162 絶望と後悔と懺悔と
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…サミュエルは、無事だ。>>162 もう目を覚ましたから、後で会うといい。
零瑠や理依は…
[それまで浮かべていた笑みは曇り、目は逸らされる。]
…すまない。 まだ、どこにいるのか行方が掴めない。
[眉を顰めながら、力無く首を横に振る。 周の反応が、少し怖いと思う自分がいた。
兄貴としての信用なんてあったもんじゃない。 偉そうな口を叩いても。 …護れなかった。それが事実だ。]
(164) 2014/02/08(Sat) 18時頃
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イアンは、ミナカタ>>162に、手負いを嬲っても楽しくないってのはおまえの美学だろ、と軽く小突き。
2014/02/08(Sat) 18時半頃
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…やめろ。
[周の自責>>170を制する言葉は、安吾の常のトーンよりずっと暗く鋭く、或いは彼を驚かせたかもしれない。 自分の口調の激しさに気付き、しまったと思う。
元の柔らかさを思い出しながら、周の握られた拳に手を置き話し続ける。]
周は、何も悪くねぇよ。 自分を責めるのはよせ。
…悔しかったら。家族を奪われたことが悔しいんなら。 ――強くなれ。もっと。 今よりも、もっと、ずっと。 おまえの護りたいもんを、護れるように。
教えてやる。…おまえが望むのなら。 強くなる方法を、俺が――俺達、守護部隊が。
[あぁ、自分は何を言っているのだろう。 それは、14の少年に告げるには、あまりに重い言葉。]
(179) 2014/02/08(Sat) 19時頃
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[今の少年に、自分の人生を選べと迫るのは酷だ。
だが、自分がこの部隊に志願したのはいつだったか。 それを思えば、彼にはこの選択をする自由があるとも言える。
――その先に待ち受けるモノを、告げるか否か。 恐らく問題は、そこだろう。
自分が当時、話に聞いていても実感できなかった事実を。 守護部隊の隊員として生きることの辛さを、覚悟を。
…復讐に生きる恐ろしさを。 自分らのやっていることは、吸血鬼と同じ人殺しであると、知ってしまったあの日の絶望を。
全ての元凶を叩く、それだけを目標にしていても。 あぁ、そこに立ちはだかるたくさんの壁役、 切り捨てねばならない命の、吸血鬼達の、その正体は――]*
(185) 2014/02/08(Sat) 19時頃
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…冷静になってから、もう一度よく考えろ。 守護部隊の一員となることが、どういうことか。
急ぐことはないから。 ちゃんと、自分で考えて答えを出せ。
[周に、自分と同じモノになれと、そう強要してしまったような気がして。 その道を否定するように首を振って、彼の肩を一つ叩くと部屋を後にした。]*
(186) 2014/02/08(Sat) 19時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2014/02/08(Sat) 19時半頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2014/02/08(Sat) 20時半頃
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[さて、隣の部屋、サミュエルとキャロラインの元を訪れる。 周にしたのと同じ話を繰り返し、 特定の人物に対し行方を聞かれることがあれば、事実を告げた。]
[周と同じく怪我の酷いサミュエル。 事の起こり、吸血鬼との邂逅について聞くと、自然顔つきは険しくなる。>>187]
ホリー・ニルヴァーナ…。
[自分の遭遇することのなかった吸血鬼だが、ジャニスや隊長なら何か知っているかもしれない。
サミュエルの説明を聞きつつも、きっばりと告げられた彼の決意にはまだ、心の底から応援をすることができないでいて。 …先程の病室を出る時見た、周と同じ目をしている。 考え直せと言っても聞かないだろう。それでも、]
(209) 2014/02/08(Sat) 21時半頃
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…標的、か。 サミィ、おまえの気持ちは、よくわかった。
でもな、一応言わせてくれ。 もう一度、冷静になってからよく考えろ。
考えて、それでもその決意が変わらないというなら。 ――その時は、守護部隊を頼れ。 自分一人で、なんとかしようなんて、絶対に考えるな。
[家族を奪われた悲しみを糧に生きる少年らを、この道に導くのは容易い。 それだけに、この修羅の道は選ばないで欲しいとも思う。 今かけている言葉は、果たして自分のしていることは、正しいのだろうか…。
――良心の呵責に悩まされつつ、しかし自分が彼らの立場なら間違いなくこの道を選ぶのだ。 どんなものであれ、選択肢があるのなら示してやらねばならない。 それを選ぶかどうかは、彼らに委ねるべきなのだろう。]
(210) 2014/02/08(Sat) 22時頃
