112 燐火硝子に人狼の影.
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[妹の事を問われれば、嗚呼と肯定の響き。 グロリアとサリスの口から紡がれればはたと瞬く]
名を教えた事があったか? ――…嗚呼、そういう事か。 多分、そのグロリアが、そうだ。 金髪で利発そうな眼差しの、――…自慢の妹だよ。
[さらと認めるは隠す心算など毛頭なかったから。 ミドルの問いには少し間をあけて頷く]
ワッフルを買ってきた事があったから食べた。 まあ、ほとんど妹が食べていたんだが。
―回想/了―
(*38) 2013/02/06(Wed) 21時半頃
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ルーカスは、シーシャに話の続きを促した。
2013/02/06(Wed) 22時頃
ルーカスは、メアリーに話の続きを促した。
2013/02/06(Wed) 22時頃
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[エントランスから広間に立ち寄る。 先日はアイリスの事もあり紅茶くらいしか口に出来なかった。 まともな料理を食べたのはシーシャのシチューが最後]
テッドにああは言ったが…… あまり人の事は言えないかもしれないな。
[肩竦め自嘲染みた笑みを浮かべると 広間に長居することなく調理場へと向かった]
(71) 2013/02/06(Wed) 22時半頃
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―調理場―
[周りに家事をしてくれる者が居たから 男は料理など出来はしない。 だから、そのまま手を掛けずに食べられるものを探そうと 調理場に足を運んだ。 甘い飲み物があるのは知っていたが元来甘党ではない男は それ以外のものを欲する]
――…おや、先客が居たか。
[流し台の前にいるフランシスカの姿を目に止め呟く]
足の具合は良くなったのかい? 嗚呼、……庇いながら歩いているようだったから。
[理由を口にして棚の方へと向かう]
(72) 2013/02/06(Wed) 22時半頃
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―調理場―
[棚で先ず見つけたのはビスコッティ。 それだけで食する気にならずそのまま置く]
――…あし。
[尋ねるような響きにそうでない響きを返す。 フランシスカの視線に気づいているのか気づいていないのか 男の身体も顔も棚へと向いたまま]
(78) 2013/02/06(Wed) 23時頃
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それなら良かった。
[踊り手であることを知っていたから 素直にそう思い薄く頷く]
――…ん?
[呼びかける声に漸くフランシスカへと顔を向けた。 問い掛けに、一瞬柳眉が寄せられる]
殺した事になるだろうね。 ヴェスパタインを自警団に引き渡したのは僕だから。
(84) 2013/02/06(Wed) 23時頃
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――…飢えてはいない。 私は一日くらい喰わずとも問題ないが。
狩らせたい相手でも出来たか?
[サリスの問いに返す聲]
(*42) 2013/02/06(Wed) 23時頃
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困った姫君だ。 ――…それは私の獲物だよ。
[クツ、と笑いながらミドルの軽口に同じものを返した]
(*44) 2013/02/06(Wed) 23時頃
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僕が勝手にした事だ。 他の者は――…決めかねていたようだったからね。 あの場に居なかったキミが知らぬ間にあった事だ。 そこまで負うこともあるまい。
[同じと紡いだフランシスカにゆると頸を振る]
……、けど、彼は違ったようだ。 また犠牲者が出た。
――…キミは、誰が人狼だと思う?
(87) 2013/02/06(Wed) 23時半頃
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[フランシスカと視線が交わる。 彼女の一つ目の言葉には複雑な表情を過ぎらせる。 何処か残念そうに一瞬視線を下げてから]
そうか。
[短い言葉を返して、再び見詰める。 続く言葉を聞いたのは丁度その時]
――…ん。 キミも自警団のような硝子細工を持っているのかい?
[微かに頸を傾げる。 差し出された掌が何を意味するのか分からず じ、と彼女のそれに視線を落とした]
(90) 2013/02/06(Wed) 23時半頃
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[ミドルからの笑み声には微かな笑みを返す]
早く出られるよう狩りを続けるべきとは思う。 ミドルが獲物を欲するなら――… アイリスの時のように私が狩るでも構わない。 ――…サリス以外なら、な。
[サリスから怯えたような気配を感じる。 だからといって安心させるために冗談だと改めて言う事はなく 別の言葉を赤い意識にのせた]
(*47) 2013/02/07(Thu) 00時頃
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――…挑発、か。
[クツ、と喉が鳴る。 ゆるやかな笑みが口許に浮かんだ]
気が変わった。 今日は私が、――…踊り手を。
(*48) 2013/02/07(Thu) 00時頃
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[フランシスカとの距離が縮まる。 左手は杖を持ったまま。 自然と彼女が取るのは男の右手]
――…妙な事を。
[困ったように眉尻が下がる。 触れた彼女の指先が引けば追うように手を伸ばすが 彼女を引き止める事はならず]
獣なら、か。
[彼女の立ち去ったその場所に佇む男のくちびるが 薄く弧を描き、笑みを形作る]
(96) 2013/02/07(Thu) 00時頃
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―調理場―
――…ク。
[小さく漏れるは喉を鳴らす音。 シーシャがそれを見たとしても気にはしない]
魅力的な女性に誘われたのだから ゆくべき、だろう?
