182 【身内】白粉花の村
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[問いの答えを待たずして歩き出す医者>>192に文句のひとつくらい言っても許されるのではないか。それくらいの悪態をつく位、許されるべきだ、とレティーシャは考える。]
ーー……。
[ほんの数十秒の間、皮肉の言葉を考えてみたものの、結局なんて言えばいいか分からず不満気に彼の後に続いて歩を進めて。]
(……わたしは、見放されたのかな。わたしは、此処で死んでいくのか。)
[希望に押し潰されて死んでいくのは、どんな気持ちなんだろう、と医者の背中に問う。ーー答えは返ってこないんだろうけど。
ふ、と中庭が近付いて窓から色鮮やかな紫陽花が目に入れば息を吐いて。]
綺麗な、紫陽花ですね。 部屋に飾りたいくらい……。
[そうすれば少しは心が救われるだろうか、死の悲しみは癒えるだろうか、なんて考えれば静かに彼の答えを待った。]
(198) 2014/06/26(Thu) 23時頃
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[得たい情報を知らなかったディーン(>>187)に対しても険悪な反応は示さず、むしろヘラリと笑った]
だよねぇ…。ニハハ
[力無く笑うと、これ以上欲しい情報は無いと判断して雑談でもしようかと思ったがいつまでもクローゼットの前に座り込んで話しするのも疲れると思ってベッドに戻る事にした]
悪いんだけどディンさん、ベッドまで連れてってくれないかにゃー。歩けはするから補助くらいで良いんだけど
[駄目なら這ってでも行くから構わないのだが、人の前でそれをするのは多少抵抗があったし、途中で吐いたら雑巾のようになってしまうのは嫌だった]
(199) 2014/06/26(Thu) 23時頃
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[伝わる安堵の雰囲気>>197に、こちらも同じく安心を覚えながら。 常とは違う真剣な声音でかけられた、随分と慎ましい質問に、ぱちりと。瞬きをひとつしてから、伸ばされた彼女の左手に目をやった。]
構いません、けれど。 ……ちゃんと、眠るまではいますから。
[その手が自らの白衣へと辿りついたなら、しばらく見下ろして、縋るようなその動作に、加えて言葉をひとつ、投げ返して。 緩い力のその手からうっかり逃れてしまわないよう、椅子に腰掛け直しながら。その手を取るべきだったのかとは、そこでようやく思い至ったけれど。
結局何をしてやることもできずに、どことない居心地の悪さを覚えながら、それを誤魔化すように、上掛けを引いて掛けてやる。 静かな空気の中で、詰めていた息をゆるりと吐いた。]
(200) 2014/06/26(Thu) 23時半頃
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[ネルが部屋から出て来てくれたり、ローズマリーがぐったりしてしまったり、けちんぼせんせいがローズマリーを助けてくれたり。 色んな事が起きすぎて、暫く放心したようにただただ見守ることしか出来なかった。]
……うん、
[ようやっと返事をしたのは、彼らが行ってしまったあと、ネルに手を差し出されてから>>196だった。 そっと彼の手を握り、ぱこぱこ、からから。スリッパと点滴の音を立てて歩き出す。 そして、彼に質問をされれば、はっとしたように声を上げた。]
…あっ
[言い忘れてしまった、と。彼女がけちんぼせんせいの話をしているというのに眉を下げて反省しているのだ。ネルにとっては、驚くべきことかもしれない。
その後も、"ろーずまりぃのうたをきいていたらいつのまにかてんてきがおわってたんだ"とか、"すごくすてきなうただったんだ"とか。彼に出来る限りありのままを伝える。彼が笑って聞いてくれるなら、いくらでも話せる。]
(201) 2014/06/26(Thu) 23時半頃
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…ここで、いい。
[そして、下へ続く階段の前で、デメテルはそう告げた。引きこもってしまった後のネルはいつも顔色が悪いから、それを心配したのだ。 ひとりでかえれるから、と告げると階段を降りかけるが、はっと何かを思い出したような素振りをすれば、慌てて階段を駆け上がり]
……っ
[彼にむぎゅ、と抱きついた。]
ねる、でめてるだってそんなにこどもじゃないんだ、かなしかったり、つらかったら、ゆってほしいんだ
……お願いだ、ネル