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[キャロライナが目を覚まして。 身を起こそうとするのを制して、聞かれるままに事情を説明すれば>>119 呆然とした、現実を受け入れ難いという拒絶反応を目の当たりにする。
…そう。これが、普通だ。 この子達はまだ、子どもなのだ。 今の事態を簡単に受け入れることなど、できるはずもない。]
キャロル。 たしかにおまえは男で、あの子らの中じゃ歳上だったけどな。
…自分を責めるな。 訓練を受けた俺たち隊員でさえ、たくさんの犠牲者が出た。 俺達ができないことを、おまえに求めたりなんて、誰もしない。…仕方がなかったんだ。>>205
(215) 2014/02/08(Sat) 22時頃
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[それでもキャロライナは、納得しようとしない。 ――あぁ、一緒だ。この子もまた、同じ目をしている。 そうだ。伸ばした腕が届かなかった無念は、自分が一番よく知っている。
キャロライナはずっと孤児院暮らしで。 だから家族を取り戻したい気持ちも、人一倍強いことだろう。]
…それでも。 おまえがその手に、掴みたいものがあるのなら。 よく考えて、その道を決意したのなら、
――掴み取りに来い。守護部隊に。
[またそんなことを言って。 段々と否定の言葉が少なくなっていく自分に嫌気が差す。
一体何人の子供を、この道に引き込んでしまうというのだろう――]
(216) 2014/02/08(Sat) 22時頃
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[サミュエルとキャロライナの元を離れて。 最後に向かったのは、涼平のいる部屋。
あの日。 吸血鬼と、炎を上げる孤児院から救い出すために、暴れる彼に手刀を下したのは自分だ。
炎から抜け出たのちは救護班に託したが… 果たしてあの時、明之進とリカルダを見捨てた自分を、彼は許してはくれるだろうか。]
…涼平。いるか?
[ノックの後、そっと部屋に入った。]*
(217) 2014/02/08(Sat) 22時頃
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―病室巡回から更に数日後―
…うん?行きたいのか?あの、孤児院に。
[病室を離れ、養成所内の一部屋に移った少年からの頼み事。
キャロライナの希望>>120を聞いて、僅か逡巡するも。 自分の同行を条件として、その願いを聞き入れることにした。]
わかった。俺が一緒に行こう。 まだ危ない場所もあるから、俺の目の届く範囲にいることが条件だ。
…俺も。あそこで少し、確かめたいことがあるからな。
[困ったように少し微笑んで、翌日現場へ向かう旨を伝えた。 他にも行きたいと頼む者がいれば連れて行っただろう。]*
(218) 2014/02/08(Sat) 22時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2014/02/08(Sat) 22時半頃
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―病室・サミュエルとの会話―
[何があっても、変わることはないだろう決意の表情。>>219 真っ直ぐな目線に出会えば、こちらも逸らすことは許されない。]
…そうだな。 そういうことじゃ、ない、よな。
たしかに、あいつらは強い。 当然、『普通の人間』じゃ、まず敵わない。
でもな、おまえの言うとおり、絶対敵わないと思わなくちゃいけない相手でもない。 人間は、ただ屠られるのを待つ家畜じゃねぇからな。 …あの力に対抗するために、俺達がいるんだ。
[守護部隊は、人間は"能力"をもって吸血鬼に対抗できると、 彼に、暗に伝えることはできただろうか。
――ホリー・ニルヴァーナを追う。 今自分にできることはきっともう、彼が自身の選んだ道を走れるよう、精一杯支援することだけなのだろう…]*
(228) 2014/02/08(Sat) 23時頃
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馬鹿っ、無理して動くなよ…!
…また、来るんだろ。 だったら。おまえだってそれまでに治さなきゃなんねぇだろ、その怪我。
[顔を見に行けば、重症のはずの同僚はやはり早く早くと。>>247 自分の負傷した右腕は棚に上げて、軽く嗜めるも、]
ただ、まぁ… 早い方がいいのは、たしかだよな。
…軍へ志願する声も、ないわけじゃ、ない。
[少し語尾が濁るのは、彼らではなく自分が、まだ決意できていないから。 また、家族を戦場に送りこむ。また、同じことを繰り返すのか…?と。]
(249) 2014/02/09(Sun) 00時半頃
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隊長も、言ってたしなぁ…
[少し前、子どもらが目覚める前に、檜江に言われたことを思い出す。>>#1]
もし、守護部隊への入隊を希望する奴がいるなら、 …できるだけ傍で、支えてやりたいんだ。 一応、さ。…家族みたいな、もんだから。
[苦笑しながら頬を掻きつつ、]
聖水銀とかその辺、ジャニスの方が上手いこと説明できる気がするんだわ。 …そこ、任せても大丈夫か?
