165 【突発村】bouquet
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――ひと時の回想――
……私の歌声が、嫌い?
[遥の言葉に驚いて、妹をぼぉっと見るだけで。 遥は憎しみとも悲しみともつかない色を灯した瞳で 私を見ていた。]
そんな……私と遥で、謡でしょ?
[違う、あたしはあたしなんだ。って。遥は泣いた。 遥は本当は自分の力で舞台に立ちたかった。 私の影武者という存在が、嫌で嫌で仕方なくなったのだろう。]
(3) 2014/03/02(Sun) 02時半頃
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そんなこと言われても困るよ。 CDも沢山売れて、大ヒットしてる如月謡は、私と遥なんだから。
[ふっと手持ち無沙汰になる。煙草を探そうとした手を、片方の手で軽く押さえた。]
(4) 2014/03/02(Sun) 02時半頃
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嫌いなんて言わないでよ。 私は、遥のために精一杯やってる。 なのに、なんで――
[嗚咽を漏らす遥と、困惑する私と。 一時間、二時間、そうしていたか。 遥もいい大人だから、そんな駄々を捏ねても仕方ないと 理解はしているのだろう。]
……。
[ごめん、と、小さく呟いて、遥はベッドで丸くなる。
それから遥は、私と距離を取るようになった。 数年後の訃報も、遠い遠い出来事のような気がした――**]
(5) 2014/03/02(Sun) 02時半頃
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――現在・台所――
[幾ら水で喉を潤しても、閊えが取れない。 けほけほと咳き込んで、口の周りの水分を拭う。]
あーあー、……ひどい声。
[老婆のように枯れた声は 自分の鼓膜も不快に揺らす。 湧水をそのままに、公民館の集会室へ戻っていった。]
(6) 2014/03/02(Sun) 02時半頃
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[ネックレス、という声が聞こえる。 綺麗な少女と、少年の会話。 少女が唇を開いたところを見たことがなかったが、 彼女が手にするペンとメモを見れば、 その理由を理解するだろう。]
……――
[そ、と自分のペンダントに触れた。 アクセサリーには思いが宿ると言う。 この翡翠石は、何を見てきたのだろうか**]
(17) 2014/03/02(Sun) 03時頃
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[ぼんやりと視線を彷徨わせては 人々の会話を耳に挟む。 立っているのは足の裏が痛いから、ぺたりと座り込んだまま。 陰と、建前と、声と、文字を綴る音―――]
……聞いたことある、名前だね
[>>33 黒木、と名乗った女性にぽつりと。 陰を見せぬ彼女に、偶然の同姓同名かとも思ったが 此処に居る意味、理由――… "何か"、があるんだろうと、綺麗な瞳を覗き見る。]
(41) 2014/03/02(Sun) 21時頃
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お腹空いた?
[この位置では>>43彼女の文字が見えないから そんな当てずっぽうな声を投げた。]
ああ、そうそう、水はあるよ、 山からの湧水がずっとぽとぽと落ちてる。 人間、水で三日は生きられる、だったかな。
[かと言って三日間水だけで我慢するのも辛い話だ。空腹な者には棚の場所を教えよう。 >>44黒木からかけられた声に、思わず苦い笑みを浮かべると同時に、例の合法ドラッグの事件で新聞に載っていた本人だと確信した。]
やっぱり……そっか。 今はまだ。 現実に耐えられなくなった時には、それもいいかもね。
(46) 2014/03/02(Sun) 21時半頃
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あぁ――私の名前。 如月謡って、言う。
[政人と名乗った彼の時と同じように誤魔化すか迷ったが もうなんだか無駄な気がした。]
少し前に死んだ、同名の歌手の 影武者だよ。
[話せばきっと長くなる、だから端的にそう話した。 此処に居る人々が抱く影の色。 同様に抱く影を垣間見せる。]
(47) 2014/03/02(Sun) 21時半頃
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[小さく、くぁ、と欠伸をする。 長い道程を歩いてきたから、流石に疲れてしまったようだ。 >>47一応その場にいる全員に向けて告げた自己紹介、 >>48謡、だよ、と黒木にも告げ、弱い笑みを添えた。]
ちょっと休んでおくね。 そこの棚に非常食があったから、 お腹すいたら食べるといいよ。
[そう告げて、座布団を何枚か並べて敷いて 横になる**]
(49) 2014/03/03(Mon) 00時半頃
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[眠りについていたのはどれほどの時間か。 首を傾け、上体を起こす。]
政人くん? おかえりなさい。
貴方は?
