25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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満月の前夜の小望月――…子持月 ……臨月は訪れた
明日はお目見え出来ようか この声届く貴方方に**
(*39) 2010/08/04(Wed) 11時頃
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満ちては欠け、また満る、空に輝く月が如くに、 せいを喰らいて死出へ導き、新たなせいを蒔く我らなれど… [複雑な胸の内は、焦がれる痛み。]
花ひらくを、楽しみに待っているよ。
(*40) 2010/08/04(Wed) 11時半頃
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―与えられた部屋―
んっ……。
[ゆるりと瞼を持ち上げると、見なれぬ部屋の様が苔色に映る。 そうか、ここはまんまる様の邸宅だったなと、まだ覚めやらぬ頭で、ぼぅと考える。 反芻するは、寝る前のこと。いつになく怒涛だったと苦笑いを浮かべる。]
(507) 2010/08/04(Wed) 11時半頃
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―回想―
まんまるっ……。
[本郷の去り際の言動に、高嶺がヨアヒムのように丸くなる様を思い浮かべて、疲れている当人に申し訳ないと思いながらも、密やかに肩を震わせた。更に笑いに拍車をかけているのは、高嶺を子供扱いしている本郷の行動も子供のようだと思ったからだとは、流石の華月も口にはださない。 しかし、それも去り際、高嶺(花主)の黒檀で見られたならば、収まる。 浮かべる表情は微笑。媚びるでもなく、けれど移ろい行く華と月、2つを名に抱くに相応しい艶と儚さと、けれど何にも動じないといった苔色を返した。鵠にならって、礼も一つ。]
[りん――微かな鈴の音が、主達が去った後の僅かな静寂を裂く。 呟くように言葉を紡ぐ人に、華月は眼差しを向けた。]
(508) 2010/08/04(Wed) 11時半頃
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そやな。 高嶺様んとこやったら、鵠さんも申し分ないやろ。 芸を見てはるんは、確かやと思う。 やけど……
[告げていいのか悪いのか。謂い淀み、間を計ろうとか動かなくなった紫の蝶に手を伸ばしかけた途中、刷衛の声が聴こえて引いた。苔色もまた、現れた大男の花主に向く。 鵠が言を紡ぐ時は、華月は沈黙を保つ。]
(509) 2010/08/04(Wed) 11時半頃
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[刷衛の言葉は謂い淀んだ内容そのもので、困った風な顔をして、髪を掻いた。 その仕草を、きっと微か窺うように見る紫苑色が捉えた。 刷衛に答えるのに重ねて、その紫苑色にも答えを返す。]
わてに関しては、そんなんなっても今更やから。 大概んことは、そなん辛いとは思わへんし。
ま、まだ話まとまった訳でもなし。 なるようにしか、ならんやろ。
[高嶺の全てを知っている訳でもないのだから、無駄に不安を煽るのはよくない、そう思ったのが謂い淀んだ理由。ただ、人それぞれとはいいつつも、芸だけを愛でる主人は少なく、色だけを欲する主人もまた少ないというのが、少なくとも華月が見てきた事実。]
(510) 2010/08/04(Wed) 11時半頃
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[それから幾許か話をしたか。 鵠と伴って花達の集う棟へと戻り際、聴く相手の裡に、ただ微笑んだ。]
もうちぃと、悩んでもえぇんで。 花祭中ならいつでもいうんは、そいうことやろ。 花も花主を選べ、謂うはる方だけあるわ。
[別れ際、つぃっと伸ばす手、紫の和紙の蝶の隣、緑の連れを忍ばせる。今は、傍に在ると示すように、けれど]
高嶺様の茶は、 でいいんよな?
