151 雪に沈む村
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[トニーは知らないのだ。 昼間2人で思い切り遊んで、いつもの分かれ道で別れた後のカルヴィンを。 トニーは知らないのだ。 月明かりの中で村はずれの洞窟の中に蠢く、巨大な翼竜の姿を。 寝る時はさすがの彼も本来の姿に戻らざるを得ない。 一緒に旅は――できない]
『…カルヴィンは、ここで過ごすのか』>>20
[ここで過ごす、というトニーの言葉選びに、カルヴィンはハッとする。 彼は本当に、自分を同じ普通の子供として扱ってくれているのだ]
(25) 2013/11/18(Mon) 20時半頃
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そうだなー。俺はずっとこの村にいるぞ。ずっと。
[待ってる、とはなぜか言えなかった。 ただ、トニーが旅に出るまでは冬眠すまいと自分の中で決めた。 そうすれば、トニーの中にある“カルヴィン”のイメージを壊さずに済むと思った]
……っ。
[無意識に拳を握りしめる。確実に力は弱まっていた。 だがトニーが旅立つまでは保つだろう、と自分に言い聞かせて]
(26) 2013/11/18(Mon) 20時半頃
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………!
[>>*1 囁き声に呼応する重厚な声。 耳をぱたぱたと方向を変えてみる。 声の主はかなり遠くに居るはずなのに。 その声だけは、頭の中でやたらとクリアリティに響いた。]
……メーはアリス。 アリス・ブランフォートよっ。
[見知らぬ声は少し怖かったけれども。 お嬢様は気丈に名乗りを上げた。
そう、その低い声は自分の知らない声――… けれども、たとえ声の主とお嬢様が既知の関係だとしても。 普段とはあまりに違う音色の為、お嬢様にその者が誰なのかは解らない。]
――……貴方は?
(*2) 2013/11/18(Mon) 20時半頃
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-7年前-
……クシャミ?変な名前ね。宜しくなのでしゅ!
[>>0:115 男の肉球を弄りながら、お嬢様は『くしゃみ、くしゃみ』と何度も復唱しました。始めてのお友達の名前でしたので、お嬢様なりの努力だったのかもしれません。 彼が擽ったそうに笑うと余計に楽しくなって、肉球をぎゅ、と押して遊んでおりました。]
――…うん!クシャミ! この恩は倍にして返してくだしゃいな!
[すっかり元気になった彼を見送る時も、幼いお嬢様はやっぱり気丈で。小さな胸を反らして、羊毛に包まれた腕をぶんぶんと振って見送りました。 その一方で蒼い目は、うるり、と揺れて。唇をきゅっ、と瞑りました。]
……約束ですのっ。
[そして彼が何度も軽々と乗り越えて会いに来てくれた、高い塀を。お嬢様も真似して抜けてきたのです。 猫のような体のしなやかさや、平衡感覚は全くないので、大変手間取り、最後は強引に飛び降りましたが。 冬に備えて一段と毛深くなった羊毛が、お嬢様の華奢な身体を護りました。]
(27) 2013/11/18(Mon) 21時頃
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いやいや。いつ何時彼岸に渡ってもおかしくはない年寄りです。 貴方のように「お若く」はないですから。
[勝手知った風に室内を歩き椅子に腰掛けるドナルドに、さも可笑しそうに笑み含んだ声で応じる。勿論、目の前の男が自分よりも遥かに長い刻を生きる存在であるという事も分かった上での軽口だ。
あと数日、そう続いた言葉に首肯して同意を返す。]
もう少し余裕があるかと思いましたが。 随分とせっかちな御来訪のようですね、今年は。
[降り始めた雪は、もう積もっているのだろうか。通りの喧騒も、ここからではどこか遠い。]
(28) 2013/11/18(Mon) 21時頃
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アリス・ブランフォート……。
[聞き覚えのある名に、ホッと胸をなでおろした。 敵意を持った者ではないと分かり、緊張の糸を解く]
ブランフォート家のお嬢様か。 あの獣人族の名門の血筋に連なる者なら、この音域を聞き分けられたとて疑問ではない。
[自分がカルヴィンだと名乗るわけにはいかないので、とりあえず素の口調のまま喋り続ける。 ブランフォート家には散々“お世話になって”いた。 屋敷に忍びこんではイタズラを繰り返し、“爺”に叱られるのが日常茶飯事だ。 アリスもやはり、子供の姿の自分しか知らぬはずだった]
我は村はずれの洞窟に住む龍だ。 ――怖いか?
