64 色取月の神隠し
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―菊屋へと向かう道すがら―
『たまこを里にねェ。 まぁ、……別にそれでも構わないっちゃあ、構わないが』
[>>9やはり剣呑なことは避けたいのだろうかと、ちろり、芙蓉を眺めた。 けれど、たまこがあやかしたちに面倒を掛けられなくなるなら 喰らうのも里へ送るのも同じこと。今は殊更に異議を唱える気はない]
『先ずは、たまこと簪の九十九とやらの様子をとっくりと拝むとしようか。 やばそうなら、そのまま森に攫っちまって、……な?』
[凶眼がすうっと細められるが]
へぇ。己が店に行った時分には、もう草団子はなかったっけなぁ。 折角だし、今日は草団子を食ってみるとしようかね。
[現世の人の子たちの眼に映るのは、長閑な男の姿だけ]
(18) 2011/09/17(Sat) 20時頃
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―菊屋―
本当だ。 昨日はあんだけ繁盛してたってのになぁ……。
[よもや店を開けたばかりと知らぬまま>>4:112 思い詰めた表情で立ち働くたまこを見定めるようにしてから]
……ほぅ。綺麗な簪じゃあないか。 とても良く似合ってるよ。
誰ぞ、良い人が呉れたのかな?
[これが、そうかい――と 髪を彩る、精緻な細工の施された黒蝶の簪に視線を移した]
(19) 2011/09/17(Sat) 20時頃
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……確かに、おたまは磨けば光る瑠璃の石とも言えるかな。 里でお志乃辺りに磨かせりゃあ、佳い女になるやも知れないなぁ。
[揶揄う色を含んだ芙蓉の声音に、しゃあしゃあと応える]
(*3) 2011/09/17(Sat) 20時半頃
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己なら其の花篭の中に、さらに芙蓉を一輪添えて 飽かずに眺めるがねェ。 ……まぁ確かに、何れ里には、人の子が此処が浄土かと見紛うほどに、綺麗どころが揃うことになるなぁ。
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(*5) 2011/09/17(Sat) 20時半頃
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……なるほどねぇ。
[姿や生業の真似事をする程 芙蓉はその恩人とやらを慕っているのだろう]
で、その恩人とやらは、今はどうしてるんだい。 姿を借りるのは良いが、ばったり出くわしでもしたら不味かろう?
(*7) 2011/09/17(Sat) 22時頃
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ふぅん。……そうなのかい。
[男なら、例え情交を交わした相手であれ 人の子の末路など気にも留めない。
けれど芙蓉はどうだろうか。 あやかしと化した恩人の運命を、如何様に見ているのだろう]
(*9) 2011/09/17(Sat) 22時半頃
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己なら、獲物を横から掻っ攫うような舐めた真似をした奴は 赦しちゃおかないがねェ。 [心に浮かんだ問いは口にせぬまま、勇ましい言葉を吐いた]
(*10) 2011/09/17(Sat) 22時半頃
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『……そうでもないさ。 だって、一矢報いた訳だろう? しかも、未だ弱かったってんなら尚更さ』
[芙蓉の自嘲のような言葉に首を振った。
男は己を討伐した相手に復讐することも儘ならなかったから 僅かでも意趣返しを出来た彼女が羨ましい]
(40) 2011/09/17(Sat) 23時頃
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―菊屋― 芙蓉から聞いたんだが、草団子があるんだって? 他の団子が美味かったから、ちょいと試してみたいと思ってねェ。 おや……。どうかしたのかい?
[一歩後じさり、首を竦めて男を見上げるたまこの眸を 口元に笑みを湛え、じぃと見詰めた]
(53) 2011/09/17(Sat) 23時半頃
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>>52
『人の子は粗忽だからなぁ。 弱くてすぐに死んじまうくせに、命も何も惜しまずに 分不相応なものを手にしたがりやがる。
まったく、愚かしい話さ――』
[人の子を仇として、贄として、永き歳月をその傍らに過ごしたが 彼らの望みの源が何であるのか、未だ理解できない]
(55) 2011/09/18(Sun) 00時頃
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……ご母堂の、ねェ。
その簪、素晴らしい逸品のようだし、大事にするといいよ。 そうだなぁ……例えば年降りて、九十九の神と成るほどに、ね。
[たまこの眸から視線を逸らさぬまま] 草団子と、それから胡桃の団子を貰おうかな。
[団子を注文する]
(60) 2011/09/18(Sun) 00時頃
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『己は鵺で……そっちの芙蓉が言うように 今は藤之助と名乗っているもんだ。 お前さんが簪の九十九か。あぁ、確かに美しいねェ。 花に譬えるなら天竺牡丹(ダリア)と言った風情かな』
[>>58好奇心の強そうな物言いに応えて]
『なんだい、辰サンから聞いてるのか。 そうさ、人の子は恐ろしいものさ。
お前さんも気をつけたが良いぞ。 ――さもないと、己みたいに寄って集って打ち殺される破目になるかもなぁ』
(66) 2011/09/18(Sun) 00時半頃
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―菊屋―
お姉さん……もし、あんたの周りに九十九神―― あやかしが現れたら、受け入れることが出来るのかい。 もし、あんたが平気だとしても、他の連中はどうだろうね。
[無理だろう? と、男の双眸が雄弁に告げる。 人の世は異物を受け入れられる程、度量は広くないと ――少なくとも、男はそう信じていたから]
あまり、人の耳目に触れるような不可思議な話が広まれば 大切なご母堂の形見が大変なことになるかも知れないね。
[悠然と微笑み、一度話を切る]
……胡桃の団子は二人分、頼むよ。
[何とはなしに、芙蓉が胡桃の団子を食べたがっているような、そんな気がした]
(79) 2011/09/18(Sun) 01時頃
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藤之助は、たまこを静かに見詰めている**
2011/09/18(Sun) 03時半頃
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