162 絶望と後悔と懺悔と
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[耳はまだ回復していない。 その影>>69の名乗りは、はっきりと聞こえていなかった。]
……だ、れ?
[再度問い、じっと目を凝らす。 霞む目がぼんやりとその輪郭を捉え、どこか懐かしい姿が見えてくる。
髪を掴んできた敵とは違う。 寧ろその敵から助けてくれたのだろう。
ポケットに入れた手は何も掴まないまま。 もう片方の手は苦無を握ってはいるが、構えることはない。]
(72) 2014/02/22(Sat) 00時頃
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―――…。
[そっか。 こういう形でも成長を自覚できるんだね。
かつては手も足も出ないと思っていた始祖吸血鬼を前に、 貼りつけたみたいな笑い顔じゃなくて、心の底から浮かび上がってくる笑い顔を向けて、立ち向かうことで]
―――っ!
[絢矢と始祖吸血鬼の間に明にーさんが割り込まされたのを見て、>>70 僕は絢矢の身体を左側へと押す。少しでも武器の軌道を明にーさんからずらそうと。 とっさにしても手荒だったかなって思えば、眉が寄る]
(73) 2014/02/22(Sat) 00時頃
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[意に染むものも、意に染まぬものも、同じ皿の上。>>*13
刃を向けるまでの過程。 人の身から落ちて、血を流してここにあるまでを 愉悦の一言で済ませる月影に、 引き寄せられて盾となした身は真紅の眼を見上げ]
……僕は愉しくはありませんでした。 ここに至るまでの道は。
零瑠君はどこですか? 無事でいますか?
[血統の繋がらない相手の気配はおぼろげだ。]
(*14) 2014/02/22(Sat) 00時頃
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[何が……と問われても、明確な言葉は見つからない。>>*11
真弓に2度も確かめられた、 『愛されたいから』とも違う気がして。]
あぁ、桜が――。
[瞬く。 瞼の裏には、今も夜桜が舞う。**]
(*15) 2014/02/22(Sat) 00時頃
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僕には、貴方の言っていることがよく、分かりません。
飼い犬に手を噛まれたみたいな目に遭うのが、愉しい、…だなんて。
(*16) 2014/02/22(Sat) 00時頃
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[腕を、伸ばす。 指先が人参色に触れる。乾いた血の張り付いた、髪。
彼の手に在る苦無を一瞥し、 抱き寄せた肩に顔を寄せて、耳許で囁く。]
……助けに、きたよ。キャロライナ。 俺を、覚えている?
君の『家族』の零瑠、を。
(74) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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[柊にもリカルドにも沸き上がる愉悦は理解出来まい。 この身が2人の言葉を理解出来ない様に]
理解出来ない、思いもよらぬからこそ愉しいのだ。
[近くにある柊に嗤い掛ける。 彼らの迅さと戦士の鬼を断つ力。
合わされば。
もしかしたら……この身は落ちるのだろうか。
初めて浮かんだ可能性に、三日月は更に端を上げた。 考えた事も無い現実が起こるかもしれない。 それは………何と愉しい事だろうか]
(*17) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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零瑠なら、ジャニスと遊んでいたが。 私の元へ駆け付けようとしているのだと思うが。
会いたいなら呼んでやろうか?