(*3) 2013/11/18(Mon) 21時頃
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……そ、そうなのです?……そ、そうですわね! メーはブランフォート家のアリスよっ。 この位、……当然ですわよっ。
[>>*3 こういう体験は、お嬢様にとって初めての事だったけれども。 ブランフォート家の名前を出されたら、否定する訳にはいかない。 家門に傷がつくし、何よりお嬢様のプライドが許さない。 重厚のある声は相変わらず怖かったけれども、気丈な姿勢は崩さずに返した。]
龍ですか………、
[一瞬、その重々しい声からとんでもなく大きくて禍々しい龍がパクッとキャンディーでも食べるかのように、軽々と自分を飲み込む姿を想像して。 ぶるる、と身を震わせたけれど。生唾を飲み込み、息を軽く吸いこんで、]
こ、怖い訳ないでしょっ。だって……メーはアリスなの!
[きゃん、と噛み付くように。謎の理論を持ち出して反論する。 目の前に居ない声の主に抗うかのように、虚空を睨みつけた。]
(*4) 2013/11/18(Mon) 21時半頃
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…何か、温かいものでもお作りします。
[窓の外を眺めるドナルドに声をかけて、立ち上がる。 ──ああ、アルコールはありませんので。小言のように付け加えて、空になったケトルを携え隣室へと向かった。]
(彼といると、どうにも感傷じみてしまっていけない。)
[水を汲みながら自嘲気味に思う。 傍に居ると、身の内を流れる血が熱を持つようだ。知るはずもない懐かしさは、同族としてのものなのか、ここには居ない半身のものなのか。 それを推し量ることはチャールズには出来ないけれど、少なくともドナルドにとっては何ら関わりの無いことだ。
燃える様な赤い髪。ほんの一瞬、誰かの面影がよぎったのを、直ぐに思考から追い出した。 似ている、なんて勝手な思いを腹に抱えたまま、ドナルドに接するのは申し訳なく思えて。]
──君は、一体、いつになったら戻ってきてくれるのでしょうね。
[ひとりごちて、一度だけ名前を小さく呼ぶ。が、直ぐに振り切るように頭を振って廊下を歩き出した。 少なくとも、暖炉の傍で待つ彼ら──特にクシャミには、先程のような落ち込んだ様を見せたくは無かった。]**
(29) 2013/11/18(Mon) 21時半頃
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……さすがブランフォート家のお嬢様だ。 勇ましいな。
[>>*4震えた声で。しかし毅然とした態度で。 虚勢を張るアリスの姿がありありと目に浮かんで、カルヴィンは思わず苦笑してしまう。 これ以上苛めてはいけないな、と少し優しい声音に変えて]
なにか困ったことがあったら、“夜に”村はずれの洞窟を訪れるがよい。我でよければ力になろう。
[もちろん、彼女が自由に屋敷から出られないのを知っていて。敢えて口に出した。 村はずれの洞窟までは来られないだろうと。ある程度、高を括って。それでも、自分を怖がらないで欲しいという下心が抑えられずに]
それと、アリス。“爺”にはあまり無闇に子供を叱るものではないと伝えておくのだぞ。 子供に悪戯で荒らされた庭園も、また元に戻せばいいのだ……。
[と、普段の姿では言えないことも伝えた。 努めて真面目な口調で。 もちろんカルヴィンは、アリスが“爺”から逃れて家出したことは知らない]
(*5) 2013/11/18(Mon) 22時頃
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[少年達の会話が工房に漂う。 ぱちり、と時折炉の炎が音を立てた。