[壮年男性に問いかける。 もうこれ以上人は増えないだろうから、 改めて自己紹介でもする必要があるだろうかと思案して。]
(66) 2014/03/03(Mon) 22時半頃
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[座布団から立ち上がり、女性の名を見る。 朔夜と名乗った少年からさあやという響きは聞こえていたが 九音沙綾――綺麗な名だな、と思う。]
おじさんも、初めまして。 私は如月謡。 大体の人間は此処にいるって認識でいいのかな……
(74) 2014/03/03(Mon) 23時頃
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ん、住んではないね。 昨日……?いや、さっき……? いつだっけ? 此処に来たんだよ。
[>>75男の言葉にかぶりを振る。 時計のない状態では時間の感覚すら曖昧だった。 んっ、と背伸びして、足の裏の様子を見る。 絆創膏のおかげか、消毒のおかげか、痛みはいくらか引いいてた。]
(78) 2014/03/03(Mon) 23時頃
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[起き上がって人々に近づく。 沙綾の文字をそっと追いかけて]
とても……、?
[すぐにペン先で消されてしまう文字を視認することは出来なかった。]
?
[残るのは沙綾に対する不思議そうな眼差し。]
(81) 2014/03/03(Mon) 23時半頃
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あ、ううん。 消したから―― 失敗、か、そっか。
[明らかに異質な消し方。 間違えたなら線一本引けばいい。 だけれど彼女の文字を潰すような消し方が いやに気にかかって けれどやはり文字で返される意思に それ以上問うことは憚られた。]
沙綾は、聞こえるんだね。 声だけ出せないって、珍しい――心因性くらい、しか。
[ないよね、と、他愛ない話のように彼女に端的に問いかける]
(85) 2014/03/03(Mon) 23時半頃
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妹さん、亡くなったんだ。 そっか――…
[先天的に喋れない人は耳が聞こえない、聾唖の者が殆ど。 そうでなければ言葉だけ出ないのは、 彼女の言うとおり心因性の可能性が高いということくらいの 知識は持ち合わせていた。]
……聞こえない振りでもすれば、 世界はもっと貴女に優しいかもね。
[小さな文字を見て、ふっと弱く笑い、 そして声のない彼女に、 歌をうたえない妹を重ね始めるまで、 そう時間はかからなかった。]
(87) 2014/03/03(Mon) 23時半頃
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(沙綾――か)
[そっと人々の輪から一歩引いて、 とすん、と壁に背を預け、座り込む。 そろそろ空腹感が襲ってくるけれど 面倒くささが勝ってしまう。
嗟呼、でも餓死は厭だな、なんて ぼんやりと考えて――**]
(88) 2014/03/03(Mon) 23時半頃
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[ ―――… 刺した という断片から、 そっと朔夜を覗き見るが、 すぐに視線を落とす ]
……
[無意識にポケットを探って、 煙草を所持していないことに気づき かし、と頭を掻いた。]
誰か。煙草持ってない?
[この長時間で紫煙を一切見ていないことから 無為な問だろうとは思いながらも。]
(105) 2014/03/04(Tue) 20時半頃
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[ちら、と黒木の方へ視線を一瞬向けるが かぶりを振るように、彼女が気づくより早く逸らした。]
(クスリになんか手を出したら戻れなくなる)
(戻るって、何処に?)