(*18) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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[千切れ飛んだ手首はどこへ落ちたか。 行方を見る余裕のある者などいまい。
夥しい量の血が、絢矢の駆けた後に紅の帯を残す。
避ければ避けれた物を、 避けず柔らかな肉体を盾とした始祖と その前に引き上げられた明之進を見て]
──、
[ごめん、と言うように唇は微かに動き その直後、寝かせた一尺五寸の刃で 薄い明之進の背中ごと始祖の胸を貫かんと柄に力を籠める。]
(75) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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[引き寄せた柊の身体>>70 戦士の刃はリカルドの機転で逸れただろうか>>73]
そう言えば、ジャニスの時は喰いそびれた。
[ジャニスは逃れたが、柊はどうだろう。 耳朶か、首を食い千切ろうと、紅い囁きの直後に 牙を寄せたがやはり逃げられただろうか]
(76) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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[けれど──、
直後に横から加えられた力に、 切先は大きくずれ、 勢いそのままに、貫いたのはどこだったか。]
(77) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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[ぼんやりとした影が、こちらに伸びてくる。 それに対する反応も遅く。
肩を抱き寄せられ>>74、耳許に届いた囁き。]
れい、る?……零留なのか? 忘れるわけ、ない。 会いたかった。あいた、かった。
[家族。家族。大事な、家族だ。 笑みを零し、抱き締めようと手を動かす。 思うように動かず、力が入らない。 抱き締めたいのに。]
(78) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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ぐ……っ…
[放たれた矢が自身で軌道を変える事が無い様に、 躊躇う事無く戦士の切っ先は飛んで来る>>75 いっそ清々しい程の真っ直ぐな殺意。
それは確かに柊の盾を貫いて届く。 途中で歪められた軌道によって、心臓は避けたが 肺は潰れた]
は、大したもの だ
[柊の耳元に掛かるのは彼の血では無く、溢れる己の血潮]
(79) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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[顎を上げ、間近に視線を向けたのは束の間で、 背後に迫るだろう切っ先を振り返ろうと首を回した。
リカルダが笑っているのが見える。>>73 向かって来る刃を逸らそうと、絢矢の体を押しやるのが]
――――、
[微かに揺らめいた唇は何を零したのか知れないが、>>75 容易く命を明け渡して、負わせる訳にもいかなかったから]
(80) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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そうですか。
[きっと、月の隣に添うて見える夜の色も、 光を朧にさせる雨雲も、近くに見えるだけで ――余りにも遠すぎたのだろう。>>*17]
理解を得る、ということの幸いを、 あなたは知らないんでしょうね。
[笑みの意図も、きっと柊には察せぬもの。]
会いたい訳では……ううん。
会いたいけれど、いいです。
[ただ、願うなら。 彼が傍にと願った周を守ってほしいと思う。]
(*19) 2014/02/22(Sat) 01時頃
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そ、だよ。零瑠だ。 ……覚えて、くれてた、だなん
あぁ、キャロライナ……。 俺も会いたかった…ずっと、ずっと…
[右の腕は上がらない。 だから、左の腕だけで抱き締めた。
彼が出来ない分、余計に。
腕を落とされた女鬼が、叫ぶ。言葉にならぬ悲鳴を。 キャロライナと零瑠に振り下ろされる爪。]
っ! あぶな!
[それを零瑠は避けなかった。 寧ろ、彼に当たるようにすら――…]
(81) 2014/02/22(Sat) 01時頃
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[寄せられた牙が首へ。>>76 身を捩るが、まだ完全ではない。
右手は始祖の手の内にあって、左手は主の銘を持つが故]
――ぉぉおおおお!!!
[届け、と吼えた。
名が言霊を負うが故。
――凍てつく吹雪に身を晒し、鬼を刺す木であるが故]
(82) 2014/02/22(Sat) 01時頃
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[背を強かに貫く小太刀。
ぶつ、と何かが切れる音を、体の中から聞いた。 目を見開き、口は苦痛を吐きだしたが、 果たして現実の悲鳴は上がったのかどうか。
溢れた紅は、己のものだけではなく。 びしゃりと頬から耳、首筋へと流れ落ちた。>>79
表情はすぐに歪み、歯噛みする。 吸血鬼狩りの刃が注ぐ痛みはまるで死毒のようで、 視界がじわりと滲むのをおぼえた]
(83) 2014/02/22(Sat) 01時頃
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[抱き締める手>>81が嬉しくて、力の入らない手で何とか服を掴む。 零留も同じように思っててくれた。同じように。 家族だから、そう思うのは当たり前だ。]
良かった……零留……帰ろう。 一緒に、帰ろう。 また、一緒に、皆で、一緒に、
[耳に届くのは、零留の声だけ。 敵の動く気配にも気づかないまま、家族との再会を喜ぶ。
力の入らない身体は零留に任せるように身体を預けている。 信用している家族。 害を与えようとするなど考えるはずがない。]
(84) 2014/02/22(Sat) 01時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2014/02/22(Sat) 01時頃
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[祝福の日。
『柊』は鬼を刺す事は無かった。
徐々に『柊』の名を忌む鬼が増えていても変わらなかった。
だが、今。
『柊』は邪を祓う棘を鬼へと刺す]
(*20) 2014/02/22(Sat) 01時頃
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[真弓とサミュエルを繋ぎ止めたと同じ様に、 戦士の刃は柊と共にこの身を縫い止めた。
喉を焼く熱さは、今までに無い熱。
初めて感じた熱に、声を出して笑うが、 溢れるのは声では無く血潮]
な、るほどっ 愉し いな がはっ…愉しい
[盾にするなど、らしくなかったと笑いながら、 柊の身体を引き剥がそうと蹴飛ばした]
(85) 2014/02/22(Sat) 01時頃
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……っは、あッ!