小さな銅板を手に取り、ふと窓の外を眺めれば、白い欠片はさほど多くは無いものの、ウォーレンの目にもはっきり見えた。
剣を打っていた大きなハンマーではなく、小さなかなづちと少しの道具を広げる。 銅の板を鍋の底にあてがい、溶かした錫を接着剤代わりに、そのまま熱する。 柔らかくゆっくりとしたリズムで時折こぁん、と音を立てて叩く。]
(――トニーは。)
[二人をちらりと見つつ、手馴れた作業は続けたままで。]
(この村に、戻ってくるのだろうか。)
[あっという間に、鍋の鋳掛は終わりそうだった。]
(30) 2013/11/18(Mon) 22時頃
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[チャールズとドナルド。 見た目も、持つ雰囲気も全く違う二人だけれど、なぜだか同じ匂いがして、一緒にいると落ち着くのだ。 チャールズと同じように、青年はドナルドにもとても懐いていた。
残り少なくなったココアを口にしながら、2人のやりとり>>22>>28を眺めながら、あと数日、と口の中で言葉を繰り返す。 数日すれば、この村もすっかり雪で埋め尽くされてしまうのだ。 ふっと胸のうちに、得体のしれない不安のようなモノが浮かぶ。 人間よりも遥かに優れた聴力が、小さな音を拾った。 内容まではわからないけれど、その色に少し、似たようなそんな感情。 それを打ち消すように、ぱっと顔を上げた。]
あ。 そーだ、俺アレもやってみたいにゃー。 雪合戦。
[チャールズに読んでもらった、子ども向けの絵本の中で見たことがある。 確か雪で雪玉を作って、投げ合うのだ。雪で遊べる機会なんて、滅多にない。 すっかり積もってしまったあとでは、きっと遊べないだろうし。 外で深々と降り注ぐ雪は既に積もりかけ、層を作っていた。 雪だるまはまだ厳しいかもしれないけれど、雪玉を作るぐらいならもうできるかもしれない。]
(31) 2013/11/18(Mon) 22時半頃
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――……夜に村はずれの洞窟ですね?言いましたね?…約束ですのよ?
[>>*5 相手が優しい声音に変われば調子に乗る、単純なお嬢様。 独り、小さく不敵に微笑む。そう、今のお嬢様に怖いもの無しなのだ。 いや、実際は『きっとこの声の主は相当な龍なのだろう』と内心震える思いで一杯だったけれど。 屋敷から抜けて自由の身のお嬢様は、声の主に挑戦するかのように言い放った。 これほどまでの力を持つ龍ならば、きっと自分の望みを叶えてくれるだろう、と。まるで宝物の地図を見つけた気分で、満ちていた。]
……爺?
[急に爺の話題と庭園の話題を出されて目を丸くする。何故。 庭園と言えば、お嬢様と同じ年頃の子供が数人こっそり、何処からともなく入り込んできては、鬼ごっこをしたりチャンバラをしたり。 時にはお嬢様も泥まみれになって遊んだり。 爺の雷が落ちてくるやいなや、蜘蛛の子を散らすかのように逃げる悪ガキ。 彼等との遊びを思い出すと、ぷ、と微笑んだ。でも何故、荘厳そうな龍がそんな事を言うのだろうか。]
解りましたわ……?その位お安い御用ですわ。 ――…もしかして、貴方もお庭で遊びたい、とか?
[きょとん。]
(*6) 2013/11/18(Mon) 22時半頃
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[いいことを思いついた、とばかりにいそいそと羽織っていたブランケットを畳んで椅子にかける。]
ドナ、ゆっくり休んでってね。 また後で話そう。
[赤毛の客人に笑いかけ。 すっかり飲みきって空になったカップを片せば、お茶の用意をしていたチャールズの方へ向かう。]
チャル。俺、外行ってくるね。 [にんまりと笑って、そう声をかけた。]
サイラスは、どうする? あ、何か用事ある?
