22 共犯者
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…最近どうも腹が減るんだよな。 月のせいなのかねえ。
[そう呟くと一人の部屋で窓を開け、空を見上げた。]
(*3) 2010/07/28(Wed) 23時半頃
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今日はまだ月は満ちていない。
半分の、不完全な月だ。
[ 星の瞬く空を見上げる。 そこには上弦の、既に傾いて地に向かう月。]
(*4) 2010/07/28(Wed) 23時半頃
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しかし、人間側の祭の全容は随分変わってしまったんだな。
やりにくい。
[ 舌打ちに似た囁き。それは音声を伴わないが、確かにニュアンスを伝えていた。]
(*5) 2010/07/28(Wed) 23時半頃
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生贄がきちんと用意されていない。
まあこれは今に始まったことではないが……。
(*6) 2010/07/28(Wed) 23時半頃
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>>*6 [祭の準備を間近で見ていたヘクターは、既知の事であった。]
……。 そろそろ警告すべきかね。
[しばらく無言で何か考え込んでいたが、ぼそりと呟く。]
やれやれ…文明や科学様の力ってかァ? ケッ。おめでたいね。
[皮肉めいた嘲笑を共に広場を上から睨みつける。]
(*7) 2010/07/28(Wed) 23時半頃
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[ くつくつと愉悦に満ちた嗤い声が聞こえる。 その艶めいた響き。]
(*8) 2010/07/29(Thu) 00時頃
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>>45 ――ガキはたっぷり食って、大きくなってもらわねえとなァ。 くくっ。
[「捕食者」の眼で立ち去るトニーの後ろ姿を追っていた。]
(*9) 2010/07/29(Thu) 00時半頃
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[ 面白がるような熱い溜息が零れた。]
(*10) 2010/07/29(Thu) 00時半頃
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あーあ…いいねえ……。
[くくく、と同じように哂う声。この心地好い感覚の共有は本能的なモノだろう。]**
(*11) 2010/07/29(Thu) 01時半頃
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―祭前夜の夜― [ 駆けて行くイアンの背に、叩きつけるように声無き哄笑が上がり、真黒の森に響き渡る。 それを聞く者は、驚きに打たれ羽ばたく夜の鳥と――
――もうひとりだけ。]
(*12) 2010/07/29(Thu) 08時頃
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[ 閉められた扉の前に、冷ややかな瞳の獣がひとり。]
(*13) 2010/07/29(Thu) 17時半頃
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―祭前夜の夜 / 襲撃現場― >>*12 [イアンが立ち去るまで、木陰でじっと気配を殺しながら辺りの様子を見張る。 やがてイアンが完全に見えなくなるのを確認すると、楽しそうに動かなくなったソフィアへ近づく。]
…へぇ、ソフィアにしたのか…。 こりゃ意外だな。 アンタなら別の獲物を狙うかと思ってたぜ。
[黒衣を纏った姿で現れると同胞に話しかける。]
(*14) 2010/07/29(Thu) 18時半頃
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―祭前夜の夜 / 襲撃現場― [ 目を細め、現れた同胞を見遣る。]
別に、誰でもさしたる違いはないだろう。
[ 気怠るげな声音。 顔に垂れ掛かった長い髪を、首を振り、面倒臭そうに振り払った。]
(*15) 2010/07/29(Thu) 18時半頃
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腹が減ると言っていたな。 喰いかけで良ければ喰うがいい。 まだ肉は残っている。
[ 足元に屈み込み、草叢からソフィアの首を取り上げる。 愛らしかった美貌は恐怖と苦痛に引き歪んで見る影もない。 彼はその頬に飛び散った血をぞろりと舐め上げた。]
(*16) 2010/07/29(Thu) 18時半頃
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[ソフィアの側に膝まづくと、スカートに溜まった彼女のまだ温かい血液を両手ですくい上げ、ゆっくりと祝詞を上げる。言語こそ聞き慣れないものだったが、意味は神像への祈りと同一であった。]
『――どうか、常に我らと共にあれ』
敬愛と畏怖……我らと共に…。
[そして両手に満たされた乙女の血を一気に飲み干す。]
(*17) 2010/07/29(Thu) 18時半頃
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[ 同胞の挙動を何の感情も窺えない眼で見下ろしている。]
(*18) 2010/07/29(Thu) 18時半頃
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>>*16 「狼」は序列を重んじる。アンタが上、俺は下だ。 それくらいわかってらあ。
ソフィアを選ぶのも、アンタが先に喰らうのも、当然の事だ。
[血を飲み終えると、しゃがんだままそう答える。 そして、一瞬歓喜で身を震わせたと思うとソフィアに喰らい付く。]
そうだ、そろそろアンタの真名を教えてくれよ。 そんで…俺にもアンタから真名をつけて…くれねえか?
