217 【突発誰歓】幸福の壷【十二支騒動記】
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[ まだお酒は飲めぬ年の頃。 それでも とろりと杯満たす上等の酒に うつる酒まで飲む戌>>112の真似して一献傾けた。
甘く、馨しい香り。 かみさまの傍にいた時と同じ気分。
ほう、と頬に朱がのぼる。 ゆっくり外を見上げてみりゃ 夜空にひとつ、潤むうさぎの目にひとつ。 まぁるい月が、浮かんでた*]
(173) ゼロ 2015/02/21(Sat) 22時頃
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[猪は匂いに誘われやすい。 だから隠されるといっそう辛くなる。胸がきゅうとなる。
見せたくないものなのに、隠しておきたいものなのに、気付いてしまってごめんねと思う。
棚の奥に隠されていたお餅みたい。]
ず、るい? ずるくなん、か……
[涙袋に溜まった雫は留まりきれず、また落ちる。]
(174) k_karura 2015/02/21(Sat) 23時頃
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――ずるいのは、櫻ちゃんの方 だ。 何でもないよ、平気だよって、いつもいつも心配させないように、してる。
逆、だよ。 いーんだよ、心配させてよ。 悲しませてよ、痛いって……思わせて、よ。
ねぇ。
(175) k_karura 2015/02/21(Sat) 23時半頃
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[堰を切ったように涙は止まらない。 ごめんねと言葉にならない謝罪。 己が泣いていたら、いつまで経っても寅が泣けぬから――と。
顔面が上がり、喉を晒しても。 涙は止まってくれなかった。]
(176) k_karura 2015/02/21(Sat) 23時半頃
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[移った赤は唇を僅かに飾り。 指先ではない感触に、亥は言葉を忘れる。]
―――っ!
な、なななな、なっ
[ぼふりと煙が見えそうな程、亥の身は赤に染まる。]
(177) k_karura 2015/02/21(Sat) 23時半頃
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[広間から離れた理由を思い出させる言葉。 驚きのあまりに飛び出していた尻尾を後ろ手に抑え。 神様に運ぶ水を用意する為、寅と暫し別れることを選ぶ。
人差し指は内緒の証。
閉じられた襟、弧を描く唇、涙を拭った指、見詰める瞳。
どれもかれもを直視出来ずに、亥は俯きこくりと頷く。癖っ毛から覗く耳は赤いまま。]
じゃあ、また後で……。
(178) k_karura 2015/02/21(Sat) 23時半頃
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[着替えもあるからと先に出ようとして。引かれた手首、上から手を重ねて。 振り返った。]
――櫻ちゃ ん!
[名前を呼んで。 腕を伸ばして。
身を引き寄せて。 うんと背伸びして。
唇を目端に掠めさせる。]
(179) k_karura 2015/02/21(Sat) 23時半頃
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えと、予行演習 だから。
[今度こそ、先に痛いと感じれるように。泣けるように。 また、己だけに見せてくれるように。 ずるくないように。]
………じゃ、あ!
[ふたりだけの秘密を重ねた。**]
(180) k_karura 2015/02/21(Sat) 23時半頃
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[酉に盃を押し付けられれば、やはり酉のには敵わぬと渋い顔をしながら美酒に口をつけ>>163。]
……ああ、やはり旨いな
[この喧騒の中で飲む酒は。 酉の言葉に頷き>>165、思案にふける。 淋しいと最後に呟いた、己に憑きしあの邪気は、この喧騒の中に混ざりたかったのではないかと思えてきて。]
……何れ、夏日の呪いを解かねばな
[恩も仇も、過ぎたるは返さず相応を返す。 ならば己の掛けし呪いも、いつぞやは過ぎる物となる。 ならば何時か、呪いを解くときは。 彼奴が幸せになれるよう、手伝うのも良かろうと。]
(181) あんもびうむ 2015/02/21(Sat) 23時半頃
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……そうだ、申のに言わなきゃなんねぇことがあんだった
[夏日のことで思い出した。 どうやら亥のに憑いていた邪気は、子と申を間違えて呪を掛けたらしい。 その事は邪気を探っていた時、感じており。]
いい加減、申のは知恵者だと認めねばな
[何時かの昔に言ったこと>>0:230。 邪気を誤魔化せる程の猿真似ならば、立派な物。 果して彼の者が覚えてるかは定かでは非ず。 だが其でも構わぬ、と申の姿を探し始めた。*]
(182) あんもびうむ 2015/02/21(Sat) 23時半頃
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[巳 火性 陰 その方角を司る神は『おそれ』を表し、凶とされ 司る星も凶星たる星『螢惑星』 別名『火星』
方角も、星も、司りし神も、己が名でさえも 凶事ばかりを示すもの
軈て来る吉事を、深く味わう為に在るもの]
(*24) あんもびうむ 2015/02/21(Sat) 23時半頃
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[禍福は糾われる縄の如く、表裏一体を成すもの 何れ程願い、神にすがろうとも、大吉は何れ凶に還る
其は禍とて同じこと 身に振り掛かりし厄は、廻り廻って何れ吉へと還る
――だが、その何れも必要な事に非ず 大事は、禍福は神が決めるに非ずと云うこと 総て己が決めし事、と云うこと]
(*25) あんもびうむ 2015/02/21(Sat) 23時半頃
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[己を不幸と思う者よ 己の禍を嘆く者よ 禍凶を知りし時、初めて幸福を知ると思し召せ
禍凶ありてこその幸福だと思し召せ]
(*26) あんもびうむ 2015/02/21(Sat) 23時半頃
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[総ての禍福は意味あること 総ての禍も福も、己が決め、定めたと云う事]
(*27) あんもびうむ 2015/02/22(Sun) 00時頃
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[其を胸に刻み、己が手で幸福を*掴み取れ*]
(*28) あんもびうむ 2015/02/22(Sun) 00時頃
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[―――――――幸せだ、
と思えたのは久方振りだった。]
(*29) k_karura 2015/02/22(Sun) 00時半頃
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[その瞳は赤橙。 遠くからでも招き、誘う色。
胸焦がす名前を呼べる幸せは喉を震わせる。]
……あぁ、そうだとも。 僕が「辰星」だとも。
(*30) k_karura 2015/02/22(Sun) 00時半頃
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[遠い記憶。暗闇のなか。光のなか。 確かな感触、甘やかな香り、心地好い声。
なつひ。
其れ以外の名前など知らないとばかりに、繰り返す。
なつひ。 夏日。>>*23]
忘れさせるものか。赦さないと――言っただろう?