[あるならば、無理に誘いはしないだろう。 きっと、トニーやカルヴィンなら遊んでくれるはずだ。フードをすっぽり被って、耳だけは出して。 マフラーを巻いて外へと繋がる扉を開いた。]
(32) 2013/11/18(Mon) 22時半頃
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[アリスのうんうんと頷く姿>>13を横目で見ながらパンを取り出す。]
欲がねえわけじゃねえけどよ…。そりゃあ作ったもんで生活出来りゃありがてえ話だ。アリス、ドーナツ食うか?まあ今食えなかったらまたおやつにでもしとけ。パンと一緒にあっため直してたんだ。 っとお客さんお待たせしたな。ジャガイモのポタージュにおまけのミネストローネな。 こっちの嬢ちゃんがスープ皿で2食分食ってるから味は保証してくれんだろ。
[快活に笑いながら暖炉のそばの客のテーブルに、ジャガイモのポタージュ、パン、マグカップに入れたミネストローネを置いた後、鼻をひくつかせているアリスの元にオイルペーパーに包んだ小ぶりのオールドファッションを渡した。]
(33) 2013/11/18(Mon) 23時頃
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――……! お菓子は別腹ですのっ。
[>>33 オールドファッションを素早く受け取ると、むぐ、頬張る。 グラニュー糖とバニラエッセンスの香りが口にひろがる。 サクサクとした外側と、内側のふわっとした食感に、思わず笑顔になる。嚥下すればバターの後味が舌に残る。 喉が渇けば、早速水筒を開けて、ミルクティーを飲もうとするだろうか。 料理人はお嬢様の考えなしの行動に慌てるかもしれないし、苦笑いするかもしれないし。]
もぐ……むふぁあ……あまぁい……ですの…ごきゅ。 もっと欲しいわ!
[ドーナツの代金として、再び金貨を渡そうかと過ったが。 流石にそれはまたピエールを困らせてしまいそうなので辞めた。 老齢の客人がポタージュを飲み始めれば、うむうむ、と自分が作った訳でもないのに嬉しそうにそれを眺めるだろうか。]
(34) 2013/11/18(Mon) 23時半頃
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店番 ソフィアは、メモを貼った。
2013/11/19(Tue) 00時頃
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――…そっか。
[>>26自分はずっと村にいるというカルヴィンに、短くそれだけ言う。 それは、カルヴィンにはカルヴィンの事情がある、という大人の考えではなく、ついてきてほしいなんて、カッコ悪いこと、言えない。 そんな虚栄心から。]
?…カルヴィン?大丈夫か?
[一瞬、カルヴィンの顔がゆがんだような気がした。>>25 そういえば、少し顔色が悪い気がする。 外を見れば、何やら白いものがちらついていた。 これが“雪”だろうか。]
…オレも仕度しなきゃなんねーし、そろそろ帰るか? おまえん家の近くまで、ついてってやるからさ。
[具合の悪そうなカルヴィンを気遣ってそう声をかける。 彼がどこに住んでいるのか、正確には知らない。 カルヴィンが決して教えようとはしなかった。 だから、近くまで、と。]
(35) 2013/11/19(Tue) 00時頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2013/11/19(Tue) 00時頃
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[ソフィアの母が口にするのは、「すいませんねジリヤさん」という短い言葉。>>14 その僅か数文字の言葉だけで、ジリヤは色々と見抜かれているという事実を察した。 不甲斐なくてごめんなさいね、とソフィアへ謝罪めかして目配せする。
それでも、幸いな事に延命措置には成功したらしい。 ソフィアの母が零した溜息に、はらはらと成り行きを見守っていた薄青の瞳から、ぴんと張った緊張の糸が解れる]
そうね、きっとウォーレンもお茶を楽しみに待っていると思うわ。 善は急げと言うのだもの、早く彼のところへ届けてあげましょう。
[すぐに届けに行くからと準備を始めたソフィアへ、柔らかく相槌を打った。 その表情が微かな驚きに染まるのは、彼女の母の提案ゆえ]
(36) 2013/11/19(Tue) 00時頃
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まぁ、それは助かるけれど、お店は大丈夫なのかしら?
