有難うございます。…戴きます。
[矢継ぎ早なピエールの確認>>45に律儀に返事をしてこくこくと頷く。ひと度食卓となれば、完全に場を掌握してしまうこの忙しなさは、ちょっと凄い。 なんというか、流石村一番の食堂を切り盛りしているだけはある。されるがままでチャールズはばらばらとスープの器に撒かれるクルトンの行く末を見守りながら、御茶を啜った。
まだほんのりと温かいパンはとても良い匂い。先ずは彼の自慢のポタージュの海から、溺れかけのクルトンを救出する。 半分スープが染みて、半分がかりかりと香ばしいまま。そのくらいが実にちょうどいい。]
(50) roki 2013/12/03(Tue) 19時半頃
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ピエール君のごはんを食べると、生きていて良かったなあという気持ちになりますねえ、……あと二、三百年は現役でいられそうだ。
[小さく千切ったパンをもそもそと咀嚼して、冗談とも本気ともつかない口調で言う。 小麦の甘みと香ばしさが口の中を占拠中。本当は喋るのもちょっと惜しい程だ。
寒い中に居るせいか、ただでさえ美味しいスープは普段より一層旨く感じる。 そう言えば、冬が去って短い春が来たら皆でピクニックに行こうとクシャミと約束をした。 何だか先取りしてしまったようでちょっと申し訳ない。 まあ、真冬の雪が降り積もった道端で、おっさん二人きりのピクニックが羨ましければの話ではあるが。
温かい食事に舌鼓を打ちながら、ぼんやりと考えていたチャールズは、ふと何かを思い付いたように隣のピエールに顔を向ける。確か彼は、料理の修行で方々を歩き回っていたような。もしかしたら、知っているだろうか。 思案するような間を置いて、言った。]
つかぬ事をお伺いしますが、ピエール君…、
(51) roki 2013/12/03(Tue) 19時半頃
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────カマクラを、御存知ですか?
[尋ねる神父の表情は、なんかいつになく真顔だった。]**
(52) roki 2013/12/03(Tue) 19時半頃
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[約束だよと笑うクシャミ>>48に、口許を綻ばせて首肯する。この分なら留守を任せても大丈夫そうだ。
それから、自分の問いへ疑問符を返されれば、少し照れたように笑ってローテーブルの上に置かれたブラシに手を伸ばした。一緒に教会から越してきた猫に使っているものとは別の、真新しいそれを持ち上げて隣に座る彼を見る。]
──…えぇと。冬眠する前に、ブラッシングを。…してみたいなあと思ったのですが、……。
(58) roki 2013/12/03(Tue) 22時半頃
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……笑いますか。
[聞くなり吹き出して声を立てるクシャミに、暫し憮然とした顔をするも、直ぐに自分も笑い出す。 フードを脱いで背中を此方に向けた彼に、小さくありがとう、と零して。その柔らかな黒い髪に指を通した。動かすと、するすると指をすり抜ける髪の感触を暫し楽しんでから、ブラシでゆっくりと梳かし始める。]
昔から、猫やなんかのこういう手入れが好きなんです。 でも。
[言って嫌がられたら哀しいじゃないですか、と。ひょこりと突き出した耳の付け根をブラシで整えながら、苦笑混じりに呟く。 その様子は、いつもの彼とは少し違っていたかもしれない。
繰り返し丁寧に髪を梳きながら、猫を抱いたクシャミの背中に話し掛ける。──眠かったら、寝てしまっても大丈夫ですからね。
クシャミがどんな表情だったかは、チャールズからは見えはしなかったが。少なくともチャールズ自身は、酷く穏やかで満足気な笑みで、クシャミの──大切な家族の、手入れを楽しんでいた。]
(62) roki 2013/12/04(Wed) 00時頃
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──雪に沈む村──
[ぱちん、ぱちん。 暖炉の火が揺らめく。乾いた薪が爆ぜる。ぱちん。
仄暗い部屋に、黒いキャソックをきた男が一人、立っている。 暖炉の炎以外に光源は無く、揺らめく炎に合わせて落ちた影もゆらゆらと形を変える。 男は、暖炉近くの壁に据え付けられた大き目の鏡に向かい合っていた。 整えられた灰色の髪に、暗灰色の瞳。少し老いの見える顔立ち。 同じ姿を映す筈の鏡。しかし、男が向かい合っているのは──年若い青年。全くの、別人の姿。]
……探し物は、見つかりましたか?
無造作に伸びた紅い髪。金色の瞳。物憂げに此方を見るその人に、男は静かに語りかける。鏡の中の彼が、薄い唇をそうと動かした。
『──まだ。』
[応える声に、男は哀しげに微笑んだ。指先で鏡の表面を撫でる。触れる事は叶わないけれど。]
(74) roki 2013/12/04(Wed) 00時半頃
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諦める気は、無い?