[愉悦の響きは密やかに零れる]
(97) 2013/02/07(Thu) 00時頃
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[人間が必要とする食べ物が其処にはある。 顔色が芳しくなかった誰かに先ほど見つけたものをとも思うが その彼が調理場を訪れるなら自ら用意するだろうと ビスコッティを棚から出すことはしなかった]
(98) 2013/02/07(Thu) 00時頃
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――行ってくる。
[ミドルとサリスの二人に短い聲を向け]
サリスも――… 私が獲物を狩り終えるまでには 腹を満たしておくといい。
倒れられては難儀だからな。
(*52) 2013/02/07(Thu) 00時半頃
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―廊下―
[男は笑みを消し、フランシスカの後を追う。 シーシャとは入れ違うように調理場を出てた。 杖はつかず、足早に廊下を進めば 引き摺るような脚の彼女に追いつけよう]
――…キミっ。
[呼びかける声を向ける。 酒場に通う男は彼女の名を他から聞いた事があったが 呼びなれぬ名を呼びかけるには至らない。 立ち尽くす彼女の背後で歩みを止めて]
なんともないと、言っていなかったか?
[先ず、言うのは脚のこと]
(101) 2013/02/07(Thu) 00時半頃
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――…彼女の、目。 良い目をしている、と思ったが。
嗚呼。
[サリスの感想に理解を示すような音が漏れ]
忠告して呉れるとは思わなかったよ。
[彼が怯える様子をみせることがあったのを知る獣は 恐怖の対象でしかないのだろうと何処かで思っていた]
(*53) 2013/02/07(Thu) 00時半頃
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――…そうか。
[背を向けたままの踊り手の応えに 納得は出来る要素は無かったが それ以上問うことはしなかった]
本当かどうか。 試せばすぐに分かる事だ。
[後ろ向いたままの彼女の左の手を取ろうと 男は何も持たぬ右の腕を伸ばす]
(105) 2013/02/07(Thu) 00時半頃
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[一人で居る事を選び誰も寄せ付けぬテッド。 彼を襲おうと言い出さぬ理由は単純。
元々、天涯孤独で面倒の少ない相手を狙う傾向にある。 友とはいえ騒ぐ相手がいるものは無意識に避けていた。
もう一つは好みの問題。 女や子供の柔らかな肉を好む獣にとって テッドは少しばかり成長しすぎて見えたから。
他が望まぬ限り、すすんで食べようとは言い出さない]
(106) 2013/02/07(Thu) 00時半頃
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―――… 良い子だね 。
[サリスの言に妹に向けるにも似た響きが落ちる]
(*56) 2013/02/07(Thu) 01時頃
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[先にある闇にも似た色の女の髪が揺れる。 同じ、という言葉を聞けば微かに笑みが漏れた。 遠い昔に、同じである事を望んだ。 けれどそれは叶う事がないまま、ある]
本当にそう思っているのか?