[一年もの長い冬。 当然の事ながら、ふわりふわりと雪の舞う今は、冬仕度に追われる時期だ。 ソフィアの母へと問いかけて、次いでソフィアへ視線を滑らせた。 折よくソフィアがこちらを向いたので、数秒だけ宙で視線が絡む]
……でも、そうね。
[問いかけるような視線を受けて、薄青い瞳を和ませた。緩く首を傾ける]
貴女がご一緒してくれるなら、楽しい時間が過ごせそうだわ。 お願いしてもよろしいかしら、ソフィア。
[彼女の答えは既に決まっているのだろうけれど、改めて問いかけた]
(37) 2013/11/19(Tue) 00時頃
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[それから後は、お茶の葉をいくつか受け取って、再び白い欠片の舞う店の外へ。 ソフィアと連れ立って歩きながら、ウォーレンの工房へと向かう。
冬の訪れを告げるはじめの雪は、既に風景をほの白く染めていた。 歩んだ後に刻まれる足跡すら、そう長くかからずに雪に埋没してしまいそうな気配だ]
こうして雪化粧を施した村を見ると、いっそう寒さが際立つ気がするわね。
[衣服の隙間から忍び込む冷たい風を追い払おうと、ショールを引いて胸元で掻き合せる。 傍らのソフィアに呼びかけながら、少しずつ様変わりしてゆく村を愛おしむように眺めた]
でも、雪の降り始めはとても綺麗。 ずっとこうして眺めていたいくらいだわ。
[実際にそうしていたら、きっと凍えてしまうだろうけれど。 この様子では、夜が訪れる頃には吐く息も真っ白くなるに違いない]
(38) 2013/11/19(Tue) 00時頃
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[さくさくと雪を踏む音すら好ましく感じられるのは、おそらく『眠り』の訪れを意識しているから。 この風景を楽しむことができるのは、ほんの束の間の事なのだ。 ジリヤは雪に閉ざされた村に取り残され、それと共に日々を過ごさねばならない立場ではない。 だからこそ、この時と共に移ろう儚い風景を愛せる。
物思いに耽る間に、ウォーレンの工房が前方に姿を表した。 工房隣の椋の木付近まで来ると歩調を緩め、改めてソフィアに視線を合わせる]
ねぇ、ソフィア。 ……貴女、冬は好きかしら?
[問い掛けは、きっと彼女の耳には唐突に響くことだろう。 この村に根を下ろして長いジリヤは、彼女の父親の事も知っている。 だからこそ、この有翼の、少しそそっかしい所が可愛い少女に、それを聞いてみたいと思った。 ささやかな好奇心ゆえの問い]
(39) 2013/11/19(Tue) 00時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2013/11/19(Tue) 00時半頃
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お店は大丈夫ですよー。大体の人はもう預けに来て冬眠やら旅やらに行ってますし。ね、おかあさん?
[ジリヤが気を使わないように、女の子が母親に同意を求めます。母親は肯定し、あなたがちゃんとお使いをすませればね、と付け加えました。女の子はもう許してくれと思いました。 ジリヤはゆるりと首をかしげて同意してくれました。女の子には兄弟姉妹はいませんでしたが、やっぱりお姉さんみたいだと思いました。これでおかあさんよりも年上だなんて嘘です。]
い、いきましょうかー!
[あたふたとジリヤの背中を押すようにして店から出て行きます。邪な事を考えると母親にばれそうだったからです。]
(40) 2013/11/19(Tue) 00時半頃
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[寒かったのでふかふかの帽子とふわふわのマフラーともふもふの手袋を持ってきました。どれも女の子のお気に入りでした。]
うーん。私、まだ冬って一回しか経験してないから……。雪を見てもなんていうか、『寒いー!』って思うよりもこう…新鮮なんですよね。
[並んで歩きながら、女の子は大きく息を吸い込んでみます。冬の冷たい、刺さるような冷気が肺に飛び込んできて思わず身を震わせます。]
ふふふ…きっとすぐに見飽きるんでしょうけど!
[去年も雪にはしゃいでたのは一週間ほどだったのを回想します。]
でも……うん。降り始めの雪って、積もってるのを見るのとはまた違うんですよね。ちらちら、ちらちらしてる。 [手を伸ばして、降れた雪は体温ですぐに解けてしまいます。こんな儚いものがよくあんなに積もるものだと女の子は不思議に思います。]
(41) 2013/11/19(Tue) 00時半頃
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『――…もしかして、貴方もお庭で遊びたい、とか?』>>*6
[確信を突いたアリスの問いに、カルヴィンは面を食らう。 もう遊んでるよ、と心の中で答えて]
我が“この巨体で”ブランフォート家の庭園で遊んだら、大騒ぎになるであろうな。 爺が心臓発作で倒れてしまうかもしれぬぞ。
[それは子供の悪戯どころの騒ぎではないだろうな、と苦笑して。 本当の姿の自分を受け入れてくれたら、どんなに嬉しいだろう。 でも。とりあえず。今は]
村の子供たちの間で、ブランフォート家の庭園は“大人気”だと聞くぞ。 思い切り、彼らと遊んでおやり。
[子供が子供でいられるのは、ひとときだけなのだから。 またアリスが一緒に泥まみれになって遊んでくれるだけで、彼にとってそれは大きな幸せで]
(*7) 2013/11/19(Tue) 00時半頃
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だ、大丈夫だよ。ぴんぴんしてるし。ほらっ。
[>>35トニーの心配するような声に、カルヴィンは虚勢を張る。 反動をつけて思い切り立ち上がった膝は、かくんと折れ曲がって]
わわわ。
[バランスを崩して、側にいたウォーレンに思い切り寄りかかってしまう。 いつもならこのようなことは有り得ない]
うわ、ウォーレンごめん。 ……やっぱ調子悪いかも。寒いのちょっと苦手でさ。
[子供の台詞として不自然ではないように、慎重に言葉選びをしつつ。チラチラと舞い落ちる雪が窓から確認すると、それを忌々しげに見つめる]
いつもの分かれ道のところまで、いいか?
