162 絶望と後悔と懺悔と
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[――>>356 自動二輪の駆動音、 灯りに照らされるを嫌って、ふたたび傘を開いた。 道の脇にどいてそれが通り過ぎるのを待つつもりだ。
紫衛門の女学生。さらり零れる黒髪は、 きっと彼女の記憶の誰かに良く似ていただろうけれど]
(359) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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―自室前―
……偵察に行って、ヘマしただけじゃあないの?
[『預かり物』と聞いて、受け取る為の手を差し出さなかった。>>*107 けれど強引に渡される。]
は、なにこれ…。
[若草色の紐飾り。何が何だか分からない。]
(*118) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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[瞼を閉じた彼女。
彼女の悪趣味な言葉に何か反応したのだろうけれど。 ホリーにとってはそれもまた遊びだったから気にする事もない。]
ただ、彼女の言葉には、珍しく困ったように笑う。
あたしはそうでもないけど。 お父様は孤独だと思うわよ?
あたしだって追いつけない高みにね。 一人でずっと居るのだもの。
[そして、人よりも遥かに長く生き続けると言う事実。 ――その孤独は、同じ様に長い時を生きてきた者でないと分からないのかもしれないが。]
(*119) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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[>>252>>254きんいろや他の吸血鬼、眷属達と。 補給基地に張られた罠、兵士の士気の状況、 糧秣の量から持久戦の可否、指揮者が安吾であることなど、通常の偵察で求められることは大方報告する。 それ以上のことは聞かれなければ答えない。 円直を討ったものの名はその場では問われても知らぬを通す。
襲撃の日を告げられれば眉を顰めるが、 何も言葉を発することはなかった。
最初、きんいろから血を与えられた時の無謀さはもうなかった。 少なくとも頭は垂れないが明らかな反抗の意思は表に出さないようになった。
年月は、子供から想像力を奪う。 そう、強くなったが故に、その無謀さが手の届かないものなのだと知っただけだ]
(360) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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恨んでないやつがいないともって。
貴方って案外と言うわよね。
[少しだけ、苦笑をもらす。]
ああ、繊細なあたしの心が傷ついたわ。 思わず手が滑って貴方まで切り殺してしまいそうなぐらい。
[冗談めかしてそう告げたのだった。 そして神宿に彼を伴って向かう事となった。]
(*120) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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― 零にーさんの部屋を出る前 ―
………。
[困った。「諦めて」って言っても聞かなさそうだし。>>352 そこが周にーさんのいいところなんだろうけどさ。
僕を見つめ返す周にーさんの姿は真っ直ぐすぎて――、手を伸ばしたくなる]
じゃあ、…「またね」って言えばいいのかな。
[僕がキャロライナにーさんに「またね」と言ったのは、遅かれ早かれまた敵として会う、そんな気がしたからなんだ。 今の周にーさんはその時と立場が違いすぎる、けど]
(361) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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おねーちゃん、女一人歩きは危ないよ
[ぱらりらぱらりら 傘をさす大正ロマンの少女のそばを ゆっくり走りながら声を掛ける]
この辺は鬼が出るんだよ。 送っていこうか? それとも
[もしかしたら人狩りに現れた吸血鬼だろうか さらり傘の隙間から零れる黒髪]
(362) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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[零瑠というのなら、家族の誰かだろうけれど。 また、逃げたのかと視線の鋭さはそのままに。
リッキィは何も言わないから、零瑠も何も言わなかった。>>347]
………絢矢? なんで俺に?
(*121) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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何を今更。知っててやってるんだろう。 お前、繊細どころか大戦災じゃねぇか。
手が滑るならそのまま滑ってどっかいっちまえ。
[>>*120言葉遣いや思うことはともかく、 彼女の供をするのは本当だ。乾坤圏を腰に、彼女の後ろから従うように城を出る] ]
(*122) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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[傘の下にみえるつややかな黒髪は あこがれていた姉を思い出させた
人参食べたら美人さんになれる? 訛りの強い優しい兄に聞きながら 頭に浮かべていたのは 小首をかしげたびにさらさら黒髪を揺らす姉の姿 子供心に美しいと目を細めて眺めていたものだった]
(363) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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……それは、大収穫じゃないか。
仇を―――…と、らなきゃ
[長く長く息を吐いて、笑う。 家族同士の討ち合いを、また、望まれている。]
だれ?