忘れるものか、忘れるなんて――… もう一度喪うなんて。
(*31) k_karura 2015/02/22(Sun) 00時半頃
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――――嫌だ。
(*32) k_karura 2015/02/22(Sun) 00時半頃
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……今度こそ離れず、共に生きていこう。
夏日。 君の全てが―――欲しいんだ。
生きる時間も、何もかも。 もう待たせないで済むように。
[奪わせて欲しい。
独りにしないで――と 請い願う。恋願う。**]
(*33) k_karura 2015/02/22(Sun) 00時半頃
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[露を乗せた笹の葉を神様に届けた後、亥は戌と子の間に座す。
宴の品のひとつひとつ、皆が楽しめるようにとの想いが伝わってきて。ほくばぐと思いの外腹に詰めてしまった。]
―――あの人は、幸せを見付けたの、かな。
[何となしに紡ぐ言の葉。 あの人は……さて、誰のことだったろう。
――忘れてしまったナニカ。]
(183) k_karura 2015/02/22(Sun) 00時半頃
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[皆の視線が集まった気がして。 亥は緊張に背を震わせた。
いつもの通り。 いつもの通りの、幸せな時間。**]
(184) k_karura 2015/02/22(Sun) 00時半頃
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[穢れの落ちた陶片を酒の器にして。
神様は宴の輪の中にいた。
壷の中に在ったもの。
届ける声あれば聴かぬ振りをして。
明日も善き日になろうぞと笑うのであった。**]
(#8) 2015/02/22(Sun) 00時半頃
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[己が紡ぎし名を肯定せし少年>>*30に、繰返し繰返し名を呼ばれ、幸を噛み締める。 赦さないという愛しい名を持つ相手に暫し目を見張るが、軈て笑みへと変えて]
そうだったわね 赦さない、と言っていたわ
[嫌だと紡ぐ口に、ふふ、と笑いを溢し。]
いいわ 全てをあげる あの時叶わなかった、全てを――
[あなたに奪われてあげる。 其は、娘なりのもう二度と離れないという契り。]
(*34) あんもびうむ 2015/02/22(Sun) 01時頃
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[愛しいあなたと共に あなたと*永久に*]
(*35) あんもびうむ 2015/02/22(Sun) 01時頃
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―― 目覚めて、それから ―― [目を覚ました彼女の瞳は、欠伸でもしてたのかほんの少し潤んで見えた。おはよう、という当たり前の挨拶ですら、こんなにも愛おしい。
ただただ、そこに居てくれることが、嬉しくて。
また自分の目の前から、この可愛い人が居なくなることが恐ろしく感じられたから。 じっと見つめて瞳に焼き付ける。
それが居心地悪かったのか、途端口籠る未に>>168少しだけ首を傾いで。 どうしたのだろうと傍らまで歩み寄れば]
(185) kotsuma 2015/02/22(Sun) 01時頃
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[おんぶをねだられた。 開口一番それかと、思わず破願してしまう。]
お望みとあらば、お姫様。
[嗚呼、心地いい。 彼女の体温が、柔らかい肌が、…我儘が。 背中にかかる重みに、心が締め付けられた。
やがて小さくねぇ、と呼び掛けられて。 続く言葉に息をのんだ。]
(186) kotsuma 2015/02/22(Sun) 01時頃
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[ドッドッド、と早鐘を打つ鼓動が煩い。 頬に集まる熱を感じながら、ちゃんと聞こえていた癖に]
沙耶、なんだって…?
[などと。 半分意地悪で、半分もう一度聞きたくて、聞き返す。 一寸の沈黙。 拗ねてしまったろうかと、首を後ろに捻ろうとしたら、今度は先程よりもはっきり聞こえてきた言葉。>>169 すぐにぐりぐりと背に顔を埋める感触がして。
午は思わず駆けだした。]
(187) kotsuma 2015/02/22(Sun) 01時頃
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沙耶ァ!私も大好きだ!!
[大声で愛を告げれば、皆の注目を集めただろうか。 そんなこと、気にも留めずに。
背中に未を乗せた午は、幸せそうに*笑っていた*]
(188) kotsuma 2015/02/22(Sun) 01時頃
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