仕事があれば言いつけな。俺はアンタに従うぜ。
[口元を拭ってそう言った。]
(*19) 2010/07/29(Thu) 19時頃
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真名……ね。
[ その呟きに冷笑と――一抹の寂寞が篭っているようにも感じられる。]
前にも言ったが好きに呼べばいい。 お前も気に入った名があればそれを名乗れ。 俺には命名の権利を行使する気はない。
[ 鋭利な刃物の如き笑み、ソフィアの首を片手に掲げたまま、若い同胞を眺めやる。]
(*20) 2010/07/29(Thu) 19時頃
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[日の光で照らされた、極彩色の肢体を見て、昨夜の「久々の恍惚」を思い出していた。
その一方で、村人の「忘却」の罪に苛立ちもしている。]
(*21) 2010/07/29(Thu) 20時頃
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>>*20 ヘッ、そうだな。 まぁいつも通り呼ばせて貰うわな。
[粗方喰い終わるとふぅ、と一息つき冷たく笑う彼を見上げる。]
あーあ…まだ足りねえなあ。 儀式…コレが始まりの合図か。 てめえらが何を忘れているか、思い出させてやらねえとな。
[ソフィアの頭部を苦々しく見た後、視線を上げる。]
そういえばあのよそ者だが、どうするよ。 騒がれると面倒だぜ? 悪い奴じゃねえみたいだけどよ。
それに奴の滞在先と言い、奴を呼んだ理由と言い…。 リンドクヴィスト…。気に入らねえ状況だな。
[「食事」を終えると立ちあがり、乱れた外套を再び纏うと、長髪の同胞にそう問うた。]
(*22) 2010/07/29(Thu) 21時頃
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泉の神には乙女の首(こうべ)を。 聖なる樹には地の果実を。
泉に供物を捧げ終えたら、一度村に戻る。 月が沈んだら、それを聖樹に納めに行こう。 お前が手伝うと言うならその時に。
[ 同胞と大地に転がった屍骸に背を向け、森の奥に向かって悠然と歩き出した。*]
(*23) 2010/07/29(Thu) 21時頃
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今は放っておけ。
そのうちに、な。
[ その対象が新聞記者であるのか、リンドクヴィスト家のことであるのか。 定かにはせぬまま、声は消えた。*]
(*24) 2010/07/29(Thu) 21時頃
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>>*23 …ああ。そうだな。 彼女の魂と肉体も、我らの祝福された場所へ。
>>*24 [鋭く氷を思わせるその声に少し圧倒されたか、それ以上は何も言わず、森全体が闇に包まれる時を待つ事にした。]
(*25) 2010/07/29(Thu) 21時半頃
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>>172 [ヴァンルナール家の代々の家長は、古くから人狼を熱心に崇拝していたようだ。 (人狼と「契約」を交わしたのも、遡れば彼らの祖先に当たるのかもしれない。)
ヘクターは当然実子ではなく、「実子として」家に迎えられているに過ぎない。 対外的には、ヘクターの「祖父」が家長だが、実質的に実権を握っているのはヘクター自身であった。
――尤も、それについて知っているのは、ヴァンルナール家でもごく限られた者のみである。 ヘクターは彼らを「キツネ」と呼び、彼の命令は、対外的に「祖父が出したもの」として実行されていた。]
(*26) 2010/07/29(Thu) 22時半頃
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「約定」はやはり忘れ去られている、か。
[ 平静な声音。]
……それもそうか。
[ 小さく鼻を鳴らす。]
(*27) 2010/07/29(Thu) 22時半頃
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お前の言った通りだ。
彼らは忘れてしまった。
[ 遠巻きにソフィアの死体を眺めながら騒ぐ人間たちを凝視し、同胞に語りかけた。]
(*28) 2010/07/29(Thu) 23時頃
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>>*28 ああ、そうだな…。
[苦々しい思いで吐き捨てる。 ――我らを思い出す者はおらぬか?思い出しても畏れから口に出さぬだけか?]
村の年寄り共もどれだけ使えるやら。
[ヘクターを補佐する立場にある「キツネ」も、人口が増え、近代化へと向かう村に対し絶対的な力までは持っておらず、祭の形骸化を食い止めるには限界があったようだ。]
(*29) 2010/07/30(Fri) 00時頃
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[何故忘れる・・・何故・・・ こんなにも人の子は愚かだったのか?
我等が慈しみ護ってきた者らよ 幾度の潮の満ち引きと共に、汝のその英知はいずこかへ消えてしまったのか]
(*30) 2010/07/30(Fri) 16時頃
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>>*29 [ 同胞の憤りがじわりと伝わってくる。 「声」は殆どの場合において、音声による言語以上にその感情を能弁に伝える。 彼は伝わる怒りの感情を、舌の上で転がすようにじっくりと吟味した。]
(*31) 2010/07/30(Fri) 17時頃
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>>313 [聖なる樹、聖なる泉に捧げられし供物は、 再び人へと巡るだろう。
その肉体は人として大地に還そう。]
(*32) 2010/07/30(Fri) 21時半頃
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