[茶の種類を確かめる言の葉は、既に自分は答えを出していると暗に告げるもの。請われれば、道理に反していなければ断らない。華月という花はそういう花だった。]
(511) 2010/08/04(Wed) 12時頃
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ちゃんと寝るんやで。
[ひらり――鵠に手を振って向かうのは、虎鉄が自室だと指した部屋前に。ノックをしようとし、止めて、泥棒が内を伺うように扉に耳をあてた。]
帰っては、きとるみたいやな。
[人の気配に、ほっと息を吐いてから、自室へと向かう。 窓を開ければ迦陵頻伽の唄声が微かに聴こえた。 それもいつしか止み、気がつけば華月も夢の世界へと堕ちたのだった。]
―回想・了―
(512) 2010/08/04(Wed) 12時頃
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―朝・宛がわれた部屋―
さぁて、何時、高嶺様んとこ行くんがえぇんやろなぁ。 ま、早いとこいってしまお。
[ぐぅっと伸びをすれば、夜着が肌蹴ける。 そこより垣間見える生肌には、薄い傷跡が幾多、朝の陽の光の中*浮かんでいた*]
(513) 2010/08/04(Wed) 12時頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2010/08/04(Wed) 12時頃
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―朝・自室― [外で鳥が鳴いている。 華月には茶の種類を伝えた。 彼はもう、決めている。そういう花なのだ。
きっちり着込んだ寝間着は 乱れ少なく鵠の性格を現すようだ。 柘植の櫛で黒髪とかし、 鈴のついた結紐でいつものように束ねる。
――りん。
もう一つ、手にしたのは 檳榔染の髪結い紐。 それに鈴の音はない。 見つめ、考えるように眼を伏せた。]
(514) 2010/08/04(Wed) 12時頃
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[抱きしめられた胸に、頬を寄せる。 夜着が濡れるのも構わずに、 抱きしめて下さる優しい月の囲いに。
鳥は、嗚呼……と。震える唇が音を洩らす]
判っております。 それでも何時か、鳥は巣立つのです。 気ままに歌うだけでよかった親鳥の巣から、その外へと。
[紅石榴へ寄せられる唇に、 ぴくりと身体を震わせたは、怖さか。 それとも望んだ温もりを得た歓喜にか]
(515) 2010/08/04(Wed) 12時頃
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[湯船満たす清い湯と、まっさらな替えの着物が、 南端の角部屋に用意されたかは返答次第。
気怠げな 朝の眠りに 寝乱れて かいなに縋る 夢はうつつか
独り寝の夢か、ともに見たかも、返答次第。]
(516) 2010/08/04(Wed) 12時半頃
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僕は……あなたのためだけに囀る鳥になりたい――
[濡れた髪の奥から、見上げる紅石榴。 そこに燈るは、恋情――――]
僕の羽根を落として下さい。 あなたの手で……。
(517) 2010/08/04(Wed) 12時半頃
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[月の檻に囚われて――否、自ら飛び込んだのだ―― 落とされる、風切羽。
歌えよ、囀れと、果てるまで。 鳥はただただ、甘く声を上げ続けるのだろう。
痺れにも似た甘い気だるさの中で、 再び眸を開けば、間近に見える月下の佳人]
……夢では、なかったのですね。
[夜通し歌っても尚、透き通る声で呟き、 その白い肌へと頬を寄せた]
(518) 2010/08/04(Wed) 12時半頃
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―夜→早朝― [湯場をでて部屋に戻ったのはもう明け方近く。 常ならば既に起きている時間だと、部屋でぼんやりと書を読みふける]
朝か。
[窓の外、朝露に濡れる木々の緑。 半眼をさらに細めて、又書へと視線を落とす]
お勤めをしなくてよい朝というのも、新鮮ではありますか。
[部屋の掃除は夜中のうちら済ませた。 荷物の整理も同じく。 書を寝台の上に放り、着物を萌黄の物に替えて、廊下へと出た]
(519) 2010/08/04(Wed) 12時半頃
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― 朝/表座敷 ― [座敷に差し込む光は、障子を通し柔らかく 薄らと持ち上げた瞼 冬色をした眼で間近の温もりを見遣る]
大きな……狗。
[瞳を細め、薄く笑みをひいた。 丸まっていた敷布は白。 広げ、其の上に皺のついた服のまま寝そべった。 他人に触れる事を嫌っていた指が、隣に眠る彼の髪へと伸びる。 頭の形をなぞり、確かめるような仕草 愛撫のような手つきで同じほどに短い髪を掻き乱すと、ゆっくり身を起こした]
(520) 2010/08/04(Wed) 12時半頃
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― 本邸/表座敷 ―
嗚呼……良い目覚めだ 否 是が謂うなら 口調は改めねば
[伸びをして、顔を上げる。 熱の引いた顔には、目元に朱が残っていて けれど返って色を添えていた。 発した声音は凛と 硬いだけでなく含むものを感じさせる]
――誰か、いないかい? 着替えたいんだ。
[少し間を置いてひとを呼んだ。 口調はなるだけ幼く]
(521) 2010/08/04(Wed) 12時半頃
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[朝の廊下をゆるりと歩く。まだ早い時間、恐らく朝の支度は始まっているのだろう。 目のする人の姿は使用人ばかり。
散歩ついでに庭に下りると、池のほとりを歩く]
あの御仁は余り好かぬが、この庭は良く手入れが届いている。 主催をするだけは有るか。 揃えられた花の種類は様々だが。
(522) 2010/08/04(Wed) 12時半頃
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…何の花が開くかと思えば
[まどろみの中に聞こえた聲に小さな欠伸が一つ。 気だるげな声は数拍置いてから]
見えるは"晩餐"の時にて。 ……愉しませてもらおうか。
[低く、哂う]
(*41) 2010/08/04(Wed) 12時半頃
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[目覚めた花は、ふと思い出す]
――…して、晩餐に並ぶは 誰ぞ?