(*123) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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…さーね。直接聞けば。渡してほしいと預かっただけだ。 あと伝言。涼平と周を返せ、だとさ。
[零瑠の視線>>*121はあえて流した。 もう突っ込まれて色々踏み込まれるのはゴメンだったからだ。ただ、誰と問われれば>>*123、暫し躊躇した後、静かにその菊結びを指した。
アヤだ、と]
(*124) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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ああ、全く。 ああ言えばこう言う。
育てた吸血鬼の顔が見たいわ。
[そんな軽口を叩きながら。 向かうのは神宿]
(*125) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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ああ、またな。
[>>361困ったように黙り込み、 それでも「またね」と言ってくれたリカルダに、穏やかに笑いかける。
――時が経ち、それでも彼女が周を忘れないでいてくれるなら、思い出すのは笑顔であってほしい、と、ただ願うのだ]
(364) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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− 回想・零瑠への褒美 −
[和本の内容を零瑠が知っているのかは尋ねなかった。 最後まで読み終えてどんな感想を持つか、今は判らない。 そも最後まで読み終えるかも定かでは無かった。 積み上がった書物はそうやって、思い出した様に 読み直されたり、山に埋もれたままになる]
迷信とは、人間は己と違う遠い存在から、畏れから逃れる為に。 己を安心させる為に創りだしたものだ。
その分、その迷信が効かぬと知れば面白いように慌てふためく。
[零瑠の途切れた言葉>>*91に、何を思うと視線を合わせる。 だが直後の模範解答に、その瞳の奥に潜むものを追及はしなかった]
(*126) 2014/02/13(Thu) 21時半頃
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……あら、
[それは通り過ぎるものと考えていたが、案じる声をかけられた。絡むような輩であれば、その運命は不運なことになっただろうが。 声は少しはすっぱだけれど、少女のものだった。 ――記憶に残る、それに、よく似た]
心配してくれるの?ありがとう。
……そうね、 ここは確かに鬼の出る場所のようね。 では、神堕の橋までご一緒してくださる?
[傘に隠れた口元だけが、柔な形を描く]
(365) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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――…!
[僕は絢矢の名前が出たことに分かりやすく息を飲む。>>*111 それにしても、絢矢と、この紐と、零にーさんにどんな繋がりが?
木箱を持って、僕と手を繋いで逃げていた絢矢の姿なら記憶にあるけど……]
――もしかして、あの、5年前、ほら、零にーさん明日が誕生日、で、それで…
[僕の言葉が途切れ途切れになるのは色々と思い出してるから。>>*121 「シュークリームが食べたい」。 聞こえる、子供達の歌声。 帰らないにーさんやねーさんを待って絢矢と二人身を寄せ合ったあの時]
(*127) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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[リカルダが部屋を出て、零瑠が戻るまでの時間。 突くべき隙はそこにしかない。
彼女を見送ったら、動き出そうして――
「あ」
部屋を出ようとして足を止めたリカルダの声が、零瑠の帰還を知らせた]
……全部、お見通しってわけかよ。
[外から此方の様子を窺う零瑠に苦笑を向ける。 それから、独り取り残された部屋で『脱出の機会はまだあるさ』と自分に言い聞かせながら、深く息を吐いた]
(366) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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サミュエルは、神宿にて、潜みながら絢矢を見守るも、見つける人は見つけるのだろう。*
2014/02/13(Thu) 22時頃
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直接聞いて、腹に傷でも負ったら堪らない。
[理依と絢矢の間でどんな話があったのか、 そんなものは想像に過ぎないし。
どんなヘマなのかも、また。
彼の指が差す、若草色。 もしかして、と話すリッキィの声。]
………は、は。絢矢なら、こういうの、用意しそうだけど。
馬鹿だな。この5年、ずっと……
(*128) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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[子が夢中で首筋に立てた牙>>*92に、酒以上に酔う。 嚥下する音が間近で響いて、子が喜んで飲み下している事に 満足げに笑みを浮かべて、指を絡めた髪を見下ろした]
………泣いているのか。
[途切れる事無く、迷う事無く感謝の言葉>>*93を述べながら、 子は泣いた。 その涙の意味が判らず、僅かに傾げた頭を頬杖で支えながら その透明な雫を見つめた。 家畜なら命乞いで泣くのは知っている。 断末魔の前に痛みで泣く事も知っている。 だが零瑠は家畜では無い。 命の危険も痛みも無いのに何故泣くのか]
何を泣く?