[だから早く回復しろ、と言外に込めて、頼み込む。]
(250) 2014/02/09(Sun) 00時半頃
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あとな、これ、ちょっと相談なんだが…
[ジャニスの顔色を窺うように、悩みながら告げる。]
…行方不明の奴らのこと。 連れ去られた後は、だいたい喰われるか、 ――下僕に、させられるか、だ。
でも、あいつらが無事だと信じてる奴が、それを救いたいって言うのが多くてさ。 だから、希望を持たせてやりたいんだ。
…その、つまり。まだ、伝えたくない。 俺は、甘いかな…?
[冷静な同輩は何を思うだろうか。
この事実を伝えれば、子どもらは少しでも早く家族を救いたいと言い出すだろう。 時間をかけて軍人に育て、万全の状態で次に臨もうとするのなら、 今これを伝えるべきでない、そう考えてくれるだろうか。]
(253) 2014/02/09(Sun) 01時頃
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[まだ幼さの残る自分の感情が、今これ以上彼らを傷つけたくないと、真実から目を背けている。
世の残酷さを知ってしまった大人の自分が、いつか掴む勝利の為に隠すのだと、打算的に囁いてくる。
…どちらも本音なのだ。 経験上、知っている。
知らなければ、悩むことも、傷付くこともない。 その後に、事実を知って手酷いしっぺ返しを喰らうことも。
あの日。 友が下僕吸血鬼に成り果ててしまったのだと、知らなかったからこそ。 ――自分は。斬ることに全く、躊躇がなかったのだから。]*
(255) 2014/02/09(Sun) 01時頃
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「私もそれに、混ぜてもらっても良いだろうか。」>>259
[かけられた言葉に、きょとんと問いかけるような視線。 合点がいけば、あははと笑う。]
何を今さら! 俺にとっちゃ、ジャニスも大切な家族だよ。
そんで。 これから軍に上がるあいつらにとっても、それは同じことだ。 …お互い、顔知らない仲でもねぇしな。
おまえみたいな頼りがいのある姉さん持てて、あいつらは幸せだぜ。
[にっと笑ったまま、頼んだぞ、と拳を軽く突き出す。 これほどまでに信頼の置ける家族が他にいるだろうか。 ――きっとみんなもすぐに懐く。 こういうとき、女はいいよなぁと、どこか暢気に考えていた]
(265) 2014/02/09(Sun) 01時半頃
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[直前まで笑っていても、相談となれば真剣そのもの。]
…わからない。 わかんねぇんだ、どっちが良かったのか。
[やはり物の見えている友人の言葉は自分とは違っていて。>>261 逆に問われて狼狽える。]
知らなかったからこそ、アレと対峙しても冷静でいられた。 …でも。同時に、知りたかったとも、思う。
[決意を秘めた子どもらの眸を思い出して。 これを伝えても、彼らの気持ちは変わらないだろうとは思いつつ。]
(267) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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――じゃあ。もう少し。 もう少しだけ、待ちたい。今すぐでなく。
俺も、それまでに考えたい。どちらが彼らのためになるのか。
[守護隊員として、成長していく過程で。 それは自然と明るみに出ることだろうから、その時まで。
正しい答えは見えていたはずなのに、結論を先延ばしにしようとした自分を、ジャニスは叱咤するだろうか。 反対にあえば、自分の軟弱さや愚かさを呪いながら、それに従おうとするだろう。
…傷はまだ、癒えていない。 冷静に向き合えない自分に気付かされてしまった。]*
(269) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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―事件後の孤児院にて―
[キャロライナと、同行を望む者がいればその子らと共に、 すっかり焼け落ちて様相の変化した孤児院を訪れる。 ゆっくりと、施設の周囲を正面から裏手へ、ぐるりと一周。]
「国は僕たちを護ってくれますよね?」 「…安全を保障してくれますよね?」 「…ねぇ、ねぇねぇ?!」>>0:404
[大丈夫だ、護ってやる。と、狼狽する直円の背を叩いたのはこの辺りだったか。 あの後、この正面玄関では、ジャニスと檜江隊長、始祖らが対峙していたという。]
(270) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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[あの時、傍をすり抜けようとした円を制止していれば、>>0:426 咄嗟にその耳を塞いでやれたなら、どんなに良かっただろう。>>0:429