[彼に抱きついたまま、ぽつりぽつりと話し始める。そして、最後に一言、いつもの舌足らずな話し方でない一言は、彼に伝わっただろうか。 そのままぱたぱたぱた、と階段を点滴を持ち上げて降りてしまった]
(202) 2014/06/26(Thu) 23時半頃
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[息を吐く彼女>>198を、隣でそっと見つめて。その顔に幾らかの平静が戻った事が分かれば、心の中でだけ安堵する]
……貴方と同じことを言った人が居ましたよ。
[もう、此処には居ないけれど]
飾りたければ、持って行ってくださっても構いません。 でも、他の人には内緒にしてくださいね。
[しい、と。悪戯っぽく人差し指を口に当てて言ってみせる。 本当は医師としてそんな事を勧めてはいけないのだろうけれど。
紫陽花に見入る彼女の、その小さな手を取って、床に膝をつくようにして視線を合わせる。少しでも安心させたくてそうしたのだけれど、握った手は拒まれはしないだろうか。 されたとしても、悲しげに笑ってみせるだけだろうけれど]
貴方は何故同じ病の彼だけが治癒したのかと……そう思っているのかもしれません。 けれど、言ってみれば当然の事なんですよ。
[視線を下ろして、手の届かない場所に行ってしまった幼馴染を思い描く]
(203) 2014/06/26(Thu) 23時半頃
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彼が発症してからどれくらい経つか、貴女は知らないでしょう。
……20年です。20年も彼は、あの病と戦ってきた。
[自分は恐らく、そんな彼を誰よりも近くで見てきた。 ……だから、彼女の苦悩も他よりは理解出来ているはずだ。どれだけ辛いか、心細いか。同じ病を抱えずとも、理解出来る事はあるのだ]
その全てが残っているわけではありませんけれど……それだけ、彼のデータは積み重なっているんです。 貴女達とは、情報の絶対量が違う。だから――。
[息を潜めて、眉を寄せる。もし彼女の手を握っているのなら、力が入ってしまったかもしれない]
……だから、まず、最初に投薬を。
[いわば人体実験の意味合いもあるのだと、彼女は悟ってくれるだろうか。彼の治癒を足がかりに、他の患者を治療していくのだと]
彼に投薬して、またデータを汲み取って。 そこから貴女達個々人に合う薬を作っていく予定なんです。
[顔を上げて、彼女の方を向く。淡く、淋しげな笑みを作って、言葉を続けた]
(204) 2014/06/26(Thu) 23時半頃
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貴女達を見捨てたりはしません。 ――どうか僕を、信じていただけませんか。
[懇願する言葉は、彼女に届いただろうか。 届いても、届かなくても。少しでも彼女の心が和らぐなら、どんな言葉でも受け入れるつもりだ]
(205) 2014/06/26(Thu) 23時半頃
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よかった… [変な願いを受け入れてくれた>>200彼の上着の端を、きゅ と握り、控えめに引っ張る。 こうしている事で、物理的にこの新米の医師と繋がっているような安心感を感じる。
上掛けを掛け直す医師は、その優しい行為とは裏腹にどこか難しそうな顔をしていて。 何時もの自分なら「男前が台無しだ」とでも茶化したのだろうが、今この瞬間だけは心に仮面を被せる事はしなかった]
センセ…今、何考えてるの?
[その指に挟んだ白衣の端をまるで子供の様にくいくい、と引き、問いかけという行為とは対照的にぽつり ぽつりと語りを綴る]
(206) 2014/06/27(Fri) 00時頃
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…そんな難しい顔しないで頂戴。 センセは、悪くないんだから…
私ね…知り合いも居なくて、家族も居なくて。 ああ、このまま良く分からない病気で…誰とも繋がりを残せないまま、一人孤独に死ぬんだなぁ…って、思ってたの…
でもね…ここに来て、センセが居て、私の担当医になって…
私の人生は、無色から、やっと白黒になったの。
誰がどう研究しても治せない病気と… 懸命に向き合ってるセンセ…
それがどれだけ私に生きる希望を与えてくれるか…
[そう良いかけて、彼女は枕に顔を埋める。 目頭を伝う雫を隠す為に。]
(207) 2014/06/27(Fri) 00時頃
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ーー信じて、いいですか。 信じて、生きていれば救われますか……?