[痛みを覚えいているとすれば、彼の心か。 贄を差し出そうとする程、彼は吸血鬼と成っているのに。 まだ涙する部分があると言うのか]
(*129) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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─ 早朝:神宿へ ─
[神宿への道中、 はじめは、昇る朝日を見ながら速足で歩いた。
しかしアスファルトに刻む足音は徐々に早く、強く。 いつしか絢矢は駆け出していた。
一刻も早く、一秒でも早く。 ホリーを狩らなければ周と涼平が危ない。 彼らはきっと、今も吸血鬼の居城で抵抗を続けている。
一部でも鬼の支配が解ければ状況は好転する。 そうと信じて絢矢は走る。]
(367) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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そう。
[伝言に対しては、短く。 生死を問わず、返してやれば良い。
立ち去ろうとする理依には、これ以上話すことはないだろう。 背中からリカルダへと視線を落とし。
ぽんと一度、頭の上に手を置いた。]
じゃあ、ふたりとも。また後で。
(*130) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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[>>333扉がノックされる。 沈みこんでいた椅子から身体を起こして迎えると、円の姿]
なにかあったか?
[話を聞こうと水を向けて……]
(368) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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いいよ、ここから近くだから のってよ
[年のころなら自分と同じくらいとみえるけれど 柔らかな弧を描く唇がぞくりとするほど艶がある>>365 一条戻橋の鬼女。そんな単語が頭に浮かんだ。 用心をしながらも少女へと手を伸ばす。
ふわり風がおこり傘を飛ばした]
(369) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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―自室―
……あまね。ちょっと。
[扉を開けて室内にと戻ってきた零瑠は、右手に何かを握り締めていた。隙間から見えるのは、若草色の。
眠い、抱っこと、11の頃にせがんだ様に。 腕を肩に回して抱き付こうとする。]
(370) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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― 神宿 ―
[最近作られ始めた高層建築。 その屋上で彼女は神宿を見下ろしていた。
その傍には理依もついてきていただろう。 なんとなく予感がしたのか。 いつでも愛用の日本刀は取り出せるところには持って来ていたのだった。]
(371) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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[家畜の悲鳴や涙は食事の時間に彩を添えた。 ならば吸血鬼の涙はどうなのだろう。
沸いた興味のままに舌で零れた雫を掬い、転がした後。 離れずに零瑠の首筋に牙を立てた。
力の強い吸血鬼の血はそれだけで味わい深い。 まして血の絆の子の血は更に味が濃い]
成程、甘い。
[涙を混ぜた血は芳しく、甘さを増していた。 味に満足したのか、喉を数度鳴らした後、牙を離す]
(*131) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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おい、……どうした?
[>>370室内に戻るなり、子供のように甘えかかる零瑠に、周の上に浮かぶのは驚きの表情。
その行動に気を取られ、彼が右手に握る若草色には気付いていない]
(372) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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[傷など──失血など 放っておいてもっと早く出立すれば良かったと 己を責める声が裡から湧いて来る。
サミュエルは、足音も聞こえない距離から それでも自分を見失わずついて来てくれている。 姿が見えなくてもわかる。
サミュエルに同行を申し出た時、 絢矢には兄の答えがわかっていた。 それがどれほど危険なことかも。
だから──死地への連れ添いを頼むようで、 頼むと告げるのを躊躇した。
けれど、きっと。 話してしまった時点で、頼まずとも彼は付いて来た。 付いて来てくれていた。
サミュエルとはそういう兄だ。]
(373) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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………。それだけ忘れたくなかったってことだよ。
[僕は零にーさんの気持ちも絢矢の気持ち、どっちもなんとなく分かる。>>*128 ただ、周にーさんと話したばかりだったから、気持ちはなんとなく周にーさん寄り。
最後に見せた、笑顔。>>364 あれで本当にお別れ、なのかな。
僕は零にーさんが頭に手を置いた時、>>*130 相っ当心配そうに見える顔をしてたことだろう。
――いかないで。 ――つれてかないで]
(*132) 2014/02/13(Thu) 22時頃
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