235 夏の終わりのプロローグ
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―学生寮・自室―
[鳴ったアラームを止めて、寝ぼけ眼を滑らせれば、携帯の画面には8月9日の表示。 重たい目蓋を開閉して、新鮮にすら思える文字を何度も辿った。]
……ここのか。
[窓の外は真っ青な夏の空。 初めて見る、"明日"の空の色。]
楽しかった、……、 うん、…楽しかった。
[何度も何度も繰り返したはずなのに、振り返って噛みしめるのはこれが初めて。
ぎしり。 軋むベッドの上で、そのまま身を起こす。 遅くまで続いたバーベキューの名残を残す身体は、それでも不思議と軽かった。]
(*0) g_r_shinosaki 2015/08/16(Sun) 13時半頃
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[寮の改修工事に合わせて取り壊されてしまうと聞いた、裏庭の隅、古い貯水槽。 太い給水管と梯子のその下に、くしゃくしゃの毛並みを見つけたのは、工事の話を伝え聞いた7月のこと。
おそるおそる手を差し出せば、すぐに擦り寄ってきた白い子猫。 それがどこか寂しそうに見えて、不慣れな手付きでぐしゃぐしゃと撫でてやった。]
(*1) g_r_shinosaki 2015/08/16(Sun) 23時半頃
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……寂しかったのは、僕の方だったのかな。
[柔らかな体温を思い出しては、空っぽの手をゆるゆると握る。
みんなの夏休みの話を聞くたびに、自分ばかりが寂しいように思えて、どんどん喉の奥へ飲み込まれていった言葉。 その気持ちがなくなった訳ではないけれど、今はもう、するりと舌に乗る感情。]
またね。
[去り際、小さく呟いたなら。 どこか遠くから、応えるような柔らかな鳴き声が聞こえた、はず。]
(*2) g_r_shinosaki 2015/08/16(Sun) 23時半頃
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