[震える声で絞り出す言葉はそんな質問ばかりで。今まで信用なんてしなかった医者の言葉に縋るように述べると、彼の手を両手で包み込んで。]
もしも私の命が尽き果てたとしても、それは誰かの役に立ちますか……?
[そうだとすれば、どれだけ心が救われるか。宣告された余命はあと数週間、その間に病気を治癒することは出来ないだろう。それでも病に苦しむ他の誰かが助かるのなら、その死は無駄ではなかったと思えるはずだ。]
先生、紫陽花の花言葉を知っていますか。 『辛抱強さ』なんて意味があると思えば『無情』『冷酷』なんて意味も持っているんですよ。ーーこの紫陽花は、どちらの意味をわたし達に示しているんでしょうね……?
[ずっと大切にしていれば病気の治療法が見つかるまでの辛抱強さを与えてくれるかもしれないですね、と続ければ少しだけ戴いていくことにします、と彼に告げた。]
(……同じようにこの紫陽花に見惚れた誰かは、辛抱強く病と向き合っているのかな。……そうだったら、嬉しいな。)
(208) 2014/06/27(Fri) 00時頃
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[小さな声で喋り続けると、彼女を微睡みが包む。 恐らく、先程の薬の効果だろう。 そのままうとうとと意識の底に沈み行く彼女の指は医師の上着を離れ、支えを失いだらりと下がった]
(209) 2014/06/27(Fri) 00時半頃
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[ぴょこぴょこと跳ねるように歩く。 しっかりと繋いだ手は、跳ねるたびにぷらぷらと揺れ、それが面白くて声をあげて笑ってしまう。
朝顔に合わせ、腰を屈めて歩いてくれているオスカー>>194は大変そうだが。]
あれからね、いっぱいれんしゅうしたから。 いろんなのおれるようになったよー。
[風船、箱、飛行機、お花。 折れるようになったものを指折り数えてみる。
『いっぱい』と言っても、折紙の包みに載っていた物しか、わからないから、実際はたいした種類ではないのだけれど。]
もっといっぱいつくれるようになりたいなー。
[図書室などに行くことができれば、もっとちゃんとした折紙の本が、置いてあるかもしれないが、いまの朝顔には部屋から出ることすら難しい。 今度、先生に頼んでみよう。なんて考えて。]
(210) 2014/06/27(Fri) 00時半頃
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とーちゃくー。
[扉の向こう。病室の床には、一面に色とりどりの折り紙や風船が散らばっていて、おもちゃ箱をひっくり返したみたいになっている。
朝顔の目には、人よりも大きいものから、米粒くらいの小ささのものまで、バラバラのサイズに見えるそれらの間を、縫うように気をつけながら歩いて行く。 もっとも、オスカーの目にはただ、折り紙が散らばっているようにみえるだろうから、踏んづけて歩くのもよけて歩くのも、どちらも大した手間ではないだろうけれど。
やがてベッドの近くまで来て来れば、相変わらず平たく見えるその傍らにストンと腰を下ろした。]
ふたごのおにーちゃんは、おいすにすわる?ベッドでもいーよー。
[どっちでもいいよ。と声をかけ、新しい風船を膨らませ始めた。]
(211) 2014/06/27(Fri) 00時半頃
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双子 朝顔は、メモを貼った。
2014/06/27(Fri) 00時半頃
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――いいえ。貴女を死なせはしません。 貴女は僕の患者だ。絶対に死なせたりはしない。
