158 雪の夜に
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[拗ねたような口ぶりが、 かわいらしいと言ったら彼は不本意だろうから、 零れたのは小さな忍び笑いだけ]
そう、故郷の土地はなくても。
あなたには、 ……ちゃんと帰る場所があるのね。
(*29) 2013/12/22(Sun) 22時半頃
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[>>95 女の紅い口唇は、 一度ふるりとわななき震えた。]
変わらず、……待っている。
そう……、 お優しいのね。
[それきり何も言葉は出ない。 ただ震える指を握り締めて――、
続いた言葉に吐息と共に、 胸に詰まる何かを吐き出した]
(102) 2013/12/22(Sun) 23時頃
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まあ……、 それは大変でしたでしょう。 でも、きっと良いご家族に恵まれたのでしょうね。
立派なお嬢さんですもの。
[>>97 彼が揶揄するのとは別の意味で少女を見やる、 彼女の母の夭逝は、 幸いの中の不幸であると疑わずに。
彼の上に過ぎた年月が幸いであることを、 女は何ひとつ疑ってはいなかったのだ*]
(103) 2013/12/22(Sun) 23時頃
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いいじゃないの。
いつか帰るかもしれない、 そんな場所があると思うくらいは、きっと
……生きる理由に、なるでしょう?
[それは酷く人間らしい思考だと己自身そう思った]
(*31) 2013/12/22(Sun) 23時頃
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―教会―
……でも、 その優しさの価値を、 見出して下さる方がいらしたのでしょう?
[>>105 また無意識に帽子に指先のかかる、 ここは教会であるから、それを脱がずにすむことに安堵する。
この人はまだ、 あの言葉を覚えているのだと、 そう気づいてしまったせいだ]
(122) 2013/12/23(Mon) 00時半頃
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[>>108 女の口唇は、 どこか歪んだような笑みを見せる。 激しい感情は、時の中に忘れてしまった。 だから、残ったのはただ――]
(123) 2013/12/23(Mon) 00時半頃
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パピヨン・ローズ、 美術品を扱っておりますの。
[零れるのは、今の名だ。 アンジェリカ・ローズはもういない、 そして、ローズ、なんてよくある姓だ。
女は変わらず眼差しを伏せたまま、 奥へと向かう老人の背を見送った]
(124) 2013/12/23(Mon) 00時半頃
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[単純な答えは予期されたもの、 けれどそれは、今は好ましいものだ]
……そうね、
[そしてゆるやかな肯定]
優しい人を大事にしなかったから、 きっと罰があたったのね。
[珍しく自嘲のようなものが溢れて]
(*33) 2013/12/23(Mon) 01時頃
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つまらないことを聞かせたわね、
ごめんなさい。
(*34) 2013/12/23(Mon) 01時頃
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[感傷は確かに身を苛む。 けれど女の眼差しはそれとは違う意味を持って、 老人の背を再度追った。
彼が今ここへ来るということ、 その符号は否応なしに、思い出させる。 弟が人狼だと糾弾されたあの日を。
司祭とどんな話をしているか、 それを聞き取ることまでは出来そうにない。 ゆるりと首を振って]
あなたはおじい様に、 ……大切にされているのね。
[傍らの少女にそんな言葉をかけた*]
(143) 2013/12/23(Mon) 01時半頃
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……こういう時に、 慰めの言葉のひとつでもさらりと言えると、 もてるのよ?
[返る相槌にそんなことを言ったのは、 あまり引きずりたくない感情だったせいだ]
それに私の話より、 あなたのこと、でしょう?
[そんな一言も添えて*]
(*36) 2013/12/23(Mon) 01時半頃
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寡婦 パピヨンは、メモを貼った。
2013/12/23(Mon) 01時半頃
寡婦 パピヨンは、メモを貼った。
2013/12/23(Mon) 01時半頃
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―教会にて― [教会の窓から、色ガラスを通して光が降る。 単純化された聖母子は、素朴な風合いでありながら、 どこか安らぎを与えてくれる優しい色だ。 丁寧に扱われてきたのだろう、飴色の長いすに腰掛ける。
仲むつまじい祖父と孫は 誰が見ても微笑ましいものだろう。 >>169>>170 慌てて口に手を当てる少女に、 女はただゆるやかに首を振る]
二人だけ、 そう……、あなたもあの方も、 ご家族を早くに亡くされたのね。
[真実を知る者はここにはいない、 だから女はただ同じ悲しみを知る者としての言葉を返す、それだけだ]
(181) 2013/12/23(Mon) 19時半頃
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あの船に乗ったのは、偶然なのよ。 ……でもそうね、貴女と同じくらいの頃に、 故郷を出て、いろんな土地を見てきたわ。
[>>171 そして会話の最中、切り出された言葉、 どこか不安そうな少女の髪で、花飾りが揺れる]
人狼が処刑された、 そんな話は聞いたことがあるけれど。 本当かどうかはわからないわね。
……きっと犯人として処刑されれば、 その人が人狼ということになるのでしょうし。
人間と人狼を見分ける方法でもあれば、 話は別なのでしょうけれど。
(182) 2013/12/23(Mon) 19時半頃
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あの殺された青年は、 何故あんなことを、言い出したのかしらね……。
[あの青年は、何故それを知っていたのか。 彼が人狼の存在を何か嗅ぎ取る術を持っていたのか、 あるいは――ほかに、別の]
(183) 2013/12/23(Mon) 19時半頃
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……こういう時には、 よそ者というのは立場が弱いのよね。 早く、事態に収支がつけばよいのだけれど。
[零れた言葉は女の本音であったけど、 少女に安堵を導くものではないだろう。
やがて老人が奥から戻れば、 教会にも町の閉鎖を伝える自警団の知らせ>>#3は届く。 その疑心をあおるだろう通達と共に]
(184) 2013/12/23(Mon) 19時半頃
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……困るわね。
[黒い未亡人と噂され、 己が疑われることには慣れてはいるが]
……お2人とも、ありがとうございます、 話をしていただいて、少し落ち着きました。