[炎に照らされ壁一杯に伸びた男の影は、ひとのカタチをしていない。それは、巨大な何かを模している。ひとではない、なにか。 鏡の向こうの男が再び口を開く。]
『どれほど掛かろうと俺は諦るつもりはない。──チャールズ、…チャル。お前を死なせたり、するものか。』
────ルド、私は。
[ぱちん。今一度、炎が爆ぜる。 瞬きの瞬間に、向かい合わせの幻想は消えていた。 鏡の前にはキャソックの男が、一人、哀しげな笑みを唇に刷いて立ち尽くしていた。]
(76) roki 2013/12/04(Wed) 00時半頃
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──雪に沈む村・時計塔──
[互いに心臓を捧げた。この胸の内で脈打つのは、相手の心臓。 共に戦って、共に死ぬための契約。 けれど、生き延びた。生き延びてしまった。 与えられた悠久の刻に、人間は戸惑いはするものの。朽ちる迄共に在れるのならば、怖くは無かった。 けれど、人間の心臓は、龍の冷たい血を温めてしまった。 脚を失い、緩やかに老いていく半身。いずれ肉の器を棄て、同じ魂で転生する自分とは違う。人間である彼の魂は一度きりだ。そして何より、肉体と共にいずれ彼のたったひとつの心臓も、朽ちてしまう。
耐えられなかった。 温もりを知ってしまった龍は、いつかくる半身の死を、共に悠久を歩めぬ事実を、受け止める事が出来なかった。 だから、龍は探す。 共に歩む道を。術を。]
──ひとを、龍にする方法なんて。 …ある筈が無いのになあ。
[幻想が消えた鏡を見詰め、チャールズはひとりごちた。 その瞳には、穏やかな哀しみが滲む。 共に在りたいが為に、決別を選んだ半身を。恨んだ事もあったけれど──]
(78) roki 2013/12/04(Wed) 00時半頃
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ばかだな、きみは。 俺は、二人で居れれば、それで良かったのに。
[一千年も居れば、充分じゃあないか。どうせ飽き飽きする癖に。 ふん、と鼻を鳴らして皮肉をひとつ。語りかける口調は、かつて騎士であった頃の彼のもので。 小言を言うたび鼻白んだ半身を思い出し、口許が緩んだ。 もう一度指先で鏡を撫で、落とす声は酷く穏やかに。]
ルド。君に見せたいものが、沢山あるんだ。
君の言った通り、翼人てのはお人好しが多い。彼と君はきっと気が合うよ。 そうだ、凄く美味いスープを出す店があるから、行って三人で酒でも呑もう。いや、あそこの店主はきっと混ざりたがるから、いっそ貸し切ったほうがいいかもな。
それから、龍の子供と、人間の子供が一緒に遊んでる。親友なんだ。契約なんて無しに、だよ。凄い事だろ。 あと、村の通りにいたサンザシの妖精の少女、覚えてるかい?あんなに小さかったのに、今や立派な木になって、ますます美しくなった。
そうそう、君から貰ったナイフ。まだ現役なんだ、驚いた?三百年だよ、大した骨董品だ。腕のいいブラックスミスが居てね、彼に任せれば安心なんだ。
(81) roki 2013/12/04(Wed) 00時半頃
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それから、アイリス。君が惚れ込んでた、翼人の彼女。曽孫の曽孫?ちょっとはっきりしないけど、その娘がそっくりなんだ、アイリスに。あの子が選んでくれる紅茶は、俺の故郷のによく似てて質が良いんだ。
…そう言えば、君によく似た龍の男が居る。赤い髪も、消えない種火も。──もしかして知り合いじゃないかって、気がしてる。
ああ、龍と言えば、君が前話してた、伝説の龍。「不死の静嵐」、だっけ。お伽話の中の存在だって、笑っていたね。居るよ。普通に。スープ飲んでるよ。吃驚だよ。 存在するもんなら会ってみたいっていってたろ?
──そうだ、大切な…ひとの、子どもも、抱っこ出来た。 こんな事言ったら本当のお父上に申し訳無いんだけど、もう自分の娘みたいで可愛くて。あの子の結婚式には俺、泣くんだろうなあ。神父だけど。泣く、多分。
(84) roki 2013/12/04(Wed) 00時半頃
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[それから。ああ、それから。 置いていかれた時間を、埋めるように言葉が溢れた。 返る声は無いけれど。それでも彼に見せたいものが、大切なものが、この村に数えきれない程に。] 随分、村人も増えたよ。もっと寒々しい村だったのに、今は賑やかになった。それに、俺にも────家族が。一緒に居てくれる家族が出来たんだ。 ココアが好きで、くしゃみばかりしてて。撫でると喉を鳴らして、…とてもやさしい、いいこなんだ。今はちょっと、冬眠してるけれど。 きっと、君も気に入る。だから、
[何度も繰り返した祈り。長い長い刻の流れの中に、取り残されるような恐怖。帰ってきて。独りは嫌だ、帰ってきて。帰ってきて。 そればかりを、祈ってきた。 けれど、今は。今のチャールズは──]
だから……『待っている』よ。いつまででも。 君が戻るのを、この雪に沈む村で。ずっと。
[ひとりの『人間』の、新たな祈りを抱いて。 そうして村は、雪に沈む。やがてくる春を待ち侘びて、静かに眠りの刻を迎えるのだった。*]
(85) roki 2013/12/04(Wed) 00時半頃
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……「安心して、生きて大丈夫。」
[ぽつりと言葉を落とした。クシャミの柔らかな髪を指で梳く。 いずれ独りになる自分を、心配してくれているのだろう。 届くだろうか。チャールズは思う。 なにひとつ忘れはしないから、その生に寄り添いたい。 何も生み出せはしない自分の、精一杯の。 神では無く、例え世代が変わっても、共に歩んでくれるこの村の人々に向けた祈り。]
……別れがさみしくないといったら、勿論嘘になります。 けれど、一緒に居られない寂しさのほうが、何倍も辛い。
[頼りな気な表情のクシャミに、そっと笑い掛ける。 髪に触れるこの手が温かいように、彼にも伝わればいいのに。] 何時だって、見守ってます。 君の傍に、この村に、ずっと居ます。 だから、許されるなら君も、どうか──。
[今しばらくは、私の家族で。
(97) roki 2013/12/04(Wed) 01時頃
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