[震える声に、力強く返す]
だから、貴女の命が尽きるのは、病気の為なんかじゃあないんです。 レティーシャさん、貴女の命は、もっと大切な何かの為にあるはずだ。 だから……だからもう、死ぬなんて考えないで下さい。
[病のせいで悲観的になってしまうのはよく分かる。けれどだからといって、自らが死ぬものとして生きていこうとする彼女を、許せるはずかない。 ……馬鹿にしているのか、と。小さな憤りさえ覚える。 自分はこんなにも彼女を救おうとしているのに、何故彼女自身が、その生を諦めてしまっているのか。救うという言葉が、どうして届いてくれないのか]
……誰にも、見つからないようにしてくださいね。 僕が怒られてしまいます。
["無情"、"冷酷"。それはもしかしたら、自分にこそ相応しい言葉なのかもしれないと、小さく苦笑した。
中庭への扉を開けて、彼女が紫陽花を採ろうとするなら、それを見守って。そのまま彼女が去るとしても、その後を追ったりはしないだろう。 まだもう少し此処に居て、咲き誇る紫陽花を見ていたいから**]
(212) 2014/06/27(Fri) 01時頃
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―自室―
[パサリ。紙の落ちる音と共に、深く息を吐く。それは落胆からではなく、ようやくこの作業から解放される安堵の溜息。 両手を頭上へと伸ばし、伸びをひとつ。見上げた天井は何処までも白く、染みの一つもありはしない]
…ふう、ようやくですか。 少し息抜きでもしたいですね。
[傍らのカップはもう空になっているし、新しい飲み物を取りに行くのも億劫だ。喉を潤す事は早々に諦め、ポケットから煙草を出して口に咥えると、マッチで火を付けて煙を吸う。手元の灰皿には何本かの吸い殻――どれも長い長い灰の棒になっている吸い殻がいくつか。集中している時は、ついつい一口吸ったまま放置してしまう]
……そうだ、鶴でも折りますか。
[煙を吐きながら思い立ったようにそう呟くと、引き出しを引いて中を漁る――が、折り紙などあるはずもなく。 何故だか今は無性に鶴が折りたいのに。そう言えばメモ用紙も切らしていた、と小さく肩を竦め、そして机の上のカルテが目に止まった]
(213) 2014/06/27(Fri) 01時頃
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…………。 また書き直せばいい、か。
[煙草を口に咥え、一番上にあったオスカー[[who]]のカルテを手に取り、三角に折る。そしてそれを一度開き、余った部分を内側へと折り込んで正方形の形へ。続いて先程折った折り目とは逆に三角に折り――幼い頃に異人に教えて貰ったその紙遊びを思い出しながら、何処か辿々しい手つきでカルテを折っていく]
……あれ、ここからどうするんでしたっけ。 確かこれを開いて…いや違うな、こっちでしたか?
[それでも割と順調に折り進めていたが、羽を作る所で手が止まる。ああだったか、こうだったかと手を動かしかけるも、やはり違う気がすると結局折り進める事は出来ず。数分程唸った後に、先程とは種類の違う、今度は紛れもない落胆の溜息を吐く]
(214) 2014/06/27(Fri) 01時半頃
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………ここまで折って折りきれないのは、どうも気持ちが悪いんですけど。
[声に不服の色を滲ませ、諸悪の根源であるカルテだったもの(今となっては鶴の成り損ないだが)を睨み付ける。気晴らしをするつもりが、残ったものは胸に渦巻く気持ちの悪さ。折角カルテの一枚を無駄にしたと言うのに…嗚呼、そうだ。院長やらあの同僚やらに見つかる前に、書き直さなければならないというのに!]