[そして再び坂道を下り町へ戻る途中、 老人と少女も共に見ただろうか。
見下ろす広場には、さび付いた処刑台。 朝凪の時はすぎて、海風にロープが揺れている*]
(185) 2013/12/23(Mon) 19時半頃
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寡婦 パピヨンは、メモを貼った。
2013/12/23(Mon) 20時頃
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―海に面した坂道― [昔、小さな手をひいて歩いた道だ。 両親が死んでからは、弟と2人、宿で下働きをしながら、その日その日をどうにかしのぐような暮らしをしていた。 彼の兄は――そして、彼もそれを案じてくれていたのは知っている。
ふと女の足の止まったのは、 その宿が今も変わらぬ名でそこにあることに]
……朝凪亭、
[さすがに主人は代わっているだろう。 泊り客の子だろうか、店の子だろうか。 >>188 ままごと遊びの子供の姿]
(201) 2013/12/23(Mon) 23時頃
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寡婦 パピヨンは、メモを貼った。
2013/12/23(Mon) 23時頃
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……私の弟はね、 この町の教会の司祭様に、 正体を暴かれたのよ。
[ぽつりと零して]
……知らせは聞いた? しばらくはこの町を離れるのは難しそうね。
(*39) 2013/12/23(Mon) 23時頃
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[>>200 温かさと甘さがじわりと胸に沁みた。 古い教会はあの頃から古いままだったから、 時の流れをふと見失いそうになる。
>>205 送られるに断るような理由もなかった。 朝凪亭の前で足を止めたから、 ここが泊まりの宿と勘違いされたかもしれない]
何をしているの、かしら? ……お人形遊び?
[>>208 子供の誘いの言葉に、ゆると首をかしげた]
(211) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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……この町に来たのは、ただの偶然だわ。 乗るはずだった船に事故があっただけ。
あなたはでも、 私があの船に乗っていて有難かったでしょう? メイドの客室もあけてあげたのだし。
(*41) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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……そう、立派な人だったの。
[>>215 父を知らぬのだろう言葉だ。 それを楽しそうに語るのは聊か不憫であったけれど、 ――子供の扱いなどもうすっかり忘れてしまった]
……妹? あら、困ったわね……
[思わずきょとんとして、 背後のティモシーにどうしようかと振り返ったところで、 不意をつくような風が吹いた。
舞い上がる風花に、 目深に被った帽子が飛ばされて――]
(219) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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[黒髪が風に煽られて散る、 海にも空にも交わらぬ蒼の瞳は見開いた。 そのまま咄嗟にしゃがみこみ、
顔を伏せるようにして、 転がる帽子に手を伸ばす]
(222) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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[手にした帽子を被りなおせば、 震えた指を握りこむ]
――……、ごめんなさい、 宿はこの近くですから、もう大丈夫ですわ。
お嬢ちゃんも、 遊んであげられなくてごめんなさいね。
[逃げたくなる足取りを必死に押さえて、 赤いフードの男には小さな会釈を一つだけ、 その動揺はきっと男にも見て取れただろう]
(228) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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[>>225 かつての青年が、 今は老いた皺の刻まれた顔で、 変わらぬ微笑を見せるのに]
……っ、
[女はただ口唇を強張らせた。 そして続いた老人の言葉の変わらぬ様子に>>229、 帽子の下で瞬いて、それから]
……ええ、大丈夫、です。
[それからその紅い口唇は歪んだような笑みを見せた]
(233) 2013/12/24(Tue) 00時半頃
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[そんなことが想像に至るはずはないのだ。 人間であれば、すぎた時をその身に刻むもの。 ならば、自分は――。
去っていく老人の背中に、 改めて感じるのは己という存在の]
……あの子の、 身代わりにもなれなかったのに。
[零れた小さな呟きは、 打ちひしがれたようにも]
……ごきげんよう。
[そして子供と赤いフードの青年と、 あらためて2人に会釈して、女は路地へと歩みを向けた]
(237) 2013/12/24(Tue) 00時半頃
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……大丈夫よ、ありがとう。
[案じられた子供の言葉と、 そして青年のもの言いたげな眼差しに、 セーブルの襟元をそっと寄せた]
(239) 2013/12/24(Tue) 00時半頃
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……昔の知り合いに会っただけよ。 でも、私がわからなかったみたい。
(*44) 2013/12/24(Tue) 00時半頃
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私は人狼ではないから、 あの子の身代わりにもなれなかったのに。
こんなことで、 人間でもないなんて思い知らされるなんて、 ………馬鹿ね。
[震えるような声音の囁き]
(*45) 2013/12/24(Tue) 00時半頃
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[――宿へ向かう道行きの途中、 女はその目深に直した帽子を脱いだ。 艶やかな黒い髪も、何とも例えがたい蒼い瞳も、そのままに。]
……戻りたくなんて、なかったわ。
[居場所などどこにもないのは知っていた。 ――ただ一人の弟とも、違うもの、だったのだから*]
(246) 2013/12/24(Tue) 01時頃
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寡婦 パピヨンは、メモを貼った。
2013/12/24(Tue) 01時頃
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嘘をつけるような人じゃ、ないの。 それに、私は……別にいいのよ。
ただ、あなたの無事は祈っているわ。
(*47) 2013/12/24(Tue) 01時頃
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