扉から離れることもできずにただ震えるあの子>>0:435を置いて、自分は外へと飛び出したのだ。 ジャニスも、傍にいてやれと言ってくれたのに>>0:415。
反射的に駆けていってしまったから、ジャニスから話を聞くまで知らなかった。
あの後、自分が閉めた扉の傍に、まだ円が動けずにいたこと。 それを蹴破って”始祖”が現れたこと。>>0:449>>0:454 外からの通報を受けて隊長がその場に駆け付けたことも>>0:@6。]
(271) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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―回想・襲撃のあった日―
[駆ける。元凶は外にいる。 少しでも早く対処しようと玄関から飛び出せば、思っていたより多くの吸血鬼に囲まれていて。
苗刀を抜刀しつつ、咄嗟に飛び出してきた”雑魚”を斬り捨てた。 斬ることに最早抵抗はない。…柄を握れば、冷徹さが顔を覗かせる。
次々と襲い来る敵を薙いでいれば、屋根に油を撒いて逃げる集団を見つけ、>>0:443>>0:449]
…待て!やめろ!
[制止したところで、彼らが止めるはずがない。 ――絶対外には出るな、と。>>0:409 安吾の言葉を信じた子らが、中に留まっているのならば、]
くっそ、この…!
おい、誰か手伝ってくれ! 中にまだ子ども達がいるんだ!
(272) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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[周囲の隊員を引き連れ、施設内へ戻ろうと。
斬りながら移動したため、今は裏口の方が近い。 勝手口を蹴破って中へと踏み込むと、そこには既に吸血鬼の影。>>39
幼子を腕に抱いたまま、斬り裂かれる明之進の姿が、そこにあった。>>54]
明…!
[…咄嗟に理解する。彼を助けている暇はない。>>72 近くで呆然とする子らを引き連れて逃げようとするも、その場に留まり厭々と首を振り続ける絢矢に困って、無理矢理リカルダと繋いでいた手を引き離す。>>64
自ら絢矢を脇に抱えて>>79、リカルダを隣の隊員に預け。 涼平の手を引き駆け出すも、振り向けばその隊員とリカルダは吸血鬼の手に落ちていた。>>92
他の吸血鬼に押され、こちらの隊員も既に多くの死者を出していて。 苦渋の決断――踏みつけられ、絢矢の名を叫ぶリカルダに>>91、]
リッキィ!必ず戻る…!待ってろ!
(273) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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[聞こえたかどうかは、わからない。 一声叫んで背を向け、絢矢と涼平だけでも救おうと。
強く手を引けば、抵抗するように暴れる涼平。 こちらの方が力があるとはいえ、13の男子相手では少々辛い。 咄嗟に手刀を落とし>>81、肩に担ぎあげて走る。
途中で襲われ、庇いきれずに右腕を大きく負傷するも、 どうにか勝手口から転がり出たのだった。]
[外で待機していた救護班に二人を託して、ようやく中へと戻るも。 既に明之進、リカルダの姿はそこにはなく――
そして。 たしかに勝手口を通ったはずなのに、 そこで気絶した零瑠>>22と、許しを乞い続けた直円>>26に会うことはなかった。
…当時の自分は、知るはずもなかった。彼らがとっくに攫われていたなどとは。]*
(274) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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―事件後の孤児院―
[ぐるり、一周すれば護れなかった子ども達の姿が脳裏に浮かび。 また、自分の無力さを思い知る。
理依や周と組手の練習を重ねた裏庭>>193。 教えたことはすぐに吸収する子らに、教える方もやたら熱心になってしまって。
幼いリカルダに頼まれて教えた”漢字”。>>0:257 彼女の名前は洋名だったから、調子に乗って『梨花琉雫』などと難解な充て字を勝手に考えたりして。 難しい、妙なことを吹きこむなと養母に叱られてみたり。
自分が頻繁に顔を出せなくなってからは、零瑠に後を頼んだのだった。
…あんな平和な日常は、今はもう、その影すら存在しない。]
(301) 2014/02/09(Sun) 03時半頃
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[本当?と何度も聞く真弓相手に>>0:368、守護部隊で軍服を支給されたことを自慢したのは何処の誰だったか。 吸血鬼は俺が倒すと豪語したあの言葉の、なんと軽いことだろう。