……もういいです、出掛けましょう。
[忌々しそうに折りかけの鶴に一瞥をくれ、咥えた煙草を灰皿へと押し付け席を立つ。書き直さなければならないが、今はそんな気分ではない。見つかる前にやれば良いと言うことは、即ち明日でもいいということだと胸中で言い訳しながら、適当に散歩でもしようと部屋の出口へと向かった]
(215) 2014/06/27(Fri) 01時半頃
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いえ、その、特には…。
[白衣を引く手>>206に、伏せかけていた視線を上げる。特に何かを考えていた訳でもない、もっと漠然としたものだと、どう答えたものか悩んで。 それより先に続けられた独白>>207に、結局その唇は閉じられた。]
…ええ、………、
[ぽつぽつと語られたそれに、相槌を打つでもなく、首肯で続きを促すでもなく、ただ静かに聞き入る。 あまりに難儀な彼女の状態と、身に余るように思えるその言葉は、すぐに思考に吸収されることはなかったけれど。]
……ようやく、白黒ですか。
[ゆらりと力を失って落ちた腕>>209を持ち上げて、そっとベッドの上へと乗せる。 告げられた言葉を、ゆっくりと反芻して。小さくそれだけ呟いた。 枕に埋められたその表情は伺えなかったけれど、見られたとしても直視できる気もしない。
彼女の目が覚めて回復していたのなら、すぐに歩き回ることもできるだろうと、揺れる点滴台を見遣りながら考える。 そのまま静かに椅子を立つと、窓に寄ってカーテンを閉めて、一度だけ振り返ってから処置室を後にした。]
(216) 2014/06/27(Fri) 01時半頃
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わたしだって、死にたくないです。 生きれるのなら、生きていたい。
ーーだから、もう少しだけ先生を信用することにします。
[紫陽花を採り、真っ直ぐと彼を見据えると答える。生きる希望を持つことは不安であったが、力強く話す彼に賭けてみたい気持ちもあって。もちろん、死を無駄にしたくない、どうせ死ぬのなら人の役に立ちたい、という気持ちが完全に消えたかといえば嘘にはなるが。]
先生は、悪い人ですね。 でも、嫌いじゃないですよ、そういう人。
[少しばかり苦手で他の医者よりも余所余所しく接してはいたが、それも和らいで。綺麗に咲く紫陽花を見つめる彼に深く頭を下げると中庭を後にした。]
(217) 2014/06/27(Fri) 01時半頃
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[廊下に出て扉を閉めれば、はああとひとつ、深く息を吐く。 ずっと感じていた居心地の悪さは、医者としては失格だと思うけれど。少し皺になりかけた白衣の裾を眺めて、無言で手で伸ばした。
運び込まれた少女からの一連の騒ぎで、なにひとつ仕事が進んでいないことには、気付きたくはなかったけれど。 持ち出そうとして結局、診察室に置き去りにしてきてしまったカルテを、まずは回収しなければ、と。 固まり始めた首を回して解しながら、1階への階段を降りる。]
コープラさんのあれは、回診に……いや、ならないか…。 シャルルさんはひとまず良し、それから…、
[こめかみに手を当てて、ひとりひとりのスケジュールを思い出しながら、ぶつぶつと小さく呟いて。 多少ならば横着してしまっても良いかもしれない、同僚ならばそんな事を言うのだろうか、なんて、大概失礼なことを考えながら、目的の場所へと向かう。]
(218) 2014/06/27(Fri) 02時頃
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…ん。
[ぼんやりとした意識が戻る。世界はぐるぐると廻るのを追え、彼女は天井に腕を伸ばしその姿を確認する。果たしてどれくらい眠っていたのであろうか。 ふと椅子に視線をやるとそこにあったはずの姿は無い。「眠るまでは居る」と言っていたのだから当然と思うも、何処か寂しく感じる。
―いや、それよりも、だ]
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!
[彼女は顔を真っ赤にして、枕にその顔を繰り返し繰り返し打ち付けた。 自分としたことが、なんて事をしてしまったのだろう。意識が朦朧としていたとは言え 具合が悪くて滅入っていたとは言え 自分のしでかしたことの恥ずかしさに打ち振るえ、枕に顔を埋め足をばたばた と泳がせた]
(はぁ…涙まで見せちゃって…)
[いつもいつも彼をからかってその顔面を真っ赤にさせていたその身としては、してやられた気分である]
(忘れよう…。 いや、でも忘れたくない出来事だったわね…)
[ひりひりと痛む額を手で摩り、処置室を後にした。]
(219) 2014/06/27(Fri) 02時頃
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[セシルへのお礼の話に反応し、眉を下げて反省するデメテルに、軽く目を見開く。常なら彼の名を聞いただけで不機嫌になるくらいだというのに。しかしこれはとてもいい変化だろう。素直なことは、いいことだ。]
よしよし、今度会ったらちゃんとありがとうって言うんだよ?