[思わず、尋ねてしまうが 今度は男が頸を振る番だった。 返事は必要ないという風に、吐き出される息。 許しをこう言葉を聞けば、掴んだ手に力が篭る]
誰に許しを乞うている。
[背を向けたままのフランシスカの耳朶に囁き 男は彼女の腕を引き、近くある空き部屋へと攫う]
(108) 2013/02/07(Thu) 01時頃
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―暗闇―
[フランシスカの声は誰に向けたものか。 分からぬまま薄闇の廊下から 一層深い暗闇へと二人の姿は消える]
本当に同じならば良かった。
[囁きと背から聞こえる鍵しめる音が重なる。 彼女を抱き寄せ、味見するかのようにくちびるを寄せた。 されるがままある女の歯が男の唇を薄く裂き血を滲ませる]
ゆっくりと遊びたい所だが――… キミにその気はないようだね。
[甚振る事も快楽貪る事も選ばず]
(109) 2013/02/07(Thu) 01時頃
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[夜闇に包まれる部屋の中。 雲に隠れていた月が姿を現す。 煌々と舞姫に注がれるつきあかり。 酒場の舞台で人の心惹きつけたその姿と重なり]
キミの舞いを見れぬのは残念だ。
[密やかなささやきは静寂にとけゆく]
(110) 2013/02/07(Thu) 01時頃
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[杖は鍵掛けたその時、ドアノブに掛け置いた。
踊り手なればこそのしなやかな肢体。 返る声はないが、彼女の腕が背にまわされるを感じる。 彼女の求める相手は己ではないだろう。 何処かでそう囁く声がした気がするが打ち消す。 妹にするかのように優しげな抱擁をフランシスカに返した]
同じであればどれほど良いか。 ――…フランシスカ。
[これまで呼ばなかった彼女の名を呼んで]
(114) 2013/02/07(Thu) 01時半頃
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[細い首筋に引き寄せられるように獣は口を寄せる。 男はいつしか物語に出てくる挿絵の人狼の姿を模していた。 もう一人、見極める力もつ彼女に見せたと同じ姿。 金色の毛並みを持つ、人狼は赤く裂けた口を大きく開いて 柔らかな女の肌に鋭い牙を宛がう]
―――…、
[謝罪も感謝も声にはしない。 思いは抱きとめるその腕で伝えようとするのみ]
キミは私がこれまで出会った中で最上の舞姫だったよ。
[それが別れの言葉。 フランシスカの喉を一息に喰いちぎる]
(115) 2013/02/07(Thu) 01時半頃
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[ゴリ、と。 鈍く何かを噛み砕く音がする。 痛みを長引かせぬ為か、神経にまで至る牙。 フランシスカの命の色が、鮮やかな花を夜闇に咲かせた]
――…ン。
[口腔に流れ込むあたたかな体液。 それを舌で受け止め喉の奥へと流しこむ。 喉骨が上下して、甘く酔うような吐息が漏れた]
フランシスカ。
[獣は舞姫の名を再び口にする。 既に事切れているだろうと知りながらも 名残惜しむように力失うその肢体を抱きしめていた]
(118) 2013/02/07(Thu) 01時半頃
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――嗚呼。 理由を、聞きそびれた。
[フランシスカが挑発めいた言葉を向けた理由。 獣であれば、と、男に言った訳。 彼女がアイリスと同じ力を持つと知らぬまま 手を掛けた獣の翡翠の眼は蕩けるような愉悦を滲ませる]
私はキミとは同じになれない。 人を喰らわねば生きられぬ獣が 人と同じになれるはず、ない。
[双子の妹でさえ、この獣と同じにはなれない。 得られぬと思うからこそ渇望する。 そろと腕の力をゆるめ、フランシスカを寝台へと横たえた]
(120) 2013/02/07(Thu) 02時頃
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[調理場からそう離れていない空き部屋。 その寝台に寝かせたフランシスカの傍らに片膝をのせる。 眠る女に迫るかのような形となるがそれを見る者は居ない]
有り難く頂こうか。
[独り言ちて金色の獣は女の柔らかな血肉を喰らう。 顔や腕、脚に手をつけぬのは彼女が踊りを生業としていたから。 臓腑を抉り咀嚼すれば、ぴちゃぴちゃと水音が静かな部屋に響く。 仲間を呼ぶのも忘れ、貪る様は獣そのもの。 ただ、喰い散らかすような無作法が無い事が、野獣との違い]
――…、嗚呼。 美味いな。
[満足げに呟いて、立ち上がる。 白いシーツを彼女の身体に掛ければじわりと色が移る]
(123) 2013/02/07(Thu) 02時頃
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[朝陽が顔を覗かせる頃には獣の姿は何処にも無い。 調理場に近い空き部屋に残るのは 床に散る血の跡と寝台に横たわるフランシスカの遺体。 被されたシーツを捲れば大きな獣に喰われたような痕がみえる。
拳一つ分、開かれた空き部屋の扉。 ドアノブには何も残らぬ代わりに その部屋の前の廊下に、何かあると示すような矢印が 赤い血で描かれて、鉄錆を思わせる匂いが辺りに漂っている**]
(124) 2013/02/07(Thu) 02時半頃
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[その夜はサリスに向けた囁きを最後に聲は響かない。 赤い意識にのる言葉は届いているが 目の前に在る獲物との時間を重んじるかのようにある**]
(*59) 2013/02/07(Thu) 02時半頃
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