[上目遣いで、トニーを見つめた**]
(42) 2013/11/19(Tue) 00時半頃
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もっとぉ?! ホンットよく食うなぁ。まあいいけどよ。ほれ。
[もっとの催促>>34に素っ頓狂な声をあげつつ、ミルクティー用にあっためていた残りの牛乳とおかわりのドーナツを机に置いてやる。こどもが食欲旺盛なのは良いことだ。 食べ始めたであろう暖炉の前の客にも話を振る。]
お客さんはどっかからの帰りで?それともよそから来たのか?あんまり見かけねえが…なんかどっかで会ってるような気がしてんだが…まあ記憶違いか。気にせず食ってくれ。 パンのおかわりできるからよ、遠慮しねーでいいからな。
(43) 2013/11/19(Tue) 00時半頃
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[>>4 おススメの場所は?と聞かれ、男は目を細める。]
おススメ…あぁ、そうですな、教会などはいかがでしょうかな? 冬の前に、祈りをささげるのもいいでしょう。 アリス嬢、冬の前に、挨拶をしにいったほうがよいですぞ。
[にっこりと、長い前髪で半分以上隠れた顔で微笑んだ。 食事時なので帽子は取っていたが、その下には長い前髪があった。]
[少女が代金を払いに行ったなら、引きとめもせず見送っただろう。>>6]
(44) 2013/11/19(Tue) 00時半頃
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[ポタージュにミネストローネが来れば、>>33 バーナバスは目を丸くするだろう。 パンの香ばしい匂いも食欲をそそる。]
あぁあ…良いんでしょうか…? ご馳走になります… あーぁ…いい匂いですな…
[スプーンを水面につけ、ゆっくりと口へ運ぶ。 この老人の動作がゆっくりしているのは、単に年を取ったからではなく。 『急ぐ必要がないから』だった。時間の期限という概念からは切り離された感覚が、老人の動作を酷く緩慢にしていた。]
(45) 2013/11/19(Tue) 01時頃
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[耳を小さく震わす声のやり取りも、老龍にとってはそよ風にも等しかった。 聞こえど応えず。 それが己に向けられたものではないのであれば。 普段通り、にっこりと柔和に笑って聞き流しただろう。]
(*8) 2013/11/19(Tue) 01時頃
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んんー……美味ですなぁ… いつの時代も、貴方のような…食材を愛するものがいるから、 食という文化は花のように芽吹く… この前獣人の方に振舞ってもらった料理も、こんな風に美味で…
[言葉の最後の方は料理人に聞こえただろうか。 男の言う『この間』とは数十年も前のことであることに、男自身も気付いていない。 一口、味を噛みしめ、また一口。食事を味わう。]
(46) 2013/11/19(Tue) 01時頃
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[>>43 男に声をかけられれば、何のこと無しに答えただろう。]
えぇ…今日はたまたま散歩です…。 私はずっとこの辺におりますじゃ…会っていても不思議はないでしょう… 何せこの老いぼれた身体では、温かいところへ動くのも一苦労での。 もう最近は一人寝床に篭もって物思いに耽ることが多くて…
[枯れ木のような手でパンをちぎって、ポタージュへつける。 口へと運ぶと、バターの味とポタージュの味が口腔内でとろけ合い、老人の舌の上で食材がダンスを始める。]
(47) 2013/11/19(Tue) 01時頃
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