[そのあとも、自分が去った後の話を必死に語ってくれるデメテルを微笑ましく思いながら、楽しげに歩みを進める。ローズマリーにはあとでもう一度しっかりお礼を言わなければ、と心に決めて。]
…?デメテル?
[ここでいい、と立ち止まったところは、階段の前で。部屋まで送りたいのにどうして、とはてなを浮かべる。殊更真剣な表情で言うものだから少し反応が遅れてしまったけれど、やはりひとりにさせるのは、と考えて小さな背を追おうと足を踏み出したら。]
(220) 2014/06/27(Fri) 02時頃
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わ!
[くるりと向きを変え、突如自分に駆け寄ってきた小さな身体を、間抜けな声を出しながら抱きとめる。一体どうしたというのだ。
そのままの体制で、どこか訴えるようにぽつぽつと紡がれる言葉がするすると頭に流れる。こんな風に真っ直ぐと主張されたのは、初めてかもしれない。]
デメ、テル
[最後に据えられた、いつもとは違うどこか大人びた口調の懇願に目を丸くさせて、息を吐く。 抱きついてくる彼女の身体はとても小さくて、か弱いけれど。それでもこの言葉は自分にとって酷く頼もしいもので、泣きたくなるくらいだった。]
敵わないなあ……
[走り去る少女の背中を困ったように笑みながら見つめて、ひとり呟く。 自分を想ってくれる小さなレディに感謝して、次に会ったらうんと甘やかしてやろうと心に決めた。子ども扱いするなと怒られるかもしれないけれど。]
(221) 2014/06/27(Fri) 02時頃
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いっぱいか、凄いな 今日はそれを教えてくれ
[跳ねる様に歩く少女と手を繋いで歩くのは、ちょっとだけ恥ずかしくもあって、それを隠すために澄まし顔を決め込んで。 口元はつい緩やかに釣り上がっていたかも知れないけれど。
折紙も以前に朝顔から東洋の遊びだと教えてもらったものだ。よくあんな紙一枚で幾千の表現が出来るものだ。そうオスカーはよく感心していた]
(222) 2014/06/27(Fri) 02時頃
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うわ…
[扉を開いて入り込めば、広がる多彩色。 均一の紙と丸いゴムが散りばめられていて少しは芸術的だとか美しくは感じたけれど、零れた声は"散らかっている"。そういう呆れが聞き取れる]
僕はここでいいよ。
[幾つかの折紙と風船を纏め始め、その空いた隙間に足を踏み置く様に部屋へ。 朝顔の座るベッドから1mの距離も無い床へ、そのままゆっくりと腰を下ろし。 集めた風船と別個に折紙の山も自分の手元に積み置き、一番上の茶色の折紙で唯一折ることが出来る鶴を作り始め]
…今日また喧嘩したんだよ そんなつもりじゃ無いんだけどな。
[ポツリと幼い彼女へ告げ、はぁ、と小さくだけ溜息を漏らし。本当なら小さい子へこんな話はするべきではないだろう、けれどオスカーには彼女がその少ない話し相手であって。
三角四角にクルクルと紙を折り続けて、胴体を作り上げていきながら、朝顔を見て、照らし合わせた恋しさに目を細めて。あの人は元気だろうか]
ホリーに会いてぇな。
(223) 2014/06/27(Fri) 02時頃
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童話作家 ネルは、メモを貼った。
2014/06/27(Fri) 02時頃
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[妙に疲れた気持ちのまま、診察室の扉を開く。 てっきり無人だと思っていたその場所に、まさか先客>>141がいるとは思ってもいなかったけれど。]
…参ったな、今日は良く、会う。 あまり勝手に荒らすなよ。
[机に突っ伏す弟のその背中は、よく見覚えがある。 それこそついさっき、自分の前から逃げるように立ち去るのを見たばかりだ。 それでも、会ってしまったものは仕方がないと、今度はどんな顰め面をされるだろうかと。 そんな思考は、彼から好意を向けられることはとっくに諦めている。 怪我の事もあるし、自分はけして、彼と会いたくない訳ではなかったのだけれど。]
……、おい、何してる…!
