194 花籠遊里
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っ …、 ……!
[丁寧すぎるほどの愛撫に、身も心も蕩けている頃 熱いほどの吐息混ざる声が耳に届きました。
同時、背に感じるものはなんでしょう?
彼が求めてくれている証。 衣を隔てても分かるほどの脈動に 僕は一度息を飲み込んでしまいました。]
(123) anbito 2014/09/26(Fri) 21時半頃
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と、かして …さしあげ、たいです。 ……ちょこれーと、みたいに。
[きっと融かされてしまうのは、僕なのだと判りながら。 それでも紡いだのは、そんな言葉でありました。 遠まわし、遠まわしなおねだりです。
挿れてください、なんて興が醒めてしまうことは謂えません。 繋がりたい、なんて恥ずかしくて謂えそうもありません。 早く、なんてまるで余裕がないようで。 来てください、なんて余裕もありません。
『蝶』へと強請るのとは確実に違います。 羞恥と、それにより膨らむ甘さが櫻の香となって彼を包みます。
切なげな射干玉の眸を向けましょう。 だって彼は、廻り合えた、特別な御方なのですから。]
(124) anbito 2014/09/26(Fri) 21時半頃
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―――…、……おぅ。
[彼の甘えた声が愛いなんて言ってやらない。 彼に惹かれているとも、見せたくない。
しかし、相手は賢しい手練だ。 語尾の微かな揺れに混ざる希求すら、きっと彼に伝わる。 寂寥感を満たし、隣に並び、同じものを見て、心を添え、 ―――二人で生きることに、応と返したのだから。]
(125) momoten 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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[れろりと柔らかな舌が形を変え、浅い場所から攻め立てゆく。 窄まりが竦む度に口付けを与えて慰め、 襞を軟体で掻き、唇が自然と円弧を形作る。]
――…見えるかい、櫻子。 一丁前に、すっかり感じてるじゃねぇか。
[戯れに五指で彼の屹立を撫で、雫をささやかに払うと、 彼の薄い腹へ、パタリと淫液が散った。 武骨な指間でねち、と捏ねる糸を見せ、 性器と繋がる卑猥な光景で彼の恥辱を煽る。
己の舌で、指先で、彼が啼くのは酷く心地が良かった。 満ちるほどに飢えていた数多の夜と一線を画し、 着実に腹の底へ溜まっていく。
うつくしい櫻の一片が、何枚も、何枚も。ひらひらと。]
(126) momoten 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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[淫蕩な身体は熱く、己の身にも伝播した。 たっぷりと濡らした内壁を挫くように、舌を尖らせ、 蠢く柔襞を擦り立てて、彼の身体を拓いていく。 軟体を伸ばし、粘膜を啄ばみ、蜜を啜る。 飲み込んだ分は、きっちりと後ほど返せば良い。 たっぷりと、彼の中に。
ハ、と零した吐息が窄まりを嬲り、痙攣を誘う。 途端、己の左胸の辺りに加圧を覚え、少しだけ片眉を顰めた。
こんな感覚を、己は知らない。 覚悟はしていたが、この蜜だか毒だか知れないものは良く回る。
軟体を蛇行させながら、絡みつく内襞を刺激し、 彼を浸食していた軟体は緩やかな後退を選んだ。 見下ろした彼に、我慢できないなど言いたくない。 奪いたいと言うには、ぬるま湯に浸りすぎて、 欲しいと紡ぐには、柄でもない。
だから、口から付いて出たのは飾り気の無い一言。]
(127) momoten 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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―――…好きだ、櫻子。
[らしくないと己を窘める前に、彼の膝を大きく開かせた。 答えなど聞いてやらない、呼べば良いのだ。
彼にだけ与えた、己の名を。 本音を紡ぐ、蝶ではない男の名を。]
(128) momoten 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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[眼差しを邂逅させた途端、下肢に凄まじい圧迫感を与えた。
強大な質量が彼の華奢な身体を軋ませ、めり込んでいく。 時間を掛けて、己の熱量を彼に教え、腰を揺すると、己の腰に焼けるような熱が拡がった。]
―――ッ、 狭ぇな、あんまり熱烈に歓迎するんじゃねぇよ。
[片眉を揺らしながらも、己の楔は歓喜に震え、 彼の中で最終的な成長を遂げ、空隙をみちりと埋め尽くした。
足を抱えなおし、熱くなった己の身体を更に押し付け、 彼を掻き抱くように上体を倒してゆく。]
………好きよう、溶かせよ。 ――――…全部、お前さんにくれてやらぁ。
[彼の両脚の間で揺れる屹立に指を添え、 緩く扱く律動に合わせて、ズン、と深く彼を突き上げた。 粘膜に接吻捺すような一打、熱を払う瞬きに合わせ、音もなく、満足そうな笑みを見せた。*]
(129) momoten 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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[身体は花の所業に染まり、抵抗無く細いものを飲み込んだ。
白に濡れた先端は、面白いほどに滑る。 与えられた其れを握り、くちりくちりと淫音を奏で。]
形……を、覚えるよう、に。 ナカ、が、ッ…… きゅうと、なって……
[自らの身体を知る指先が、刺激を求め揺れ動く。 はしたなく、快楽に浸るべく。
嬌声を滲ませながら。]