そんなに血を見たくないならこれでも被っておけと笑いながら手渡した学生帽。 自分のお下がりとなるけれど、ないよりマシだろと零瑠に放って。 俺が守護隊員になった暁には、血なんて見なくて済むようにしてやる――それがこのありさまだ。]
(302) 2014/02/09(Sun) 03時半頃
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…んで? おまえは何やってんの。こんなところで。
[…玄関口に転がる、物言わぬ黒衣の塊を、じっと見降ろして。 それは、あの時咄嗟に斬り捨てた”雑魚”吸血鬼>>272。
隊員や子どもらの遺体は運び出しが済んではいたが、 まだいくらか、吸血鬼らの焼け焦げたそれは残っていた。
火に焼かれボロボロになったそのフードを、そっと捲り上げて、]
………。
[特に表情を変えることなく元に戻し、腰を上げた。]
おーい、そろそろ帰るぞー。
[辺りに散っていた子らを呼び集めて、帰還を促す。 何も、変わりはしない。普段通り。 ――ただ一本、腰に差した苗刀が増えたことを除けば。]*
(303) 2014/02/09(Sun) 03時半頃
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…ありがとな。
[情けなく笑いながら、ジャニスの言葉>>277に頷く。 正直なところ、安堵していた――すぐに伝えなくて済む、そのことに。
子ども達の手前、強がってはみたものの。 実際に友を斬ったばかりとあっては、なかなか伝えるという決断は辛いものがあったから。]
あぁ、おまえの言う通りでいいと思う。 聞いてくる奴がいれば、包み隠さず打ち明けよう。 あいつらがどう成長するかによって、話すかどうか決めるのも。
…それでいい。今は、それで。
[自分が追いつくのを待ってくれている、そんな優しさがあるような気がして、 この背を押してくれた家族に感謝して、またいつものように笑ってみせた。]**
(304) 2014/02/09(Sun) 04時頃
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―訓練所―
さぁ、今日も行くぞ! 一番最初に、俺に膝着かせる奴は誰だ?
周か?それともサミィか? 負けてらんねぇよな、キャロル!涼平! 歳下の絢矢や円だって、これだけできるもんなぁ!
[或いは白兵戦、或いは武器を構えて。 厳しい訓練を毎日、彼らに課していく。
――あの残酷な戦場で。 少しでも、彼らが生き残れるように。 僅かでも、彼らの望みが叶うように。
こうして努力すればいつか報われる、 …そんな日を、俺も信じていたから。]**
(307) 2014/02/09(Sun) 04時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2014/02/09(Sun) 04時頃
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―波羅宿―
[帝都に2体の吸血鬼が現れたと聞き、派遣されたのは自分の所属する部隊。
5年――あの孤児院襲撃から、5年という月日が経った。 皆それぞれ、試練を乗り越えて今日という日を向かえている。
身体も、心も大きく成長した。幾度かの実践も経験済みだ。 彼らの伸び具合には、内心舌を巻いている。 …自分が抜かされる日も、そう遠くはないだろう。
隻眼の吸血鬼とは違うビルの屋上から、絢矢や周、サミュエルの行動を静かに見守る。
それぞれが役目を理解し、一つのチームとして動いているのが、遠目からでもよくわかった。 ――大丈夫。こいつらは、そう簡単には死なない。]
(459) 2014/02/10(Mon) 00時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2014/02/10(Mon) 00時頃
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[ここのところ、また吸血鬼の動きが派手になってきているように感じる。
行方不明者も多い。 …餌としてなのか、配下に加えているのか。 どちらにしろそれは、あまり良い兆候とは言えなかった。
守護部隊も、その他の軍も、警戒を強めている。 確か今日、隊長は今後の相談のため、陸軍の駐屯地へと出向いていたのだったか。
上手く話がまとまれば、ある程度の人数で組織的な戦いができるだろうと予想しつつ。]
(460) 2014/02/10(Mon) 00時頃
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イアンは、アヤワスカに大きく頷いてみせた。合図を送る。――よくやった、帰還しよう。
2014/02/10(Mon) 00時頃
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