[蹴り飛ばされれば、そのまま。>>85 握り締めた涅槃の刃は始祖たる鬼から抜き出され、 落ちる体は地面を擦り転がり、止まった。
どく、と血が噴き出す。]
(86) 2014/02/22(Sat) 01時半頃
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[菖蒲の葉に似た鋭い刀身が、 二人分の手応えを柄に伝え来る。
狙いは心の臓。
しかし──]
ッ──、
[蹴飛ばされた明之進の躯と一緒に 絢矢の躯も大きく後方へと飛ばされる。]
(87) 2014/02/22(Sat) 01時半頃
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……少しの顔段を上がると扉があって、 それを開くと、台所から良い香りがして……
皆が、出迎えて、くれるんだ。
あぁ、帰ろう? 一緒に……。
[『殺す』と殺気を向けないキャロライナだから、 最後まで彼の望む『家族』で居たかった。 服に皺が寄る。
構わず、預けてくれる身ごと動く。 彼が鬼の爪が引き裂いても、人参色の髪が散っても。 踊るかのように。]
キャロライナ、きゃろ……らいな。
(88) 2014/02/22(Sat) 01時半頃
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―――…っ、
[僕は家族の手で家族が傷つくところなんて、見過ごせなかった。
たとえ放たれた刃が、明にーさんを貫いて始祖吸血鬼に届く結果を招くと気付いてたとしても。
左手、黒の刃の小太刀を握りしめる手に力がこもる。 始祖吸血鬼は刃を受けてもなお動いてる。いったい何が楽しいっていうのかな、>>85]
――、このぉっ……!!
[僕は始祖吸血鬼めがけて走り出す。 蹴飛ばされて弾き飛ばされた明にーさんと絢矢を助けに行きたい、けど、 ちょっとの間の我慢だって言い聞かせて。
左手の小太刀を今度は、心臓に突き立てるんだ]
(89) 2014/02/22(Sat) 01時半頃
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[5年前は感じる事さえ無かった『柊』の棘>>82は 邪を祓う棘として、確かに突き刺さる。
引き剥がす際に柊と共に引き抜かれたが>>86 道連れに多くの血も持っていった]
っ……
[柊と戦士が離れる気配は感じた。 だがまだ1人残っている。 そちらに注意を向けようと顔を振った時。
癒えぬ耳から溢れた血が視界を隠す。
まるで周の執念の様に]
(90) 2014/02/22(Sat) 01時半頃
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[霞む目を閉じて、零留の声>>88を聞く。 零留の声だけを聞く。]
うん……帰ったら、皆で飯食って……人参、皆ちゃんと食べるかなぁ……。 それから、一緒に風呂入って、皆で寝るんだ……。
[閉じた目に浮かぶのはあの孤児院。 皆が笑って、幸せだった家。]
嗚呼、そうだ。 俺、零留に渡すのがあったんだっけ。 誕生日、おめで、
[おかしいな。声が、出ない。
全身を打ちつけ、脳は痛みを排除していた。 だから。引き裂かれても、痛みは感じないまま。
名を呼ぶ零留の声に答えるように笑みを浮かべていた。**]
(91) 2014/02/22(Sat) 01時半頃
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[仕留め損ねた、という計算。 明之進を殺めずに済んだ安堵。
噎せ返る血臭に眩む意識の中、勝ったのは後者。]
(──やっぱり、リッキィはいつもボクを支えてくれる)
[どんなに変わっても、 リカルダがいれば戻って来れる。
──そんな気がして。
だから、 理性を喰い潰す獣のような昂揚さえ 今は、怖くはない──。]
(92) 2014/02/22(Sat) 01時半頃
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リ、カルド……
[立て続けに受けた癒えぬ傷のダメージは、自慢の迅さも 反応も劣化させたらしい。
黒刃>>89に気付いて飛び退こうとしたが、 間に合わないと判断すれば咄嗟に身体をずらし 腹へと刃を浴びる]
は、ははっ
[蝕む毒に、気が触れたと思われてもおかしくない様な笑み。 迅さは今はもうリカルドの方が上だろう。 それでも笑いながらリカルドの首を折ろうかと手を伸ばす]
(93) 2014/02/22(Sat) 02時頃
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[強い気配が、思わぬほど弱まっていると気づいたとき 子供たちと戦っていた始祖はらしくないほど赤に塗れて]
――何故?
[憎らしいほど余裕を見せていた顔が歪んでいる。 私はまだ一太刀も浴びせていないのに。 私はまだ、何も返せていないのに、 生きる理由が知らぬ間に消えるなど、耐え難くて]
私が殺すまで勝手に死ぬなんて、許さない。
[>>89三日月斧を手に駆け寄る小さい姿を追いかける]
(94) 2014/02/22(Sat) 02時頃
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