(*46) lalan 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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っ…… 嫌だ、嫌です、足りません…… このようなものでは、もう。
[満足できぬ身体なのです。
堪え切れずに、根を上げるのは、きっとすぐの事。 再び熱をもたげる雄から、とろりと蜜を滴らせ。
まるで涙のように。
認め、腕を伸ばし、求めたのは、――。]
(*47) lalan 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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花主さ、ま……
[お前は誰も見ていない、と告げた宵闇の声。
繕った仮面の奥で、本心を隠し、傷付かぬようにと笑むばかりで。 そんな己に、誰を愛することが出来ようか。
何を好きになっても、何を嫌いに思っても、苦手に思っても構わない。 感情を否定しない己こそが、嫌われぬようもがくばかりの哀れな枯れ花なのだと。
花籠の外にさえ出ることが出来れば、何もかもを零からやり直せると。
信じていたかったのは、甘すぎた子供のような理想。]
(130) lalan 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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花主、様……ッ。
[本当は理解していた。
理解して、見ない振りをしていた。
花に求めるものが"男を受け入れ悦ぶ事"だったと。 其れを求めてしまうほど、自らが逃れられぬほどに、低俗な花らしくあったこと。
同じ花である者たちを眺め、彼らのような強さに嫉妬していたこと。
"ちょう"のように、生きてみたかったこと。]
(131) lalan 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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花、主、さま。
[造花の振りをして居たかった。
そうでなくては、寂しくて。
"誰に言われず、誰に愛でられず、誰の目にも留まらず"
花は、潰れてしまいそうだったから。]
(132) lalan 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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――…。
[闇に誘われるのは、歪な劣情。 嫌がらせをして縫い止めた、独り善がりの錆びた楔。
飛べぬ沈丁花は蒲公英を夢見、白い蝶と交わしたたった一つの約束は、遥か彼方。*]
(133) lalan 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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──【『夢物語』への一頁】──
[不器用な焔花との別れ>>56>>57 返る祈りを背に聞きながら>>*7 揺れる焔に見送られ、僕が射干玉の髪を翻して。
あれからどのくらいの月日がたったことでしょう。
『外』を知らぬ花は、残されたたった一つの手がかりが 海を越えた場所なのだと謂うことを知りました。 本当にとてもとても、遠く。 その遠い海を越えることは、終ぞ叶わなかったのでございます。]
(134) anbito 2014/09/26(Fri) 23時頃
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ん、…ふぁっ
…あんッ、ん!
[『花』をやめた僕が咲くのは花籠ではありません。 『人』を捉え『人』とも扱わぬ、地獄の奥底でありました。 今は夜でしょうか、それとも朝でしょうか。 窓さえない此処では時間の流れなど判りません。
櫻樹の枝であった白く細い腕には、無数の痕が残ります。 今日もまたひとつ、その痕は増えたのでございます。
おかげで、あの御方に出逢うことが出来るのです。
ほら、四角く切り取ったあの窓の向こうから あの方が気だるそうに、やってくるのです。]
(135) anbito 2014/09/26(Fri) 23時頃
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あぁっ、やッ…も、っと!
奥、…まで、衝いて ッ、ぇ!
[乱暴に穿たれる体はすべて、彼だけのものです。 僕はもう、こうして何度彼に抱かれ続けているでしょう。
何度も閨を添い遂げております。 何人もの彼と快楽をむさぼっております。
そして今日もまた、今日もまた。 容赦なく身体を何度も重ねるのです。]
(136) anbito 2014/09/26(Fri) 23時頃
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[僕は彼に逢うために、海を越えようとしておりました。 船を出してくださいませんかと 港でずっと、希っておりました。 やがて一人の殿方が、乗せてあげると謂ってくださったのです。 僕は何も疑わず、その御方について行きました。
世間を知らなさ過ぎたのです。
辿り着いたのは船ではなく、窓もない部屋。 無理やりに、腕には注射の針が刺されました。 身体を廻るのは、再会の運命などではなく麻薬。 徽章(やくそく)は、金目のものと判断され 懐にしまっていたお金も、何もかも共に奪われてしまいました。
──僕は死んでしまうんだと、そう思っておりました。]
(137) anbito 2014/09/26(Fri) 23時頃
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[ けれど、僕は あの御方に逢うことが出来たのです。 ]
(*48) anbito 2014/09/26(Fri) 23時頃
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く、んんッ、もぅ …だめっ!
で、る …イっちゃ、 ッあ──!!