[そこまで考えたところで、机に広がる血溜まりに気が付けば、顔色を変えてすぐに駆け寄った。 彼の眠気ゆえの投げやりな自傷は今に始まった事ではないけれど、ここまで酷い光景を自分が目にするのは、初めてかもしれない。 彼がこちらに気付いても気付かなくとも、その肩を引いて、血塗れの手首を取り上げるだろう。]
(224) 2014/06/27(Fri) 02時半頃
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ローズマリーは、い、痛いような気がしただけだからね!と言いながらでこを摩った
2014/06/27(Fri) 02時半頃
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[その人差し指と親指に残る摘んだ白衣の感触を、指を擦り擦りと擦り合わせて確かに思い出す。やはりどうしても忘れることは出来ない。一旦退室しようと腰を上げた彼はどうしてあの時優しさをくれたのか。ひとつ解っているのは、自分は患者で 彼は医師。ただそれだけの解りきったルールである]
やめやめ…帰りましょ。
[部屋に帰れば、開きかけのブランデーがあったはずだ。ややこしい事、恥ずかしい事、全部洗い流してしまおう。最も、こんな事があった直後に一杯やるなど、先程の医師に知られたら呆れられそうだが。そこはまあ、照れ隠しという事で許してもらおう。と、意味の解らない考えを巡らす。思考がポジティブに戻っている事を実感した]
(…いつも通り、笑えてるわね。 やっぱり、具合が悪いと滅入るのね)
[かつ―かつ― 背の高い靴は、静かな廊下に高い響きを上げる。 階段を下りれば、そこは自室のある1階だ]
(225) 2014/06/27(Fri) 03時頃
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―2F廊下―
[小さな足音を響かせながら、白く塗られた廊下を歩く。何処に行こうかと迷いつつも、そう言えばあの時の詫びがまだだった、と取り敢えず売店へと向かう事にした。小言を聞くなど気晴らしどころか気が滅入る話だが、後に引き伸ばせば引き伸ばす程面倒も大きい]
(……カルテを書き直すよりはマシ、カルテを書き直すよりはマシ…はぁ)
[そう自分に言い聞かせながら重い足を無理矢理進め、何とか売店へと向かう。こんな事なら手土産の一つも持って出れば良かったと公開するも後の祭りだ。今から部屋に取りに行くのは面倒臭いので、もういっそ手ブラで向かう事に決める。 程なくして売店へと到着すると、何時ものように笑みを浮かべ、カウンターの向こうの店員に声をかけた]
(226) 2014/06/27(Fri) 04時頃
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こんにちは。 ……先日はすみませんでした。
[挨拶の後、至極申し訳なさそうな顔を作りると顔を見るなり小言を言い始めた店員に向けて軽く頭を下げる。手土産が無い分、両手を合わせてチラリと相手の顔を見やり。 暫くの間、相手の口から飛んでくる小言に申し訳なさそうち相槌を打ち――実際には右から左へと聞き流していたのだか――今度取り寄せたバターサンドを持ってきますから、と苦笑しながら伝えると、渋々ながらに口を噤んで頂けた]
分かりました、分かりました。 クシャミにはちゃんと言っておきますから…あ、煙草頂けます?
[長居して小言の続きを聞くのも御免だ。何も買わないのも気が引けたので、取り敢えずは煙草を一箱購入するとそそくさと売店を後にする。後ろから聞こえた"バターサンド楽しみにしてるよ"との声に半ばうんざりしながらも笑顔で手など振り返した。 嗚呼、また余計な出費が増えるのか。廊下まで出ると、疲れたように溜息をひとつ]
……最近溜息が多いですね。幸せが逃げてしまいますよ。
[誰にともなくそう呟き、廊下の壁へともたれかかる。ひとまず用事は済ませた。未だカルテを書き直す気にもなれないし、もう少し散策してみようか]**
(227) 2014/06/27(Fri) 04時頃
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