(もう戻る場所なんかないのに)
[黒木の所持しているドラッグは蠱惑。 それに対する感情は欲と畏怖。 壊れてしまえば楽なのだろうか。]
(106) 2014/03/04(Tue) 20時半頃
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[ひゅぅ、と浅い呼吸。 結局彷徨う視線は床へと落ちる。 座り込んだまま、ジーンズの縫い目を指先で辿った。
いつかの過去を、思い返しながら。]
(107) 2014/03/04(Tue) 20時半頃
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――記憶――
[妹の遥は美人だ。 だけど自分が不細工かと言えばそうではない。 素行は悪かった、夢も希望も何処かに捨てたし、柄の悪いグループの中では、輪姦されたりもした。前科だってある。馬鹿らしい犯罪だけれど。 遥はそんな自分を決して見捨てはしなかった。]
(108) 2014/03/04(Tue) 21時頃
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「言葉は、なんで悪いことばかりするの」
[まだ歌手としてデビューする前に、深夜に泥酔して帰宅した自分に、遥は白湯を差し出しながら首を傾いだ。]
遥には関係ないよ。
「そんなことない。言葉は生き甲斐ってあるの?」
……そんなのない。
「じゃあ、歌をうたおう」
[遥はそう言って一晩中、聞かせた。――下手で仕方ない歌を。]
嗟呼もう。私のほうが上手い、聴いてみ?
[別に怒ったわけではないけれど、些細な対抗心から初めて歌って聞かせたら、遥は驚いた顔をしたっけ。]
(109) 2014/03/04(Tue) 21時頃
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[二人で一人の謡として、ばたばたとデビューが決まって 次第に遥はそんな自分に苛立ちを抱くようになって 歌いたいと泣いて、ステージに立つのが厭だと叫んだ。]
……知らない、そんなこと
[私は前を見たい、遥にステージに立って欲しい。 遥がお客さんの前で見せる笑顔が好きだったから。 だけどきらきらとした遥がいなくなれば、音としての媒体では売れども、謡の顔を見に来るファンは減っていった。
曖昧な関係。中途半端な関係。 私は歌をうたって、遥は笑って、それじゃだめなのか。 遥は自分に顔を合わせない。そうして答えがでぬままに、
遥は、移動中の車で、事故に遭って死んでしまった。]
(110) 2014/03/04(Tue) 21時頃
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[呆気ないものだ、と、―――わらう** ]
(111) 2014/03/04(Tue) 21時頃
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――意外。 あぁでも、吸ってそうな顔してる。
[少し笑って、箱を受け取れば>>114 一本抜き取り、中に入っていたライターで火をつけ さーんきゅ、と礼を告げながら投げ返す。]
…ッ、
[しかし喫煙は、喉に刺さるような痛みを伴った。 自殺行為とまでは言わずとも、 悪化してしわがれた声しか出せない喉に 有害なのは明確だろう。]
――…
[それでも縋ってしまう姿は、黒木が見ていたドラックに夢中になる者と、通じるものがあるかもしれず。]
(115) 2014/03/04(Tue) 22時半頃
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ふぁ……
[唇の隙間から零れる紫煙。 どんなに喉が痛くても、このニコチンやタールの中毒性に魅入られた者は。 妹が死んでから、再び吸い始めた煙草。 一日にハイペースで吸ったせいもあり、酒やけもあり、もう一つは声を自分で枯らした行為も――。 一過性で喉が悪いのならまだいいが、恐らく元の声は治療しなければ取り戻せない。]
(116) 2014/03/04(Tue) 23時半頃
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[窓を少し開けて吸殻をぽんと投げた。]
はぁ……ッ
[喉に手を当てると、苦しそうに呼吸を繰り返し]
黒木、ありがと。 またそのうちもらうかも。
[こんな苦しそうな体のくせをして、まだ――求めていた。]
(117) 2014/03/04(Tue) 23時半頃
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[それから一寸、思案の時間を置いた後]
――沙綾。
[ぽつ、と名を呼んで窓際から視線を送る。 視線を交わすなら、シニックに笑って。]
あとで。少し話したい。
[ほんの少しだけ未来の、約束ともいえない希望を口にしていた]
(118) 2014/03/04(Tue) 23時半頃
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