[はしたない言の葉が堕ちてゆきます。 あばらまで浮き出た僕の痩躯が、弓のように撓り。 幾度出したかもわからない精を出しつくし 床を微かな白濁で汚しておりました。
震える指先を伸ばしても あの御方は、霞んでいってしまわれます。
僕を置いて、遠い海の向こうへ。
僕を置いて。]
(138) anbito 2014/09/26(Fri) 23時頃
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おいていかないで。
(*49) anbito 2014/09/26(Fri) 23時頃
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おかあさんのように ぼくを おいて、おいていかないで。
いいこにするから わらっているから
なかないから。
(*50) anbito 2014/09/26(Fri) 23時頃
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[最期に、懸命に呼ぼうと唇を動かしましたが
僕は彼の名前を、知りませんでした**]
(139) anbito 2014/09/26(Fri) 23時頃
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―新月の晩― [月に一度の暗いくらい闇が花街を覆う日。 息を切らし紺色とこげ茶を揺らし何処かへと向かう男が一人。
目的は一つ。 まだ次に腰を落ち着ける場所の宛なんて決まっては居ないが、雪山にかかる月を見にいければと。>>3:*59 覚えていないかもしれない口約束を果たそうと、走る、走る。 待ってくれると『約束』してくれた花を……いや、愛しい人を、月明かりが無くなる晩に、人目についてもいい、指をさされてもいいから 正面から攫ってしまおうと向かうは一つの娼館。 彼は、霞は何処に居ただろうか。彼の姿を見つければ、ふわりと笑ってこう告げる。]
霞、お前の一生を朧では無くただの『佐吉(おとこ)』が貰い受けにきた。
[娼館の主も、先輩娼にも文句どころか一言発するのさえ許さずに彼を抱き上げ、荷物があるならそれを奪うように手に取り。]
ただ俺の傍で笑って過ごしてくれれば、いい。 俺の時間が欲しければ、全て霞にくれてやる。
(140) オレット 2014/09/26(Fri) 23時半頃
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― 花蝶の夢 ―
[厭だ、と声が聞こえた。>>4:71
確かな拒絶は、胸に降り積もり、心を冷やしていく。 寄り添えとは思わなかった、理解されたいとも。
ただ、一時。海を渡る際に、抗えぬ本心に従っただけ。
けれど、それも。 蝶の、或いは夜蛾の、或いは毒虫の夢想だったようだ。
強く握り締めた徽章が、共有しようとした約束が、 己の強靭な心が、脆くも砕けてしまいそうだった。
所詮、花は花でしかなく、蝶は蝶でしかない。 どちらも人から酷く遠い、幸いなど夢物語。]
(141) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃
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[その夜、己は購った花を抱いた。]
(142) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃
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[手荒く扱うのは花として、虐げるは蝶として。 厭だ、厭だと膨れる彼の本心など理解もせず、 剥いた背中に罰として爪を立てた。
もう彼は花でないと花主は言う。 だが、違う。花とは金に縛られる者のことではない。 花とは、咲くことしか出来ぬ者のことを言うのだ。
花を買うには花籠を、花を飼うには植鉢を。
強姦めいて貫き散らした櫻の花。 櫻は散ったか、未だ咲くか。
――――いよいよ、この手で散らそうか。]
(143) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃
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[中に幾度も精を放ち、身体の奥底から悪辣で汚した。 酷使した秘所は紅く熟れて、創を負っているかもしれない。
しかし、そんなことは如何でも良かった。 抱き潰して意識も虚ろな彼の黒髪を掴み、 己の逸物を彼の乱れ髪で拭った。
彼が身体を捩る度、下の窄まりから精液がゴプリと零れる。 粘性の白濁は濃く、毛先から爪先まで欲に塗れた花。
それでも何故か満たされないのは、いつものこと。 いつも以上の茫漠を抱えている事実からは眼を逸らした。]
(144) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃
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知っているかい、櫻子よ。 お前さんは今宵で御役御免だ。
お前さんは捨てられたのよ、 あの花主にも。この花籠にもな。
[襤褸のように扱い、牀榻に捨てる彼の体躯。 本当は彼に預けようとした徽章が、己の証を手の中で転がし、 そっと、彼の顎を掬う。もう咲くことしか出来ない花を掬う。]
(145) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃
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―――…拾ってやるよ、感謝しな。 お前さんは誰かを慰められりゃそれで満足だろう。 俺がお前さんのちっぽけな価値を認めてやらぁ。
………煩わしさなんてな、慣れてるよ。
[彼を傷つけ、根を刻み、切花へと変えていく。 返し刃で抉られた心は血を噴出すが、彼も己も泣けはしない。 何処まで行っても交じり合わぬ蝶と花の末路。
鋭い徽章の切っ先を、彼の耳に宛がい、力に任せて貫いた。 吹き出る血は、涙の代わりであれば良い。 痺れを伴う指先は、歓喜に震えるものだと誤魔化した。
彼は手に入れた。 もう、それで良いじゃないか。 これ以上の形などありはしない。]
(146) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃
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[彼は花、己は蝶。夜の全ては夢物語。
狂おしい涙も、甘い口付けもなく、彼は男に手折られた。]
(147) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃
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