(*42) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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−B棟・居室− [朝食を部屋に用意させながら、完全に目が覚めるまでは大分時間を要した。 表庭を見下ろす窓を開けば紗がふわりと揺れる。 食事を続くテラスへと運ばせて]
…眩しい。
[少し瞳を眇めた。 池への日光の照り返しが目に入る。 美しいが、眩しいと思う。 そんな風に呻きながら、赤い実の浮かぶ粥を 蓮華で掬い、冷まし口にはこぶ。 舌に残る塩味は、丁度良かった]
(523) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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[用意された湯を浴び、着物を纏う。 仄かに香るなよたけの君の香りは、 まるでそのかいなにいつまでも包まれている様な、 そんな錯覚を鳥に誘った]
……法泉、さま?
[ふと廊下から見降ろした池の傍に見えるは、 昨夜言葉を交わした僧の姿。
こつこつ、と小さく窓を鳴らして。 鳥はにっこりと、微笑みを浮かべた]
(524) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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[時折歯にしっかりとした食感を寄せるのは 細かく刻まれた塩漬けの心臓。 悪くはないが、殺したての肉に比べれば鮮度が違う]
主から喰らうか。花から喰らうか。 …イビゼラ、だったか。 お前は誰を喰いたいと望む。
(*43) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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…儚く壊れて消えてしまったかと……
[低く掠れた声で、すり寄る温もりに目を細める。
朝の光のなか、乱れた夜着もそのままで、 華奢な身体に刻んでしまった、幾つもの紅い花びらを辿る。
幾度も啼かせて囀り疲れただろう身体の、 塗り込められた香油の香りにいまだ淡い夢を…]
(525) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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[置かれた灯篭へと片手を置いて、庭を眺める。 静かな朝の空気が、肌に入り込んでいくような感覚。
朝の空気は、幼い頃から好きだった。
静かな中、何事か小さく響く。 見上げれば、霞の部屋に小鳥が一羽。 微笑を返し、迦陵へと手を上げて]
一時の夢でなく、育てたいと思う花か。 見るだけでよいのなら、花でなくとも構わぬのだから。
[零し、本邸の方へと歩いていく。 誰かがすれ違えば会釈をして。 食堂かどこかと聞いて、用意が済んでいれば*食べるつもり*]
(526) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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―A棟廊下― [寝間着から紫を基調とした着物に着替えて廊下へ出た。 懐には、己のためではない髪結い紐が眠る。 窓からは、うつくしい庭が見える。 押し開ければ風が吹きこみ、 ――りん と、髪を束ねた紐の先、 鈴を鳴らした。]
――…、――
[誰かが歩いているようだ。 宴席で見た――霞月夜と去った華花だった。]
(527) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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―夜→朝―
[本邸の屋根の上 見られていたとも知らぬ猫 明けに漸く動き出す 夜通し月を眺めていたか 陽が上がるを待っていたか 漏れるは欠伸 屋根を器用に飛び降りて 木々草花の溢れる庭へ]
腹減った。 …あ、ちょっともらうぜ?
[庭にある木に話かけるは笑顔 熟して成った紅い果実 ひともぎ離し ゆるりとその場に 腰を落とす]
(528) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2010/08/04(Wed) 13時頃
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喰らいたい……私が?
[短く吐息を零す。 暫しの間]
種を植えるなら、育ててゆけぬものを 喰らうなら、財有るものを
[声の届く二人とは、間逆かもしれず 謡うように節をつけて囁く]
嗚呼 しかし 幼い肉は柔らかく美味と謂う
悩ましい
(*44) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/08/04(Wed) 13時頃
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[擽る様に身体に残る花弁を辿る指>>525 その度に、鳥から花へと変わってしまった身体は、 なよたけの君の耳元に零す、甘い泣き声]
壊れてなど……。 いえ、いっそ壊れてしまっても構わぬ、のです。 あなたの手に齎されるものなら、どんなものでも僕は……。
[縋るように華奢な腕を巻き付けて、 うっとりと微笑む、花のかんばせ]
(529) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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…柔い肉の味は霞に聞くがいい。 私は、あまり好まん。喰らわぬわけではないが。
[率先して子供を、とはあまり言い出さぬ口。 霞のほうは、誰を好むのであろうとは思いはすれど]
(*45) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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