158 雪の夜に
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……だから今度は、守るわ。
[その赤い口唇が紡ぐ言葉は、音になることはない]
(*0) 2013/12/20(Fri) 22時頃
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――つってもよ。
[どこかぼやき混じりに、応じる色は]
もう一度言うけどな、あんたが今度の何を守ろうが、 それとこれとは同じにはならねぇだろ。
弟の代わりみたいに見られても困っちゃうんだけどねー……
[人間の癖に狼の声を聞き語る相手に、どこか一歩を退く。]
こっそり海路の便宜図ってもらったのは、感謝はしてるが。
[一人旅が長かった故に、相手からの声が掛からなければ、 こうして囁きを零す事は滅多にない。]
(*1) 2013/12/20(Fri) 22時半頃
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あら、 聞こえていたの?
ご不満だった?ごめんなさい。 そうね、あなた、息子か孫くらいの頃合だものね。 ――なんて。
[ぼやく声には軽い笑みまじりの色が返る]
少し、思い出すことがあっただけ。 ……あなたが困ることはなにもないわ。
[所詮は自己満足に過ぎないのだ、と女自身も自覚はあった。 ただこの声を久々に聞いたから、理由などそれだけでよかった]
(*2) 2013/12/20(Fri) 23時頃
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[――ただ、 あの声を探して、
今もときおり、 こうして耳を澄ますことがある。
それだけのことだ]
(*3) 2013/12/20(Fri) 23時頃
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ご不満っつーか……不満って訳じゃねぇけど。 と言うか、そこの話じゃねぇけどさぁ。
[冗句にこちらも思わず苦笑。]
どうも慣れねぇなぁと思って。 人間相手なのに、こうして喋ってんのは変な感じだ。
[最初に声を聞かれた事が露見したその時、 この女は己を告発する心算なのだろうかと勘繰った。 何せ、"囁く"人間など初めて見たものだったから]
[――だが、そうはならなかった。ならずに今に至る。]
まぁな。……困りはしないよな。
[感慨深げに呟くのは、少し、思い出すことがあるだけ。]
(*4) 2013/12/20(Fri) 23時頃
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……そうね、わたしも、 こうして声に返すのは久しぶりだわ。
[人の中では異質であっても、 声の主の言うように所詮自分は人間だ。 抗えぬ血の衝動を、知らない。
故に常は聞こえたとしても、 聞かぬふりでやり過ごすことのほうが多かった。 何故、聞こえた囁きに応えたのだろう]
(*5) 2013/12/21(Sat) 00時頃
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きっとあなたが私を呼んだのよ。
[まるで少女のような言葉をこえにする。 幼い頃、囁きは姉弟の内緒話のようなものだった。
だから、彼にアンジェリカ、と名乗ったのも、 きっとそんな気分がよみがえったせいだった]
(*6) 2013/12/21(Sat) 00時頃
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俺が?
[声音は、きょとりとした。 そして――微笑う]
まさか。
[だが、そう、最初に不意に聞かせてしまった囁きは確かに、 過去を思い出しての独り言だったから。
そして、血の衝動を持たぬ話し相手の声がする度、 意識に上るのはひとつの足跡]
けど、そうだなぁ。 アンジェを見てると昔会った同族を思い出すよな。
(*7) 2013/12/21(Sat) 00時半頃
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[馬車に揺られたまどろみの中、 囁きは捕らえていたけれど、 その時はただ留めただけだった。
宴へと向かう背に、音のない囁きは零れて]
……ねえ、 あなたが昔会った同族、というのは――……、
いえ、 羽目をはずさない様にね。
[問いかけは迷うように途切れて、 かわりにそんな押し付けがましい言葉がひとつ]
(*8) 2013/12/22(Sun) 00時頃
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[涼やかに鳴る囁きは、宴の喧騒に紛れる事がない。]
ん? 平気平気。 こういうのも慣れてるんだぜ、結構。
[行く先々で、正体を悟られないままに、 土地の人間に馴染める位の処し方は身につけている。]
……気になる? 男の過去。
[くつり、秘め言に滲む]
(*9) 2013/12/22(Sun) 00時半頃
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――
[歓迎とは程遠い喧騒を、耳が捉える。>>#1>>#2]
(*10) 2013/12/22(Sun) 00時半頃
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あなたの過去も気になるけれど……、
あの、男。
[確かに捕らえた、男の口から零れた、 うめきにも似た“人狼”という小さな呟き]
(*11) 2013/12/22(Sun) 01時頃
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